借入金とは?種類や勘定科目と仕訳の例、メリット・デメリットについて
こちらの記事では、借入金に関する疑問についてお答えします。
借入金とは、簡潔にお伝えすると金融機関からお金を借りることです。
企業の成長や事業拡大などの理由で金融機関からお金を借りますが、借入金にはいくつか種類がある上に、仕訳方法が異なります。
そこで今回は 借入金の種類やメリット・デメリットについて紹介していくので、融資を受ける前に読んでおくことをおすすめします。
さらに、会計処理を行う際の借入金の勘定科目と仕訳についても解説しているので、仕訳で困っている人は参考にしてくださいね!
- 借入金とは他者から借りたお金のこと
- 借入金には短期借入金と長期借入金がある
- 借入金の種類は4つある
目次
借入金とは
資金調達のために借用証書や約束手形を差し入れたり、金融機関から金銭の借入をする際に発生する債務です。
企業が他者からお金を借り入れることにより返済義務が発生し、貸借対照表上で負債に計上しなければなりません。
短期借入金と長期借入金の違い
借入金には「短期借入金」と「長期借入金」が存在し、それぞれの違いは下記の通りになります。
例えば、長期借入金として借入しても、実際の返済期限が1年以下だった場合は短期借入金として処理をします。
このように区分する理由として、 企業会計基準の「1年基準(ワン・イヤー・ルール)」という規定があるためです。
流動資産か固定資産か、流動負債か固定負債か。これを決める手だての一つとして定められているのがワン・イヤー・ルール。つまり決算日後1年の間に現金化又は費用化するものを流動資産、1年を超えるものを固定資産、また1年の間に支払期限が到来するものを流動負債、1年を超えるものを固定負債という。
引用:1年基準(ワン・イヤー・ルール)|日本公認会計士協会
それぞれ返済期限まで1年を基準にしているため、仕訳をする際はどちらに当てはまるのか判断し区分しなければなりません。
貸借対照表の負債部に計上する
前述した通り借入金は他者から借りたお金なので返済義務があり、貸借対照表では負債の部に計上していきます。
負債の部で流動負債と固定負債の2つに区別されており、1年基準のワン・イヤー・ルールが適用されます。
そもそも 貸借対照表とは「資産」「負債」「純資産」の3つが記載された表であり、企業の資金調達方法や財務状況の確認ができます。
借入金の勘定科目と仕訳の例
借入金の勘定科目と仕訳の例を見ていきます。
- 借入金が入金された際の仕訳
- 借入金の利息を支払った際の仕訳
- 借入金を返済した際の仕訳
イメージをしやすいように、上記それぞれの仕訳方法を説明します。
借入金が入金された際の仕訳
例として、銀行から5,000万円の融資を受けて、普通預金に入金された場合の仕訳を見ていきます。
融資の5,000万円のうち短期借入金が1,500万円、長期借入金が3,500万円とします。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
普通預金 | 5,000万円 | 短期借入金 | 1,500万円 |
– | – | 長期借入金 | 3,500万円 |
借入金の入金後は 資産科目の普通預金が増えて、負債科目である借入金が増えたことを記載していきます。
借入金の利息を支払った際の仕訳
借り入れしてから利息のみの支払いをした場合の例を見ていきます。
利息1万円を支払った場合は下記のようになります。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
支払利息 | 1万円 | 普通預金 | 1万円 |
利息の支払いは「支払利息」で処理を行い、勘定科目は「営業外費用」に区分します。
借入金を返済した際の仕訳
最後に借入金を返済した時の仕訳を見ていきます。
借入金の1,500万円と利息10万円を普通預金から返済した場合の例で説明します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
短期借入金 | 1,500万円 | 普通預金 | 1,510万円 |
支払利息 | 10万円 | – | – |
借入金を返済することにより負債と普通預金が減り、支払利息は費用にあたるので借方に仕訳します。
続いて、仕訳処理を短期借入金と長期借入金に分けている場合は、決算時に長期借入金を短期借入金に振替える必要があります。
決算になったため、来年度に返済する1,000万円を長期借入金から短期借入金に振替える仕訳は下記の通りです。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
長期借入金 | 1,000万円 | 短期借入金 | 1,000万円 |
借入金の種類は4つ
金融機関から借り入れする借入金には下記の4種類があります。
- 証書貸付
- 手形貸付
- 手形割引
- 当座借越
それぞれ違いを説明します。
証書貸付
金銭消費貸付契約証書には、借入金や金利、返済期間などが記載されています。
貸付期間1年以上の長期融資の場合に多く、 借入金の種類の中でも一般的な方法です。
金銭消費貸付契約を結ぶことでお互いに合意したことになり、借り入れした人は契約書に基づいて返済を行っていきます。
手形貸付
手形貸付は証書貸付とは違い、 金銭貸借契約書の差し入れや担保の設定もありません。
手形貸付の場合は貸付期間が1年以内の場合がほとんどで、つなぎ融資や運転資金の借入金に多いです。
手形割引
約束手形に記載されている期日までに換金を行うため、 支払い期日よりも前に現金化できる仕組みになっています。
しかし、約束手形に記載されている金額を受け取れるわけではなく、記載金額から割引料を引かれた金額のみ受け取れます。
また割引料は買取業者で変わるため、企業の財務状況や実績次第では手数料が高くなる場合もあるので要注意です。
当座借越
金融機関に足を運ぶ必要がなく、自由に融資や返済ができる借り入れ方法です。
当座借越は利便性が抜群ですが、当座借越の設定を行うための金融機関の審査が厳しいとされています。
借入金のメリット
借入金と聞くとお金を借りることに対して抵抗感や、良いイメージがないかもしれません。
しかし、 借入金の活用方法によって会社が安定したり、利益を増やすきかっけになるケースもあります。
借入金のメリットを紹介するので、借入金を検討している人は参考にしてくださいね。
- 短期借入なら事業資金に余裕ができる
- 長期借入金は将来投資ができる
短期借入なら事業資金に余裕ができる
借入金のメリットとして、事業資金に余裕ができることが挙げられます。
短期借入で資金調達を行うことにより、 資金繰りの困難から抜け出し、経営を安定させることが可能です。
さらに、事業資金に余裕ができれば取引先や従業員への支払いが滞る心配もありません。
短期借入であれば返済期間が短い上に、利率が低く審査も通りやすいので精神的な負担が少ないといえます。
長期借入金は将来投資ができる
一方、長期借入金は将来投資ができるメリットがあります。
新商品の開発や設備投資などには多額の資金を必要とするため、 長期借入金を受けて将来投資を行い、事業拡大を目指します。
借入金のデメリットとリスク
借入金のメリットを紹介しましたが、次は借入金のデメリットとリスクについて紹介します。
- 返済義務がある
- 返済が滞ると信用を無くす
それぞれのデメリットを理解してから借入を行ってくださいね。
返済義務がある
借入金は金融機関などから借りたお金なので、必ず毎月返済をしなければなりません。
契約内容によって返済期間や返済額は異なりますが、多額のお金を借り入れしている場合は、その分返済額も大きくなっていきます。
返済が滞ると信用を無くす
万が一、返済が滞ると金融機関からの信用を失い、次の借り入れができない可能性があります。
また、返済に追われて資金繰りが困難になってしまうと、取引先への支払いや経営に必要な資金も失ってしまいます。
借入金に対する返済能力を計る指標について
借入金に対する返済能力を計る指標について説明します。
- 借入金依存度
- 借入金月商倍率
上記の計算方法によって明確な数字にすることで、返済能力や会社の経営状況の把握ができます。
借入金依存度
借入金依存度では、借入金によって何パーセントの資金を調達し、全体的に借入金が多いかどうかを分析していきます。
借入金依存度の計算方法は下記の通りです。
一般的な借入金依存度の目安は50~60%程度といわれています。
借入金依存度の数値が高ければ返済負担が増えて、事業の資金繰りが悪化する可能性があるので、資金繰りを改善していく必要があります。
借入金月商倍率
借入金月商倍率の計算方法は下記の通りになります。
一般的に、借入金が月商の3倍までが健全とされている借入限度です。
上記の計算によって、 借入過大になっているかどうかを判断できます。
借入金に関するよくある質問
下記の借入金に関するよくある質問に応えていきます。
- Q:借入金の仕訳は簿記知識がないとできませんか?
- Q:個人事業主の借入金は経費になりますか?
- Q:借入金の返済額は、損益計算書に計上されないってほんと?
借入金の仕訳をする際に参考にしてくださいね。
Q:借入金の仕訳は簿記知識がないとできませんか?
借入金の仕訳は、 固定負債や流動負債などの基本的な情報さえ理解すれば、簿記知識がなくても大丈夫です。
あまり複雑な仕訳ではないので、簿記知識が全くない人でも簡単に借入金の仕訳ができるといえます。
Q:個人事業主の借入金は経費になりますか?
個人事業主の借入金の返済は売上を生み出すお金ではないため、経費にはなりません。
しかし、 借入金の返済時に発生する利息は借入金にあたらないため、経費として計上できます。
Q:借入金の返済額は、損益計算書に計上されないってほんと?
借入金は税務上、経費ではないため損益計算書には計上されません。
貸借対照表では借入金を負債として計上を行いますが、損益計算書は収益と経費を記載している決算書類なので計上しません。
まとめ
- 借入金とは金融機関などからお金を借りること
- 短期借入金と長期借入金の2つがある
- 借入金は貸借対照表の負債の部に計上する
- 「証書貸付」「手形貸付」「手形割引」「当座借越」の4つの種類がある
- 短期借入金と長期借入金にはそれぞれのメリット
- 返済義務があり、返済を滞ると信用を失うデメリットがある
- 借入金の仕訳は簿記知識がなくてもできる
- 借入金の返済は経費にはならない
借入金の種類や勘定科目と仕訳、メリット・デメリットまで紹介しました。
会社を経営するにあたって金融機関からお金を借りることは必要なことで、多くの企業が融資を受けながら事業を安定させています。
借入金を仕訳をする時は、 短期借入金と長期借入金の違いや支払利息などを把握すれば、全く難しいものではありません。
また、金融機関から融資を受ける前に借入金に対する返済能力をチェックをしてください。
資金繰りの悪化を防ぐためにも計算し、自社がどのくらい借入金を受けているのか、借入過大になっているかの確認は大切です。
自社の返済能力以上のお金を借りた場合、返済に追われて滞る恐れがあります。
金融機関からの信用と、会社の評判が落ちないように計画的な借り入れをしてくださいね。
昨日は0人が事業資金の調達に成功しました。
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