中小企業の資金調達における現状と課題とは?おすすめの資金調達方法と難しい理由、成功させるポイント

中小企業の運転資金などを調達するための方法は、日本政策金融公庫の利用や制度融資、クレジットカードのキャッシング枠などです。
また、融資が難しいのであればファクタリングやベンチャーキャピタルなどの出資などもあります。
今回の記事では、中小企業の資金調達の現状や課題、資金調達方法などについて解説します。
記事を読むことで、どの資金調達方法がおすすめなのかについてわかりますので、ぜひ参考にしてください。
目次
中小企業における資金調達の現状
引用:第1部 令和6年度(2024年度)の中小企業の動向|2025年版「中小企業白書」
中小企業庁が毎年作成している中小企業白書は、中小企業の資金調達に関する調査や経済的動向、抱える課題などの結果をまとめた報告書です。
2025年版の中小企業白書によると、企業規模別の貸出残高の推移は上記の表のとおりです。
2024年における中小企業の貸出残高は、昨年に引き続き増加傾向 にあります。
このことから、銀行をはじめとする金融機関による資金の貸出は、中小企業に不可欠な存在であるとわかります。
課題は運転資金の調達が不足していること
中小企業の課題として、運転資金の調達が不足していることが挙げられます。
企業の必要運転資金は、「受取手形・売掛金+棚卸資産(在庫)ー仕入債務(買掛金+支払手形)」で求められます。
中小企業庁が実施している中小企業実態基本調査の令和6年確報のデータをもとに計算すると、中小企業の運転資金合計額は約69兆円です。
しかし、中小企業の短期借入金合計額は約62兆円であるため、中小企業は必要運転資金が約7兆円不足しているとわかります。
中小企業は小規模であり、財務を専門とする人員が不足しやすいのが特徴です。
金融機関の融資を受けるためには、資料の準備や交渉に時間をかけなければならないので、 財務専門の人員が不足している中小企業で借入れをするのは難しい ことが多いです。
だからこそ、中小企業は十分な借入れを受けられず、運転資金が不足しやすいといえます。
出典:中小企業実態基本調査 令和6年確報(令和5年度決算実績)|e-Stat 政府統計の総合窓口
中小企業ができる融資での資金調達方法
中小企業が利用できる融資での資金調達方法として、以下のようなものが挙げられます。
それぞれの特徴を解説します。
- 日本政策金融公庫中小企業事業の融資
- 制度融資
- クレジットカードのキャッシング枠
日本政策金融公庫中小企業事業の融資
中小企業は、日本政策金融公庫の中小企業事業の融資を受けることができます。
中小企業の事業は日本経済や地域経済を支えているとして、 一般的な金融機関からの借入れが難しい企業に対しても融資を実施 しています。
例えば、以下のような方を対象に低金利で融資を行っているので、利用しやすいです。
- 新たに事業を始める方
- 事業の拡大や生産性向上を図る方
- 事業の再建を図る方
- 一時的に業況が悪化している方 など
制度融資
中小企業は、制度融資で資金調達することができます。
信用保証協会の審査に通過すると、協会が信用保証をしてくれます。
これにより、 万が一中小企業が返済できなくなった場合に協会が弁済してくれる ため、金融機関も融資をしやすくなります。
クレジットカードのキャッシング枠
資金調達が必要な中小企業は、クレジットカードのキャッシング枠を利用できます。
すでにキャッシング枠が設定されているクレジットカードを持っている場合、 審査不要でお金を借りることが可能 です。
一時的に資金が不足したときに便利ですが、キャッシングの上限額は少額なので、万が一の際に足りるかどうかは確認してください。
また、キャッシングの金利は高めに設定される傾向があるので、頻繁に利用すると資金繰りの悪化につながるリスクがあります。
中小企業の資金調達(融資など)が難しい理由
融資をはじめとする中小企業の資金調達は、難しいことが多いです。
その理由を以下で解説します。
経営が安定していないケースがあるから
中小企業の資金調達が難しい理由の一つが、経営が安定していないことです。
一般的に、中小企業は大企業よりも経営が不安定な傾向があります。
金融機関は貸したお金を返してもらわなければ損をしてしまうため、 収益性や財務状況に問題がある企業にはお金を貸しません 。
そのため、中小企業が金融機関の融資を申し込んでも審査に通らず、資金調達ができない場合があります。
担保にできる不動産を保有していないから
担保にできる不動産を保有していないことも、中小企業の資金調達が難しい理由の一つです。
経営が赤字であったり、実績があまりなかったりしても、 担保となる不動産を保有していれば金融機関の融資を受けられる場合があります 。
しかし、中小企業は大企業ほど資産を保有していない傾向があるため、担保にできる不動産がなく、融資を受けられないケースが多いです。
直接金融は大企業でなければ成立しにくいから
直接金融による資金調達は大企業でなければ成立しにくいため、中小企業には難しい傾向があります。
大企業は経営に関する情報を広く開示するため、投資家も安心して株式や債券を購入できるという背景があります。
一方、 中小企業は大企業よりも情報開示が限定的になりやすく、資本市場へのアクセスも限られる のが一般的です。
そのため、中小企業は投資家から選ばれる機会が少なく、直接金融による資金調達が難しいことが多いです。
中小企業が資金調達を成功させるポイント
中小企業が資金調達を成功させるポイントとして、以下の3つが挙げられます。
これから資金調達を考えている場合は、以下をクリアしているか確認してみてください。
事業計画書を綿密に作成する
資金調達を成功させたい中小企業経営者は、事業計画書を綿密に作成することが大切です。
融資を受ける場合は、事業計画書の提出が求められることが多くあります。
事業の実現性が高く、返済計画がきちんと決められているとわかる事業計画書 を提出すれば、審査で有利になる可能性が高いです。
資金調達の目的や必要金額、事業概要、ビジネスモデルや経営戦略などの情報を時間をかけて記入し、説得力のある事業計画書を作成する必要があります。
手数料や金利を複数の金融機関で比べる
中小企業の資金調達を成功させたいなら、手数料や金利を複数の金融機関で比べるようにしてください。
金融機関や商品によって、手数料や金利は異なります。
手数料や金利などの条件が良いローン商品を選べば、 一時的な出費や利息による継続的な出費を抑えることが可能 です。
特に、金利の負担が大きい場合は返済総額が高くなり、返済が滞るリスクが高まります。
経費支出を減らす
資金調達を成功させたい中小企業経営者の方は、経費支出を減らすことを心がけてください。
資金調達を成功させたいなら、借入額をできるだけ減らすことが大切です。
借入額が大きいほど返済負担が大きくなるため、金融機関の審査が厳しくなる傾向があります。
本当に必要な金額だけを借りる形にすれば、審査に通る可能性を高めることが可能です。
普段経費として支出している金額を確認し、減らせる部分は減らして借入額を削減 してください。
中小企業ができる返済不要の資金調達方法
中小企業ができる資金調達のなかには、返済不要のものがあります。
以下の方法を確認し、利用を検討してみてください。
- ファクタリング
- ベンチャーキャピタルなどの出資
- 使っていない資産の売却
- クラウドファンディング
- 助成金や補助金
- 事業売却(M&A)
- 自己資金
ファクタリング
ファクタリングは、中小企業が利用できる資金調達方法の一つです。
未回収の債権を売却することで資金を調達する方法なので、融資と異なり返済はありません。
申込みから短時間で現金化しやすく、担保や保証人が不要 のため、中小企業にとって利用しやすい資金調達方法といえます。
ただし、ファクタリングの利用には手数料が必要なので、頻繁に利用していると資金繰りが悪化する点には注意が必要です。
ベンチャーキャピタルなどの出資
ベンチャーキャピタルから資金調達をすれば、融資ではなく出資になるため、返済不要です。
ベンチャーキャピタルから調達できる資金は大きいため、 事業の成長性が見込めると判断してもらえれば中小企業でもまとまった資金を得られます 。
経営のノウハウを学べるというメリットもありますが、ベンチャーキャピタルの意向に沿った経営が求められる点は知っておく必要があります。
使っていない資産の売却
使っていない資産を売却すれば、返済不要で資金調達できます 。
一般的に中小企業は資産が少ない傾向がありますが、もし使っていない資産がある場合は売却を検討してみてください。
以下のような資産のなかで、購入したものの現在使用していないものがないか確認することが大切です。
- 土地
- 工場
- 借地権
- 有価証券
- 機械設備
- 備品
- ソフトウェア など
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネット上で公開したビジネス案やプロジェクトに賛同したユーザーから資金調達する方法です。
ビジネスやプロジェクトの魅力をアピールできれば、まとまった出資が期待できます 。
融資ではないので返済不要であり、リターンをしない寄付型のほか、自社製品やサービスなど金銭以外の形でリターンをする購入型などがあります。
助成金や補助金
助成金や補助金を活用することで、中小企業は返済不要で資金調達できます 。
国や地方自治体は、企業をサポートするために助成金や補助金を用意しています。
中小企業でもまとまった金額を受給できるため、利用できるものがあるかどうか調べてみてください。
ただし、助成金や補助金は、申請してから受給するまでに時間がかかる傾向があります。
事業売却(M&A)
中小企業は、 自社の事業を売却(M&A)することで返済不要の資金調達が可能 です。
収益性がよくない事業や他の事業との相乗効果を得るのが難しい事業がある場合は、資金調達のために譲渡する方法があります。
買い手が見つかればまとまった資金を調達できるので、利用を検討してみてください。
ただし、買い手がなかなか見つからないケースが多いため、速やかな資金調達が難しい可能性もあります。
自己資金
中小企業の経営者が、自らの貯蓄や資産を自己資金として企業に投入し、運転資金や成長資金として使う方法があります。
自己資金は返済不要で制約が少ないため、中小企業でも利用しやすい 資金調達方法です。
経営者の預貯金や株式などの売却金、車などの資産の売却金などが自己資金として使われます。
自己資金が多いほうが金融機関からの融資も受けやすくなるため、必要に応じて自己資金の投入も検討してみてください。
中小法人でも即日可能な資金調達方法
中小企業でも利用できる資金調達方法のなかには、実際に資金を得られるまでに時間がかかる方法もあります。
以下の方法は即日可能なので、速やかに現金が必要な場合は利用を検討してみてください。
- 手形割引
- ビジネスローン
- 家族や知人からの借入
手形割引
速やかに資金調達したい中小企業の選択肢として、手形割引があります。
手形は期日まで決済できないため、将来的にお金が入ってくることが確定していても手元の資金が不足するおそれがあります。
そのような場合に 手形割引を利用することで、速やかに現金を手にすることが可能 です。
手数料が必要なので受け取れる金額が少なくなりますが、キャッシュフローの改善が必要な場合は利用を検討してみてください。
ビジネスローン
事業資金の融資を受けられるビジネスローンのなかには、即日可能なものがあります。
一般的に、 ビジネスローンは公的な融資や銀行融資よりも審査のスピードが速く、すぐに資金調達できる 傾向があります。
ただし、公的融資や銀行融資よりも金利が高いローン商品があるため、返済負担が重くならないように事前のシミュレーションが大切です。
家族や知人からの借入
家族や知人からお金を借りることも、中小企業ができる資金調達方法の一つです。
相手が了承してくれれば速やかに資金を調達でき、返済期日などの条件も柔軟に設定できます 。
ただし、返済が滞ると仕事だけでなくプライベートにも悪影響を及ぼす点は覚えておかなければなりません。
中小企業の資金調達まとめ
中小企業は融資による資金調達が可能である一方、経営の不安定さや担保となる不動産の不足などの理由で融資を受けるのが難しいこともあります。
中小企業が資金調達を成功させるためには、事業計画書の作成や経費削減による借入額の減少などが必要です。
資金調達方法のなかには、ファクタリングや出資のような返済不要のものや、手形割引やビジネスローンなどの即日可能なものがあります。
それぞれの特徴を確認し、利用しやすいと思うものを選択して資金調達を行ってください。
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