創業計画書の記入例を解説!業種別の書き方のコツやテンプレートの入手方法について

創業計画書は、事業内容の特徴や強みなどを記入して、金融機関から融資をしてもらうのに必要な資料です。
資金の使い道や借入状況など記入項目は同じですが、書くべき内容は業種によって異なります。
今回の記事では、創業計画書の記入例を製造業や美容室、飲食店など代表的な業種ごとに紹介を行い、それぞれどのように記入すべきかを解説します。
記事を読むことで、ご自身が創業する際にどのように創業計画書を作るべきかが分かりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
創業計画書とは?
創業計画書とは、ビジネスや事業を始める際、それを具体化して実現させるための計画書 です。
創業計画書は、次を目的に作成されます。
- 事業の内容や特徴を整理する
- 事業の弱み・強みを理解する
- 競合他社を分析する
- 関係者からの協力を得やすくする
創業計画書に、頭の中のイメージを文字にし、事業内容をよりクリアにして、強み・弱みを整理することで、会社の独自性を高められます。
また、関係者からの協力を得やすくなることも事業計画書を作成する効果の一つで、金融機関をはじめ、関係者(ステイクホルダー)からの協力を得やすくなります。
創業計画書の書き方のコツや記入例
創業計画書とは、第三者に対して事業内容を説明して協力を得るためのツール となるものです。
具体的には、金融機関からの借入を行う場合などに役立ちます。
ここでは、創業計画書の書き方のコツと記入例を、公庫のテンプレートに合わせて8つ説明していきます。
- 創業計画書の書き方① 創業動機
- 創業計画書の書き方② 経営者の略歴・実績
- 創業計画書の書き方③ 取り扱い商品やサービス内容
- 創業計画書の書き方④ 取引先と取引関係
- 創業計画書の書き方⑤ 従業員
- 創業計画書の書き方⑥ 借入状況
- 創業計画書の書き方⑦ 必要資金と使い道、資金調達方法
- 創業計画書の書き方⑧ 事業の見通し・将来性
創業計画書の書き方① 創業動機
創業計画書のなかでまず記入しなければならないのは創業動機です。
創業動機には「事業を始めた動機・理由」を記載します。
なぜその事業を始めようと思ったか、その理由は一人ひとり異なっているのが普通です。
なので、創業動機は自分なりの言葉で書くようにします。
たとえば、「地域の飲食業を盛り上げたい」という目標があるとしたら、そのために事業を通じて何をするか、具体的に示したほうが良いと考えられます。
地元で採れた新鮮な野菜や魚介類を使った料理を提供するという具体的な事業を明示することで、創業計画書全体に具体性が増します。
具体性を持たせなければならない理由は、 創業計画書は第三者から共感を得られるものである必要があるから です。
端的に言えば、創業動機を読んだ金融機関が、この事業なら意義がある、あるいは収益性が高いと判断できるかどうかが重要なポイントとなります。
創業計画書の書き方② 経営者の略歴・実績
次に、経営者の略歴・実績を記入します。
創業計画書に経営者の略歴・実績の記入が求められるのは、事業と関連性のある経験をどれだけ積んでいるかを第三者が把握できるようにするためです。
業界の慣行や業界動向は、これまでの経験によってある程度身につくものです。
それを第三者が判断できるようにするために、創業計画書に経営者の略歴・実績の記入が求められます。
資格や特許などを有している場合には、積極的にアピールするように記述する ことが大切です。
○月○日〜 株式会社〇〇 ◯年勤務
○月○日〜 株式会社〇〇 ◯年勤務
現在に至る
創業計画書の書き方③ 取り扱い商品やサービス内容
取り扱い商品やサービスについては、可能な限り具体的に記入することが大切です。
特に、商品・サービス設計ができているか、販売経路が想定できているかをわかりやすく記載してください。
まだ競合のいない新しいサービスであれば、その新規性をアピールすると良いです。
・ランチ 500円
・ディナー1,000円<独自性>
・地場のものを使ったメニュー構成であるため、地産地消に貢献できる
・地域の特産物などを積極的に料理に取り入れ、地域性の高い料理を提供できる
<販売ターゲット・販売戦略>
・地域で生活を営む顧客層
・地場でとれた新鮮な素材を使い、低価格でも満足度の高い料理を提供する。
創業計画書の書き方④ 取引先と取引関係
創業計画書には、取引先と取引関係も記入します。
取引先と取引関係を記入する理由は、どこからどのような商品を仕入れているのか、どのような取引をしているのかを明らかとするためです。
取引先が一つしかない場合、その取引先との契約が切れてしまえば、事業を継続できなくなる可能性があります。
仕入先や販売先を記入することで、どのような商品やサービスを「どこから」仕入れたり、「どこに」販売するのかがわかるようになり、 会社のバリューチェーンが明確になります。
・一般顧客
・株式会社〇〇cafe(サービス業: 調理したものを提供して販売してもらう)
・株式会社〇〇キッチンカー(サービス業: 調理したものを提供して販売してもらう)
<主な仕入先>
・株式会社〇〇(小売業: 元勤務先の仕入れ先)
・株式会社〇〇(小売業: 元勤務先の仕入れ先)
・有限会社〇〇(小売業: 仕入れ先)
・有限会社〇〇(小売業: 仕入れ先)
・有限会社〇〇(小売業: 仕入れ先)
創業計画書の書き方⑤ 従業員
創業計画書には、従業員数を記入します。
会社の規模が大きくなれば、従業員数は自然に増加していきます。
ただし、創業間もない時点では、多額の売上は見込めないので、あまりに多すぎる従業員数を抱えていることが、資金面でマイナスとなる可能性があります。
一般に、従業員に対する給与は固定費として支払わなければなりません。
つまり、毎月一定額の支出があるということです。
したがって、創業して間もない頃から多額の支出があることになってしまうので、 創業時にはあまり従業員を多くしないほうが安定した経営ができる と第三者からは判断されるケースが多いです。
創業計画書の書き方⑥ 借入状況
創業計画書は、資金繰りを見るうえでも非常に重要な書類です。
ここで言う借入状況とは、創業者個人の借入状況が問われています。
創業時点で事業資金を借り入れることは通常できないので(創業後に借り入れるのが普通)、
まずは個人の借入状況を記入することになります。
金融機関は、全銀協、CIC、JICCなどの個人信用情報登録機関に信用情報を照会することができます。
借入をしているにも関わらず、もしこの欄に記入がないと嘘の申告をしたとして、心証が悪くなるので注意してください。
住宅ローンや自動車ローンなどをはじめとする、個人の借入額、クレジット契約の有無や支払状況を確認できるので、正直に申告することが大切です。
・◯◯信販、自動車ローン、残高50万円、年間返済額50万円
創業計画書の書き方⑦ 必要資金と使い道、資金調達方法
創業計画書のなかでも、とても重要な箇所が、 必要資金と使い道、資金調達方法です。
創業したあと、経営の支えとなる運転資金としてどの程度の金額が必要なのかをできるだけ正確に見積もって記載します。
たとえば、飲食店経営を始めるのであれば、まずはお店となる店舗を借りることになります。
店舗を借り、調理に必要となる備品を調達しなければならないでしょう。
水道光熱費の支払いも必要となりますし、原材料の仕入れ価格の見積もりも必要となります。
無理な事業計画となっていないかの判断材料にすることから、正直に記載した方が良いですし、 楽観的に数字を見積もるよりも、より保守的に数字を見積もっておく ようにしてください。
たとえば、値上がりの結果として、10%程度仕入れ価格が高くなる可能性が高い場合には、10%程度高い仕入れ価格で見積もった方が、事業計画書のなかでは良いと考えられます。
・店舗 240万円
(内訳)保証金(敷金) 100万円、賃料 10万円/月 (年額120万円)
・備品 300万円
(内訳) 調理器具・調理備品 70万円、調理機器 200万円、パソコン等周辺機器一式(見積○○社)30万円
<調達の方法>
・商品仕入、経費支払資金など 150万円
(内訳)材料仕入20万×3か月=60万円、家賃支払10万×12か月=120万円、諸経費(光熱費)10万×3か月=30万
<運転資金>
・自己資金 300万円
・日本政策金融公庫からの借入 370万円(元金5万円×74回)
創業計画書の書き方⑧ 事業の見通し・将来性
経営者が、将来の見通しをどのように考えているかによって、資金繰り計画も変わってきます。
(1)創業当初
・売上高(火曜日定休)
ランチタイム: 500円×20席×1回転×26日=26万円
ディナータイム: 1,000円×20席×2回転×26日=104万円
売上高合計=130万円
・仕入高 原価率 40% 41.6万円(同業他社平均40%であるため40%で計算)
・人件費 役員1名 月10万円
・家賃10万円
・支払利息 500万円×年率2.0%=10万円
・その他経費(水道光熱費等)=10万円
(2)創業後1年目
・売上高(火曜日定休)
ランチタイム: 500円×20席×2回転×26日=52万円
ディナータイム: 1,000円×20席×2回転×26日=156万円
売上高合計=208万円
・仕入高 原価率 40% 62.4万円(同業他社平均40%であるため40%で計算)
・人件費 役員1名 月10万円
・家賃10万円
・支払利息 500万円×年率2.0%=10万円
・その他経費(水道光熱費等)=20万円
上記の表の根拠となる資料は次のように記載します。
創業当初 | 1年後 | 売上高、売上原価(仕入高)、経費の算定根拠 | |
---|---|---|---|
売上高① | 130万円 | 208万円 | 上記参照 |
売上原価(仕入高)② | 41.6万円 | 62.4万円 | 上記参照 |
経費(人件費) | 10万円 | 10万円 | 上記参照 | 経費(家賃) | 10万円 | 10万円 | 上記参照 | 経費(支払利息) | 10万円 | 10万円 | 上記参照 | 経費(その他) | 10万円 | 20万円 | 上記参照 | 経費合計③ | 40万円 | 50万円 | ①-②-③ | 48.4万円 | 95.6万円 |
創業計画書のテンプレートは公庫のサイトからダウンロード可能
創業計画書は公庫のサイトからダウンロードすることができます。
創業計画書を最初から自分で作成するのは難しいので、公庫のテンプレートを利用するなど、テンプレートに当てはめながら記入していきます。
創業計画書のテンプレートに当てはめることで、 第三者からみて重要となる項目がわかるため、金融機関等から融資を引き出すにあたって重要なポイントを押さえられる ようになります。
この意味でも、創業計画書は、テンプレートを利用するのがおすすめです。
公式テンプレートはこちらからダウンロードできます。
民間の金融機関や自治体からもテンプレートを入手できる
創業計画書のテンプレートは、 公庫だけではなく、民間の金融機関や自治体からもダウンロードすることができます 。
創業計画書の提出が求められるのは、融資を受ける場合であることがほとんどであるため、どこから融資を受けるかに応じて、どのテンプレートを利用するかを判断するのがおすすめです。
公庫から融資を受けたいのであれば、公庫のテンプレートを利用し、特定の民間金融機関から融資を受けたいのであれば、その機関のテンプレートを利用するようにします。
そうすることで、スムーズに事業資金を確保できます。
業種別創業計画書の記入例【個人事業主も使える】
ここからは、創業計画書の記入例を業種別に紹介します。
企業だけでなく、個人事業主も使えるため、参考にしてみてください。
建設業
建設業で創業する場合は、創業の動機としてこれまで建設業に携わった経験を記入します。
取り扱う工事の種類やセールスポイント、競合の状況 なども伝えることができれば、説得力のある創業計画書を作成できます。
福祉業
福祉業に携わってきた経験をアピールしつつ、これまでの経験と絡めた創業動機を記載することが大切です。
ターゲットとなるエリアを詳細に記載し、 なぜそのエリアで福祉業のサービスが必要なのかを伝える ことができれば、客観的に納得してもらえる創業計画書を作成できます。
美容室
美容室の創業計画書は、個人事業主も作成する機会が多いです。
創業の動機や経歴とともに、取扱商品やサービスの具体的な金額と売上シェアを記入します。
他の競合店との差別化をどのように図るか を伝えることができれば、説得力を高められます。
飲食店
飲食店を開業する場合は、これまでの経験に絡めた動機とともに、提供するメニューやお店の方向性をわかりやすく記入する必要があります。
提供する料理のジャンルや飲食店としての強みをアピール できれば、融資を受ける際に良い資料となります。
物販
物販の経験や専門性のアピールに加えて、 お店のコンセプトをきちんと伝えられる創業計画書の作成を意識 してください。
取り扱う商品の数や価格、自社の強みをできるだけ詳しく書く必要があります。
製造業
製造業の場合も、自身のこれまでの経験から創業動機を作成します。
自社の強みやセールスポイントを詳しく記入 し、納得して融資をしてもらえるようにします。
創業計画書以外で審査時に必要な書類
創業融資を受ける場合、創業計画書以外にも審査時に必要な書類があります。
申込みや面談で必要な書類を、それぞれ解説します。
申込で必要な書類
融資の申込時に必要な書類は、以下のとおりです。
- 設備の見積書
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本
- 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書
- 都道府県知事の推薦書または生活衛生同業組合の進行事業に係る資金証明書
- 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの身分証明書
- 許認可証
- 日本公庫電子契約サービス(国民生活事業)利用申込書
- 送金先の預金通帳の写し
- 借入申込書
スムーズに申込みができるように、必要書類をあらかじめ揃えておいてください 。
面談で必要な書類
面談時に必要な書類は、以下のとおりです。
- 創業計画に関連する資料
- 資産や負債がわかる書類
面談時は、創業計画書に記載されている内容について深掘りされます。
創業計画書の内容を補強する資料や、現在の資産や負債がわかる書類 を持参してください。
資産や負債がわかる書類の例は、自己資金を証明する預金通帳や借入状況を証明する残高証明書、事業の見通しを示す資料などです。
創業計画書の記入例まとめ
創業計画書は、これから始める事業を実現させるための計画書です。
事業の内容を整理して強みを理解し、関係者からの協力を得やすくするために必要なので、客観的に作成してください。
創業計画書のテンプレートは、日本政策金融公庫のWebサイトからダウンロードできます。
書き方のコツや記入例を参考に、自身がこれから始める事業の創業計画書を考えてみてください。
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