法人の効果的な節税対策13選を一覧で解説!【中小企業必見】利益が出すぎた時の節税対策や注意点
この記事では、上記のような疑問や悩みを解決します。
法人で利益が出ているけれど、できるだけ税金を払わないで済む方法を考えている経営者は少なくありません。
税金を支払うとなると、それだけの現金を用意しなければならないため、法人にとって大きな負担となるからです。
そんなときに活用したいのが節税対策です。
節税対策を行なうことで、納めるべき税額が少なくなります。
この記事では、 法人だからこそ活用できる節税対策を説明していきます。
この記事を読むことで、 効果的で具体的な節税対策を知ることができる ようになり、実際に自分の会社でその知識を活かせるようになります。
- 法人だからこそできる節税対策がある
- 法人の節税対策の基本は益金を減らし損金を増やすこと
- 法人の節税対策のやりすぎには注意!違法となる可能性も
そもそも法人税とは?
法人税とは、
法人(企業や団体など)が利益を得た場合に、その利益に課税される税金のこと
を言います。
厳密には、法人の企業活動により得られる所得に対して法人税は課されます。
法人の所得金額は、益金の額から損金の額を引いた金額として計算されます 。
益金の額というのは、商品・サービスなどを販売した結果として得られる売上収入や、土地・建物を売却した結果として得られる売却収入などのことを言います。
一方で、損金の額は、商品を仕入れた際に支払った額である売上原価、販売費、災害などによる損失など、費用や損失に当たるもののことを言います。
法人税の申告期限
法人税法は、事業年度終了の日から2ヶ月以内に確定申告書によって申告を行って、その申告期限までに税額を納付しなければならないと定めています(法人税法第74条)。
日本の会社の多くが3月末日を決算日としていることから、一般に、5月末までには法人税の申告を行い、納税を行わなければなりません。
【最強の裏ワザ】法人税の効果的な節税対策13選を一覧で解説!
法人税法を効果的に節税するためには、益金を減らすか、損金を増やすこと
になります。
法人税は益金から損金を差し引いて計算される課税所得に基づいて計算されますから、益金を減らすか、損金を増やすことで、法人税の課税所得を減らすことが可能です。
法律やルールで定められた範囲内であれば、益金を減らしたり、損金を増やしたりすることは節税の範囲内である ので問題ありません。
以下では、法人税に関する効果的な節税対策を13個厳選して解説していきます。
- 役員報酬を増やし、損金計上して節税する
- 経営者・従業員の家を社宅にして節税する
- 旅費日当を支給して節税する
- 未払費用を漏れなく計上する
- 法人は赤字を最大10年間繰り越せる
- 不要在庫の処分費用を損金として計上する
- 貸倒引当金を損金として計上する
- 交際費をしっかり経費計上する
- 社員旅行や健康診断を制度化し、福利厚生費として計上する
- 自家用車を社用車にして減価償却する
- 中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)へ加入する
- 本社の家賃を年払い(前払い)する
- 税金対策で買うものは30万円未満の消耗品がおすすめ
役員報酬を増やし、損金計上して節税する
役員報酬を増やして損金計上を行えば、課税所得が少なくなる分、納めるべき法人税が少なくなります。
ただし、法人が役員に対して支給する給与の額のうち、定期同額給与、事前確定届出給与または業績連動給与のいずれにも該当しないものは、損金の額に算入することができないルールです。
やみくもに役員報酬を増やして損金計上し節税しようとするとルール違反となるので注意してください。
また、不相当に高額な部分の役員報酬は、損金の額に算入されません。
確定申告の際に、厳しくチェックされることを前提に、 根拠資料を準備しておくことが大切 です。
経営者・従業員の家を社宅にして節税する
経営者・従業員が住む家を社宅とすることで法人税を節税できます。
法人名義で住宅を借りて社宅とする場合、 実際に家賃として支払う金額と、役員や従業員から受け取る賃料の差額については、経費(損金)とすることが可能 です。
たとえば、法人名義で10万円の家賃の家を借りていて、従業員から6万円を賃料として受け取っている場合、差額である4万円については経費(損金)とすることができます。
ただし、経営や従業員に無償で家を提供していたり、不当に安い賃料しか受け取っていないいないケースでは、損金として認められず、経費とはならない場合があるので注意が必要です。
旅費日当を支給して節税する
法人の場合、国内の出張もしくは転勤を目的として経営者や従業員に対して支給した出張旅費・宿泊費・日当については、 支給した金額のうち旅費日当として通常必要であると認められる部分の金額を経費とすることができます 。
なお、個人事業主の方の場合、国内の出張もしくは転勤を目的として支出した出張旅費・宿泊費・日当について、経費とすることが認められていませんので注意してください。
未払費用を漏れなく計上する
未払費用については、 漏れなく計上することが大切 です。
未払費用とは、まだ実際に支払ってはいないものの、すでに発生している費用のことを言います。
つまり、未払いの請求書や請求書の期限がまだ来ていない経費などが未払費用に該当します。
たとえば、ある企業が1ヶ月間利用したサービスの請求書がまだ届いていない場合、その費用はまだ支払われていませんが、支払わなければならない原因(費用)は発生しているので、未払費用として計上されます。
ほかにも、ある企業が従業員に支払う給与について、まだ支払日が来ていないとしても、従業員から労働の提供を受けているため支払わなければならない原因(費用)は発生しているので、未払費用として計上されます。
未払費用を漏れなく計上することによって、経費が増える結果、法人税の節税に繋がります 。
法人は赤字を最大10年間繰り越せる
法人は、赤字を最大で10年間繰り越すことができます。
赤字を翌期以降に繰り越し、翌期以降の収益から控除することを、欠損金の繰越控除と言います。
欠損金の繰越控除は、各事業年度の法人税負担の平準化を図ることを目的とした制度です。
たとえば、前年度の決算において1,000万円の赤字を計上していて、今年度の決算において、1,000万円の黒字を計上しているケースでは、今年度の課税所得を0とすることが可能です。
大規模法人については、当期の所得金額の50%を限度として繰越欠損金を損金算入することができ、中小法人などについては、当期の所得の全額を損金算入することができます 。
不要在庫の処分費用を損金として計上する
棚卸資産に関しては、一定の事実に基づいて資産の評価減を行なうことができます。
一定の事実とは、以下のような事実が生じた場合のことを言います。
- 今後、通常の価格で販売することができないことが明らかであるケース
- 型式・性能・品質などが著しく異なる新製品が発売され、今後通常の方法で販売できないようになったケース
- 災害によって著しく損傷したケース
このように資産の評価減を行った場合、その評価損を損金として計上することが可能です。
評価減を行って発生した損失は、損金として計上することができるので、納めるべき課税所得を少なくすることができます 。
貸倒引当金を損金として計上する
貸倒引当金を損金として計上することで課税所得を少なくすることも可能です。
ただし、2012年4月1日以後開始する事業年度からは、貸倒引当金繰入額の損金算入ができる法人は次のような法人に限定されているため注意してください。
- 期末資本金の額が1億円以下である普通法人。ただし、資本金が5億円以上である法人等との間に完全支配関係のある普通法人などは除外されます。
- 資本もしくは出資を有しない法人
- 公益法人等または協同組合等
- 人格のない社団等
- 銀行・保険会社等
- 金融に関する取引に係る金銭債権を有する法人
交際費をしっかり経費計上する
交際費は、原則として、 その全額について損金として計上することはできません 。
ここで、交際費などとは、交際費・接待費・機密費その他の費用のことを言います。
交際費は、基本的に、 法人がその得意先や仕入先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出したもののこと を言います。
交際費は、 原則として損金とすることができない ものの、法人の区分に応じて、一定の措置が設けられており、損金として計上できる場合があります。
詳細については、国税庁が公表しているNo.5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」を確認してください。
社員旅行や健康診断を制度化し、福利厚生費として計上する
社員旅行、健康診断を制度化しておくと、これに関連して支出したお金を福利厚生費として計上することができます。
ただし、税務上、無制限の福利厚生費の計上が認められているわけではないので注意してください。
たとえば、以下のようなケースでは、福利厚生費として支出することができ、損金とすることも可能です。
- 旅行の期間が4泊5日以内であるケース
- 海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であるケース
- 旅行に参加した人数が全体の人数の50パーセント以上であるケース
- 工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとの人数の50パーセント以上が参加しているケース
自家用車を社用車にして減価償却する
経営者が自家用車として使用している車を社用車にすれば、 車を償却資産とすることができるので、減価償却によって生じた費用を損金とすることができます 。
社用車とすることで、燃料費・自動車保険料・車検費用なども損金として扱うことが可能です。
中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)へ加入する
中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)へ加入すると、その掛金の支払いは損金として取り扱われます。
中小企業倒産防止共済制度は、取引先事業者が倒産した場合に、連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐためのもので、 加入していると、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れを行なうことができます。
掛金は損金として算入できる税制優遇を受けることができる ので、これを利用することで課税所得を低くすることができます。
本社の家賃を年払い(前払い)する
本社の家賃を年払い(前払い)することによって、その分の家賃を損金として計上することができ、課税所得を低くすることができます 。
ただし、これを利用するためには、賃貸契約書にも前払いする旨を記載し、毎年継続して前払いする必要があるので注意してください。
税金対策で買うものは30万円未満の消耗品がおすすめ
中小企業で青色申告を利用して申告をしている場合は、30万円未満の減価償却資産については、一括して損金として計上することが可能です。
減価償却資産とは、事業などの業務のために用いられる建物・建物附属設備・機械装置・器具備品・車両運搬具などの資産のことを言います。
これらの資産は、使用や時の経過によってその価値が減っていくため、減価償却を通じて価値を下げる手続きが必要です。
価値を下げる手続きを通じて減価償却費という損金が計上されることになるため、課税所得を下げることができます。
なお、詳細については、国税庁のNo.5408 「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を参照してください。
【法人向け】利益が出過ぎたときに実施したい節税対策
法人税は、
利益(課税所得)に対して課税される税金なので、利益が多くなれば支払うべき税金の額も高くなります
。
利益が出過ぎた場合には、以下の対策を講じることによって節税対策となります。
- 法人保険へ加入する
- 設備投資する
- 在庫や固定資産の見直し・削減
- 従業員に決算賞与を支給する
- 個人所有している不動産を法人へ貸付する
- 子会社の設立
以下では、これらの節税対策について解説していきます。
法人保険へ加入する
各種法人保険に加入することで掛金を損金として計上することができます 。
中小企業が利用できる主な法人保険は以下のとおりです。
- 経営セーフティ共済
- 中小企業退職金共済
- 小規模企業共済
掛金を損金として計上できない保険に加入しても納めるべき法人税額は少なくなりませんが、 法人保険に加入していれば掛金を損金として計上して納めるべき法人税額を少なくすることができます 。
設備投資する
利益計画よりも多くの利益が出ている場合には、設備投資を行うのも節税対策になります。
設備投資を行った支出は、全額1度に経費とすることができるわけではありません。
設備投資を行なうことは、固定資産(償却資産)へ投資することを意味するので、毎年一定の減価償却費を計上することができ、その分だけ、課税所得を少なくすることが可能 です。
在庫や固定資産の見直し・削減
在庫や固定資産を見直して、評価減や削減(除却)を行うことで、損金を計上することで利益を少なくする方法も節税対策として効果があります。
不良在庫となっている棚卸資産については、決算の際に評価減を行って商品評価損という損金を計上することができます。
一方、収益が見込めない固定資産については、固定資産に関する減損会計を適用して、評価減を行なうことで損金を計上することができます。
いずれの場合も、一定の制約のもとでのみ適用可能となる点に注意してください。
従業員に決算賞与を支給する
従業員に対する決算賞与を支給することも、会社にとっては損金を計上することになるので、納めるべき法人税を低くする効果があります。
- 事業年度終了までに従業員全員に決算賞与の金額と支給日を通知する
- 翌事業年度の最初の1カ月以内に決算賞与を支給する
- 決算賞与の額を未払金として経費に計上する
従業員のモチベーションアップにも効果がありますが、従業員個人の所得が増えるので、その分だけ所得税がかかることになります。
個人所有している不動産を法人へ貸付する
個人所有している不動産を法人へ貸付けることも節税に繋がります。
法人が借入れた不動産について支払った賃貸料は損金として処理することができます 。
経営者個人が保有している不動産については、賃借料を損金として計上することはできないので、法人へ貸し付けることで賃借料の分だけ節税効果が認められるのです。
子会社の設立
子会社を設立することも効果的な節税に繋がります。
子会社を設立するということは、会社が2つになるということです。
たとえば、 資本金1億円以下の子会社を設立すれば、交際費を年間800万円まで全額損金として計上することが可能 です。
加えて、 家事所得が年間800万円以下であれば、法人税や事業税が軽減されます 。
中小企業の法人税を節税する際の注意点
中小企業の経営者が法人税を節税する場合、過度な節税は違法となる可能性がある
ことを認識しておいてください。
法人税を適切に納めていないと、罰則が適用されて、罰金を支払わなければならないケースもあります。
そのため、中小企業において法人税の節税を行う場合には、以下の点に十分注意してください。
- 損金として処理した証拠となる資料を提出できるように保管しておく
- ペーパーカンパニーを使った節税はしない
- 不要な損金経理はしない
- 判断が難しいケースは税理士のような専門家に相談する
前年度の損金処理と大きく異なる損金処理を行うと、それだけ税務署から怪しまれる ことになります。
また、節税を目的として会社の利益を大きく減らし、赤字決算となれば、経営者としての信用度が落ちたり、融資を受けられなくなる可能性がある点には十分留意してください。
まとめ
中小企業において効果的な節税を行うためには、
会社が費用として処理している経費のうち、損金として処理できるものを徹底的に洗い出す
ことが大切です。
損金処理できるものがされていなかったりすると、それだけ納めるべき税額は高くなります。
会社の収益や利益を意図的に減らすことは、粉飾や脱税と紙一重となる可能性があるので、 節税対策としては、損金として処理ができる費目を適切に損金処理することが重要 となります。
複雑なスキームを作って節税することを目指すよりも、損金処理できるものを確実に損金として処理することが大切です。
過度な節税は脱税となる可能性があるので注意してください。
判断に迷う場合には、税理士のような専門家にアドバイスを求めるなどをすることで、適切な経費処理ができるようになります。
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