コミットメントラインとは?中小企業でも受けられる?当座貸越との違いや利用するメリット・デメリット

コミットメントライン契約とは、銀行などの金融機関と顧客の間で一定の期間と金額の範囲内であれば、何度でも借入と返済が可能な融資のことです。
コミットメントライン契約は、急な資金調達に対応できたり資金繰りが安定するといったメリットがあります。
一方で、何度でも借入と返済が金額の範囲内ではできるため、手数料が発生したり審査が厳しい、中小企業が利用しづらいのがデメリットです。
今回の記事では、コミットメントライン契約の概要や当座貸越との違い、利用するメリットとデメリットについて解説します。
記事を読むことで、コミットメントラインを自社が使うべきかどうかがわかりますので、ぜひ参考にしてください。
また、 24時間対応・最短即日入金もできるので、資金繰りを改善したい人におすすめ!
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目次
コミットメントラインとは
コミットメントラインとは、 金融機関と顧客の間で一定の期間および金額の範囲内であれば、何度でも資金の借入と返済が可能な融資のことです。
コミットメント契約を結んだ場合、銀行側は期間と金額内であれば原則として融資を実行する義務を負っているという特徴があります。
コミットメントラインを設定する場合は、顧客側が銀行側に対して手数料となる「コミットメントフィー」を支払う必要があります。
コミットメントラインと当座貸越(借入枠)の違い
コミットメントラインに似た概念として 「当座貸越」 がありますが、2つは以下のように違います。
上記の表の通りで、コミットメント契約を結ぶと、融資を行う時に関しては審査なしで融資が可能です。
| 用語名 | 特徴 |
|---|---|
| コミットメントライン | ・契約した期間・融資額の枠内であれば銀行側は原則として審査なしで貸出を行う必要がある |
| 当座貸越 | ・契約した期間、融資枠内であれば借入や返済が可能 ・貸出の際は審査が必要 |
一方で、 当座貸越契約を結んだ場合は、融資時には審査にパスする必要 があります。
コミットメントラインとタームローンの違い
また、コミットメントラインに似ている用語としてタームローンがありますが、この2つは契約期間の長さや融資できる回数が異なります。
違いは以下の通りです。
| 種類 | 特徴 | 融資回数 | 契約期間の長さ |
|---|---|---|---|
| コミットメントライン | ・一定の期間内であれば、いつでも融資を実行できる契約方法 ・緊急の資金確保などの短期的な資金調達に利用されることが多い |
期間内であれば複数回可能 | 短期(1年以内) |
| タームローン | ・証書貸付で行い、長期で借入をする契約方法 ・設備資金やリファイナンスなど長期的な資金調達で使われることが多い |
一括or複数回を選択可能 | 長期(1年以上) |
コミットメントラインとシンジケートローンの違い
コミットメントラインは、シンジケートローンの一つの形態として存在しています。
このコミットメントライン形態をシンジケートローンで組成することで、 設定された融資枠内であれば、借り入れと返済を繰り返すことが可能です。
さらに、通常、運転資金や予備的な資金需要など、幅広い資金使途に柔軟に対応できます。
コミットメントライン契約が使える会社の条件
コミットメントライン契約は、安定した資金調達を可能にする非常に魅力的な手法ですが、利用できる企業が原則として限定されているという特徴があります。
銀行側が事前に設定した極度額の範囲内での融資を拒否できない(借り入れの確約)ため、銀行は借り入れを行う企業に対して、確実な返済能力と高い資力を求めるからです。
また、コミットメントライン契約を締結する際は、通常、特定融資枠契約に関する法律の適用対象となる会社と結ぶケースがほとんどです。
同法の適用対象となる主な企業は、以下の条件のいずれかを満たす大規模な法人です。
- 会社法上の大会社
- 資本金3億円超の株式会社
- 純資産額10億円超の株式会社
- 金融商品取引法の規定による監査証明を受ける必要のある株式会社
- 上記の条件に掲げた法人の子会社
これらの条件からわかる通り、コミットメントライン契約は、主に上場企業やその子会社など、大規模な法人を想定した仕組みです。
そのため、原則として中小企業や未上場の企業の利用は難しいという点を理解しておく必要があります。
コミットメントライン契約は2種類
コミットメントライン契約は バイラテラル方式とシンジケート方式 の2種類に分かれています。
| 契約方式 | 特徴 |
|---|---|
| バイラテラル方式 | 金融機関(貸し手)と企業(借り手)が個別に契約を締結する方式 |
| シンジケート方式 | アレンジャーと呼ばれる幹事の銀行が複数の金融機関と結託し、シンジケートと呼ばれる集団を作り、同一条件でコミットメント契約を締結する方式 |
ここでは、コミットメントラインの契約に関する2つの方式について詳しく解説します。
契約方法① バイラテラル方式(相対型)
バイラテラル方式とは、 銀行の融資形態のことを指しており、金融機関(貸し手)と企業(借り手)が1対1で契約する貸出方式 です。
日本の融資においては、基本的な貸出方式で、 個別の金融機関と交渉を行うため、融資するにあたって金利・融資額などの条件が異なるという特徴 があります。
一方で、債務不履行などの信用リスクがメインバンクに集中してしまうことや外部からの経営に対するチェックがかけにくいというデメリットもあります。
契約方法② シンジケート方式(協調型)
シンジケート方式は、アレンジャーと呼ばれる幹事の銀行が、 複数の金融機関と結託して大規模融資を企業に行う際の契約形態 を指した言葉です。
例として、100億円の貸付を1つの銀行で行うのは難しいですが、5つの銀行であれば1銀行あたり10億円の融資額となりますので、貸し倒れリスクを分散できます。
また、企業側も5つの銀行といちいち交渉するのは大変な労力がかかりますので、シ ンジゲート団の幹事と交渉をすることにより、 一度で100億円の融資契約を取り付ける ことができます。
コミットメントライン契約のメリット
コミットメントライン契約のメリットは、 急な資金調達のしやすさや資金繰りの安定 といったメリットがあります。
- 急な資金調達に対応できる
- 契約期間中は審査などの手続きが不要
- 資金繰りが安定する
ここでは、コミットメントライン契約のメリットについて詳しく解説します。
急な資金調達に対応できる
コミットメントライン契約の最大の利点は 、契約期間と融資枠の範囲内であれば、迅速かつ確実に資金調達ができる点 です。
銀行は契約に基づき融資を拒否できないため、 予期せぬ事態や緊急時の急な資金需要にも即座に対応できます。
企業にとって、いざという時に資金を確保できるという安心感は、事業継続における非常に大きなメリットとなります。
契約期間中は審査などの手続きが不要
通常の融資は、借り入れの都度に手続きや審査が必要です。
一方、コミットメントライン契約では、 契約時の審査だけで、契約期間中は融資のたびの手続きや審査が不要になります。
これにより、必要な資金を、大幅な時間と手間をかけずに迅速に調達することが可能です。
資金繰りが安定する
コミットメントライン契約を結ぶ最大の利点は、 設定された融資枠内で柔軟な資金調達が可能になるため、企業の資金繰りの安定 につながります。
この資金繰りの安定化は、単に社内的な安心材料に留まりません。
株主や取引先、そして社員に対し、 企業が財務的に強固であり、予期せぬ事態にも対応できる高い信頼性を示す証 となります。
コミットメントライン契約のデメリット
一方、コミットメントライン契約には、手数料の発生と審査が厳しいため誰でも利用できるわけではありません。
- 手数料が発生する
- 中小企業が利用しづらい
- 審査が厳しい
ここでは、コミットメントライン契約のデメリットについて解説します。
手数料が発生する
コミットメントライン契約を結ぶ際の大きな特徴は、 契約時に手数料が発生する点 です。
この手数料は、実際に融資を受けたかどうかに関わらず、設定した融資枠の総額全体に対して支払うことになります。
そのため、「万が一の備え」として大きな枠を確保したものの、結果的に利用しなかった場合、手数料だけが大きな負担となり、コスト効率が悪くなる可能性があるため注意が必要です。
中小企業が利用しづらい
コミットメントライン契約を利用できる企業は、 特定融資枠契約に関する法律の適用対象となる会社 が一般的です。
中小企業は一般的に、大企業に比べて財務情報が不透明であったり、景気変動の影響を受けやすく、資金繰りが不安定になりがちです。
この不安定さから、金融機関にとってコミットメントライン契約のリスクが高すぎると判断され、提供が困難になります。
審査が厳しい
コミットメントライン契約の最大の特徴は、契約期間内であれば、事前に設定した極度額まで個別の審査なしで融資を受けられる点です。
この「審査なしで実行できる」という性質から、金融機関にとってのリスクが高くなります。
具体的には、契約後に企業の業績が急変し、資金の回収が困難になる可能性があっても、契約した以上は融資を実行しなければならないためです。
そのため、通常の融資と比較して、コミットメントライン契約時の金融機関による審査はより厳格になります。
コミットメントライン契約でチェックしておきたいポイントや条項について
コミットメントラインを契約するにあたり、チェックをしておきたいポイントおよび条項は以下の通りです。
- 手数料
- 表明保証条項
- 契約期間中の弁済
- 利息
上記の項目をチェックしておかないと、想定した金額よりも多額の支払いが発生しますので、ぜひ確認してください。
手数料
コミットメントライン契約では、手数料が発生します。
手数料は、実際の借入金額をベースにしたものではなく、極度額の割合に応じた金額となる可能性が高いです。
1億円の融資枠
事務手数料:2%(相場が1〜2%)
1億円×0.02=200(万円)が手数料となります。
表明保証条項
表明保証条項とは、 発行会社・経営者が一定の事項が真実で正確であることを金融機関に対して表明する条項 のことです。
コミットメントラインは、通常の一括融資と異なり審査が非常に厳しく、財務状況をクリーンにすることが求められます。
表明保証条項に違反した場合にどうなるのか、 改善するためにはどのようにすればいいのかを確認した上で契約するようにしてください。
契約期間中の弁済
コミットメントライン契約は、極度額の範囲内であれば何度も借入ができます。
ただ、金利の関係から借入から一定期間は弁済ができないという条項が契約書に書かれている可能性があります。
その期間に関しては金利を必ず負担しなければならないため、必ず契約時に弁済に関する条項があるかどうかを借入証書で確認してください。
利息
コミットメントライン契約を結んだ場合は、当然ですが利息が発生します。
コミットメント契約の利息の相場は以下の通りです。
借入の金利(年利):5%
コミットメントラインフィー(手数料)1%
契約時に1億円のみ借入を行った場合は、最初の半年の利息および手数料は以下の通りです。
利息:1億円×0.5×0.05=25万円
手数料:9億円×0.5×0.01=450万円
半年間で利息と手数料だけで475万円かかります。
これは融資枠が10億円なので、数百万円程度ですが、数百億円単位の融資となると手数料と利息だけで数千万円取られることになります。
コミットメントライン契約をするためのポイント
コミットメントライン契約をするためには、厳しい審査に通過することが重要です。
- 金融機関と信頼関係を築く
- 業績を安定させる
- 専門家に相談する
そのため、 金融機関や専門家のアドバイスに基づき、契約できるように務めなければなりません。
ここでは、コミットメントライン契約をするためのポイントについて解説します。
金融機関と信頼関係を築く
特にコミットメントラインのような契約においては、 金融機関と企業との間に強固な信頼関係があることが極めて重要 です。
コミットメントラインは、金融機関にとって大きなリスクを伴うため、真に信頼できる取引先に限定して契約が結ばれます。
信頼を得るための土台として、まずは金融機関との一定期間にわたる確実な取引実績を積み重ねること が不可欠です。
業績を安定させる
コミットメントラインを契約するためには、 企業が安定した経営状況を維持していることが必須条件 となります。
契約の審査を通過するためには、現在の事業の強化・改善に取り組むだけでなく、自己資本比率の向上や負債の削減を通じて、財務体質の改善を意識的に進める必要があります。
最終的に、審査側に 「将来にわたり経営が好転していく」という見通しを与え、信頼を得ることが鍵 となります。
専門家に相談する
コミットメントライン契約は、 融資枠確保のメリットがある一方、手数料や財務制限条項など、複雑な条件 を伴います。
税理士などの専門家は、 これらの契約内容を精査し、企業の財務状況や将来計画に照らし合わせた適切なアドバイス を提供できます。
コミットメントラインのまとめ
コミットメントラインは、金融機関と企業があらかじめ融資枠を設定し、期間内と融資枠内で迅速かつ確実に資金調達ができる契約です。
銀行は融資実行義務を負うため、 借入の有無に関わらず手数料(コミットメントフィー)が発生します。
当座貸越と異なり、契約後は原則として審査なしで融資が実行される点がメリットです。
しかし、主に大企業(資本金3億円超など)を対象としており、中小企業の利用は原則難しいです。
契約時には手数料や利息などの条件確認と、 厳しい審査を通過するための財務体質の安定が重要となります。
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