スマホ動画広告のApp-CMが1.4億円の調達を発表！大きなデータ量を必要としない動画再生技術が武器

スマートフォン向けの動画広告プラットフォームを手がける株式会社アップシーエムが3月28日、中国最大のアドネットワークYeahmobiグループなどからシリーズAラウンドとして約1億4,000万円を調達したと発表しました。このラウンドには、日本から複数名の個人投資家も参加しています。
App-CM（アップシーエム）はスマートフォンのアプリやウェブサイトに美しく動画広告を表示できる動画広告プラットフォームです。
Yeahmobiグループなどの出資によって中国進出はもとより、先月タイアップを実施したインドのスタートアップ・アクセラレータのGreen House Ventures（GHV）とインド市場への拡大を加速させる方針があるそうです。
同社は東大本郷キャンパス前にオフィスを構えたスタートアップ企業で、取締役CTOの八木田樹氏を中心とした、東京大学大学院情報理工学研究科所属のコンピューターサイエンス研究者のエンジニアらによって組織形成されています。

App-CMの仕組み

App-CMの動画広告の表示形式は2タイプあり、インタースティシャル型と呼ばれるアプリ内の画面遷移時などの表示と、ムービーフィード型と呼ばれるデザインは崩れるが表示サイズを任意で選べるタイプから選ぶことが出来ます。
この広告をGoogle が公開しているオープンソースの動画圧縮コーデック『VP9』を活用した独自の動画再生フォーマットで表示します。この手法を用いることで、インストリーム動画広告プロトコル『VAST』に準拠した形で、最大圧縮時でデータ量を従来の仕組みの10〜20分の1程度にすることができるそうです。
従来のスマートフォンの動画アドネットワークでは、コンテンツ内にインラインで動画を表示させるために、CSS Spritesというフォーマットが使われています。
これには弱点があり、パラパラマンガのように静止画の連続で表示するため、動画フレーム間の差分圧縮が機能せず、データ量が大きくなってしまっていました。
ここに着目したのが、アップシーエムでした。
App-CMで作成された動画広告の初回再生時のみ、独自フォーマットに対応する動画再生プラグインが読み込まれます。スマートフォン表示で、どの程度フレームを間引くかによって若干異なりますが、従来の仕組みで平均4MB程度あった動画広告のデータ量を同社の技術は、最大圧縮時で200KB程度にまで抑えられるそうです。
同社はこの技術の、人工知能を活用した動画広告配信最適化アルゴリズムなどで特許を出願中です。

今後の展開は発展途上国での導入

アップシーエムは、人気のある動画をひっきりなしに楽しむことができるモバイルアプリ「ViMET（ビメット）」の代表取締役CEOであった大塚淳史氏が創業したスタートアップです。同社を創業後、大塚氏は、VIMETを開発するエメットクリエーション株式会社を柳本創氏に託し、App-CMでスマートフォン広告向けの動画再生エンジンの開発に専念してきたそうです。
その甲斐あって、日本で展開される200サイト程度のスマートフォン・メディアに導入されています。今後の方針として、この大きなデータ量を必要としない動画再生技術を武器に、モバイル・ブロードバンド環境が発展途上である市場にも挑戦していくとTHE BRIDGEで報告されています。
広告メディア側にはインビュー時にミュート状態で自動再生され、スマートフォンユーザーに効果的な訴求が行えることやサーバー代の削減に貢献します。また、ユーザーにはスムーズかつ高画質な動画広告の配信ができるので、ストレスのない環境を提供していくことができるのでしょう。

App-CM | スマートフォン向け動画広告配信プラットホーム
http://www.app-cm.co.jp/