自己破産するとどうなる?費用や借金が家族・年金に与える影響とメリット・デメリットを解説

荒井美亜
荒井美亜
更新日2026/4/20
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自己破産したらどうなる?何を失う?

自己破産したら車や家族・仕事はどうなる?

自己破産にかかる費用はどのくらい?

自己破産をすると、生活をする上でさまざまな影響が出てきます。

例えば、借金は一部の例外を除いてゼロにはなりますが、ローンが残っている住宅や車などを手放すことになります。

また、保証人がいる場合はそちらに請求が行くことになりますので、人間関係がこじれる可能性があるのもデメリットです。

一方で、自己破産をしただけで家を借りられないわけではなく、選挙権がなくなることもありません。

また、自己破産をする場合は弁護士費用として30〜50万円、裁判所への予納金等で2〜50万円で合計100万円近くかかることもありますので、資金が必要であることも考慮してください。

したがって、自己破産をする場合は、利用するメリットとデメリットを考えて検討することをおすすめします。

今回の記事では、自己破産をした後の影響と費用、注意点などを解説します。

記事を読むことで、自己破産をすべきかどうかなどがわかりますので、ぜひ参考にしてください。

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自己破産した後の影響がわかる早見表

自己破産とは
財産や収入が足りず、借金返済の見込みが立たない場合に行う債務整理の一種。

所定の手続きの上、借金が返済できないので帳消しにしてもらうことを裁判所に認めてもらえれば、 一部の例外を除いて借金の支払義務が免除されます。

MEMO
借金を帳消しにしてもらうことを「免責許可」といいます。

自己破産をした場合、生活のさまざまな面で影響が出るので、具体的にどのような影響が及ぶのか、一覧表にしてみました。

項目 概要
借金 税金など一部の債権を除き、基本帳消し。ただし「ギャンブルで大損して借金を作った」など借金をした経緯次第では帳消しにできないことがある。
持ち家は原則手放さないといけない。ただし「持ち家を手放すと住むところがない」など事情次第では、裁判所の判断により済み続けられることも。
携帯電話 通信費の滞納や端末分割購入代金の残高がある場合は強制解約される可能性がある。ない場合は問題なく使い続けられる。
家族 法律上特に影響はないが、現実的には家や預貯金を手放すため影響が及ぶ。離婚の話が出た場合は、弁護士や司法書士に相談して進めること。
価値が20万円以上なら手放す必要あり。20万円未満の場合はそのまま所持できる。ただし、ローンで購入し、残債があるなら基本的に没収される。
年金 公的年金は問題なく受給できる。保険会社が販売する個人年金保険に加入していた場合、解約返戻金の額次第では差し押さえられる。
保証人 自己破産した場合、それまでの借入は保証人が代わりに支払うことになる。保証人も自己破産した場合は返済が免除される。
奨学金 貸与型の奨学金の場合、保証人が支払う。ただし、保証機関を使って借りていた場合は特に何もない。なお、子どもが奨学金を借りたい場合も、保証機関を使えば借りることは可能。
職業 一部の職業については、資格が一定期間停止される。しかし、資格制限がない職業である場合は特に影響がない。
旅行 冠婚葬祭や家族の介護など合理的な理由があればOK。単に娯楽のための旅行はNGの可能性が高い。
養育費 支払う側だった場合、自己破産しても免除はされない。受け取る側だった場合、自由財産の拡張により全額残せる可能性があるため要相談。
家族バレ 不可避。特に、家族からお金を借りていた場合は必ず連絡される。連絡されなくても持ち家や預貯金を手放すのでいずれは気づかれる。
会社バレ 勤務先の借金があったり、資格制限を受けたりする職業に就いている場合は知られる可能性が高い。ただし、自己破産をしたことだけを理由に解雇される可能性は低い。
選挙権 選挙権・被選挙権ともにそのまま。
生命保険 解約返戻金は破産財団に当てられるため解約しなければならない
信用情報 いわゆるブラックリストにのるため、完済後5〜10年間は借入できない

自己破産したらどうなる?何を失うのか

自己破産したら生活の様々な面で影響が出ますが、さほど影響がない部分もあります。

ここでは、以下のようにさまざまなシチュエーションを想定し、自己破産により及ぶ影響について解説します。

自己破産するとどうなるのか?
  • 自己破産すると借金はどうなる?
  • 自己破産すると家はどうなる?バレる?
  • 自己破産すると携帯電話はどうなる?
  • 自己破産すると家族はどうなる?
  • 自己破産すると車はどうなる?
  • 自己破産すると年金はどうなる?
  • 自己破産すると保証人はどうなる?
  • 自己破産すると奨学金はどうなる?
  • 自己破産すると給料の差押えはどうなる?
  • 自己破産すると生活保護はどうなる?
  • 自己破産すると家は借りれない?
  • 自己破産すると会社にバレる?
  • 自己破産すると仕事ができなくなる職業は?
  • 自己破産すると旅行はできなくなる?
  • 自己破産すると退職金はもらえない?
  • 自己破産すると養育費はどうなる?
  • 自己破産すると選挙権がなくなる?
  • 自己破産すると生命保険はどうなる?
  • 自己破産すると信用情報はどうなる?

自己破産すると借金はどうなる?

自己破産をした場合、借金は一部の例外を除きゼロになります。

つまり、クレジットカードの利用残高や消費者金融などのカードローンの残高も、 基本的には返済する必要はありません。

ただし、仮に自己破産したとしても、一定の債権については返済義務が残ります。

このような債権を非免責債権といい、具体的には以下のものが当てはまります(破産法第253条1項)。

自己破産における非免責債権の例

  • 滞納している税金や社会保険料
  • 「暴力をふるってケガさせた」「詐欺でお金を盗んだ」など不法行為により生じた損害賠償
  • 養育費や婚姻費用
  • スピード違反などによる罰金

自己破産すると家はどうなる?バレる?

自己破産をした場合、基本的に家は手放さないといけません。

住宅ローンが残っている状態で自己破産をした場合、金融機関が抵当権を実行します。

つまり、家を没収して競売にかけて、代金をローンの返済に充てると考えてください。

また、住宅ローンを完済していた場合でも、破産管財人が自己破産手続きの一環として家を競売にかけ、債権者への配当に回します。

なお、自由財産の拡張手続きをすれば、家に住み続けられる可能性はあります。

つまり、裁判所にこの家を手放したらどこにも住めないなど事情を伝え、生活に最低限必要な財産として残してもらう手続きをするということです。

MEMO
この方法を希望する場合は、司法書士・弁護士に相談したうえで、どのように説明すれば認められる可能性があるかを十分に話し合う必要があります。

自己破産すると携帯電話はどうなる?

自己破産した場合、携帯を使い続けられるかはケースバイケースです。

前提として、以下の条件をすべて満たすなら、特に問題なく使い続けられます。

自己破産しても携帯を使い続けられるケース

  • 携帯端末代金の割賦払いは完済済み
  • 未払利用料金など携帯電話会社に対する債務がない
  • 携帯電話本体の価値が20万円以下
  • 注意が必要なのは、携帯端末代金の残高があったり、利用料金の未納・滞納があったりした場合です。

これらはすべて債務として扱われるため、支払義務こそ免れるものの、強制解約の対象となります。

MEMO
自己破産後も携帯電話を使い続けたい場合は、弁護士・司法書士に相談のうえ、携帯電話会社との交渉をするのが現実的な方法です。

なお、債務が残っていた状態で自己破産に至った場合、その後一定期間は携帯電話の新規契約、端末の分割払い購入は難しくなります。

MEMO
自己破産などの事故情報は、各キャリア間で共有されているためです。

交渉が不成立に終わった場合は、家族名義で携帯電話を契約してもらい、使うことも考えられます。

事故情報は本人以外には一切影響がないためです。

自己破産すると家族はどうなる?

例え自己破産をしたとしても、 一人暮らしかつ家族からお金を借りたり、保証人にしていたりしなかった場合は知られずに自己破産の手続きができます。

しかし、配偶者や子どもがいる場合はかなり難しいです。

以下のような影響が及ぶため、遅かれ早かれ知られることになります。

自己破産による家族への影響

  • 持ち家、車、一定額以上の現金は手放さないといけない
  • 家族を保証人にしていた債務を返済しないといけない
  • クレジットカードや保険が強制解約される
  • 契約を結ぶ際にも保証人にはなれない

なお、自己破産をしたことで離婚の話が出たとしても、タイミングには注意しなくてはいけません。

MEMO
財産隠しのために離婚をしたと判断された場合、免責不許可事由とされ、自己破産ができなくなる可能性があるためです。

配偶者がいる状態で自己破産をする場合は、弁護士や司法書士にも協力してもらい、離婚するか否かを含め包み隠さず話すのをおすすめします。

自己破産すると車はどうなる?

自己破産をした場合、持っている車を手放さないといけないかは、ケースバイケースです。

まず、自動車ローンが残っていない場合は、自動車の価値を基準に判断します。

20万円未満の場合は原則、そのまま持ち続けることが可能です。

一方、20万円を超えている場合は原則処分が必要です。

ただし、公共交通機関に乏しく、自動車がないと生活できないなど自動車を持ち続けたい事情があるなら、自由財産拡張の申立書」を裁判所に提出することで、例外的に維持できることもあります。

MEMO
自由財産拡張が認められる基準はかなり厳しいため、実際に提出する際は、事前に破産管財人に相談するのをおすすめいたします。

また、自動車ローンが残っている場合は、基本的に自動車は引き上げられると考えてください。

MEMO
「所有権留保」といって、自動車ローンを完済するまで所有権は借入先となる銀行などの金融機関にあるとされているためです。

自己破産すると年金はどうなる?

結論からいうと、自己破産したとしても年金を受け取れなくなることはありません。

MEMO
国民年金や厚生年金などは「差押禁止財産」であると法律(国民年金法、厚生年金保険法)で決められているからです。

また、iDeCo(個人型確定拠出年金)で積み立てをしていた場合でも、確定拠出年金法の規定により差し押さえられることはありません。

なお、病気やけがで働けなくなった場合に受け取れる障害年金や、万が一のことがあった場合に遺族が受け取れる遺族年金についても、差し押さえられることはありません。

一方、民間の保険会社が販売する個人年金保険は、解約返戻金が20万円を超える場合、差し押さえの対象になります。

また、受け取った公的年金を一定額以上の現預金として持っていた場合や、借入残高のある銀行の口座を使って年金を受け取っていた場合も差し押さえの対象になるため注意してください。

自己破産すると保証人はどうなる?

自己破産をした場合でも、保証人の支払い義務はなくなることはありません。

そのため、本人に代わって返済するよう、借入先から一括請求されると考えてください。

連帯保証人の場合でも同様です。

保証人・連帯保証人に影響が及ぶのを避けたいなら、任意整理を行うことも選択肢に入ります。

MEMO
任意整理であれば、連帯保証人・保証人を立てている債務については手続を進めないこともできるからです。

自己破産すると奨学金はどうなる?

貸与型の奨学金にはさまざまなものがありますが、ここでは日本学生支援機構の貸与型奨学金前提に解説します。

まず、学生時代に奨学金を借りていた人が自己破産したケースを想定します。

この場合、 自己破産した本人については返済義務が免除されるため、それ以上支払う必要はありません。

また、奨学金の借入にあたって機関保証制度を用いていた場合も、保証機関(公益財団法人日本国際教育支援協会)への返済義務はなくなります。

一方、親族など一定の関係にある人を連帯保証人・保証人としていた場合(人的保証)、連帯保証人・保証人に返済義務が生じます。

MEMO
この場合、連帯保証人・保証人には求償権(代わりに支払った分を返すよう求める権利のこと)が生じるため、自己破産の手続でも債権者として扱われる点に注意が必要です。

次に、自己破産をした人の子どもが貸与型の奨学金を借りたい場合の扱いについて説明します。

結論からいうと借りること自体は可能です。

ただし、自己破産をした人=親が連帯保証人・保証人になる人的保証制度は利用できません。

MEMO
「債務整理中(破産等)の人は連帯保証人・保証人になれない」という決まりがあるからです。

一方、 機関保証制度を使えば、連帯保証人・保証人は必要ないため、借りられる可能性があります。

MEMO
子どもが在籍する高校の進路指導室などに相談のうえ手続を進めるのをおすすめします。

自己破産すると給料の差押えはどうなる?

自己破産をした場合、タイミング次第では給料の差し押さえが行われます。

まず、破産手続を開始した時点で受け取る予定の給料は、給料債権として差し押さえられます。

ただし、 全額差し押さえられるわけではなく、給料の4分の3(上限33万円)までは手元に残せる決まりです。

MEMO
例えば、給料が30万円だった場合、4分の3にあたる22万5,000円までは手元に残ります。

また、破産手続開始決定が出る前の給料は、預貯金や現金として手元に残っているなら、差し押さえの対象になりえます。

MEMO
残高が99万円を超えるなら差し押さえの対象です。

一方、破産手続開始決定後の財産は差し押さえの対象にはなりません。

新しく得た財産(新得財産)として扱われるため、自由に使って構わないことになります。

実際のところ、 破産手続開始決定が出た時点で発生していた給料債権でも、差し押さえられないことが大半です。

給料は、裁判所が「生活再建に不可欠な財産」であると認めることが多く、差し押さえされない財産として扱われることが多くなっています。

MEMO
このように、「破産者の生活再建に必要不可欠な財産」と裁判所が認めた一定の財産を差し押さえないことを「自由財産の拡張」といいます。

自己破産すると生活保護はどうなる?

自己破産しても生活保護を受けることは可能です。

自己破産は破産法などの法律に則り進められる債務整理の一種であるのに対し、生活保護は生活保護法に基づく生活に困窮する国民の支援・自立を促すための制度です。

まったく趣旨の違う制度である以上、両者を併用して使ってかまいません。

なお、生活保護を受けている場合は、任意整理や個人再生など、自己破産以外の債務整理はできません。

生活保護費は最低限の生活を維持するためのものという制度趣旨がある以上、借金の返済に充てることはできないためです。

また、生活保護を受けている場合は、予納金や弁護士・司法書士への依頼費用など自己破産にかかる諸経費は免除されます。

生活保護を受けている場合は、諸経費を法テラス(日本司法支援センター)が立て替えてくれるためです。

MEMO
このような制度を「民事法律扶助制度」といいます。

この制度を使うためには法テラスを通じて弁護士・司法書士に依頼するのが一般的です。

ただし、法テラスと提携していることが確認できるなら、直接弁護士・司法書士に頼んでも構いません。

自己破産すると家は借りられない?

自己破産をしたという理由だけで家を借りられないわけではありません。

ただし、入居に際し保証会社との契約が必須となる物件の場合、審査に通らない可能性があります。

保証会社の審査においては、信用情報もチェックされるためです。

自己破産などの債務整理をした場合、一定期間はその情報が登録されているため、保証会社の審査においては非常に不利になります。

代替案として、以下の方法で借りることを検討してください。

自己破産しても家を借りる方法

  • 保証会社ではなく連帯保証人を設定する前提で探す
  • UR都市機構や公営住宅の物件を候補に入れる

なお、 例え自己破産をしたとしても、それだけで現在入居している物件を退去するよう迫られることはありません。

ただし、家賃の支払いが滞った場合は退去を求める相応の理由になりうるので、注意してください。

自己破産すると会社にバレる?

自己破産をした場合、会社にバレる可能性はあります。

退職金のある会社に勤務している場合、手続きにあたって退職金見込額証明書(退職金計算書)を用意する必要があるためです。

その際、正直に自己破産の手続きが必要であると話してしまうと、バレる可能性はあります。

「住宅ローンの都合で必要で」など、あたりさわりのない理由で伝えるのがおすすめです。

また、自己破産をすると氏名等の個人情報が官報に掲載されます。

他の業務のために官報をチェックしていた従業員経由でバレる可能性もゼロではありません。

ただし、 自己破産したことだけが理由で解雇になる可能性は、後述する仕事が一時的にできなくなる職業に就いているのでもない限り、極めて低いです。

そして、従業員の私生活で生じた問題である以上、不当解雇と判断される可能性があります。

MEMO
退職をほのめかされた場合は、労働法に強い弁護士と相談し、会社と交渉するのをおすすめします。

自己破産すると仕事ができなくなる職業は?

他人の財産を預かる可能性がある職業の場合、自己破産により一定期間は仕事(登録)ができなくなります。

ただし、制限が加わるのは自己破産の手続決定開始から復権までです。

復権を得れば問題なく再開できます。

自己破産により仕事(登録)が一時的にできなくなる職業の例

  • 貸金業(貸金業法6条1項2号)
  • 行政書士(行政書士法第2条の2 2号)
  • 警備員(警備業法14条1項、3条1号)
  • 建築士(建築業法8条1号)
  • 公認会計士(公認会計士法4条4号)
  • 質屋(質屋営業法3条1項6号)
  • 司法書士(司法書士法5条3号)
  • 社会保険労務士(社会保険労務士法5条2号)
  • 生命保険募集人(保険業法279条1項1号、307条1項1号)
  • 税理士(税理士法4条2号)
  • 宅地建物取引士(宅地建物取引業法18条1項2号)
  • 土地家屋調査士(土地家屋調査士法5条3号)
  • 不動産鑑定士(不動産の鑑定評価に関する法律16条2号)
  • 弁護士(弁護士法7条4号)
  • 弁理士(弁理士法8条10号)
  • 旅行業の登録(旅行業法6条1項6号、26条1項3号)

自己破産すると旅行はできなくなる?

結論からいうと、タイミング次第で旅行は可能です。

弁護士や司法書士などの専門家に自己破産の手続きを進めるよう依頼し、裁判所に申し立てたとしても、破産開始決定が出るまでは自由に旅行にいっても構いません。

ただし、これはあくまで理論上の話であって、実際は自粛するように言われます。

MEMO
自己破産をすることにより債権者が少なからず損をする以上、旅行をするのは「そんな無駄遣いを」と心象を損ねるおそれがあるためです。

一方、破産開始決定が出てからは、管財事件か同時廃止かで扱いが異なります。

まず、管財事件の場合、自由に旅行はできません。

理由は、管財人が破産者といつでも連絡を取れるようにしておかないといけないためです。

旅行にあたっては裁判所の許可が必要ですが、単なる娯楽目的ならまず許可されません。

MEMO
親族の冠婚葬祭や介護など、相応の理由があれば許可されます。

一方、同時廃止の場合、制限はありません。

MEMO
実際は控えるよう弁護士や司法書士から言われるパターンがほとんどです。

なお、免責決定後は特に制限はないですが、生活が困窮している以上、節約のためにも控えるに越したことはありません。

自己破産すると退職金はもらえない?

自己破産すると、退職金の一部または全部が没収(厳密には財団組入れ)されることはありえます。

債権者への返済に充てるためです。

なお、没収される額は以下の3パターンによって異なるため、詳しく解説します。

パターン1 すでに退職金を受け取っている 預貯金または現金として扱われるため、手続時点で残っている額については全額没収される。
※手続時点で預貯金が20万円以下であれば、特段の理由がない限り同時廃止となり没収はされない
パターン2 退職はしたが退職金はまだ受け取っていない 退職金の額の4分の1が没収される。
※受け取る予定の退職金が80万円未満の場合、4分の1の額は20万円未満となるため没収されない
パターン3 在職中のため退職金は将来受け取る予定 退職金の支給見込み額の8分の1が没収される。
※受け取る予定の退職金が160万円未満の場合、8分の1の額は20万円未満となるため没収されない

自己破産すると養育費はどうなる?

自己破産したとしても、養育費の支払いが免除されることはありません。

養育費は非免責債権のひとつに含まれるためです。

非免責債権とは
自己破産の手続をしても支払う必要がある債権を指す

非免責債権の具体例は以下のとおりです。

非免責債権の具体例

  • 養育費や婚姻費用
  • 税金や健康保険料
  • 罰金
  • 故意や重過失で加えた身体生命に対する不法行為にもとづく損害賠償請求権
  • 悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権

つまり、自己破産とは無関係に支払い義務は残ります。

MEMO
万が一、払わずに放置したら訴訟や差し押さえなど、さらなる事態の悪化を招くため要注意です。

養育費を滞納してしまった場合は、破産手続きが終わり次第、相手と支払い方法を含めて協議してください。

一方、自分が養育費を受け取る側だった場合、破産手続開始時点で受け取っていない養育費がある場合は、差し押さえの対象になります。

MEMO
ただし、実際は自由財産の拡張により、全額を手元に残せる可能性はあるため、弁護士や司法書士に相談してください。

また、破産手続開始後に新たに受け取ることになった養育費については、差し押さえの対象にはなりません。

自己破産すると選挙権がなくなる?

自己破産しても、選挙権はなくなりません。

大前提として、選挙権は満18歳以上の日本国民であれば、誰にでも認められます。

MEMO
日本国民とは、国籍法で認められた日本国籍を有している人、つまり日本のパスポートを持っている人(取得できる人)と考えてください。

なお、禁固刑以上の刑に処せられたり、公職選挙法・政治資金規正法違反などの罪に問われたりしたなど一定の場合には、選挙権・被選挙権が停止されます。

しかし、 自己破産をしたことは選挙権・被選挙権が停止になる条件に含まれないので、心配することはありません。

自己破産すると生命保険はどうなる?

自己破産では、20万円を超える生命保険の解約返戻金は、原則として債権者への配当に充てられる破産財産となり没収の対象です。

しかし、その取り扱いは裁判所によって異なります。

一部の裁判所では、現金や他の財産との合計が99万円以内(自由財産)であれば、解約せず保持することを認めています。

一方で、合計額に関わらず、返戻金単体で20万円を超えれば、没収と厳格に判断する地域もあります。

運用の基準は申立てを行う裁判所ごとに違うため、手続き前に管轄の運用を専門家へ確認することが重要です。

自己破産すると信用情報はどうなる?

自己破産をすると、信用情報機関に事故情報がいわゆるブラックリストとして登録されます。

登録後は免責確定から5〜10年程度は削除されず(信用情報機関によって異なる)、その間はローンの借入れ、カードの作成・利用、賃貸契約などの信用取引が制限されます。

また、自己破産に至らなくても2ヶ月以上の返済遅延でブラックリストに載る可能性があるため注意が必要です。

経済的再生を目指す際は、こうした信用情報への影響を正しく理解しておくことが重要です。

自己破産後の影響からわかったメリット・デメリット まとめ

ここまでの内容を踏まえて、自己破産することによるメリット・デメリットを整理してみます。

メリット デメリット
一部の例外を除き借金返済の必要はなくなる 借金を重ねた理由次第では免責にならない
これから受け取る予定の年金(国民年金・厚生年金・iDeCo)は問題なく受け取れる 家は基本的に手放さないといけない
子どもが奨学金を使いたい場合でも機関保証を使えば申込ができる 通話代の未払いと端末購入代金の残債があった場合携帯電話が使い続けられないことがある
連帯保証人を設定したり公営住宅などを検討したりすることで家を借りられる 家族に知られる可能性が高い
養育費は問題なく受け取ることが多い 給料の一部が差し押さえられるため収入が減る
選挙権は保たれる 20万円以上の価値がある車やローンが残っている車は手放さないといけない
保証人や連帯保証人に一括返済の請求がいく
養育費の支払い義務は免除されない
一定の職業に就いていた場合、一時的に仕事ができなくなる
娯楽目的の旅行は自粛するよう求められる

一言でまとめると、「さほど問題はない部分もかなりあるが、自分や家族の生活に及ぼす影響が大きい」のが自己破産であるともいえます。

例えば、年金受給や選挙権、子供の奨学金制度(機関保証)の利用など、基本的な生活や権利は守られます。

一方で、持ち家や時価20万円以上の資産(車など)は原則処分されます。

また、連帯保証人への一括請求が発生し、家族や会社に状況を知られるリスクも伴います。

そして、一定の職業では資格制限を受け、支払中の携帯端末が使えなくなる等の制約も生じます。

借金問題の抜本的な解決が可能になる反面、資産の喪失や周囲への影響、一定期間の行動制限を伴うため、慎重な判断が求められます。

自己破産にかかる費用

自己破産を検討する際、避けて通れないのが費用の問題です。

手続きを円滑に進めるためには弁護士への依頼が不可欠ですが、必要な費用は弁護士への報酬と裁判所へ納める予納金の2段階で発生します。

本記事では、裁判所に収める費用と弁護士に収める費用相場について詳しく解説します。

自己破産にかかる費用
  • 裁判所に収める費用
  • 弁護士に収める費用

裁判所に納める費用

自己破産の際、裁判所に支払う費用は手続きの種類によって大きく異なります。

裁判所に収める費用の種類

  • 同時廃止:約2万円〜3万円
  • 少額管財:予納金を含めて約22万円以上
  • 一般管財:予納金を含めて50万円前後

同時廃止の場合は、管財人が選任されないため、費用がかかりません。

しかし、管財人が選任される少額管財の場合は、予納金を含めて約22万円以上かかります。

予納金とは
破産管財人が業務を遂行するために必要な費用のこと。手続きの開始前にあらかじめ裁判所へ納付する。

他にも、申立手数料の1500円と裁判所が郵便物を送るための予納郵券代をあらかじめ納めなければなりません。

MEMO
予納郵券代は、切手代(110円)×(銀行や消費者金融などの債権者の数+α)の金額を納めるのが一般的ですが、事件や各地の裁判所の運用によって異なります。

また、官報に掲載するための費用も裁判所に1万円〜2万円の金額を納める必要があります。

弁護士に収める費用

個人の自己破産手続きにおける弁護士報酬の総額は、おおむね30万円から50万円程度が一般的な目安となります。

費用はご依頼いただく法律事務所や事案の複雑さによって変動いたします。

弁護士費用の内訳は、相談料や報酬などがあります。

自己破産の場合は、項目を分けずに弁護士報酬として総額で設定する運用が多く、ご依頼者様の負担を明確にするため、着手金・報酬金を合算した形で請求することが多いです。

弁護士に収める費用の内訳

  • 相談料:通常、弁護士への相談は、30分5,000円程度が相場。最近では初回相談を無料としている事務所も増えている
  • 報酬:弁護士報酬は、受任時の着手金と成功度合いに応じた報酬金の二本立てが基本。

他にも裁判所に破産申立てを行う準備を行うために必要な郵送代や謄写代などの実費が発生します。

自己破産はしたもん勝ちではない!

自己破産は一部の例外を除いて借金が全額免除されることから「したもん勝ち」な部分がある手段と誤解されることがあります。

ただし、実際はそこまで万能ではないことを、以下の2点から解説します。

自己破産はしたもん勝ちではない理由
  • 借金の種類によっては自己破産できないので注意
  • 任意整理や個人再生で返済できない際に自己破産する

借金の種類によっては自己破産できないので注意

借金の種類によっては自己破産できない点に注意が必要です。

厳密にいうと、自己破産手続きをしても、借金を作った経緯によっては、免責が許可されません。

免責が許可されない(借金を帳消しにできない)理由=免責不許可事由の具体例をいくつか紹介します。

免責不許可事由の具体例

  • ギャンブルや浪費が原因で借金を重ねた
  • 自己破産手続の直前や手続中に預貯金を親の口座に移すなどの財産隠しをした
  • 親や知人からの借金だけ返済し、金融機関からの借金を踏み倒そうとした
  • 自己破産の検討に入った段階で駆け込みでクレジットカードを作って借金をした
  • 家族や友人の名前を債権者名簿に書かずに提出した
  • 破産管財人との面談を無断キャンセルした
  • 破産管財人からの質問をはぐらかしたり、虚偽の申告をした

なお、過去7年以内に自己破産をし、免責決定を受けた場合も、原則として免責は下りないので注意してください。

任意整理や個人再生で返済できない際に自己破産する

現実的には、 任意整理や個人再生で返済できない際に自己破産を検討する前提で動くのが望ましいです。

自己破産をすると、家や車、預貯金の大半を手放さないといけないため、自身や家族の生活にも大きな影響が及びます。

MEMO
債務整理を考えた場合は、まず弁護士や司法書士に相談し、残債の状況と自身や家族の生活とのバランスを踏まえ、どの方法が適しているかを考えるのをおすすめします。

自己破産したらどうなるのまとめ

自己破産は、借金の免除によって生活を立て直すための強力な法的手段ですが、その決断には多角的な検討が欠かせません。

生活面では、年金受給権や選挙権などの公的権利は維持される一方、自宅や価値のある資産(20万円以上の車両など)は処分の対象となります。

また、すべての支払いが免除されるわけではありません。

養育費や罰金、損害賠償金などの非免責債権は、自己破産後も支払い義務が残る点に注意が必要です。

あわせて、家族や職場、連帯保証人への影響も考慮し、状況に応じた丁寧な対応が求められます。

費用面では、弁護士費用として30〜50万円、裁判所への予納金等で2〜50万円程度の資金を要します。
資産がある管財事件では費用が高額になりますが、弁護士を介することで少額管財が適用され、負担を抑えられるケースもあります。

ひとりで悩まず、まずは専門家に現在の状況を相談し、最適な解決策を見つけることから始めてください。

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