連帯保証人はなぜなくならない?おかしいと感じる理由や断り方、民法改正後のルールについて解説

運営事務局
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更新日2025/10/20
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連帯保証人はなぜなくならない?

連帯保証人は日本だけの制度ですか?

連帯保証人に絶対になるなと言われる理由は?

連帯保証人がなくならない理由は、それは債権者側にとって都合が良いからです。

もし債務者側が夜逃げなどをして債権が焦げついた場合は、連帯保証人に請求をすれば良いのです。

連帯保証人は、その性質上債務者と同等の責任を持っており、返済を拒否することは実質できません。

債権者側の権利を保護するために、連帯保証人という制度は残っているのです。

今回の記事では、連帯保証人がなくならない理由となぜなってはいけないのかなどについて解説します。

記事を読むことで、連帯保証人のおそろしさがわかりますので、ぜひ参考にしてください。

連帯保証人はなぜなくならないのか?

連帯保証人がなくならないのは、 貸付側にとって都合のよい存在だから です。

債務者(借主、ローン契約者など)が返済不能となったり夜逃げをしたりした場合に、連帯保証人がいれば債権回収の可能性が高くなるから です。

具体的には
不動産オーナーの方は、所有物件を賃貸して賃料収入を得ています。そのため、毎月の賃料が入らなくなると、大きな損失につながります。家賃回収を行うために連帯保証人を求めます。

ここでは、連帯保証人がなくならない理由について詳しく解説します。

連帯保証人がなくならない理由
  • 債権回収のリスクを抑える手段だから
  • 保証会社を使いたくない借り手側にもニーズがあるから
  • 債権者側の実務上都合が良いから

債権回収のリスクを抑える手段だから

債権者が連帯保証人を付ける理由として、 賃料や融資金などが回収できないリスクを抑える手段 として利用されています。

万が一、債務者が破産や夜逃げしても、保証人の財産から回収できるため、金融機関やオーナーは安心して貸付・賃貸を行えます。

保証会社を使いたくない借り手側にもニーズがあるから

賃貸契約の例で解説すると、 最近の賃貸物件は、家賃保証会社に加入することが義務づけられている契約が多い です。

家賃保証会社とは
賃貸借契約で入居者が家賃を滞納した場合に、大家さんへの支払いを保証するサービス。手数料は家賃の50%程度(初回保証料)発生する。連帯保証人と同等の機能がある。

しかし、 初期費用を抑えたいという借り手もいる ため、物件によっては連帯保証人をつけるという条件で入居できる場合があります。

借り手側からも連帯保証人が必要とされているニーズもあるため、なくならない実情があります。

債権者側の実務上都合が良いから

連帯保証人には 「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」が与えられていないため、債権者側の実務上都合が良いから です。

催告の抗弁権とは
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる権利。(民法452条)。
検索の抗弁権とは
債権者が主たる債務者の財産を差し押さえて執行することが容易であることを証明した場合、債権者に対して、先に主たる債務者の財産からの取立てを請求できる権利。(民法453条)。

これらの特徴により、債権者は 追加交渉なしで連帯保証人に請求可能で、迅速な回収が期待 できます。

債務者が支払不能になった場合でも、連帯保証人から直接回収できるため実務上都合が良いともいえます。

そもそも連帯保証人とは

連帯保証人とは、 債務者と同じ責任を負い、返済できない場合に代わりに返済する義務を持つ人 を指します。

通常の保証人と異なり、債務者の返済が滞った際、債権者は連帯保証人に対して直接請求できます。

このため、連帯保証人になると多額の負債を抱えるリスクが高いです。

連帯保証人制度は日本だけの慣習か

海外にも連帯保証の制度はあるが、 日本のように親族や知人まで第三者保証を広く求める国は多くありません。

欧米など他の国では個人の保証を求める場合はあるものの、一般の第三者にまで責任を課す慣行は限定的なことが多いです。

こうした違いが、日本で連帯保証人制度が根強く残る背景の一つとなっており、法体系・商慣習の違い、歴史的な契約慣行といった要素が影響していると考えられています。

連帯保証人になる条件は返済能力がある家族がなることが多い

連帯保証人は、 友人などに気軽に頼めるものではないため、家族にお願いするのが一般的です。

家族間には深い信頼関係があり、互いの状況を理解しやすいため、万一の際の相談や協力が得やすいと期待されます。

また、 家族であれば収入や資産状況を把握しやすく、保証人としての返済能力を見極めやすい現実的な側面があります。

そして、 借りる側も「家族に迷惑をかけたくない」という気持ちから、返済意欲がより高まる心理的な効果も期待できます。

連帯保証人と保証人の違い

一般的な保証人には、 いざという時に自分を守るための催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められています。

しかし、連帯保証人には、これらの権利がないため、金を貸した側(債権者)は、借りた本人に請求する前に、連帯保証人であるあなたに直接返済を求めることができます。

そのため、連帯保証契約を結ぶ際には、その責任の重さをよく理解し、本当に慎重に判断することが大切です。

2020年の民法改正で変わった連帯保証人のルール

2020年に民法改正があり、連帯保証人に関するルールが変更になりました。

2020年の民法改正で変わった連帯保証人のルール
  • 個人の根保証契約は無効になる
  • 保証人に対して情報提供を義務化する
  • 【事業融資の場合】公証人が保証意思を保証人候補に確認する

以前の民法では、債務者が返済できなかった場合、連帯保証人は制限なく全額の責任を負うことになっていました。

しかし、債権者が債務者以上の責任を連帯保証人に請求するケースが増え、連帯保証人がその責任を果たせない状況が社会問題化しています。

ここでは、2020年の民法改正で変わった連帯保証人のルールについて解説します。

個人の根保証契約は無効になる

個人が根保証契約の保証人になる場合、 支払責任の上限額(極度額)を定めない保証契約は無効 になります。

これにより、連帯保証人は無制限に責任を負うのを防げます。

MEMO
金銭貸借などの根保証契約(変動する債務を保証するもの)では、2004年の民法改正から極度額の設定が義務付けられ、無効の対象です。

例えば、賃貸借契約での賃料・修繕費・損害賠償などの債務保証もする際は、極度額を書面で明確に当事者間で合意しなければなりません。

保証人はその範囲内でしか責任を負いませんが、 定めていない契約は無効で、債権者も支払いを請求できなくなります。

保証人に対して情報提供を義務化する

保証人になるか判断するために、 主債務者の財産状況や収入、他の借入状況などを把握できる情報提供が義務付けられました。

これは事業融資だけでなく、売買代金やテナント料などの債務保証にも適用されます。

また、 連帯保証人は債務者に対し、返済状況に関する情報をいつでも請求できるようになりました。

さらに、債務者が分割払いの遅延などにより「期限の利益」(定められた期限まで返済しなくてよい権利)を喪失した場合、債務者は速やかに保証人へ通知する義務があります。

これは、債務者が一括返済を迫られたり、遅延損害金が発生したりして、保証人に多額の支払義務が生じるリスクがあるためです。

【事業融資の場合】公証人が保証意思を保証人候補に確認する

事業融資の保証人になる際、 個人が保証人となる場合には、公証役場での保証意思の確認 が必須となりました。

MEMO
事業者と特別な関係にある方(例えば家族など)は、この手続きが不要な場合があります。

ご自身で公証役場へ行き 、保証人になる意思があることを証明する「保証意思宣明公正証書」を作成していただく必要があります。

また、法人が保証人となる場合は、極度額の定めがなくても問題ありません。

連帯保証人制度がおかしいと感じる理由

連帯保証人制度がおかしいと感じる理由 には、下記の3つの理由があげられます。

連帯保証人制度がおかしい感じる理由
  • 保証人は支払い拒否できるが連帯保証人はできないから
  • 連帯保証人・保証人は返済を肩代わりする必要があるから
  • 債務者が自己破産や個人再生したときも返済義務が発生するから

保証人が支払い拒否できる権利があるが、連帯保証人は拒否できずすべての責務を負う点に疑問を持つ方も少なくありません。

ここでは、連帯保証人制度がおかしいと感じる理由について解説します。

保証人は支払い拒否できるが連帯保証人はできないから

債権者から債務の履行を求められた場合、保証人は支払いを拒否することができますが、連帯保証人については支払いを拒否することができません 。

保証人には、先に説明した催告の抗弁権と検索の抗弁権があるため、一時的に支払いを拒否することが可能です。

ただし、これらの権利を保証人が行使するためには、保証人が借主に資金力があり、かつ、債務者から債権の回収が容易にできることを証明する必要があるため、簡単なことではありません。

一方、連帯保証人には、催告の抗弁権も検索の抗弁権も認められていないため、債権者から請求された場合に、支払いを拒否することはできないので注意してください。

保証人と連帯保証人とでは、行使できる権利に差がある(責任の範囲に差がある)ため注意してください。

連帯保証人・保証人は返済を肩代わりする必要があるから

連帯保証人や保証人になると、債務者が返済できない場合に肩代わりする義務が発生します。

MEMO
特に、連帯保証人は債務者と同じ責任を負うため、金融機関から直接請求されることもあります。

一度引き受けてしまうと途中で辞退できないため、軽い気持ちで了承するのは非常に危険です。

債務者が自己破産や個人再生したときも返済義務が発生するから

債務者が自己破産や個人再生を行った場合、連帯保証人が債権者に返済する義務を負います。

自己破産の場合は、連帯保証人が債務者の借金全額を債権者に支払う責任が発生します。

また、個人再生の場合は債務者が減額された分以外を連帯保証人が返済しなければなりません。

例えば、個人再生で債務が5分の1に圧縮された場合、連帯保証人は残りの5分の4を支払う義務があります。

MEMO
ただし、債権者は連帯保証人に対して全額返済を求める権利があるため、最終的に全額を支払うことになるケースが多いです。

また、自己破産や個人再生が行われた場合、 連帯保証人は基本的に残債を一括で返済する必要 があります。

交渉次第では分割返済が認められる場合もありますが、実現する可能性は低いため、連帯保証人自身が債務整理を検討するケースも少なくありません。

家族(兄弟など)に連帯保証人を頼まれたとしてもなるべきではない

家族だからといって 連帯保証人を引き受けるべきではありません。

連帯保証人は債権者の滞納時に実質的な支払い責任を負い、賃料や元金だけでなく遅延損害金まで請求されるリスクが高いです。

資産・収入が差し押さえの対象になり、信用情報にも影響し将来のローン審査に支障します。

どうしても頼まれた場合は、保証範囲を限定する書面を作成し、条件を明確にした上で専門家に相談するのが安全です。

連帯保証人はなぜなくならないに関するよくある質問

連帯保証人がなぜなくならないかに関するよくある質問について回答しました。

連帯保証人はなぜなくならないに関するよくある質問
  • Q:連帯保証人制度は廃止されますか?
  • Q:連帯保証人に絶対なるなと言われる理由とは?
  • Q:連帯保証人に法人がなることはできますか?

Q:連帯保証人制度が廃止されますか?

連帯保証人制度は廃止されることなく行われています。

しかし、 一部の自治体の市営住宅の入居手続きでは廃止されているところがあるものの、個人の連帯保証人制度自体はなくなっていません。

Q:連帯保証人に絶対なるなと言われる理由とは?

連帯保証人は債務者(借主)と同等もしくはそれ以上の責任がのしかかるため、絶対なるべきではありません。

万が一、家族や知人に保証人の依頼をされた際には、 責任を負えない旨を伝えて断ることも大切です。

Q:連帯保証人に法人がなることはできますか?

法人が連帯保証人になる場合、 資産規模と財務力が重要な要素 となります。

法人は個人に比べて通常、資産や収入が多いため、債権者からは信頼性の高い保証人と見なされやすいのです。

その結果、 極度額を設定せずに済むメリットがあります。

例えば、親会社が子会社の融資の連帯保証人になる場合、親会社の財務力が強ければ極度額を設けずに保証する選択が取りやすくなり、結果としてより広い範囲の責任を負うことになる可能性があります。

MEMO
実務上は法域や契約条件によって扱いが異なるため、具体的な取り決めは専門家と確認してください。

連帯保証人はなぜなくならないのかのまとめ

連帯保証人は 債権回収の効率性が高い点や借り手側にもニーズがあるため、なくなることはありません。

しかし、連帯保証人になることで保証人の財産を思わぬ形で圧迫し、社会問題化しているのも事実です。

2020年の民法改正で連帯保証人を保護するルールが定められたものの、連帯保証人制度がおかしいと思う方は少なくありません。

連帯保証人になることは、 制限なく責務を負うリスクがあるため、家族であっても慎重に判断するようにしてください。

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