国金(国民生活金融公庫)とは?日本政策金融公庫との違いや融資制度の一覧と審査落ちする原因について
この記事では、上記のような疑問・お悩みを解決します。
国金とは「国民生活金融公庫」の略称で、現在の日本政策金融公庫のことをいいます。
中小企業や小規模企業などの、経済面を支援する活動を行うために設立された政府系の金融機関です。
融資の審査はとても厳しいわけではありませんが、しっかりとした準備やポイントを押さえなければ通らない可能性があります。
そこで今回は、国金の業務や融資制度について、また審査落ちの原因や審査に通るポイントなどについて詳しく解説します。
これから、国金での融資制度を利用しようと検討している人はぜひ参考にしてください。
- 現在は解散しており日本政策金融公庫が引き継いでいる
- 中小企業や小規模企業の強い味方
- 融資制度が充実しており幅広いニーズに対応
- 民間の金融機関から融資が受けにくい人をサポート
目次
国金とは?国民生活金融公庫(現:日本政策金融公庫)のこと
国金とは「国民生活金融公庫」の略称で、現在の日本政策金融公庫のことです。
中小企業などの経済面を支援する活動を行うために設立された、政府系の金融機関のひとつで政府公認といえます。
少し前までは、国金の略称で呼ばれていましたが、現在では日本政府金融公庫に変更されているため「公庫」と呼ばれることもあります。
業務は、銀行や信用金庫などの一般的な金融機関で、 融資を受けることが難しい中小企業などを対象として、好条件な貸付で融資を行っている機関です。
国民金融公庫と環境衛生金融公庫の統合により国金が設立
国金とは「国民金融公庫」と「環境衛生金融公庫」の統合によって設立されたものです。
国金の設立と同時に「中小企業金融公庫」と「農林漁業金融公庫」も統合されています。
以前は、飲食店や理美容業などは「環境衛生金融公庫」、農林漁業関連の貸付は「農林漁業金融公庫」、さらに小口の事業資金貸付は「中小企業金融公庫」が行うなど、それぞれが分担した役割を担っていました。
全てを統合する国金が設立されたことで、一社ワンステップというシステムが完成し、幅広いニーズに対応できる政策金融機関となったのです。
さらに国金は、災害の際のライフラインを強化する貸付にも対応しています。
そのため、民間の金融機関である銀行や信用金庫などの取り組みを補完する形をとっていました。
国金は小口の貸付けを業務として行っていた
国金のメインの業務として、事業資金や教育ローンなどの小口の貸付けが挙げられます。
特に、民間の金融機関である銀行や信用金庫などから融資を受けることが難しい、中小企業や個人事業主に対して貸付け業務を行っていました。
しかし、2020年10月1日より業務が移管され「日本政策金融公庫」が引き継ぐようになりました。
国金(国民生活金融公庫)の業務は日本政策金融公庫が引き継いでいる
国金の業務については、2020年10月1日以降は「日本政策金融公庫」が引き継いでおり、現在も融資は可能です。
日本政策金融公庫は、銀行や信用金庫などの取り組みを補完するだけでなく、中小企業や個人事業主などを含む小規模事業者などの、事業支援をする政策金融機関です。
日本政策金融公庫は、日本公庫(にっぽんこうこ)とも呼ばれており、国民生活事業、農林水産事業、中小企業事業の3つの事業を設けています。
事業 | 業務内容 |
---|---|
国民生活事業 | ・小口の事業資金融 ・資創業支援、事業再生支援、事業承継支援、ソーシャルビジネス支援、海外展開支援 ・国の教育ローン、恩給・共済年金などを担保とする融資 |
農林水産事業 | ・担い手を育て支える農林水産業者向け融資 ・食の安全の確保、農食連携を支える加工流通分野向け融資 ・コンサルティングやビジネスマッチングなどの経営支援サービス |
中小企業事業 | ・中小企業への長期事業資金の融資 ・新事業支援、事業再生支援、事業承継支援、海外展開支援 ・証券化支援 ・信用保証協会が行う債務の保証に係る保険引受など ・ビジネスマッチングなどによる経営課題解決支援 |
この3つの事業を設けることで、融資や支援などの業務を行い、国民の生活面を向上させることを目的としています。
国金は国民生活事業として現在も業務を行っている
国金は解散しましたが、国金が行っていた業務に関しては「国民生活事業」という日本政策金融公庫のひとつとして引き継がれています。
また、中小企業金融公庫と農林漁業金融公庫もそれぞれ引き継いで事業を行っています。
国民生活金融公庫 | →国民生活事業 |
---|---|
中小企業金融公庫 | →中小企業事業 |
農林漁業金融公庫 | →農林水産事業 |
国民生活事業は、小規模事業者や個人企業などの事業の資金融資を行うほか、教育に関する支援融資など複数の制度があり、幅広いニーズに応えることができる機関です。
国民生活事業の融資制度一例
国民生活事業での融資は、残高平均は約1,000万円で、短期の運転資金も取り扱いができる特徴があります。
また、幅広く支援するために融資制度の種類は豊富です。
小規模事業者や個人企業で融資を希望している人は、融資制度の一例も参考にしてみてください。
国民生活事業の融資制度 | 概要 |
---|---|
一般貸付 | 一般貸付 |
セーフティネット貸付 | ・経営環境変化対応資金 ・金融環境変化対応資金 ・取引企業倒産対応資金 |
新企業育成貸付 | ・新規開業資金 ・女性、若者/シニア起業家支援資金 ・再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資 |
企業活力強化貸付 | ・企業活力強化資金 ・IT活用促進資金 ・海外展開、事業再編資金 |
環境・エネルギー貸付 | ・環境・エネルギー対策資金 ・社会環境対応施設整備資金 |
企業再生貸付 | 企業再建資金 |
そのほかの融資制度 | ・災害貸付 ・東日本大震災復興特別貸付 ・新創業融資制度 |
生活衛生貸付 | ・一般貸付(生活衛生貸付) ・振興事業貸付 ・生活衛生改善貸付 |
国の教育ローン | 教育一般貸付(国の教育ローン) |
恩給・共済年金担保融資 | 恩給や共済年金担保融資 |
例えば、その他の融資制度の項目にある「新創業融資制度」は、創業者向けの融資制度となっており、新しく事業を始める人や事業を開始したのちに税務申告を2期終えていない人が対象です。
原則、担保と保証人は不要、さらに融資限度額は3,000万円です。
しかし、融資金額のうち半分に値する1,500万円は運転資金でなければなりません。
適用金利は、融資の期間や資金の使い道によって異なりますが、法人であれば連帯保証人を代表者がすることで、実質年率が0.1%低減されるようになっています。
注意点として、新たに事業を始める人や事業開始後に税務申告を1期終えていなければ、創業資金総額の10分の1を超える自己資金が必要です。
日本政策金融公庫の融資で審査に落ちた人の特徴
一般融資や追加融資など、いくつかの融資がある日本政策金融公庫は、中小企業など向けとなっており、比較的利用しやすい金融機関です。
ただし、誰でも融資を受けることができるわけではなく、中には審査に落ちる人もいます。
融資を検討している人は、審査に落ちる人の特徴をしっかりと確認してから利用してください。
- 信用情報や支払いなど金融事故を起こしている(ブラックリスト)
- 融資希望額に根拠がない
- 事業計画がずさん
信用情報や支払いなど金融事故を起こしている(ブラックリスト)
信用情報は融資を受ける際には非常に大切な項目です。
問題のある信用情報では、貸したお金が本当に返ってくるのかと金融機関側は考えます。
そのため、事業主や代表取締役などの信用情報に問題があれば、審査に通りにくくなるので注意してください。
・現在借りているローンの返済が滞っている
・クレジットカードの支払いが遅れている(1日でも不可)
・携帯の支払いが遅れている(1日でも不可)
そのほか、公共料金や税金の支払いが滞納している場合も審査に影響します。
信用情報には記載されない公共料金や税金も、通帳の内容を見ることで、しっかりと確認されています。
クレジットカードや携帯の支払いのように、支払いの遅れが1〜2回ほどであれば、審査に大きく影響はしません。
しかし、過去に債務整理をしている、現在の借入の支払いが滞っているなどの場合は審査に影響が出る可能性が非常に高いです。
借入の返済に問題がある人は、まずは税金や公共料金の未払いをしっかりと解消してから利用するようにしてください。
融資希望額に根拠がない
融資の希望金額については、しっかりとした根拠を説明できるようにしてください。
希望額があまりにも過剰であると、減額または審査に落ちるリスクが高まります。
例えば、使用する営業車の設備資金を融資するとします。
営業は外回りが多く、軽自動車や乗用車でも十分な車両ですが、営業車にしては高級車を希望したり、過剰なオプションをつけるような金額の融資は受けられない可能性が高いです。
基本的には、融資の受けられる金額は、事業の改善や拡大などを中心としており、本当に必要な金額までしか受けられないと考えておいてください。
審査落ちしないようにするため、 融資金額の見積もりは慎重に行い、妥当な金額を申請するようにすることが重要です。
事業計画がずさん
融資を受ける際、曖昧な事業計画では審査に落ちる可能性が高くなるため、しっかりと計画するようにしてください。
審査では、事業の改善や拡大が可能であるかどうかが非常に重要となります。
不要な融資や事業の拡大が難しいような事業計画には、融資をしてくれません。
融資でどれくらいの売り上げを作って、利益をどの程度出すのかなど具体的な事業計画をきちんと作成すると共に、合わせて口頭でもきちんと説明できるように準備することが大切です。
日本政策金融公庫の創業融資で審査を通過するポイント
創業融資とは、開業する前から開業2期目までに限定されている日本政策金融公庫の融資制度のことです。
期間が限定されている融資のため、審査に関しては、事業を始めている人とは別の基準となっています。
事業の実績がない時に利用できる融資なので、開業の際にどれくらい準備をしていたかが審査で重視されやすいという特徴があります。
- 自己資金は最低でも希望額の1割以上用意する(理想は3割)
- 携わる業界・業種での経験がある
- 事業をする上での許認可などをしっかり取得している
自己資金は最低でも希望額の1割以上用意する(理想は3割)
創業融資を受ける際、創業して間もなく売り上げを立てることが難しい場合や、半年間ほどは安定した売り上げが立たない場合などは、ある程度の自己資金が必要です。
自己資金がないまま、開業資金の融資割合が大きいと貸し倒れになる可能性が高まり、融資不可の判断が下されます。
そのため、自己資金がないまま創業融資を受けることは難しく、最低でも融資希望額の1割以上は用意する必要があります。
また、審査は自己資金だけでは判断されませんが、可能であれば希望額の3割〜半分程度のあると安心です。
自己資金を希望融資額の10分の1ほどしか準備できない場合は、見込みの顧客がいて売り上げが立つ見込みがあるなど、事業計画においてフォローできる体制を整えておく必要があります。
できれば、審査においては半年前の通帳の預金と比較することがあるため、自己資金は半年以上前から計画性を持って貯めておくようにしてください。
半年前から見て、預金額の増減によっては、開業に向けての計画がしっかり準備できていないとみなされ審査落ちの原因になる可能性があります。
携わる業界・業種での経験がある
携わる業界や業種でどれだけ経験があるかは、非常に重要です。
開業予定の業種において、経験が浅い場合は審査に通りにくい可能性が高いです。
なぜなら、事業を行う際には、サービスや商品の販売業務だけでなく、仕入れの方法や広報の仕方など、その業界ならではの詮術がある可能性も否定できません。
新たに創業する業界での経験が全くなければ、事業のために必要な経験がある証明ができないため、審査に通りにくいといえます。
経験があると判断されるのは、だいたい6年以上経験していることとされています。
過去ではなく直近で経験があることが望ましいですが、過去の業界経験や、アルバイトでの経験も考慮してもらえることも少なくありません。
6年以上の経験がなくても、営業トップだったなどの実績を示すことも重要なカギとなるため、それぞれの証明ができるようにしておくと安心です。
事業をする上での許認可などをしっかり取得している
創業融資の審査に通るためには、事業をする際に必要な許認可などをしっかりと揃えておくことが重要です。
もしも、許認可がないまま事業を開始してしまった場合、罰金を課せられたり、営業を停止しなければならない事態となります。
中でも、営業停止になってしまうと事業が止まり、利益を出す事が難しくなってしまい融資の返済が滞ってしまいます。
このようなことにならないためにも、許認可の条件をしっかりと揃えてから、日本政策金融公庫の担当者に示すことが重要です。
また、許認可を取得することと、創業融資の申し込みを同時に行う場合には、許認可の申請書類の写しさえあれば手続きが可能です。
しかし、許認可の合格が確認されるまでは、融資は行われず、許認可が取れなかった場合は審査に落ちるという結果となります。
創業融資の審査に落ちると、半年は再申し込みができません。
そのため、許認可を先に取得してから申し込みを行うようにしてください。
日本政策金融公庫の追加融資で審査落ちする原因
日本政策金融公庫の融資は1回だけでなく、2回目以降の追加融資を受ける事ができます。
以前の分の返済を行っている期間でも追加融資は可能ですが、審査落ちする原因が2つ考えられます。
追加融資を希望している人はぜひ参考にしてみてください。
- 利益がでていないので返済能力や経営力がないとみなされる
- 最初の融資目的と違った資金の使い方をしていたことがバレる
利益がでていないので返済能力や経営力がないとみなされる
日本政策金融公庫から以前に融資を受けており、追加で融資を希望する場合は、利益が出ていなければ審査に通ることは難しいです。
1回目の融資の際は、利益が出ることを期待して融資が行われています。
しかし、その利益が出ていないということは、事業計画の甘さが浮き彫りとなっており、返済能力がないと見なされてしまうのです。
利益が出ていない状態で追加融資を受けたい場合には、決算書や確定申告の作成をすることをおすすめします。
融資を受ける事ができれば、事業の改善が見込めることを審査の担当者にアピールする事が重要です。
最初の融資目的と違った資金の使い方をしていたことがバレる
以前の融資で示した目的と違った資金の使い方をしていれば、追加融資の際に知られ審査に落ちる可能性が非常に高いです。
事業の融資は、しっかりとした資金の目的があって初めて貸し出されるため、申告していた資金使途以外での使用は認められていません。
例えば、事業で必要な車を購入するための融資を、車ではなく別の設備に使用していたとします。
このような場合は、適切な融資が行われていなかったとみなされ、資金使途違反と判断されます。
そうなると、また目的と違う使用をされる可能性があると判断され、今後融資を受けるのは難しいです。
また、追加融資の際に資金使途違反がわかると、場合により一括返金が求められる可能性があることに注意してください。
国金(日本政策金融公庫)の審査で落ちてしまったら?
国金の審査に落ちてしまった場合には必要な対応が3つあります。
国金の審査落ちした人はぜひ参考にしてみてください。
- 国金(日本政策金融公庫)の審査で落ちた原因を明確にする
- 再度申し込みをする場合は半年以上経過してからにする
- 国金以外の融資制度も検討する
国金(日本政策金融公庫)の審査で落ちた原因を明確にする
国金の審査に落ちた原因には、必ず何らかの理由があるため、まずは、その原因を把握する事が重要です。
原因を明確にしなければ、何度申し込みを行っても審査に落ちてしまいます。
どうしても審査落ちの原因が全くわからないといった場合には、専門家に相談することをおすすめします。
再度申し込みをする場合は半年以上経過してからにする
国金の審査に落ち、再度申し込みを行う際は焦ってはいけません。
まずは、時間をかけてしっかりと準備することを重視してください。
例えば、自己資金が足りなければ自己資金を貯めたり、業界の経験が少ない場合は、経験を積んだりなどできることをしておくことが重要です。
また、審査落ちした原因にもよりますが、一度落ちると半年ほどは再度申し込みをしても審査に通りにくい可能性が高いので、しっかりとした準備期間を持ってから申し込みをすることが大切です。
国金以外の融資制度も検討する
国金での審査に落ちた場合には、国金以外の金融機関の融資も検討するようにしてください。
事業を開始している場合であれば、メインバンクにしている金融機関で融資も検討すると融通がきくことがあるため、国金以外の融資を利用することも一つの手段です。
ただし、国金で審査落ちした原因を改善していなければ、同様に審査落ちする可能性もあります。
そのため、審査落ちした原因をしっかりと把握してから、他の金融機関への申し込みを検討してみてください。
まとめ
国金は、国民生活金融公庫の略称となっており、現在はありませんが、国民生活金融公庫が業務の一部を引き継いでいます。
国金の主な業務は資金の貸付を行っており、 他の金融機関から借りられなかった中小企業や小規模企業の強い味方となっています。
さらに、幅広いニーズに応えることができるように、充実した融資制度が特徴的です。
融資の審査はそこまで厳しいわけではありませんが、必ずしも誰でも通るとは限りません。
しっかりとした事業計画書の準備や、審査に通るためのポイントを押さえて申し込みをするようにしてください。
昨日は0人が事業資金の調達に成功しました。
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