自己資本比率の危険水域は10%以下!業界別の目安や下がる理由、高める方法について解説

自己資本比率の危険水域は10%以下と言われます。
なぜなら、経営が借入金に大きく依存をしていて、社内財政の健全性が失われていると判断される可能性があるからです。
また、自己資本比率が低いと借入の返済に追われて設備投資などができなくなり、最悪の場合倒産してしまいます。
倒産のリスクを避けるためにも、利益を増やすことや負債を圧縮するといった方法を早めにとる必要が出てきます。
この記事では、自己資本比率の危険水域や比率が下がる理由と高める方法について解説するので、自己資本比率を上たい経営者の方はぜひ参考にしてください。
目次
自己資本比率の危険水域は10%以下
自己資本比率が10%を下回ると、金融業を除いて「危険水域」と判断されることがあります。
これは、経営が借入金に大きく依存しており、財務の健全性にリスクがあると見なされるためです。
まず、取引先からの信用が非常に低下しやすくなるといえます。
借入金に頼った経営は、企業が不安定で倒産リスクが高いと判断され、新たな資金調達や新規取引の獲得が困難になる可能性があるからです。
そのほか、自己資本が少ないために他人資本借入金の影響を非常に大きく受けやすくなります。
これは、ちょっとした経済状況の変化や金利の上昇が、企業の経営を一気に不安定にするリスクを含んでいます。
自己資本比率が低いとどうなる?
企業の自己資本比率は、一般的に30%以上が一つの健全な目安です。
これを下回った場合は、財務体質が弱いと見なされてしまいさまざまな問題が起こると考えられます。
自己資本比率が低い状態が続くと、特に注意しておきたいのが債務超過に陥り、最終的に経営が悪化したり倒産したりするリスクです。
他人資本、つまり借入金の割合が増えすぎると、企業は毎日の返済に追われることになりかねません。
このような債務超過による危機を回避するためには、速やかに他人資本の割合を減らすなど、財務体質の改善に努める必要があります。
国際的な業務を行う銀行はBIS規制により8%超、国内業務のみの銀行でも4%の自己資本比率が義務付けられています。
自己資本比率が高すぎるのも問題
自己資本比率が高いことが意味するのは、経営者の消極的な投資姿勢だからです。
会社を運営するうえで最も重要なサイクルは、調達した資金を活用して、会社の経済活動を行い、会社の経営活動を通じて利益を獲得することです。
獲得した利益は、株主への配当に活用することもできますが、利益剰余金として会社に蓄えることもできます。
要するに、 自己資本が増えれば増えるほど、自己資本比率は高まっていく ことになります。
もし、会社を大きく成長させたり、売上規模を拡大したいのであれば、会社が獲得した利益は会社に蓄えるのではなく(自己資本を増やすのではなく)、再投資をすることが重要です。
したがって、自己資本比率が高すぎるということは、会社が獲得した利益を蓄えすぎていることを意味していますから、会社の成長や売上規模の拡大には寄与していません。
そもそも自己資本比率とは
自己資本比率とは、
返済不要な資本(自己資本)が、投下資本全体の何%を占めるかを示す数値(指標)のこと
を言います。
自己資本比率から、その会社の安全性を判断することが可能です。
会社が借入を行った場合、この資金は返済しなければならないので、人の資金という意味で他人資本と呼ばれます。
一方で、会社が株式を発行して資金を調達した場合、この資金は返済する必要がなく、会社の資金という意味で自己資本と呼ばれます。
自己資本比率とは、投下資本に対する自己資本の割合を意味しているので、投下資本のうち、何割を自己資本が占めているかを表しますから、投資資本が返済の必要のない資金でどの程度賄われているのかを理解できます。
自己資本比率の計算方法
自己資本比率の最も一般的な計算式は以下のとおりです。
この計算式では、総資本という用語を用いていますが、総資本とは会社が保有する総資産と同じ意味なので、総資本=総資産と言うこともできます。
一方、総資産とは、会社が将来の収益を得るために投資した額を意味しているので、総資産とは投下資本と言い換えることも可能です。
総資産=総資本=投下資本なので、分子は様々な用語で示されることがありますが、意味は同じ です。
一方、分母である自己資本という用語は、従来、他人資本に対する自己資本、つまり、自分が自由に使えない資金(他人資本)に対する自分が自由に使える資金(自己資本)という意味を持っていました。
しかし、会計基準が変わったことによって、従来、資本と呼ばれていた自己資本は、純資産とも呼ばれるようになりました。
つまり、自己資本=資本=純資産というわけです。
このように、自己資本比率の計算式の要素は様々な用語で呼ばれることになりますが、どのように計算するにしても、基本的な意味は変わりません。
その意味とは、返済不要な資本(自己資本)が、投下資本全体の何%を占めるかということです。
自己資本比率が低い業界はどこ?目安を表で比較
自己資本比率を経営に活用するには、同じ業界の同業社の自己資本比率と自社の自己資本比率を比較することが大切になります。
以下の表は、中小企業庁が実施した調査を元にまとめたものです。
業界 | 自己資本比率 |
---|---|
宿泊業,飲食サービス業 | 16.0% |
生活関連サービス業,娯楽業 | 34.5% |
小売業 | 36.0% |
運輸業,郵便業 | 36.6% |
不動産業,物品賃貸業 | 40.2% |
卸売業 | 43.5% |
全体平均 | 44.4% |
サービス業(他に分類されないもの) | 45.1% |
建設業 | 47.6% |
製造業 | 49.8% |
情報通信業 | 55.5% |
学術研究,専門・技術サービス業 | 65.6% |
自己資本比率が最も低い業界は、宿泊業、飲食サービス業であることがわかります。
自己資本比率が低い企業ランキングTOP10
銘柄 | 自己資本比率 |
---|---|
バードマン | -392.00% |
ANAPHD | -252.00% |
Aクリエイト | -69.50% |
モンラボ | -62.40% |
アクアライン | -53.40% |
ピクセル | -49.40% |
タメニー | -19.40% |
JHD | -13.30% |
エスポア | -5.10% |
フレンドリ | -4.20% |
引用:自己資本比率ランキング【株式ランキング】|みんかぶ(2025.6.17)
上位10社を分析すると、特定の業界に集中しているというよりも、多岐にわたる業種の企業が含まれていることが分かります。
特に目立つのは、バードマンやアクアラインなどのサービス業です。
比較的設備投資が少なく、人件費や広告宣伝費といった費用が先行しやすい事業形態である可能性が考えられます。
また、成長フェーズの段階で、事業拡大のための先行投資を行っている結果として、一時的に自己資本比率が低くなっているケースも考えられるので注意してください。
自己資本比率が下がる理由
自己資本比率は企業の財務的な安全をはかる上でとても大切ですが、どのような時に下がってしまうのでしょうか。
ここからは自己資本比率が下がる理由について詳しくお伝えしていきます。
- 赤字が発生したから
- 負債が増えたから
- 自社株買いをしたから
- 資産の含み益が減ったから
赤字が発生したから
自己資本比率が下がる代表的な原因として、赤字が発生することが挙げられます。
その理由は、 自己資本の構成要素にあり、企業が過去に生み出した利益の蓄積である、利益剰余金が含まれているからです。
しかし、企業が赤字を計上した場合、その損失は既存の利益剰余金から補填されることになります。
これによって利益剰余金が減少し、結果として自己資本の総額も減少。
負債の額が変動しない中で自己資本が減少するため、自己資本比率は必然的に低下してしまいます。
負債が増えたから
負債が増えることも原因のひとつです。
自己資本比率に影響を与える負債の代表例は借入金で、これは最も直接的な負債項目といえます。
企業の利益が継続的に計上されている場合であっても、大規模な仕入れ資金の調達など、特定のタイミングで多額の借入が発生するケースも少なくありません。
そのため、一時的に自己資本比率が低下するケースもあります。
重要なのは、負債が借入金のみに限定されない という点です。
企業では以下のようなさまざまな負債が存在するので覚えておいてください。
・未払法人税、未払消費税
・賞与引当金、退職給付引当金
・社債
・支払手形
自己資本比率が負債の増加によって下がった場合は、単に負債総額の増減だけでなく、具体的にどの負債項目が増加したのかを正確に把握することが大切です。
自社株買いをしたから
自己資本比率が下がる3つ目の要因として挙げられるのが、自社株買いです。
主な目的は、発行済み株式数を減少させることで、1株あたりの純利益(EPS)を高めて株主への利益還元を強化することです。
買い戻された株式が消却されると、貸借対照表上の株主資本がその分減少します。
結果として、 総資産に占める自己資本の割合が下がり、自己資本比率が低下することになるのです。
ただし、自社株買いによる自己資本比率の低下は、必ずしも経営上のマイナス要因とは限りません。
自社株買いを通じて企業価値が向上し、株価の上昇が期待できるケースもあります。
ROEの向上は、投資家からの評価を高め、株価の上昇に繋がりやすい傾向があります。
そのため、自社株買いによって自己資本比率が低下している状況では、その施策が企業価値向上という狙い通りの効果を発揮しているかを検証することが重要です。
資産の含み益が減ったから
資産の含み益の減少も自己資本比率が低下する原因のひとつです。
自己資本の内訳は、常に確定しているわけではありません。
貸借対照表には「評価・換算差額等」という項目があり、ここにはまだ確定していない含み益(または含み損)が計上されています。
例えば、企業が保有する有価証券の時価が下落すると、それに伴って評価・換算差額等も減少し、結果として自己資本全体が減って自己資本比率が低下します。
赤字の発生、負債の増加、自社株買いといった明らかな原因が見当たらないのに自己資本比率が下がっている場合は、この評価・換算差額等の含み益の変動に注目して確認する用にしてください。
自己資本比率を高くする方法
自己資本比率を高くする方法はいくつかあります。
- 利益を増やす
- 負債を圧縮する
- 自己資本を増加させる
利益を増やす
基本的なことにはなりますが、自己資本を増やして会社の財務体質を根本から強くするための最も大切な方法は、企業の利益を向上させることです。
例えば、DES(デット・エクイティ・スワップ)といった手法は、一時的に自己資本比率を改善するような側面があります。
ただし、企業としての安全性を本質的に高める根治療法というと、 やはり地道に会社の利益を増やしていくこと以外にありません。
企業の現状や目指す方向性によってさまざまありますが、どんな企業でも利益を戦略的に計算して目標達成のためのシミュレーションをしっかり行うことが大切です。
負債を圧縮する
自己資本比率を改善するためには、負債の圧縮も欠かせません。
すぐには難しいかもしれませんが、会社の貸借対照表をしっかりと見て、減らせる負債がないか総点検することから始めてください。
具体的な取り組みとしては、次のような方法があります。
・支払手形の発行を減らす
・買掛金の支払いサイト(支払いまでの期間)を短くする
負債を劇的に減らす特効薬のようなものはないため、日々の地道な努力を積み重ねていくしかありません。
もしすでに多額の借入金があるなどで、負債の圧縮が難しい状況なら、一度立ち止まって経営計画書を根本から見直し会社の立て直しを図る必要があります。
自己資本を増加させる
自己資本を増加させることで、自己資本比率は高くなります。
自己資本比率は、 総資本に対する自己資本の比率 ですから、自己資本/総資本で計算されます。
そのため、分母が一定の場合、分子である自己資本を高くしていくことで自己資本比率を高くすることが可能です。
自己資本とは、貸借対照表に表示されている言葉で言えば、資本金・資本剰余金・利益剰余金の総和です。
資本金を増加させるためには、新株を発行すれば良いことになります。
また、自己株式を取得して高値で売却すれば、資本剰余金を増加させることが可能です。
さらに、利益剰余金を増加させるためには、会社の利益を増やし、配当せず会社内に利益を留保すればよいのです。
自己資本比率の危険水域は10%以下のまとめ
自己資本比率は、会社の総資本のうち、返済の必要がない自己資金がどれくらいを占めるかを示す指標です。
企業がどれだけ自己資金で投資を賄っているのか、財務の安定性を測る大切なバロメーターといえます。
この比率の良し悪しを判断する際は、単に数字を見るだけでなく、同じ業界の競合他社と比較することが非常に重要です。
しかし、自己資本比率をただ高めれば良いというものでもありません。
過度に自己資本比率が高いと、成長のための投資に消極的だと見なされ、経営者の姿勢に疑問が投げかけられる可能性もあるので注意してください。
企業の事業特性や業界の状況を踏まえて総合的に判断することが非常に重要です。
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