信用保証協会とは?仕組みや審査基準と融資を受けるメリット・デメリットをわかりやすく解説

運営事務局
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更新日2024/7/19
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信用保証協会 アイキャッチ

信用保証協会とは一体何?

信用保証協会の審査基準が知りたい!

信用保証協会を利用して高額融資を受けるには?

この記事では、上記のような疑問・お悩みを解決します。

信用保証協会とは、中小企業や個人事業主などが融資を受ける際に保証人となり、スムーズな借入や金融の側面から事業成長を支援してくれる公的機関のことです。

信用保証協会を利用するには無担保なことや、プロパー融資の利用ができるなど大きなメリットがあります。

ただし、信用保証協会は無償で保証人になってくれるわけではありません。

保証を受ける見返りに信用保証料を支払う必要があります。

そのほか、金融機関と信用保証協会の2つの審査を通らなければならない点や、踏み倒しは不可など注意するべき点もあります。

今回は、信用保証協会の仕組みや審査基準、融資を受ける際のメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

これから信用保証協会を利用したいと考えている人はぜひ参考にしてください。

信用保証協会とは?中小企業や小規模事業者の資金調達を支援する公的機関

信用保証協会
信用保証協会とは、信用保証協会法に基づく、中小企業や個人事業主の資金調達を円滑に行うためにサポートしてくれる公的機関です。

資金調達のために、中小企業や個人事業主が金融機関へ融資の申し込みを行っても、大きな企業と比べて経営のリスクが大きく、信用面で不安が残るため難しい場合があります。

しかし、公的機関である信用保証協会が保証人になることで、中小企業や個人事業主などが融資を受けやすくなります。

受けやすくなる理由として、 信用保証協会の債務保証があることで、融資先事業者の倒産などで返済が困難になった場合でも、信用保証協会が肩代わりして返済してくれることが挙げられます。

そのため、金融機関は貸付金の債権回収がしっかりとできるようになるため、融資を行いやすくなるのです。

信用保証協会は、47都道府県と横浜市・川崎市・名古屋市・岐阜市にあり、各地域に密着した保証業務だけでなく、経営に関する相談やアドバイスなどのサポート業務も行っています。

信用保証制度の仕組み

信用保証制度は、中小企業や個人事業主、金融機関、信用保証協会の三者が当事者となる仕組みです。

それぞれの役割は、以下の表の通りです。

当事者 役割
中小企業や個人事業主 ・信用保証協会または金融機関へ保証の申し込みを行う
・金融機関から融資を受ける
・金融機関へ融資の返済義務を負う
・信用保証協会から保証してもらう
信用保証協会 ・保証の諾否を決定する
・融資先が返済できなければ金融機関へ代位弁済する
・金融機関の代理で融資先へ融資を返済請求する
金融機関 ・融資の申請がある事業者へ融資を実行する

信用保証協会による保証には限度額があり、企業の業績や返済能力、資金の使い道などによって保証額が異なります。

加えて、都の制度や区市町制度では、各融資要項で限度額は決まっているので、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

また、信用保証制度は、保証料を支払わなければなりません。

信用保証料は、各地域の信用保証協会が提供しているシミュレーションで確認ができます。

利用を検討している場合は、まずは保証料の確認をしておくと安心です。

信用保証協会で資金調達するメリット

信用保証協会 メリット
信用保証協会で資金調達をするメリットは、全部で4つあります。

それぞれのメリットを理解してから利用を検討してみてください。

信用保証協会で資金調達するメリット
  • プロパー融資が利用できる
  • 連帯保証外の担保や保証人は不要
  • 長期借入が可能!
  • 保証制度が豊富にある

プロパー融資が利用できる

信用保証協会で資金調達を行うことで、取引している金融機関のプロパー融資が利用できます。

併用することで融資枠を拡大させることができ、より多くの資金調達が可能です。

プロパー融資とは
信用保証協会の保証を受けず、直接金融機関から借入できる融資の方法です。保証料や融資の上限はなく、金利も保証付き融資よりも低いことが多いです。しかし審査の難易度は高く、高い信用力が必要となります。

プロパー融資は、起業したばかりの人やまだ業績のない中小企業などはほとんど審査に通りません。

そのため、一定期間は信用保証制度を利用して、売上や利益が伸びてきたら、プロパー融資を受けることを検討してみてください。

保証付融資とプロパー融資を併用するためには、業績を安定させることが不可欠です。

連帯保証外の担保や保証人は不要

信用保証協会で資金調達を行う際に、 担保や保証人は必要ありません。

資金繰りが大変な中小企業や個人事業主にとって、無担保で利用できることは大きなメリットといえます。

さらに、信用保証制度を利用する際には、法人代表者以外の連帯保証人は原則必要ありません。

長期借入が可能!

信用保証協会には、長期の借入に対応した保証制度があります。

長期であれば計画的な資金繰りが行えるため、中小企業や個人事業主にとっては収支のコントロールがしやすくなるメリットがあります。

保証制度が豊富にある

さまざまなニーズに応えるため、信用保証制度は種類が豊富です。

信用保証保証制度の種類
・流動資産担保融資保証制度(ABL保証)
・小口零細企業保証制度
・経営力強化保証制度
・借換保証制度

また、それぞれの制度にある保証料率において、「経営力強化保証」などの一部の制度では通常より低い特別料率が適用されます。

特別料率は経費にすることが可能で、確定申告にも記載できるため節税となります。

このように、保証料率や保証の金額、保証期間などはそれぞれの制度によって異なるため、申し込みをする際には状況や希望などを確認し、自社に適した制度を利用してください。

信用保証協会で資金調達するデメリット

信用保証協会 デメリット
信用保証協会で資金調達する際には、事前に知っておくべきデメリットがあります。

利用を検討している人は、メリットと合わせてしっかりと理解しておいてください。

信用保証協会で資金調達するデメリット
  • 代位弁済で借入金がなくなることはない
  • 残債の債務免除にはほぼ応じない(踏み倒し不可)
  • 信用保証協会と金融機関の2つの審査に通過する必要がある

代位弁済で借入金がなくなることはない

信用保証協会の役割として「融資先が返済できなければ金融機関へ代位弁済する」とありますが、これはあくまでも肩代わりしているだけです。

支払う信用保証料も保証してもらうための対価であり、返済できなかった時の保険ではないので間違えないようにしてください。

事業者の金融機関への債務は消えますが、弁済してもらっている分だけ信用保証協会に対して債務が発生します。

また、代位弁済になると、信用保証協会から一括返済を請求されるので注意してください。

MEMO
信用保証協会が事業者へ債務返済を要求する権利のことを「求償権」といい、民法で定められています。

残債の債務免除にはほぼ応じない(踏み倒し不可)

一つ前でも説明したように、融資先の事情によって返済ができなかった場合、 信用保証協会は代位弁済によって保証をしますが、融資先の債務が消滅するわけではありません。

代位弁済がなされた金融機関は、融資先に対して債務免除を行います。

このように、債務免除をした際には、融資先の金融機関の借入金はゼロになる場合があります。

その一方、信用保証協会の代位弁済の元になる資金は税金です。

そのため、信用保証協会が、保証した融資先に代わり金融機関へ代位弁済した残債に関しては、債務免除に応じることはほぼないため、踏み倒しはできません。

信用保証協会と金融機関の2つの審査に通過する必要がある

信用保証協会に申請をすると、信用保証協会だけでなく金融機関でも審査が必要となります。

そのため、信用保証協会で保証ができるようになっても、金融機関からの融資が確実に行われるとは限りません。

また、信用保証協会から保証をもらう場合も、借入金の返済がしっかりとできることを認めてもらう必要があり、第三者が納得できるような事業計画などを作成することが重要です。

信用保証協会で資金調達する際の注意点

信用保証協会 資金調達 注意点
信用保証協会で資金調達するメリットやデメリットだけでなく、利用する際に注意しておきたい点もいくつかあります。

利用を検討している人は、注意点もしっかりと確認しておいてください。

信用保証協会で資金調達する際の注意点
  • 企業規模や業種によっては利用できない
  • 面談は申込者のみが対応できる
  • 直接申し込み以外できない
  • 保証付融資では上限枠いっぱいまで借りられない

企業規模や業種によっては利用できない

信用保証協会の制度は、ほとんどの業種が対象とはなりますが、一部の企業の規模や業種によっては対象者を制限しており、利用ができません。

例えば、農林漁業や金融業などは保証の対象外になるだけでなく、企業の規模として、資本金または常時働いている従業員数のいずれかで判断され、保証の対象外になる可能性があります。

MEMO
農林漁業や金融業、また風俗営業などの保証を受けることができない業種を「保証対象外業種」といいます。

それぞれの地域にある信用保証協会ごとで見解が異なっているため、自社が対象かどうか事前に確認しておくと安心です。

面談は申込者のみが対応できる

信用保証協会では審査の際に面談が行われますが、参加できるのは申込者のみとなっています。

第三者の同席は認められていないので注意してください。

さらに、面談の前に金融機関の担当者などからアドバイスをもらうことは可能ですが、代理人による面談はできません。

直接申し込み以外できない

信用保証協会は直接申し込む以外に方法はなく、あっせん業者のような第三者からの申し込みは受け付けていません。

最近は、信用保証協会を名乗っているあっせん業者も増加しており、保証料以外にお金の支払いを要求することもあるため注意が必要です。

信用保証協会の保証は「信用保証料」以外に負担を強いられることは原則ありません。

申し込みをする際は、最寄りの信用保証協会に出向き直接行うようにしてください。

保証付融資では上限枠いっぱいまで借りられない

保証付融資には上限枠があり、無担保と有担保を合わせると2億8,000万円までが基本となっています。

担保の有無 借入上限額
無担保 8,000万円まで
有担保 2億円まで

ただし、融資上限枠いっぱいまで融資を受けられるとは限りません。

起業したての会社や、実績があまりない起業などが融資を受ける際には、しばらくの間は信用保証協会の保証付融資を利用します。

そのため、融資上限枠まで保証付融資を行ってしまうと、信用保証協会は上限枠を超えての保証はしてくれないので、注意してください。

プロパー融資が受けられるようになれば、プロパー融資を基本として利用し、融資枠を残すことをおすすめします。

信用保証協会で高額融資を受けるコツ

信用保証協会 高額融資 コツ
信用保証協会で高額融資を受けるためには3つのコツがあります。

融資を検討している人は、次のコツをしっかりと押さえておいてください。

信用保証協会で高額融資を受ける3つのコツ
  • メインバンクから申し込みする
  • 事業計画書は綿密に作りこむ
  • セーフネット保証認定を受ける

メインバンクから申し込みする

信用保証協会の保証付融資を利用する場合は、長年取引していて信頼できるメインバンクから申し込みをしてください。

メインバンクを利用する理由としては、付き合いの長い金融機関であれば、自社のさまざまな状況について理解があるため、高額融資を受けられる可能性が高いからです。

審査の明確な判断や、融資についてのアドバイスなども期待でき、手続きもスムーズに進められます。

また、金融機関と密接な関係となることで、経営にとっての有益な情報や協力をしてくれる可能性が高くなるので、日常的に金融機関の担当者とは友好な関係を築くように心がけてください。

事業計画書は綿密に作りこむ

高額融資を受ける際に、重要となるのが「事業計画書」です。

事業計画書は、作成する機会も少なく慣れていない人が多いですが、事業計画書がしっかりと作成できているかが審査に大きく影響します。

曖昧な数字を使用しない、客観的な根拠をしっかりと示すなどを意識して、より魅力的な事業計画書を作成するように心がけてみてください。

もしも、うまく作成ができない場合には、資金調達のサイトなどで書き方を参考にしたり、税理士などに相談したりする方法もあります。

セーフティネット保証認定を受ける

セーフティネット保証は、新型コロナウイルス感染症による影響などをはじめ、取引先の倒産や大規模な経済危機、台風などの被害で経営に支障が生じた中小企業や個人事業主向けの保証制度のことです。

自治体の商工担当課に申請することで保証認定を受けることができます。

保証の認定を受けることができたら、金融機関に「認定書」を提出してから融資の申し込みを行ってください。

セーフティネット保証認定を受ける人は、以下に詳細な申し込みの流れを記載しておくので、ぜひ参考にしてください。

STEP1
事業所の所在地である市区町村の商工担当課窓口へ出向く

STEP2
認定申請書2通を提出する(事実を証明する書面があれば添付すること)

STEP3
認定を受ける

STEP4
金融機関または信用保証協会に認定書を持参して保証付融資を申し込む

保証の種類 詳細
1号 連鎖倒産防止
2号 取引先企業のリストラ等の事業活動の制限
3号 突発的災害(事故など)
4号 突発的災害(自然災害など)
5号 業況の悪化している業種(全国的)
6号 取引金融機関の破綻
7号 金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整
8号 金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡

認定書の提出をして申し込みした融資は「セーフティネット保証付融資」と呼ばれ、 一般の保証とは別枠で信用保証協会から保証される、一部を除いて責任共有制度の対象外となるなどのメリットが得られます。

MEMO
セーフティネット保証の認定を受けるためには「1号:連鎖倒産防止」「2号:取引先企業のリストラ等の事業活動の制限」など8号まで示されたいずれかに該当しなければなりません。なお、新型コロナウイルスの場合はセーフティ保証4号の「突発的災害(自然災害等)」に該当します。

信用保証協会から融資を受けるまでの流れ

信用保証協会 融資 流れ
信用保証協会から融資を受けるまでには3つのステップがあります。

申し込みを行う前に、まずは取引をしている金融機関へ相談するとスムーズです。

ただし、信用保証制度に詳しくない担当者だった場合は、信用保証協会や税理士などに相談することをおすすめします。

信用保証協会からの融資を検討している人は下記の流れを参考にしてみてください。

STEP1
融資の申し込み

STEP2
審査・面談

STEP3
融資実行

STEP1 融資の申し込み

融資の申し込みは2つの方法があります。

  1. 金融機関経由で信用保証協会に申し込み
  2. 信用保証協会に直接申し込み

申し込みは、信用保証協会でも金融機関でもどちらに申請をしても全く問題ありません。

利用が多いのは、金融機関経由で信用保証協会に申し込みするケースです。

どちらの申し込み方法でも原則、連帯保証人は不要となっています。

金融機関経由の信用保証協会への申し込む場合は「金融機関の窓口」に出向きます。

この時、融資の申し込みと同時に信用保証の申し込み手続きも行うとスムーズです。

申し込み後、金融機関の融資判断が下れば、金融機関から信用保証協会へ必要書類が提出されます。

同様に、信用保証協会での申し込みも窓口で行います。

信用保証協会は全国にあり、事業を営む地域の管轄である信用保証協会にいく必要があります。

申し込み書に必要事項を記入するだけでなく、必要な書類も提出しなければなりません。

重要な書類になるのでしっかり準備をして、信用保証協会に提出してください。

STEP2 審査・面談

申し込みが完了すれば、審査が行われます。

ここで気をつけたいのが、金融機関と信用保証協会の両者で融資の審査が行われる点です。

信用保証協会では、信用保証に相応しいかどうかが審査され、金融機関では融資に値するかが審査されます。

どちらか一方のみ審査に通るだけでは融資は行われません。

審査の過程で、特に初めて信用保証協会を利用する場合は、直接の聞き取りや面談が必須です。

担当者から連絡があり、面談の日程調整を行いますが、 面談場所は原則申し込みをした信用保証協会の支店となるので覚えておいてください。

担当者との面談に少し不安がある人は、予想される質問や回答をきちんと準備しておくと安心です。

2回目以降の利用の場合は特別な理由がなければ、原則として面談は実施されません。

STEP3 融資実行

信用保証協会の審査で「保証承諾」されるかどうか決定し、金融機関に対して「信用保証書」が発行されます。

信用保証書の到着をもって保証承諾が正式にされたとみなされます。

MEMO
信用保証書には、申込者に関する情報や、保証期間などの条件に関する内容、また貸付金額や貸付の形式など貸付と返済に関する情報などが記載されています。

承諾されたら、信用保証協会で信用保証料の支払いを行い融資が実行となります。

その後は返済期限にしたがって金融機関に返済します。

仮に、返済が滞った場合は、信用保証協会が代わりに金融機関へ代位弁済を行いますが、代位弁済した分は信用保証協会へ返済しなければなりません。

信用保証協会のまとめ

信用保証協会 まとめ
信用保証協会は、中小企業や個人事業主などが融資を受ける際、保証人となりサポートしてくれる公的機関です。

起業したてで実績が少ない場合でも、信用保証協会の保証があれば融資を行える可能性が高くなります。

ただし、事業計画が安定してなかったり、返済の予定がしっかり決まっていなければ、審査に通ることも難しくなります。

資金調達の際に、信用保証協会の保証を受ける場合には、メリットやデメリットの把握だけでなく、高額融資を受けるコツも掴んでおくと安心です。

信用保証協会の保証付融資を検討している人は、本記事でお伝えした注意点やコツなどをぜひ参考にしてみてください。

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