会社をたたむとは?方法と必要な手続き・費用、廃業前にできること
この記事では、上記のような疑問や悩みを解決します。
会社をたたむとは、 解散・清算などの手続きを経て事業活動を辞めること を意味します。
会社をたたむことは、 社内外のステイクホルダーに多大な影響を与えるため、事前に十分に検討・説明が必要 です。
また、会社をたたむ場合には、法的な手続きも必要となり、これには専門的な知識が必要となります。
日本では、経営者の高齢化などを理由として、会社をたたみ廃業に至るケースも増えている一方で、廃業を避けるために、休眠・事業承継・M&Aなども活用されるようになってきています 。
そこでこの記事では、会社のたたむために必要な手続きについて詳しく解説していきます。
この記事を読むことで、 会社をたたむために必要な手続きを理解できるだけでなく、廃業にかかる費用や廃業前に何を考えるべきかがわかる ようになります。
- 会社をたたむことは事業活動を停止すること
- 会社をたたむ理由は様々であるが、日本では事業の継続が望まれている
- 会社をたたむ前に、休眠・事業承継・M&Aなどを活用して事業を継続できないか検討すべき
- 会社をたたむ場合は、社内外のステイクホルダーを保護するために様々な手続きが必要となる
目次
会社をたたむとは?事業を辞めること
「会社をたたむ」とは、
主に企業が自身の事業活動を停止し、廃業すること
を指します。
会社をたたむためには、いくつかの手続きが必要です。
たとえば、 株式会社の場合、まず株主総会で事業の停止が承認される必要があります 。
その後、会社の解散登記を行うなど、様々な法的手続きを経る必要があります。
個人事業主の場合でも、債権者との関係を整理し、全ての負債を弁済した後で廃業手続きを行わなければなりません 。
これらの手続きには、会社の解散、清算、倒産などの法的手続きが含まれ、それぞれが複雑であり、専門的な知識を必要とします。
したがって、会社をたたむ際は、税理士、司法書士、弁護士などの専門家に依頼することが多いです。
これらの専門家は、法的手続きを適切に行い、企業がスムーズに事業を終了できるように支援してくれます。
会社をたたむ理由
企業がその活動を終了し、会社をたたむ理由は多岐にわたります。
以下で、会社をたたむ代表的な理由をいくつか紹介していきます。
- 経営者の高齢化
- 後継者が見つからない
- 債務超過を解消できない
- 資金調達が厳しい
経営者の高齢化
経営者の高齢化は会社をたたむ理由としてよく挙げられる理由です。
経営者が高齢化すると、経営の継続が困難になるケースがよくあります。
特に日本では、 経営者の高齢化による廃業が大きな問題となっています 。
健康問題や熱意の低下、新しいビジネストレンドへの対応力の減退などによって、事業に問題を抱える可能性があります。
こうした理由から、経営者は自身の事業を停止し、会社をたたむことを選択するケースが多いです。
後継者が見つからない
経営者が後継者を見つけることができない場合も、会社をたたむことを選択するケースも多い です。
特に、家族経営の企業では、次の世代が事業を継ぐ意欲がない場合、企業の存続が困難となることがあります。
また、適切な後継者が見つからないと、企業の成長や発展が難しくなるため、その結果として会社をたたむことが選ばれることもあります。
債務超過を解消できない
企業が債務超過の状態から抜け出すことができない場合、会社をたたむことを選択する ことがあります。
これは、企業が借金の返済が難しくなり、財務状況が悪化した場合によく見られるケースです。
債務超過の状況では、新たな資金を得ることが難しくなり、事業の継続が困難になるため、この状況から抜け出すためには会社をたたむことが最善の選択となることがあります。
資金調達が厳しい
資金調達の難しさも、会社をたたむ理由の一つ です。
企業は、運転資金や投資資金を得るために、しばしば外部からの資金調達が必要となります。
しかし、 経済状況や金融市場の状況、企業の信用状態などにより、資金調達が困難になる ことがあります。
資金調達ができないと、企業の成長が阻害され、結果的に事業の継続が困難となるため、会社をたたむことを選択するケースが多いです。
会社をたたむ方法
会社をたたむ方法としては、以下のような3つの方法があります。
- 債務超過による倒産
- 廃業
- 解散
以下では、それぞれの方法について具体的に解説していきます。
会社をたたむ方法① 債務超過による倒産
債務超過による倒産は、企業が支払い能力を失い、債務を全て支払うことができない状態を指します。
このような状況では、企業は自己破産を申し立てるか、あるいは債権者から破産を申し立てることが可能です。
自己破産を申し立てる場合、企業は自身の財産を全て手放し、倒産手続きを通じて債務を免除されます。
ただし、倒産は信用情報に登録され、一定期間、新たな事業を立ち上げることが難しくなるので注意してください。
会社をたたむ方法② 廃業
廃業は、 企業が事業を停止し、全ての事業活動を終了すること を指します。
廃業を行う際には、税務署に対する廃業届の提出や従業員への退職手続き、取引先への連絡、資産の処分など、さまざまな手続きが必要 です。
また、廃業後も税務調査の対象となる可能性があるため、必要な書類の保管は欠かせません。
会社をたたむ方法③ 解散
企業の解散は、 企業が法人格を喪失し、事業を停止することを意味します 。
>解散は、株主総会の決議によって決定される必要がある 解散が決議されると、清算手続きが開始され、企業の資産は清算によって売却され、その売却代金は債権者への支払いに使用されます 。
全ての債務が清算されると、残余財産は株主に分配され、企業は消滅します。
解散は、企業が経済的な困難に直面している場合だけでなく、事業目的を達成したり、新たな事業機会へ移行するためにも行われるポジティブな行為です。
必ずしもネガティブな行為であるとは限りません 。
会社をたたむ流れ
会社をたたむ場合の一般的な流れは以下のようになります。
- STEP1:利害関係者への通知
- STEP2:株主総会による決議(特別決議)
- STEP3:清算人の選任・登記
- STEP4:解散届出・公告・確定申告
- STEP5:財産整理・清算結了登記
それぞれのプロセスで何を行うのかについて具体的に解説していきます。
STEP1 利害関係者への通知
会社をたたむ決定がなされたら、その事実を全ての利害関係者に通知することが最初のステップ となります。
利害関係者とは、取引先、従業員、投資家、クレジットカード会社、取引銀行など、会社と何らかの形で結びつきがある者たちを指します。
このような 利害関係者への早期の通知は、未来における法的問題の防止だけでなく、関係者それぞれが事態を理解し、適切に対応するための時間を提供する 重要な役割を果たします。
STEP2 株主総会による決議(特別決議)
通知を行った後、次に進むべきステップは 株主総会を開き、解散についての決議を行うこと です。
この決議は「特別決議」と呼ばれ、 全株主の3分の2以上の賛成が必要 となります。
このステップでの決議は、会社の解散を正式に認め、そのプロセスを開始するために必須となります。
STEP3 清算人の選任・登記
決議が承認された後は、清算人を選任し、その事実を法務局に登記します。
清算人は、会社の資産を一つ一つ検証し、借金を返済するという重要な役割を担います。
解散後、企業は生産会社と呼ばれ、清算人によって債権・債務関係を整理するために存在する組織とみなされるのが一般的です。
そして、選任された清算人の事実を登記することで、会社の解散状況を公に示します。
STEP4 解散届出・公告・確定申告
次に、会社の解散を公告し、その事実を法務局に届け出ます。
この時、会社の最終的な確定申告(決算)も行う必要があります。
そのため、 税務署や都道府県税事務所、市町村役場などに解散の届出を行わなければなりません 。
これらの手続きを適切に行うことで、会社の財産状況と税務上の責任を明確にし、解散の進行をスムーズに行うことが可能となります。
STEP5 財産整理・清算結了登記
最後に、清算人は 会社の資産を清算し、その結果を株主に報告します 。
また、債権者に対する債務の返済もこの段階で行われます。
全ての清算作業が終了した後、清算結了の登記を法務局に行い、会社の解散を完全に終了します。
このステップを経ると、法的には会社は存在しなくなり、会社としての全ての責任と権利が終了します。
このような一連の流れを適切に進めることで、会社の解散は円滑に行われます。
会社をたたむ費用相場
会社をたたむ場合には、以下のような費用がかかります。
- 登記・公告に必要な費用
- 専門家に手続きを依頼する費用
解散の手続きにも費用がかかるので、事前に準備しておくことが大切です。
登記・公告にかかる費用
解散する際には、清算人の指名やその他の関連手続きのための諸費用が必要となります。
会社の解散登記費用(登録免許税) | 3万0,000円 |
---|---|
清算人の選任登記の費用(登録免許税) | 9,000円 |
官報への公告費用 | 3万5,000~3万6,000円程度 |
清算結了登記の費用 | 2,000円 |
これらのコストは、事業規模に関係なく必要 です。
したがって、予定期間内にスムーズに手続きを完了させるために、事前に計画を立てることが重要です。
専門家に手続きを代行する場合の費用
解散の際の諸手続きは、司法書士や税理士、弁護士などのプロフェッショナルに委託することが考えられますが、 それに伴うコストも忘れずに計画する必要があります 。
倒産の際は、主として弁護士に手続きを頼むことが多いです。
一方、通常の終了手続きでは、登録手続きは司法書士に、財務関連の手続きは税理士に頼むのが一般的です。
専門家によって費用の範囲が異なるため、総額で約20万~50万円の出費を予想するのが妥当です。事前に正確な見積もりを取得して、想定されるコストを確認しておくことが賢明です。
会社をたたむ前にできること
会社をたたむ、つまり事業を停止する前に考慮すべき選択肢はいくつかあります。
全ての選択肢が全企業に適用可能というわけではありませんが、一部の企業にとっては有効な選択肢です。
会社をたたむ前にできる代表的な方法としては以下の3つがあります。
- 廃業ではなく休眠する
- 事業継承の検討
- 事業売却(M&A)する
廃業ではなく休眠する
廃業するという決断は非常に重大であり、一度廃業すると再開するためには新たに会社を設立するなど、手間とコストがかかります。
そのため、 将来的に事業再開の可能性があるなら、廃業ではなく会社を休眠状態にすることを考えるべき です。
休眠状態にすれば、必要最低限の経費だけで会社を存続させることができます。
ただし、株式会社を休眠させる場合には、役員の任期は最長でも10年という制約があるので注意してください。
変更登記がないままで12年経過してしまうと、会社が休眠中であっても事実上廃業しているとみなされてしまい、強制的に解散(みなし解散)となる可能性があります。
事業継承の検討
経営者が高齢になった場合や経営の継続が困難な場合、事業継承を検討することも可能です。
近年では、 中小企業庁が中小企業の事業承継を積極的に推進しており、税制上の優遇制度なども用意されています 。
事業承継によって、家族、従業員、または外部の経営者に事業を引き継いでもらうことで、企業の価値を維持しつつ、事業の継続が可能となります。
しかし、事業継承は適切な継承者の選定や事業移行計画の策定など、準備が必要です。
事業売却(M&A)する
事業売却、つまりM&A(Mergers and Acquisitions)もまた、会社をたたむ前に考慮すべき選択肢の一つです。
他の会社との合併や自社の事業部門の売却によって、 会社を現金化し、所有者や株主への利益還元や経営資源の再配分を行う ことができます。
ただし、M&Aは複雑なプロセスであり、専門的な知識と経験が必要です。
個人事業主などの小規模事業者でもM&Aした事例が増加
M&Aは、大企業が事業を拡大または強化する一手段として伝統的に用いられてきました。
しかし、近年では中小企業や個人事業主も積極的にM&Aを行うようになり、その事例が増えてきています 。
特に日本では、 中小企業や個人事業主が抱える後継者問題の解消にM&Aが大きく貢献しています 。
経営者の高齢化により、事業を適切に引き継ぐ者が見つからない場合、他の企業とのM&Aを通じて事業を存続させるという選択がとられるようになっているのです。
M&Aを通じて事業を継承することで、企業の価値を維持しつつ事業を継続できる可能性が高まります 。
また、事業環境の急速な変化や新たなビジネスモデルへの対応を求められる中で、中小企業や個人事業主自身が事業を他社に譲渡し、経営資源を再配置する選択も増えています。
特に、 テクノロジーの進化によって業界全体の構造が変化する中で、M&Aは新たな事業機会を探求する有効な手段として認識されています 。
さらに、自身が築き上げたビジネスの経済的価値を最大化するため、M&Aを通じて事業を売却し、その価値を現金化する企業も増えています。
会社をたたむのまとめ
会社をたたむという行為は、
社内外のステイクホルダーに多大な影響を与える行為
です。
会社をたたむ理由は様々ですが、日本では、経営者の高齢化・後継者が見つからないことを理由に、中小企業において会社をたたむケースが増えていることから、 事業承継やM&Aを活用した事業の継続が望まれています。
会社をたたむことは、ステイクホルダーへの影響を大きいことから、 法的に手続きが定められており、この手続きを実行するためには、専門家の力を借りるのが一般的 です。
会社をたたむ場合でも、費用がかかるので、事前にどのような費用がどれくらいかかるのかしっかりチェックしておくようにしてください。
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