運転資金の計算方法とは?目安や考え方とわからない人向けの計算例、気になる回転期間
この記事では、上記のような疑問・お悩みを解決します。
運転資金とは、事業を運営していくために必要な資金のことです。
運転資金を把握することは、自社の課題や今後の戦略を練ることができるため、安定した経営を続けるには非常に重要です。
ただし、運転資金の種類や計算方法などはいくつかあり、計算式や用語だけ見ても分かりづらい上に少し複雑なものもあります。
そこで今回は、運転資金の計算方法や例、運転資金の目安や考え方、気になる回転期間について詳しく解説します。
運転資金の計算がよくわからないという人は、ぜひ参考にしてみてください。
- 運転資金とは、会社が事業を運営していくために必要な資金のこと
- 運転資金を算出できる計算式は「在高方式」と「回転期間方式」の2通り
- 運転資金の種類は「経常運転資金」「増加運転資金」「減少運転資金」「季節性運転資金」「その他」の5つ
- 回転期間とは資産などが1回転して元の状態に戻るまでの期間のこと
運転資金の計算方法は2種類
企業が事業を運営していくために必要な、さまざまな費用をまかなうためのお金を「運転資金」といいます。
運転資金がどれだけ必要なのかは、経営状況や会社の規模によって異なります。
算出するための計算方法は、大まかに計算する「在高方式」と、詳細に計算する「回転期間方式」の2種類です。
それぞれの計算方式について、詳しく解説します。
在高方式
手元にある資産やお金の総量を表すために「在高(ありだか)」を使用します。
在高方式は、企業に今ある資産や負債から計算ができるためすぐに算出が可能です。
売上債権 | 販売した商品で代金の回収ができていない売上 |
---|---|
棚卸資産 | 販売していない商品の在庫 |
買入債務 | 材料や商品を購入したが代金が未払いのもの |
売上債権と棚卸資産は今後現金化される予定のもので、現時点ではまだ現金化されていません。
そのため、在高方式では「今後現金化される予定の金額」の合計から「今度支払う金額」を引くことで算出します。
商品を売ってから入金までに時間がかかるため、運転資金のほとんどはその間のつなぎとして使用されます。
入金と支払いのズレを埋めるために必要な金額を、運転資金として計算しているのが在高方式です。
回転期間方式
つなぎとして必要な運転資金を算出できる在高方式とは異なり、もっと正確に詳細な金額を算出する方法を「回転期間方式」といいます。
何日間の間に運転資金がどれだけ必要かが算出可能で、入金と支払いのズレを計算することで詳細な金額を算出します。
回転期間とは、資産などが1回転して元の状態に戻るまでの期間のことです。
売上債権回転期間 | 商品を販売してから売上金が回収されるまでの期間 |
---|---|
棚卸資産回転期間 | 在庫を抱えてから全てを売って代金を回収するまでの期間 |
買入債務回転期間 | 掛取引で商品を仕入れてから代金を支払うまでの期間 |
それぞれの回転期間を計算することで、より詳細な運転資金が算出できます。
在高方式の計算例
具体的に運転資金がどれだけ必要なのかを、例を挙げて在高方式で計算をしてみます。
棚卸資産:500万円
買入債務:700万円
【在高方式に当てはめると】1,000万円+500万円−700万円=800万円
上記の例であれば、在高方式に当てはめて計算すると、運転資金は800万円です。
なぜこの計算式で運転資金が算出されるのか、その理由は「運転資金の性質」にあります。
日本の企業の多くは、後払いである「掛取引」が行われており、主な運転資金はこの掛取引に必要です。
掛取引は後払いであるため、商品と同時に代金は入ってきません。
先に商品を売って、支払いはまとめて後日に行われるため時間の差ができてしまいます。
さらに、入金までの間に他の支払いがない場合でも、人件費や光熱費などはどうしても発生してしまう必要な費用です。
そこで、 入金されるまでのつなぎとして運転資金が使われる仕組みのため、在高方式ではつなぎとして必要な金額を求める計算式となっています。
売上債権
「売上債権」とは、商品を販売して売上に計上しているけれど、入金はされていないお金のことです。
売掛金や受取手形などが売上債権に該当し、代金を受け取るまでは売上は売掛金の状態ということになります。
取引で手形が発行されている場合は、売掛金ではなく受取手形といいます。
どちらも現金化されておらず、代金を受け取っていない売上のため、お金は手元に入ってきていません。
棚卸資産
企業が販売するために持っている商品や製品、在庫などを「棚卸資産」といいます。
売上はまだありませんが、近いうちに販売されて売上になる予定のものばかりです。
製品になる前の原材料や製造途中のものも含まれ、すべて企業の資産としての扱いになるので、棚卸資産に分類されます。
買入債務
買入債務とは、買掛金と支払手形を合算したものです。
この取引で手形を振り出した場合には、買掛金ではなく支払手形の扱いです。
どちらの扱いでも仕入れはしているけれど、支払いがまだできていないため、買入債務に分類されます。
回転期間方式の計算例
ここでは、在高方式よりも詳細な回転期間方式の計算例を挙げてみます。
まず、回転期間方式には月単位と日単位で計算する方法があるため、今回は日単位で計算する方法を解説します。
計算がより細かくなるため、3段階に分けて計算しなければなりません。
はじめに、以下の計算式で売上債権回転期間、棚卸資産回転期間、買入債務回転期間をそれぞれ求めます。
売上債権回転期間 | (売掛金+受取手形)÷(年間売上高÷365) |
---|---|
棚卸資産回転期間 | 棚卸資産÷(年間売上原価÷365) |
買入債務回転期間 | (買掛金+支払手形+受取手形の譲渡高)÷(年間売上原価÷365) |
次に、運転資金回転期間を求めますが、先に計算した3つの期間を使って計算します。
ちなみに、 運転資金回転期間とは「商品やサービスを販売してから売掛金を回収し、その後運転資金にできるまでの期間のこと」です。
それから、運転資金回転期間に1日あたりの平均売上をかけると、運転資金が算出されます。
売上債権 | 400万円 |
---|---|
棚卸資産 | 300万円 |
買入債務 | 200万円 |
年間売上 | 5,000万円 |
1日当たり平均売り上げは「5,000万円÷365日」で13万6,986円となります。
①売上債権回転期間:400万円÷(5,000万円÷365日)=29.2日
棚卸資産回転期間:300万円÷(5,000万円÷365日)=21.9日
買入債務回転期間:200万円÷(5,000万円÷365日)=14.6日
②運転資金回転期間:29.2日+21.9日-14.6日=36.5日
③運転資金:13万6,986円 × 36.5日=499万9,989円
回転期間方式に当てはめて計算すると上記のようになり、必要な運転資金は約500万円となります。
回転期間
「回転期間」とは、資産が一回転して元の状態に戻るまでの期間のことで、どのくらいの期間が必要かを求めることができます。
売上の場合は、商品やサービスを売り上げて債券が生じ、代金が回収されるまでの期間のことです。
仕入れの場合は、仕入れてから代金を支払うまで、在庫であれば在庫を抱えてから売り上げて代金回収までの期間のことを表します。
売上債権回転期間
「売上債権回転期間」とは、掛取引で商品を販売してから代金を回収するまでの期間のことです。
売上債権回転期間を計算することで、入金されるべき売上金が何日分入金されていないかを表すことができます。
この期間が短ければ短いほど、売掛金の回収が順調に進んでいることを示しており、健全な経営がされていると考えられます。
棚卸資産回転期間
「棚卸資産回転期間」とは、在庫になっている材料や商品が売り切れるまでの期間のことです。
売上に対して、何日で在庫がなくなるかを計算することができます。
そのため、棚卸資産回転期間が短ければ短いほど、在庫が順調に消化されて売上になっていることを表しており、事業が順調に進んでいると考えられます。
反対に、棚卸資産回転期間があまりにも長ければ、不良在庫を抱えている恐れがあり、在庫を減らすなどの対策をしなければなりません。
買入債務回転期間
「買入債務回転期間」は、掛取引で商品を仕入れてから在勤を支払うまでの期間のことです。
この計算で、本来なら支払わなければならない仕入れ代金を、まだ何日分支払いできていないかが分かります。
買入債務回転期間は他の期間と違って、長いほど支払いの無理が生じていないことを表しており、経営上望ましいとされています。
運転資金の計算で知っておきたい基礎知識
運転資金は、融資を受けたり利益を求めたりする際にはよく聞く言葉です。
ただし、運転資金の計算をする上では「経常運転資金」や「増加運転資金」など、聞き慣れない言葉もできてきます。
計算方法だけでなく、それぞれの意味や種類を知ることでより理解が深まります。
ここでは、運転資金の計算で知っておきたい基礎知識を解説するので、ぜひ参考にしてください。
運転資金とは?目安と考え方について
運転資金は、会社を運営する際に必要な費用をまかなうための資金のことです。
運転資金と呼ばれるものには、以下のような費用があります。
- 材料費など仕入れに関する費用
- 事務所の賃貸費用や光熱費
- 広告宣伝費など
この運転資金には大きく分けて「変動費」と「固定費」の2つがあります。
「変動費」は売上によって変動しますが、売上などに左右されず毎月一定の費用がかかるのが「固定費」です。
売上高に比例して日々金額が変動する「変動費」 | 売上高とは関係なく一定額必要となる費用「固定費」 |
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・材料費や仕入費 ・外注費 ・出来高払いの賃金 ・運賃 ・消耗費など |
・賃金 ・リース代 ・広告宣伝費 ・事業所などの家賃 ・保険料 ・管理費 ・減価償却費など |
この2つのバランスを見ながら、運転資金を使っていくことが重要です。
特に売掛や買掛で取引をする場合は、毎月の運転資金が不足することがないように、入金と出金がいつ行われるのかをしっかりと把握しておかなければなりません。
経常運転資金
企業が事業運営を行うための資金を「経常運転資金」といいます。
通常、運転資金といえば経常運転資金のことを指すことが多いです。
企業の多くは、基本的に掛取引を行なっており、代金を後払いにして売上げを計上し数ヶ月後に入金される取引きをしています。
この掛取引では、売上と入金までの間にタイムラグが生じますが、家賃などの固定費は必ず支払わなければなりません。
このように運営を行うために常に必要とする資金を、経常運転資金と呼びます。
増加運転資金
売上が増加した分増える運転資金を「増加運転資金」といいます。
企業で売上が増えていけばその分仕事も増えるため、仕入れの増加や人件費がかさむようになるのが一般的です。
増加運転資金も経常運転資金と同様に、入金が後のため一時的に資金が足りなくなる可能性もあります。
売上が急に伸びたことで対応できず、手元にある資金では追いつかなくなるケースもあるのです。
企業の多くが行なっている掛取引では、売上が増えることで運転資金の増加も考えられるため、入金と出金のタイミングを把握しておくことが重要です。
減少運転資金
増加運転資金とは逆で、 売上が減少した際に固定費の支払いに割り当てる資金を「減少運転資金」といいます。
売上が落ち込んだ場合でも、家賃や人件費などの固定費の支払いをしなければなりません。
売上が減少すると固定費の負担は重くのしかかるため、資金管理には十分注意する必要があります。
また、売上が減少することで事業の縮小を検討するケースもあります。
店舗の閉鎖などで経費の削減をする際にも、追加的なコストがかかるために減少運転資金が必要です。
季節性運転資金
「季節性運転資金」とは、決まった季節に需要が発生する運転資金のことです。
スポーツ用品だと、ウインタースポーツの時期である冬や、マリンスポーツの需要が高まる夏などに拡大します。
そのほか、クリスマスやお正月などのイベントに関連して需要が増える商品もあります。
季節性運転資金は、季節要因が関係することで追加が必要となる運転資金です。
その他の運転資金
運転資金はそのほかにも、 販売先や仕入先などの条件が変更された際に発生する資金もあります。
取引先の売掛金や手形の支払いが遅れるとこもあり、このような場合には入金が遅れてしまうため運転資金を利用して対応しなければなりません。
経営していく中で、自社以外の要因で資金が必要になることは少なからずあります。
このような場合にも慌てることのないよう、さまざまなケースを想定して資金を用意しておくことが大切です。
運転資金を安定させるには?
運転資金を安定させるためには、回転期間を把握しどれだけの運転資金が必要かを計算しておくことが非常に大切です。
多くの企業にとって、運転資金を捻出したり確保したりすることは重要な課題のひとつといえます。
ここでは、どのようなポイントを押さえれば、安定した運転資金を確保できるかを解説していきます。
- 売上債権回転期間を短くする
- 在庫の確認と破棄
- キャッシュフローは長期目線で考える
- 出金(支払い)はなるべく長くする
売上債権回転期間を短くする
安定した運転資金を得るためには、売上債権回転期間を確認してください。
売上債権回転期間が長ければ長いほど、資金繰りが厳しくなってしまいます。
たとえ売上が順調であったとしても、支払いが不能になってしまうからです。
支払いができなくなってしまえば、黒字倒産になる可能性が高まります。
このような最悪の事態を避けるためにも、売上債権回転期間が長くなっていないかを確認することが重要です。
もしも、売上債権の回収が遅延している、取引先から先延ばしの依頼をされているなどの場合は注意しなければなりません。
特に、取引先から依頼を受けている場合は、取引先の倒産や不渡りなどにつながりそうな異変がないか気をつけておく必要があります。
取引先にもしものことがあった場合には、売上債権の回収は困難となり、自社の支払いに大きな影響を与えることになります。
在庫の確認と破棄
棚卸資産回転期間が長期化していないか確認することも、運転資金を安定化させる上では重要な項目です。
在庫がたくさんあれば、売上増加や急な注文にはすぐに対応できますが、販売がされない在庫は、劣化や消耗などによって価値が下がる可能性があります。
さらに、在庫を保管する倉庫や管理にも費用がかかることになります。
棚卸資産回転期間を短縮するためには、こまめな在庫チェックと不要な在庫の破棄に努めなければなりません。
その際、 過去の売上や仕入れの分析をすることで、適切な量を調整しやすくなります。
キャッシュフローは長期目線で考える
運転資金の把握は短期間では難しいため、長期的な目線が必要です。
金融機関から融資を行なって資金調達する際には、申し込みや審査にある程度の時間を要します。
安定した運転資金確保のためには、長期的な目線でキャッシュフローを把握しなければなりません。
前期、前々期と過去の売上や回転期間はどうなっているのかを、しっかりと確認してください。
資金繰り表などを作成することで、自社の収入や支出を把握できるようになり、財務状況の確認がしやすくなります。
出金(支払い)はなるべく長くする
出金となる支払いに関しては、なるべく長く先延ばしにする方が、運転資金を確保するためには有利です。
回収の期間が長く支払いの期間が短いと、入金がまだできていないのに支払いはしなければならない状況になり、運転資金が足りなくなる可能性があります。
自社だけでは決定することができないため、取引先との交渉次第にはなりますが、大口の入金の後に支払いができるようにスケジュールを設定できれば安心です。
資金繰り表も確認し入金と出金の差が生じなくなると、必要な運転資金を抑えることができます。
運転資金の計算に関するよくある質問
運転資金の計算に関するよくある質問をまとめました。
運転資金の計算について不明な点がある人、理解を深めたい人などはぜひ参考にしてください。
- 建設業の経常運転資金の計算方法を教えてください
- 増加運転資金の計算方法を教えてください
- 運転資金の計算でマイナス・プラスの場合はどうなりますか?
- 運転資金に人件費は含まれますか?
- 運転資金の計算に現預金は含みますか?
Q:建設業の経常運転資金の計算方法を教えてください
建設業の場合は、仕入れをしてから工事が完了するまでの期間が長いという特徴があります。
手形による支払いになっても現金化までの期間が長くなるため、経常運転資金は大きくなりやすく、資金繰りが厳しい業種だといえます。
建設業界で経常運転資金を計算する場合、特有の勘定科目が使用されており、計算の意味は同じですが科目が異なる点に注意が必要です。
(棚卸資産)=(材料)+(未成工事支出金)+(製品)
(仕入債務)=(工事未払金)+(支払手形)
科目は異なりますが、基本的な経常運転資金の意味合いは変わりません。
Q:増加運転資金の計算方法を教えてください
増加運転資金は、売上高の増加によって仕入れが増えたり、在庫が増えたりするためだけに必要なのではありません。
売上が増えることで人手も必要になることがあり、人件費が必要になるケースも多いのです。
企業が成長する上では、十分な増加運転資金がなければ、黒字倒産などになることもあるため注意が必要です。
Q:運転資金の計算でマイナス・プラスの場合はどうなりますか?
運転資金がマイナスであれば、資金繰りが不足している状態、プラスであれば運転資金に余裕があるということが分かります。
マイナスの場合は、資金繰りを改善する必要があるため、売掛金の回収のタイミングを見直したり、売上原価の削減などさまざまなことを見直すことが重要です。
合わせて売上高の向上についても、しっかりと検討する必要があります。
Q:運転資金に人件費は含まれますか?
ただし、一言に人件費といってもさまざまな費用があり、給料だけではありません。
基本的な給料以外に、社会保険料やそのほかの福利厚生費、通勤交通費などが含まれます。
人件費や家賃などは、売上に関係なく一定額必要となる費用で、運転資金の中でも固定費に分類されます。
Q:運転資金の計算に現預金は含みますか?
運転資金と現預金の関係は非常に重要で、運転資金が現預金でまかなえている状態が一番理想的であるといえます。
運転資金が現預金を下回っている状態であれば、借入金を調達するなどの対策をしなければ、さらに資金繰りが難しくなるので注意してください。
運転資金の計算 まとめ
運転資金を把握することは、安定した事業を継続していくために不可欠です。
もしも、運転資金の計算が間違っていれば、利益が出ていても継続が難しくなるかもしれません。
正しい運転資金の計算方法を理解しておくことで、今後の資金繰りも計画的に行えるだけでなく、余裕を持った経営を行えます。
自社で必要な運転資金はどのくらいなのかをしっかりと把握し、資金不足に陥らないよう注意していくことが大切です。
昨日は0人が事業資金の調達に成功しました。
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