VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達する仕組みや流れ!メリット、デメリットや出資条件を満たす企業について

VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達をする仕組みとは、未上場企業が自社株をベンチャーキャピタルに譲渡し、その対価として返済義務がないお金を受け取ることです。
受け取れる資金額が大きいことや経営支援を受けられるメリットがある一方で、持ち株比率が減ることにより経営へ過剰に介入されるなどのリスクがあります。
したがって、VC(ベンチャーキャピタル)と契約を結ぶ際は契約書を入念に確認し、資金調達に関する関連法律などの知識をしっかりと頭に入れてください。
なお、VC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けるには成長性のある市場で戦っていることや経営者に明確な将来性が見込まれることが条件です。
今回の記事では、VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達をする仕組みやそのメリットとデメリット、出資条件を満たしている企業などについて解説します。
記事を読むことで、どうすれば、VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達ができるようになるのかを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達をする仕組みとは
VC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達とは、 未上場企業が自社株式をVCに譲渡する対価として、返済義務のない資金を受け取る仕組みのことです。
投資家から集めた資金を基にファンドを作り、有望なベンチャー企業に出資してその企業の株式を手に入れます。
VCはほとんどの場合、10年以内を目安に利益の回収を図るので、資金提供を受けた企業側は、この期間内に上場や売却を実現しなければなりません。
VC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達の期間は数ヶ月〜1年程度かかる
VCからの資金調達にかかる期間は、通常3〜6ヶ月程度ですが、企業のステージや状況によって大きく変動します。
特に簡潔なラウンドや状況が整っている場合は、数週間から数ヶ月で完了することもありますが、事業計画や体制の準備に時間を要する場合は、1年近くかかる可能性も。
また、 VCの資金調達には以下のような主要な各ステージ(ラウンド)がある ので確認をしておいてください。
・シリーズC以降(後期・成熟段階): 安定した黒字経営など、交渉がスムーズに進む場合は数ヶ月で完了するケースが多い。
VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達を行うメリット
VCから資金調達を行うメリットは主に3つあります。
ここからはそれぞれを詳しく解説します。
VCからの資金調達を視野に入れている場合はしっかり確認しておいてください。
- 返済する必要がない
- 調達可能な資金が大きい
- 経営支援を受けられる
返済する必要がない
VCから受け取る資金は自社の株式を対価として発行するものなので借入とは異なり返済義務がありません。
金融機関からの借入では、毎月の元本返済と利息の支払いが発生し、特に創業したばかりの時期は資金繰りが不安定になってしまうのが大きな負担となることも多いです。
これに対して返済不要の資金を調達できる点は、VCを利用する最大のメリットのひとつといえます。
調達可能な資金が大きい
事業の将来性が高く評価されると、まとまった大きめの資金を調達することも可能 です。
実績があまりないベンチャー企業は、金融機関の融資審査を通過するのが難しい場合がありますが、VCは現在の実績よりも将来の成長性を重視してくれます。
VCからの出資を受けることで、企業の社会的な信用力も上がり、結果的に金融機関などからの追加融資も受けやすくなるというメリットも期待できます。
経営支援を受けられる
VCから資金を調達することで、 成長支援のノウハウを直接活用し効率的に経営力を高められる という点もメリットのひとつです。
そのため、株式公開に向けた専門知識、優秀な人材ネットワーク、そして実践的な経営資源を豊富に持っているのです。
投資先の企業は、これらのVCのリソースを取り込んで、効率的でスピーディーに企業成長と上場を目指すことが可能となります。
VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達を行うデメリット
メリットの多いVCですが、デメリットもいくつかあります。
利用を検討している場合は、メリットと合わせてデメリットも把握しておいてください。
- 経営に介入される可能性がある
- 持ち株比率が減少するリスクがある
経営に介入される可能性がある
VCからの資金調達を受け入れると、その意向に沿った迅速な成長を求められます。
そのため、経営に対するアドバイスや支援など、何かしらの関与を受けることは多くなるので注意してください。
VCは投資した資金のリターンを最大化するため、 経営戦略への助言や役員・人材の派遣など、積極的な成長支援をします。
しかし、株式の保有割合が高い場合や企業の成長が計画通りに進まない場合は、出資者として過度な経営介入をする可能性も少なくありません。
当初の意図とは異なる方向への変更することを強いられるリスクも少なからずあるので、この点には注意が必要です。
持ち株比率が減少するリスクがある
VCからの出資は、株式を譲渡して資金を調達する仕組みのため、創業者や既存株主の持株比率が少なくなってしまう可能性もデメリットのひとつといえます。
持株比率の低下は、会社の重要な意思決定における創業者の影響力(議決権)を弱めることにつながるからです。
一度発行して譲渡した株式を容易に取り戻すことはそう簡単ではありません。
将来の経営権への影響を考慮し、持株比率の変動はかなり慎重に判断する必要があります。
VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達を行う流れ
ここからは、VCから資金調達を行う流れを解説していきます。
大きく分けて3ステップで完結できるので、利用を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
STEP1 VC(ベンチャーキャピタル)と関わりを持つ
まず、VCからの資金調達をするためには、接点を持つことが重要です。
主な接触方法には、以下のような方法があります。
- VCの公式サイトやSNSを通じた直接連絡
- ビジネスイベントやセミナーへの参加
- マッチングサービスの利用
- 知人や金融機関からの紹介
VCは将来性のある企業にのみ投資するため、 前向きに検討してもらうためには事業計画書などを提示し自社の魅力や可能性を効果的にアピール してください。
こまめにコンタクトを取ることが非常に重要です。
STEP2 プレゼンを行い投資可能かどうか判断を受ける
コンタクトを取って投資を受けるためには、投資判断のための綿密な審査に通過しなければなりません。
VCの利益は投資先企業の成長によって得られるので、 成長性の見込みが最も重要な審査項目となります。
企業は事業の将来性や明確な事業計画、そして魅力的なビジネスプランを示すためのプレゼンテーションを行います。
この審査過程では、事業内容の深掘りや法務・財務面の詳細確認が含まれているので注意してください。
STEP3 投資契約を結ぶ
審査に通過できたら、投資の金額や株式の評価額(株価)など、具体的な契約条件の交渉に移ります。
VCはリターンの最大化を目指すので、投資家側に有利なように企業価値を低く評価する場合があるので注意しなければなりません。
契約条件については弁護士に、株式価値算定については公認会計士などの専門家に相談するのがおすすめ です。
適切な条件で出資を受けられるよう慎重に交渉して、最終的に投資契約を結びます。
VC(ベンチャーキャピタル)の出資条件を満たしている企業
VCの出資条件を満たしている企業には、いくつかの特徴があります。
VCの利用を検討している人はしっかり確認しておいてください。
- IPOなどの出口戦略を持っている
- 高い成長が見込める市場で戦っている
- 競合優位性がある
- 経営陣に明確な将来性がある
IPOなどの出口戦略を持っている
VCのビジネスモデルは、投資した企業が株式公開(IPO)または会社売却(M&A)を行うことによって、投資資金を回収し利益を得ることです。
そのため、VCから投資を受けるには、 現実的に実現可能な具体的な出口戦略を用意していることが必須条件になります。
それぞれ重視されるのは以下です。
- IPOを目指す企業は、高い成長性と市場での信頼性
- M&Aを狙う企業は、魅力的な事業や独自の技術
VCは、明確な出口戦略の計画を持つ企業に投資を集中させることで高いリターンを目指しています。
そのため、調達を希望する側は戦略の実現可能性を具体的に示さなければなりません。
高い成長が見込める市場で戦っている
高い成長が見込まれる市場で戦っていることも、出資条件を満たしている企業の特徴のひとつです。
事業を展開する市場の規模が拡大途上にあるか、あるいは将来的な大きな成長が見込まれている場合は、VCからの投資を受けやすくなります。
資金調達には、信頼できる情報源や専門的な調査に基づいた、徹底的な市場調査をしなければなりません。
説得力のある数値に裏付けられた市場データを示すことで、VCに対して事業の将来性をポジティブにアピールできます。
競合優位性がある
VCが出資を決める企業には、 既存の競合製品と一線を画す新しい価値など競合の中でも優位性がなければなりません。
具体的には、革新的な技術やユニークなビジネスモデルにより、既存市場または新規市場で独自の価値を提供できることです。
自社の製品やサービスが、他社に対してどのように優れているかを示すためには、徹底的な市場分析をして、競争優位性を具体的に証明する必要があります。
経営陣に明確な将来性がある
事業の目標が達成できるかどうかは、最終的には人に左右されるため、経営者や経営陣の質、そしてチーム全体に明確な将来性があるかどうかもみています。
特に、事業の実績が少ない時期においては、アイデア段階での投資判断となることも少なくありません。
そのため、 チームメンバーの実績や専門的なスキル、業界経験が重要な判断材料となる のです。
経営陣がそれぞれの役割に必要な能力を持ち、ビジョン実現への共通の熱意を備えていることが大切になります。
経営者一人で事業に取り組む場合であっても、周囲を巻き込み計画を達成する熱量など、経営者自身の資質が厳しくチェックされるのが一般的なので注意してください。
VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達する際によくある失敗
VCから資金調達する際によくある失敗についてご紹介します。
確認していれば防げることも多いので、抜かりなくチェックしてください。
- 契約書を吟味しないで契約してしまう
- VCから資金回収を要求される
- 知らぬ間に法律に抵触する可能性も
契約書を吟味しないで契約してしまう
契約書には複雑でさまざまな条件が含まれており、その内容を十分に吟味せずに契約すると、思わぬ方向へ影響を受けてしまう可能性があります。
例えば、投資家向けの優先株の発行や、特定条件下での株式買戻し条項などは、会社の将来的な財務や経営権に大きな影響を与えることも少なくありません。
特に以下のような点はしっかりと確認しておいてください。
・転換請求権
・事前通知・事前承諾条項
・取締役指名権・オブザーベーションライツ
・最恵待遇条項
これらを含めた契約の全体を弁護士などの専門家にみてもらい、ともに検討するのがおすすめ です。
VC(ベンチャーキャピタル)から資金回収を要求される
VCが運用するファンドの契約期間が満了するなど、特定の状況下では投資家から株式の買い取りを求められる可能性があるので注意してください。
具体的には、一定期間内にIPOが達成できなかった場合などに、創業株主の株式を含む全株式を出資者主導で売却する、あるいは発行会社が出資者の株式を買い取るといった措置を取られる恐れがあります。
こうなってしまうと、結果的に不本意な形で会社の経営権を手放す事態につながりかねません。
このリスクを避けるためにも、契約締結の段階で売却に関する項目については慎重に確認し、将来的なトラブルに備える必要があります。
知らぬ間に法律に抵触する可能性も
知らぬ間に法律に抵触する可能性もないとは言い切れません。
資金調達を進める際に関連法令を十分に理解していないと、意図せず法律に違反してしまう可能性があるからです。
法令違反が発覚した場合、罰金や事業活動の制限、社会的な信頼度の低下など、深刻なリスクに直面してしまうので注意してください。
特に、法律についての専門知識を持つ人材が少ない企業の場合、社内だけで準備を行うと、知識不足により事業継続が困難になるリスクが高まります。
資金調達時には、 必ず関連する法律や規制を十分に理解し、法的なアドバイスを受けて進めるのをおすすめ します。
VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達を成功させるためのポイント
VCからの資金調達を成功させるためのポイントは、主に2つあります。
いかに、自社の将来性や事業の魅力をアピールするかにかかっているので、ポイントも押さえて成功させてください。
- VCへ積極的にアプローチする
- 魅力的かつわかりやすい事業計画書を作る
VC(ベンチャーキャピタル)へ積極的にアプローチする
VCからの出資を受けるためには、 まず自社に興味を持ってもらうために積極的なアプローチをしなければなりません。
常に有望な投資先を探しているVCですが、厳密な審査をするため実際の出資につながるケースは限定的といえます。
そのため、一度のコンタクトで断られても諦めず、できるだけ多くのVCにアプローチして接触機会を増やすのがおすすめです。
魅力的かつわかりやすい事業計画書を作る
魅力的かつわかりやすい事業計画書を作ることも欠かせないポイントのひとつです。
事業の将来性や実現に向けた戦略などをまとめた事業計画書は、VCが投資先を選定する判断材料で非常に重要 なものになります。
成長性を確信してもらうためには、事業の展望や明確な戦略、強みなどを市場の動向に基づいた根拠ある数値で提示し、説得力を高めなければなりません。
VC(ベンチャーキャピタル)以外の資金調達方法
ここからはVC以外の資金調達方法も解説していきます。
ベンチャー企業に適した資金調達はVC以外にもあるので、ぜひ参考にしてください。
- 日本政策金融公庫
- 国や自治体による補助金や助成金
- ファクタリング
- ビジネスローン
- クラウドファンディング
日本政策金融公庫
創業期のベンチャー企業にとっては、 金融機関からの融資の中でも特に利用しやすいのが、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金 です。
融資は株式の発行を伴わないので経営の自由度は守られますが、毎月の返済と利息の支払いが発生するため、資金繰りが厳しくなります。
国や自治体による補助金や助成金
政府や地方自治体が提供している助成金や補助金も、返済の必要がなく資金を得られる方法 です。
ただし、制度ごとに受給対象や期間が厳格に定められており、また申請から受給までに数ヶ月の期間を要することもあります。
そのため、必要な金額を希望するタイミングで調達することは難しい点には注意してください。
ファクタリング
緊急性が低く短期間で、少額の資金を調達したい場合に有効なのがファクタリングです。
自社の信用ではなく取引先の信用が審査基準となるため、社会的信用の低い起業直後でも利用しやすいメリット があります。
調達する金額は売掛金が上限となっており、売却額に対して1%〜20%程度の範囲で手数料が発生する点には注意してください。
ビジネスローン
最短即日での資金調達が必要な場合は、民間の金融機関や信販会社が提供するビジネスローンも検討してみてください。
銀行融資に比べて審査のハードルは比較的低くなっていますが、 借入上限額は低めに設定されています。
ただし金利は、銀行系であれば2〜14%、ノンバンク系であれば3〜18%と高設定になっているので注意が必要です。
クラウドファンディング
一般消費者向けの商品やサービスを持つスタートアップにとって有効なのが、クラウドファンディングです。
魅力的な事業であれば、インターネットを通じて不特定多数の人々から支援を募ることができ、高額な資金を集められる可能性 があります。
しかし、目標額を達成できずに資金が集まらなかったり、事業失敗時に支援者へのリターンを提供できなかったりといったリスクもある点には注意してください。
VC(ベンチャーキャピタル)の資金調達に関するよくある質問
VCの資金調達に関するよくある質問をまとめました。
VCから資金調達したいと考えている人はぜひ参考にしてください。
- ベンチャーキャピタルの資金源はどこから出ていますか?
- 日本の大手ベンチャーキャピタル企業はどこですか?
- ベンチャーキャピタルがきついと言われる理由は?
Q:ベンチャーキャピタルの資金源はどこから出ていますか?
このLPには、機関投資家や事業会社、富裕層などさまざまな人が含まれます。
VCは、LPから集めた資金を元にファンドを作り、自らが無限責任組合員としてそのファンドを管理・運用しています。
目的は、将来の成長が期待できるスタートアップ企業に投資し、企業が成長・上場した際に株式を売却することで、大きな株式売却益を得ることです。
Q:日本の大手ベンチャーキャピタル企業はどこですか?
その他にも、業界を牽引する主要なVCとして、以下のようなプレイヤーが挙げられます。
・SBIインベストメント
・グローバル・ブレイン
・日本ベンチャーキャピタル(NVCC)
・インキュベイトファンド
これらのVCが、国内のスタートアップエコシステムにおける資金供給と成長支援の中心的な役割を担っているのです。
Q:ベンチャーキャピタルがきついと言われる理由は?
まず、成果主義の評価体制であることが多く評価が給与に反映されます。
さらに、投資判断の失敗はそのままファンドの損失につながるため、常に大きなリスクとプレッシャーにさらされ大きなストレスを抱えているのが現状です。
また、投資先の経営者と密接に連携を取る必要があり、多忙な経営者のスケジュールに合わせて、夜間や土日に打ち合わせや対応が入ることも少なくありません。
長時間労働になることも多く、ワークライフバランスの確保が難しい状況に陥りがちといえます。
VC(ベンチャーキャピタル)から資金調達をする まとめ
VCからの資金調達は、 未上場企業が自社株式を譲渡する対価として返済義務のない資金を得る仕組み です。
VCは投資のリターン最大化を目指すので、調達企業は明確な戦略とどれだけ成長できるかを見せなければなりません。
高額の資金調達と経営ノウハウの獲得が最大のメリットではありますが、持株比率の低下や経営への干渉を受ける可能性もゼロではないので注意が必要です。
調達には通常3〜6ヶ月かかることもあるので、その点も踏まえて利用を検討してみてください。
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