コミットメントラインとは?中小企業でも受けられる?契約の種類や当座貸越との違い、メリット・デメリットについて

運営事務局
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更新日2024/7/19
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コミットメントラインとは アイキャッチ

コミットメントライン契約とは何?

コミットメントラインと当座貸越やタームローンの違いはなんだろう?
コミットメントライン契約を利用するメリット・デメリットを知りたい

この記事では、上記のような悩みを解消します。

コミットメントラインとは、貸し手である金融機関と借り手の企業の間で一定期間および定められた融資枠の中であれば、返済および借入が可能な融資を指した用語です。

コミットメントラインは、契約期間内であれば審査なしでお金を借りられることや資金繰りの安定性が確保できるといったメリットがあります。

一方デメリットには最初の審査が厳しめなことや利用できる会社が大企業にほぼ限られるため利用できる事業者は少ない傾向。

今回は、コミットメントラインの概要や当座貸越、タームローンといった似た概念との違い、利用するメリットやデメリットについて解説をします。

コミットメントラインをざっくり言うと…
  • コミットメントラインとは、金融機関と顧客の間で何度でも借入・返済ができる融資のこと
  • 当座貸越が貸出の際に審査が必要なのに対して、コミットメントラインは審査が不要
  • 契約期間は1年以内のケースが多く、緊急の資金確保や短期的な資金調達に利用されることが多い
  • 契約する際は、手数料および利息の高さや契約期間中の弁済が可能かどうかがチェックすべきポイント
  • コミットメントラインは資金繰りの安定性を確保できるというメリットがある
  • 一方で契約できる企業が法律によって資本金3億、純資産10億以上の企業に限定されてしまうのが難点
  • したがって、中小企業でコミットメント契約を結べるところはほぼない
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コミットメントラインとは?

コミットメントラインとは
コミットメントラインとは、金融機関と顧客の間で一定の期間および金額の範囲内であれば、何度でも資金の借入と返済が可能な融資のことを指した言葉です。

コミットメント契約を結んだ場合、銀行側は期間と金額内であれば原則として融資を実行する義務を負っているという特徴があります。

コミットメントラインを設定する場合は、借入をしたかどうかの如何に関わらず、顧客側が銀行側に対して手数料となる「コミットメントフィー」を支払う必要があります。

コミットメントラインと当座貸越の違い

コミットメントラインに似た概念として「当座貸越」がありますが、2つは以下のように違います。

用語名 特徴
コミットメントライン ・契約した期間・融資額の枠内であれば銀行側は原則として審査なしで貸出を行う必要がある
当座貸越 ・契約した期間、融資枠内であれば借入や返済が可能
・貸出の際は審査が必要

上記の表の通りで、コミットメント契約を結ぶと、融資を行う時に関しては審査なしで融資が可能です。

一方で、当座貸越契約を結んだ場合は、融資時には審査にパスする必要があります。

コミットメントラインとタームローンの違い

また、コミットメントラインに似ている用語としてタームローンがありますが、この2つは契約期間の長さや融資できる回数が異なります。

違いは以下の通りです。

種類 特徴 融資回数 契約期間の長さ
コミットメントライン ・一定の期間内であれば、いつでも融資を実行できる契約方法
・緊急の資金確保などの短期的な資金調達に利用されることが多い
期間内であれば複数回可能 短期(1年以内)
タームローン ・証書貸付で行い、長期で借入をする契約方法
・設備資金やリファイナンスなど長期的な資金調達で使われることが多い
一括or複数回を選択可能 長期(1年以上)

上記の表の通りで、コミットメントラインよりもタームローンの方が、契約期間が長めに設定されていることがわかります。

MEMO
コミットメントラインとタームローンで迷われる場合は、融資の目的から逆算して選択するのがおすすめです。

コミットメントラインの契約は2種類

コミットメントライン 契約 種類
コミットメントラインの契約は以下の通りで2種類に分かれています。

契約方式 特徴
バイラテラル方式 金融機関(貸し手)と企業(借り手)が個別に契約を締結する方式
シンジケート方式 アレンジャーと呼ばれる幹事の銀行が複数の金融機関と結託し、シンジケートと呼ばれる集団を作り、同一条件でコミットメント契約を締結する方式

それぞれ詳しく解説しますので、コミットメントライン契約を結ぼうと考えている方はぜひ参考にしてください。

契約方法① バイラテラル方式(相対型)

バイラテラル方式とは、銀行の融資形態のことを指しており、金融機関(貸し手)と企業(借り手)が1対1で契約する貸出方式です。

日本の融資においては、基本的な貸出方式で、個別の金融機関と交渉を行うため 融資するにあたり金利・融資額などの条件が異なる という特徴があります。

一方で、債務不履行などの信用リスクがメインバンクに集中してしまうことや外部からの経営に対するチェックがかけにくいというデメリットもあります。

契約方法② シンジケート方式(協調型)

シンジケート方式は、アレンジャーと呼ばれる幹事の銀行が、複数の金融機関と結託して大規模融資を企業に行う際の契約形態を指した言葉です。

例として、100億円の貸付を1つの銀行で行うのは難しいですが、5つの銀行であれば1銀行あたり10億円の融資額となりますので、貸し倒れリスクを分散できます。

また、企業側も5つの銀行といちいち交渉するのは大変な労力がかかりますので、シンジゲート団の幹事と交渉をすることにより、 一度で100億円の融資契約を取り付けることができます。

契約した後は、エージェントと呼ばれる金融機関が借入企業と貸出に賛同している金融機関の間を取りもち、決済業務を行います。

MEMO
バイラテラル方式とシンジケート方式どちらになるかは、借り手が希望する融資金額や返済期間などから逆算して決まります。

コミットメントラインの一契約でチェックしておきたいポイントや条項について

コミットメントライン 契約内容 ポイント 条項
コミットメントラインを契約するにあたり、チェックをしておきたいポイントおよび条項は以下の通りです。

コミットメントラインの契約でチェックしておきたいポイント・条項
  • 手数料
  • 表明保証条項
  • 契約期間中の弁済
  • 利息

上記の項目をチェックしておかないと、想定した金額よりも多額の支払いが発生しますので、ぜひ確認してください。

手数料

コミットメントライン契約では、手数料が発生します。

手数料は、実際の借入金額をベースにしたものではなく、極度額の割合に応じた金額となる可能性が高いです。

実際の手数料の例は以下の通りです。

1億円の融資枠
事務手数料:2%(相場が1〜2%)

1億円×0.02=200(万円)が手数料となります。

MEMO
契約書の段階で、極度額がどのくらいになるのかは把握しておくことが非常に大切です。

表明保証条項

表明保証条項とは、発行会社・経営者が一定の事項が真実で正確であることを金融機関に対して表明する条項のことです。

コミットメントラインは、通常の一括融資と異なり審査が非常に厳しく、財務状況をクリーンにすることが求められます。

表明保証条項に違反した場合にどうなるのか、 改善するためにはどのようにすればいいのかを確認した上で契約するようにしてください。

契約期間中の弁済

コミットメントライン契約は、極度額の範囲内であれば何度も借入ができます。

ただ、金利の関係から借入から一定期間は弁済ができないという条項が契約書に書かれている可能性があります。

その期間に関しては金利を必ず負担しなければならないため、必ず契約時に弁済に関する条項があるかどうかを借入証書で確認してください。

利息

コミットメントライン契約を結んだ場合は、当然ですが利息が発生します。

銀行からの融資ですから、利息は必ず発生します。

コミットメント契約の利息の相場は以下の通りです。

融資枠:10億円
借入の金利(年利):5%
コミットメントラインフィー(手数料)1%

契約時に1億円のみ借入を行った場合は、最初の半年の利息および手数料は以下の通りです。

利息:1億円×0.5×0.05=25万円
手数料:9億円×0.5×0.01=450万円

半年間で利息と手数料だけで475万円かかります。

これは融資枠が10億円なので、数百万円程度ですが、数百億円単位の融資となると手数料と利息だけで数千万円取られることになります。

MEMO
無駄な手数料を支払わないためにも、あらかじめ借入する金額に関して計画を綿密に立ててください。

コミットメントラインのメリット・デメリット

コミットメントライン メリット デメリット
この章では、コミットメントラインのメリット・デメリットについてそれぞれ紹介します。

内容
メリット ・時間をかけずに資金調達が可能
・資金繰りの安定性が確保可能
・融資を受ける際の審査などが必要ない
デメリット ・契約時に手数料が発生する
・対象企業は大手企業がほとんど
・審査が非常に厳しい

それぞれのメリットやデメリットについて解説しておりますので、ぜひ参考にしてください。

コミットメントラインのメリット

コミットメントライン契約を利用するメリットは以下の通りです。

コミットメントラインのメリット
  • 時間をかけずに資金調達が可能
  • 資金繰りの安定性が確保可能
  • 融資を受ける際の審査などが必要ない

最大のメリットは、 融資額や契約期間の範囲内で時間をかけずに資金調達が可能 です。

銀行の都合で融資を断ることがありませんので、急な資金調達でも使えます。

また、いつでも融資ができるため、資金繰りの安定性が確保されるので、 取引先や株主・社員に安心材料を与えられます。

コミットメントラインのデメリット

一方で、コミットメントラインのデメリットは以下の通りです。

コミットメントラインのデメリット
  • 手数料が発生する
  • 対象企業が大企業にほぼ限定される
  • 通常融資よりも審査が厳正になる

コミットメントラインは利息の他に手数料が契約した際に発生します。

手数料は、コミットメントラインで設定された融資枠の全額の数%を掛けた数字となりますので、金額が大きくなりやすいという特徴がありますので注意してください。

対象企業が「特別融資枠契約に関する法律」の条件を満たす企業に限定されます。

法律の要件として「資本金3億円、純資産額10億円超えの株式会社」などがありますので、融資の対象となるのがほぼ大企業に絞り込まれてしまうのは不便なポイントです。

また、通常の融資よりも審査が厳正になるのも特徴であり、初めての金融機関との取引では、コミットメントライン契約はできないと考えてください。

もし、コミットメント契約を結ぶ場合は、 複数回通常融資を受けて、返済を滞りなく行ってから申し込むのが無難 です。

コミットメントラインのまとめ

コミットメントライン まとめ
多額の金額を融資でき、一定の期間内であればいつでも借入が可能であるコミットメントライン契約は、 安定かつ時間を掛けずに資金調達ができる方法 として注目を集めています。

便利な方法だからこそ、審査が厳しかったり、契約を結べる企業が限定されるなど、ハードルが高い融資です。

この記事を参考にして、コミットメント契約の内容を適切に理解して、適切に資金調達をしてくださいね!

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