ベンチャーの資金調達方法を一覧で解説!シリーズ・ラウンドの概要や失敗しないための注意点

運営事務局
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更新日2024/7/19
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ベンチャーの資金調達方法を一覧で比較したい!金額目安は?

ベンチャー企業の資金調達におけるラウンドとは?

ベンチャー企業の資金調達で失敗する原因は?

ベンチャー企業の資金調達は、一般的な法人に比べて難しいのは事実ですが、 事業規模や目的に適した方法を選べば十分可能 です。

ベンチャー企業とは
新しいサービスやビジネスを革新的なアイデアや技術を駆使して展開する企業のこと。

ベンチャー企業は、事業が軌道に乗るまで、資金調達の方法も限られますが、主に以下のいずれかから選ぶことになります。

ベンチャーの資金調達方法一覧
  • ベンチャーの資金調達方法① 出資
  • ベンチャーの資金調達方法② 融資
  • ベンチャーの資金調達方法③ その他

今回は、ベンチャーの資金調達方法やベンチャー企業における資金調達の傾向と資金調達が重要な理由について解説していきます。

記事では、資金調達ラウンドやシリーズ、資金調達で失敗しないための注意点などまとめているので、参考にしてください。

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ベンチャーの資金調達方法① 出資

ベンチャー 資金調達 出資
出資とは、投資家が株式と引き換えに資金を援助する資金調達方法 です。

ベンチャー企業にとって出資は一般的なものであり、事業の拡大・新規事業の開始・運転資金の確保のために重要なものです。

ベンチャー企業への主な出資方法

  • ベンチャーキャピタル(VC):ベンチャー企業への投資を事業としている機関投資家からの出資
  • エンジェル投資家:主に将来性のある企業を応援するために投資をする個人投資家
  • 個人や法人:個人または法人から出資を受ける

出資は返済義務が発生せず、利息もかからない資金調達方法です。

しかし、自社の株式を譲渡するので、投資家が経営に関わってくるケースも起こりうるため、柔軟な経営がしづらくなるといった可能性が出てきます。

以下の各章で、ベンチャーに検討してほしい出資方法をそれぞれ具体的に解説するのでぜひ参考にしてください。

MEMO
出資は、別名「エクイティファイナンス」とも呼ばれている。

ベンチャーキャピタル(VC)

ベンチャーキャピタルは、主に 金融機関や投資会社などの活動組織が行っている出資 です。

ベンチャーキャピタルとは
大きな値上がり益の獲得を狙い、未上場企業へ投資を行う活動組織のこと。

ベンチャーキャピタルで資金調達すると、経営に関する知識や経験を提供してもらうことができ、企業の成長に貢献してくれます。

そのため、資金調達と共に事業に必要なサポートをしてもらいたい人は、ベンチャーキャピタルでの資金調達がおすすめです。

MEMO
直接連絡する・ベンチャーキャピタルとマッチングできるサイトへ登録する・企業のイベントなどに参加することで、出資を受けることへと繋がる。

エンジェル投資家

エンジェル投資家は、主に 将来性のある企業を応援するために投資をする個人投資家 のことです。

エンジェル投資家は個人が直接企業に自己資金を投資するため、ベンチャーキャピタルとは異なります。

出資額は人によって異なりますが、100万円〜1,000万円ほどが多い傾向にあります。

エンジェル投資家から出資を受ける資金調達は、負債を増やさずに事業の開始・拡大が可能であり、経営知識のアドバイスやビジネス面でのサポートも行ってもらえます。

MEMO
知人からの紹介・起業家の交流会やイベントに参加・エンジェル投資家とマッチングできるサイトへ登録することで、エンジェル投資家と繋がることが可能になる。

個人や法人

個人や法人から資金提供を受ける資金調達方法があります。

一般的に出資方法には、個人か法人か2通りあり、どちらを選ぶのかは出資者が判断します。

トラブルを防ぐために、どのような事業を開始してどれくらい利益が上がる見込みがあるかなどを記載した 事業計画書を作成して出資者に説明 することが大切です。

MEMO
個人と法人で出資するのでは、配当・売却・倒産等・相続税について違いが出てくるため、出資者は「何を優先するか」で決めることになる。

ベンチャーの資金調達方法② 融資

ベンチャー 資金調達 融資
融資とは、金融機関から資金提供を受けて行う資金調達方法 です。

突発的に資金調達が必要になった場合でも、信用状況に問題がなく審査に通過すれば融資が受けられます。

名称 金利 融資可能額 審査時間
信用保証協会の融資制度 年1.0~3.0%程 保証人や担保次第(5,000万円~1億円、それ以上も可能) 2週間~1ヶ月程
新創業融資制度 年2.0%~3.5% 3,000万円(うち運転資金1,500万円) 2週間~3週間程
銀行融資 年0.9%~15.0%程 500万円~1,000万円程 1週間~1ヶ月程
地方自治体の融資制度 年1.0~3.0%程 保証人や担保次第(5,000万円~1億円、それ以上も可能) 2週間~1ヶ月程
ビジネスローン 銀行:年1.5%~14.0%程
消費者金融:年3.0%~18.0%程
銀行:500万円~1,000万円程
消費者金融:300万円~800万円程
最短即日

ただし、融資は出資とは異なり返済義務が発生します。

加えて、金利の支払いも必要なため、計画を立てて利用しなければ資金繰りの悪化へと直結するので注意してください。

融資は返済義務が発生しますが、第三者が経営に関わることもなく、希望の金額・希望の時期にお金を借りることが可能な柔軟性の高い資金調達方法です。

以下の各章で、融資方法についてそれぞれ具体的に解説するのでぜひ参考にしてください。

MEMO
融資は、別名「デッドファイナンス」とも呼ばれている。

信用保証協会の融資制度

信用保証協会の制度融資は、 中小企業者が融資を受けやすくする制度 です。

信用保証協会が、融資を希望している事業者の債務保証を行うことで、融資が受けやすくなります。

ただし、信用保証料が必要であり、さらに融資までに時間がかかるため、借入時期や資金繰りの計画をよく立てて利用してください。

信用保証協会の制度融資は、低金利かつ長期返済可能であり、銀行融資以外にも融資先が用意されている資金調達方法です。

MEMO
もし事業者の倒産などで返済不能になった場合、信用保証協会が代わりに返済する。

日本政策金融公庫の新創業融資

新創業融資制度は、 新事業を開始するまたは事業開始後税務申告を2期終えていない方が利用できる日本政策金融公庫の融資制度 です。

引用:創業融資のご案内|日本政策金融公庫

無担保・無保証人で利用できるため、創業期で資金調達が困難な方にとって心強い制度です。

新創業融資制度は、融資限度額3,000万円(運転資金1,500万円)とまとまった融資が受けられ、返済期間が最大20年の資金調達方法です。

MEMO
創業資金総額の10分の1以上の自己資金確認が必要な場合もある。

銀行融資

銀行融資は、 高額融資に向いている資金調達方法 であり、低金利でお金を借りられるため返済負担が軽いです。

ただし、銀行からの融資は入金までに時間がかかるため、時間に余裕をもって申し込みをしてください。

また、審査が厳しい傾向にあるため、会社の立ち上げ時や起業間もない段階での資金調達は難しいです。

そのため、銀行融資を受けたいベンチャー企業は、審査通過率が上がる傾向がある企業の成長期以降に活用することをおすすめします。

MEMO
メガバンク・地方銀行・信用組合といった、さまざまな金融機関が融資を提供している。

地方自治体の制度融資

各地方自治体が独自に実施 している制度融資を活用して、資金調達することができます。

地方自治体の制度融資の利用条件は、金融機関や自治体によって異なりますが、一般的に中小企業・小規模事業者・個人事業主が利用できます。

制度融資は保証人不要で、さらに低金利で長期借り入れができるので、スタートアップ期のベンチャー企業にとって利便性の高い資金調達方法です。

MEMO
「創業したての企業向け」など、地方自治体によってさまざまな融資の種類が用意されていたり、事業のサポートが受けられる。

ビジネスローン

ビジネスローンは事業専用のローンであり、起業したてのベンチャーも審査に通りやすい資金調達方法です。

ビジネスローンには銀行と消費者金融の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。

銀行のビジネスローンは、金利が低く高額融資が可能 ですが、融資実行まで時間がかかります。

消費者金融のビジネスローンは、最短即日融資が可能 ですが、金利が高く融資額が少なめです。

ビジネスローンは、1,000万円を超える融資は難しいですが、契約だけしていざと言う時だけ利用することもできる便利な資金調達方法です。

ベンチャーの資金調達方法③ その他

ベンチャー 資金調達 その他
ベンチャーの資金調達方法で、融資・出資以外の方法を4つ紹介します。

「融資も出資も自分には向いていないかも…」「色々な資金調達方法がもっと知りたい!」という方は、ぜひ確認してご活用ください。

ベンチャーの資金調達方法 その他

  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング
  • 家族や友人から借りる
  • ファクタリング

補助金・助成金

国や地方自治体、商工会議所などが提供している補助金・助成金を利用することで、資金調達ができます。

助成金とは
一般的に雇用関係で使用されることが多い制度。
補助金とは
国や地方自治体の政策目標を達成することで支給される制度。

補助金・助成金は、金額は数万円から数百万円というように幅広く用意されており、加えて返済不要のため、ベンチャーにおすすめな資金調達方法です。

補助金・助成金は、 受理されればもらえる返済不要の資金調達方法 なので、自社に合った条件であればぜひ活用してください。

MEMO
条件・提出書類・金額・申請方法などは、助成金・補助金の種類に応じて異なるので、経済産業省のミラサポplusやお近くの商工会議所で確認してください。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、 インターネットで資金調達することができるサービス です。

必ず資金調達できるとは限りませんが、支援者に賛同してもらえるアイディアがあれば、自分の希望金額の資金調達ができる可能性があります。

近年では、事業を創業を行う際、積極的にクラウドファンディングを行う事例も多く、資金調達したケースも多くあります。

クラウドファンディングは、融資や出資よりも資金調達額は低めの傾向がありますが、登録料や利用料が基本的にかからず厳しい審査がない資金調達方法です。

MEMO
クラウドファンディングには、購入型・寄付型・融資型・株式投資型・不動産型があり、リターン内容や利用条件が異なる。

家族や友人から借りる

スタートアップ企業のベンチャーでよくある資金調達方法は、家族や友人から借りることです。

家族や友人から事業資金が借りれそうな方は、ぜひ相談してみてください。

家族や知人などに相談して借りることができると、 返済期間が調整できたり無利息にしてもらえる といった大きなメリットが得られる可能性があります。

ただし、いくら家族や友人とはいえ、金銭問題はトラブルに繋がるケースも少なくありません。

家族や友人からお金を借りる場合は、借用書や金銭消費者契約書を作成し、返済条件をしっかりと決めて必ず返済してください。

MEMO
明確な返済期限を決めなければ、贈与税が発生する可能性がある。

ファクタリング

ファクタリングサービスを利用してベンチャーの資金調達ができます。

ファクタリングを利用すると、 自社で保有している売掛債権が最短即日に現金化 できます。

さらに、もし取引先が支払い不能になった場合でも返金不要なので、とても便利なサービスです。

ただし、手数料が発生するため、繰り返し利用すると資金繰りが悪化する可能性があるので注意してください。

ファクタリングは、売掛債権の金額以内の金額が最短即日に資金調達できます。

MEMO
売掛債権を現金化するので負債は増えないため、会社の財政状態に影響がない。

ベンチャー企業における資金調達の傾向

ベンチャー 資金調達 傾向

ベンチャー企業は、企業の成長が滞らないように、適切なタイミングで資金を調達する必要があります。

一般に、ベンチャー企業における資金調達は、出資によって資金を調達するエクイティ・ファイナンスと借り入れによって資金を調達するデット・ファイナンスに分けられます。

ベンチャー企業において特に活用されているのはエクイティ・ファイナンス、つまり、出資による資金調達 です。

信用度が高くないことの多いベンチャー企業は、融資を中心とするデット・ファイナンスによって資金を調達することが難しいケースが多いことから、 エクイティ・ファイナンスを利用する傾向があります。

ただし、あとでも説明するように、エクイティ・ファイナンスとは会社の株式を投資家に売却する対価として資金を得る資金調達方法です。

したがって、会社の意思決定機関である株主総会に影響があることに注意してください。

ベンチャー企業の資金調達が重要な理由

ベンチャー企業にとって資金調達は以下のような理由から重要となります:

  1. 成長と拡大
  2. 資金繰りの管理
  3. 競争力の向上
  4. リスクの管理
  5. 人材の確保

ベンチャー企業に限らず、企業活動には資金が欠かせません。

これは、 新しい製品やサービスの開発、マーケティング活動の実施、新たな市場への拡大、あるいは人員の増加などを行うために必要 となります。

また、初期段階の企業は自己資金で稼働するまでの時間が必要であり、その期間中は資金調達が必要です。

したがって、 会社の資金繰り管理に余裕をもたせるためにも、資金調達が欠かせません。

ベンチャー企業がほかの企業との競争に勝つためには、独自の技術やサービスを開発し、顧客に提供する必要があります。

これらの開発に資金が必要です。

競争力の向上のためにも、資金の調達が必要なのです。

さらに、経営リスク(市場変動、不確実な需給状況など)を管理し、企業のレリジエンスを強化するためにも、適切な資金調達が重要となります。

加えて、資金調達を通じて得られる資金は、有能な従業員を雇い、競争力のある給与とメリットを提供するためにも必要です。

ベンチャー企業にとって、資金調達は単に資金を集めるだけでなく、同時に投資家からの専門的なアドバイスやネットワークも得られる ため、それ自体がベンチャー企業の成長と成功に寄与します。

MEMO
資金調達をすれば、当然、その資金を適切に管理しなければなりません。したがって、内部統制システムや会計システムの整備も重要です。

資金調達ラウンドとは?

ベンチャー 資金調達 ラウンド

資金調達ラウンドとは、企業(特にスタートアップ企業やベンチャー企業)が投資家から資金を調達するプロセスを指します。

各ラウンドは、企業の成長段階や資金調達の目的に応じて異なるのが普通 です。

一般的には、次のようなラウンドが存在すると考えられ、それぞれのラウンドに応じて、資金調達の目的や調達額が異なることになります。

資金調達ラウンドのステップ
  • シード期
  • アーリー期

資金調達ラウンドのシード期

資金調達ラウンドシード期は、シードラウンド(seed round)とも呼ばれ、 一般的にはスタートアップ企業やベンチャー企業が事業を始める初期段階で行われる資金調達の1回目または2回目を指します。

この段階では、ビジネスアイデアを具体化し、製品やサービスのプロトタイプを作成し、初期のユーザーや顧客を獲得するための資金が必要です。

シードラウンドの投資家は、しばしばエンジェル投資家シード投資ファンド、時には起業家の親族や友人からなることが多いです。

また、初期段階のスタートアップに投資するベンチャーキャピタルも存在します。

これらの投資家は、リスクが高いとはいえ、スタートアップが成功した場合の大きなリターンを見込んでいるため、経営者はその期待に応えなければなりません。

シード期の資金調達は、しばしばエクイティ(株式)を売却する形で行われます

つまり、投資家は投資金額に応じた企業の一部を所有することになるのが普通です。

シードラウンドの成功は、スタートアップが次のステージへ進むための重要なステップです。

このラウンドで調達した資金を用いて、スタートアップは製品開発を進め、市場テストを行い、初期の顧客を獲得し、ビジネスのスケールアップを始めます。

それらの成果を元に、次のアーリー期でさらなる資金を調達することが多いです。

エンジェル投資家
エンジェル投資家は、スタートアップや早期段階の企業に私的資金を投資し、資本とアドバイスを提供する個人です。

資金調達ラウンドのアーリー期

資金調達ラインドアーリー期(early stage)は、アーリーラウンドとも呼ばれ、 一般的にはスタートアップ企業やベンチャー企業が初期のビジネスモデルの検証を終え、製品開発と市場への展開を本格化させる段階を指します。

シードラウンドに続くアーリーラウンドでは、ビジネスモデルの検証と製品の本格的な市場投入が主な目的となります。

アーリーラウンドは、 まだ経営が安定していない期間のこと です。

通常、アーリーラウンドでは、 ビジネスが一定の成長と収益性を示し、更なる拡大が可能であるという証拠を投資家である資金提供者に示す必要があります。

アーリー期の投資家は通常、ベンチャーキャピタルで、彼らはスタートアップ企業やベンチャー企業が大きな成功を収めることを期待して資金を提供します。

アーリー期の資金調達ラウンドは、スタートアップが製品を市場に投入し、ビジネスモデルを確立し、成長を加速させるための重要なステップです。

これらのラウンドを通じて、スタートアップは製品の開発、営業活動の強化、マーケティングの実施、チームの拡大、新たな市場への進出などを行うための資金を調達します。

資金調達ラウンドのシリーズについて

ベンチャー 資金調達 シリーズ
資金調達ラインドは、シード期から始まり、アーリー期に移行して、その後、以下のようなプロセスで進行していくのが普通です。

資金調達ラウンドのシリーズ
  • 資金調達ラウンドのシリーズAにおける資金調達
  • 資金調達ラウンドのシリーズBにおける資金調達
  • 資金調達ラウンドのシリーズCにおける資金調達
  • 資金調達ラウンドのシリーズDにおける資金調達

資金調達ラウンドのシリーズAにおける資金調達

シリーズAラウンド(series A round)は、一般的に、 スタートアップの成長期に行われる資金調達のラウンドで、製品の市場に対する受け入れやビジネスモデルの妥当性が一定程度確認された後、更なる拡大を図る期間 です。

具体的には、以下のような目的で資金を調達します

  1. 事業の規模拡大:製品開発や営業活動をさらに拡大し、市場シェアを拡大する
  2. 新市場への進出:新たな地理的市場や製品市場へ進出するための資金
  3. 人材の採用:経験豊富な人材を雇用して、組織の能力を強化する

投資は通常、エクイティ(株式)の形で提供され、投資家は企業の一部所有権を獲得します。

シリーズAラウンドを成功させることは、スタートアップにとって重要な成果であり、それはその企業が成長のプロセスをしっかりと進んでいるという証拠となります。

シリーズAラウンドで調達した資金を用いて、スタートアップはビジネスの拡大を進め、次のシリーズBラウンドなどでさらに大規模な資金調達を目指します。

この段階では、スタートアップは戦略を持ち、ある程度の収益も得ていますが、開発と拡大のための大量の資金が必要な段階です。

つまり、 ベンチャー企業にとって、シリーズAラウンドにおける資金調達の目的は、当面の運転資金の確保 にあります。

シリーズAの資金調達はよくベンチャーキャピタルから来ますが、エンジェル投資家や他のプライベートエクイティファームからも来ることがあります。

このラウンドで調達した資金を用いて、スタートアップはビジネスの拡大を加速し、次のシリーズBラウンドでさらなる資金を調達する準備をします。

プライベートエクイティファーム
プライベートエクイティファームとは、企業を買収して、改善後に売却し利益を得る投資組織です。

資金調達ラウンドのシリーズBにおける資金調達

資金調達ラウンドのシリーズBにおいて、 ベンチャー企業は、売上や活動の規模が拡大して、会社の経営が軌道に乗った状態となり、上場も視野に入った段階です。

このラウンドにおいては、資金調達の目的も、新しい設備への投資、販売促進活動の推進、優秀な人材の増員、研究開発活動の加速、上場準備費用の確保など多様化することで、資金需要の規模も数億円~十数億円にも達します。

シリーズBの段階では、会社の信用力も向上していることから、金融機関からの融資や社債の発行などによって資金調達を行うことができる ようになります。

資金調達ラウンドのシリーズCにおける資金調達

シリーズCラウンド(series C round)は、通常、スタートアップがシリーズBラウンドの成功を経て、 更なる拡大や成長を目指す段階で行われる資金調達のラウンドです。

シリーズCにおける資金調達の目的は以下の通りです:

  1. さらなる事業の拡大:既存の市場での事業のさらなる拡大や、新たな市場への進出を図るための資金
  2. 新製品の開発:新製品やサービスの開発、あるいは既存製品の改善やアップグレードを図るための資金
  3. 戦略的買収:他の企業や技術を買収し、自社の製品ポートフォリオを拡大したり、競争力を強化するための資金
  4. IPOの準備:公開前の企業の場合、公開株式を購入する権利を得るための資金調達を行うことがあります。

シリーズCラウンドの投資家は通常、ベンチャーキャピタルプライベートエクイティファンド、あるいは大手企業・機関投資家からなることが多いです。

これらの投資家は、すでに一定の規模と収益性を有し、さらなる成長が見込まれるビジネスに投資します。

このラウンドで調達した資金を用いて、 ベンチャー企業はビジネスの拡大を加速し、さらに次のラウンド(シリーズDラウンドなど)で資金を調達するか、あるいは公開株式(IPO)を目指すことが多い です。

ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは、リスクの高い初期ステージ企業への投資を専門とする投資組織で、成長を加速させるための資金を提供します。

資金調達ラウンドのシリーズDにおける資金調達

シリーズDラウンドは、 企業が成熟し、安定的な収益を生み出すことができている段階です。

ベンチャー企業がシリーズDラウンドに至ると、 一般的には公開市場への上場(IPO)や企業の売却(M&A)などの出口戦略を具体的に考え始めます。

この段階では、企業は主力ビジネスの拡大を続けながら、新たな事業領域への進出も行うことが一般的です。

シリーズDラウンドでは、経営体制の強化や出口戦略に向けた準備を行う専門チームの設立などを含むスタッフの追加も行われます。

さらに、企業は出口戦略を実現するためには、十分な売上高と利益を確保することが必要とされます。

そのため、シリーズDラウンド以降でもまだ資金調達を必要とする企業は多く、数十億円規模の資金を調達します。

シリーズDラウンドにおける主要な資金供給源は、ベンチャーキャピタル(VC)プライベートエクイティファンド(PEファンド)です。

このラウンドでは、 大量の資金を供給できるファンドからの調達が一般的 です。

このステージの資金調達は、企業の成長と拡大を継続的に支え、最終的な出口戦略への道のりを整備する重要なステップとなります。

ベンチャー企業の資金調達で失敗しないための注意点

ベンチャー 資金調達 注意点
ベンチャー企業が資金調達を試みる場合には、以下の点について注意する必要があります。

ベンチャー企業の資金調達で注意すべき点
  • 投資家からの出資は経営権を失うリスクがある
  • 投資家からの出資条件が不利になっている
  • 金融機関からの融資は審査が厳しい
  • 金融機関からの融資は入金まで時間がかかる

資金調達の際には、これらのポイントに注意して、 適切なタイミングで資金調達を調達するのがベンチャー企業にとって重要 です。

投資家からの出資は経営権を失うリスクがある

投資家から出資を受ける場合、ベンチャー企業は経営権を失う可能性があるので注意が必要です。

ベンチャー企業が出資者から資金を調達する場合、それは企業の株式を売却することを意味します。

これは、 出資者に対して一定の所有権と、それに伴う経営権を提供することと同じ です。

出資者は、投資リスクを管理し、投資のリターンを最大化するために、企業の戦略的な意思決定に影響を及ぼす能力を求めます。

これは、取締役会の席を持つことや、重要な経営決定について投票する権利を含むことがあります。

したがって、 ベンチャー企業が出資者から大量の資金を調達し、大量の株式を売却した場合、経営権を失う可能性があります

これは、特に出資者が過半数以上の株式を所有している場合や、特定の決定に対する拒否権を持っている場合に発生します。

投資家からの出資条件が不利になっている

ベンチャー企業が出資を活用して資金調達をする際には、出資条件について投資家としっかり確認することが大切 です。

株式の保有比率に応じて、株式会社の最高意思決定機関である株式総会で行使できる権利が決まります。

したがって、株式を投資家に売却すれば、株式総会における投資家(株主)の権利も強くなることを意味します。

つまり、 株主が経営に口出しできるようになる ということです。

ベンチャー企業が出資で資金を調達する際には、出資条件を事前によく考えておかなければなりません。

たとえば、原則として株式は自由に譲渡することができますが、この権利を制限した譲渡制限株式を発行することも可能です。

十分に出資条件について投資家と協議したうえで、出資を募ることが大切です。

金融機関からの融資は審査が厳しい

ベンチャー企業に対する融資審査は通常、厳格に行われます。

これは、新しく設立された企業が事業リスクが高く、安定した収益や資産を持っていないことが多いためです。

金融機関は、貸付のリスクを評価し、それに見合ったリターンを求めることが一般的です。

審査では、企業のビジネスモデル、市場の大きさ、成長の可能性、競争環境、経営陣の経験と能力など、さまざまな要素が評価されます。

また、企業の財務状況、具体的なビジネスプラン、収益予測なども重視されます。

ベンチャー企業が資金調達を行う際には、強力なビジネスプランと明確な成長戦略を持つことが重要で、それにより投資家を説得し、資金を調達する可能性を高めることができます。

金融機関からの融資は入金まで時間がかかる

金融機関から融資を受ける場合、審査などが行われるため、申込みから入金までに時間がかかるのが普通 です。

特に、 ベンチャー企業の場合、金融機関からの審査は厳しくなるので、審査に時間がかかります。

資金繰りが苦しく、すぐに資金が必要という場合には、別の資金調達方法を利用することを考えてください

金融機関からの融資は、中長期的な経営計画に基づいて、計画的に利用することが大切です。

資金調達を検討しているベンチャー企業は、注意点を理解して失敗しないようにしてください。

ベンチャー企業の資金調達 まとめ

ベンチャー企業の資金調達は、主に 返済義務のない「出資」と返済義務がある「融資」 の2種類があります。

ベンチャーの主な出資方法

  • ベンチャーキャピタル(VC)
  • エンジェル投資家
  • 個人や法人

ベンチャーの主な融資方法

  • 信用保証協会の融資制度
  • 日本政策金融公庫の新創業融資
  • 銀行融資
  • 地方自治体の制度融資
  • ビジネスローン

また、 融資や出資とは異なる資金調達方法 もあります。

ベンチャーの資金調達方法 その他

  • 補助金・助成金
  • クラウドファンディング
  • 家族や友人から借りる
  • ファクタリング

ベンチャーの資金調達方法をそれぞれ比較し、自社に適切な資金調達方法を活用して事業の拡大・新規事業の開始・運転資金の確保に繋げてください。

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