ものづくり補助金とは?【2023年最新版】補助金額や公募要領と採択結果、スケジュール、申請方法についてわかりやすく解説
この記事では、上記のような疑問や悩みを解決します。
ものづくり補助金を利用することで、 会社は一定の取り組みの金銭的な負担感を軽減できます 。
ものづくり補助金を受けるためには、適切な期間に申請を行わなければなりません。
また、補助金にも審査があることから、申請したら必ずもらえるというわけではないので、注意が必要です。
補助の有無や金額は事前の審査と事後の検査によって決まり、 補助金は後払い(精算払い)となっているので、事業の実施後に必要書類を提出しなければなりません 。
この記事では、 2023年最新版のものづくり補助金の申請手続きについて解説 していきます。
この記事を読むことで、 2023年最新版のものづくり補助金について理解することができ、補助金のスケジュール、申請方法、補助金受領までのプロセスを詳しく知ることができます 。
- ものづくり補助金とは中小企業や個人事業主向けの政府補助金で、新規サービス・製品開発や生産プロセス改善のための設備投資を支援するもの
- ものづくり補助金の条件は「付加価値額・給与支給総額・事業場内最低賃金」の3つの基準をクリアし、採択さて、審査通過することで利用できるようになる
- 2023年のものづくり補助金には通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠の5つの枠があり、それぞれ要件が異なるので注意
- 2023年・令和5年度の第14次ものづくり補助金は大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例や温室効果ガス排出削減取組の拡充による補助上限金額最大4000万円、海外展開支援強化などが注目される
- 2023年ものづくり補助金のスケジュールは以下画像をチェック!
- ものづくり補助金の申請方法は電子申請のみ!必要書類は多く、枠によって異なるので事前に確認しておくのがおすすめ
- ものづくり補助金の採択結果は13次・一般型の採択率58.3%!ものづくり補助金で採択されるポイントは事業計画書・公募要領の確認・加点項目・減点項目の確認を意識すること
画像引用:スケジュール|ものづくり補助金総合サイト
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目次
ものづくり補助金とは?(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)
ものづくり補助金は、
中小企業や個人事業主向けの政府補助金で、新規サービス・製品開発や生産プロセス改善のための設備投資を支援します
。
これを活用することで、競争力を高め、ビジネスの成長を促進することが可能です。
しかし、補助金を得るためには特定の要件を満たすことが求められます。
これには付加価値額や給与支給総額の増加、事業場内の最低賃金水準などが含まれ、3~5年間の事業計画の提出も必要です。
また、基準を満たしただけで補助金が保証されるわけではなく、審査を経て最終的な採択が行われます。
【2024年】ものづくり補助金の公募要領(条件)と補助金額
ものづくり補助金は、
中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む)が行う新製品・サービスの開発や生産プロセス改善に必要な設備投資などを促進するための制度
です。
ものづくり補助金に申請するに際しては、 事業計画(3~5年)の提出が必要 となり、その事業計画書は、以下の3つの基本要件を満たしている必要があります。
- 「付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)」が、年率平均3%以上増加すること
- 「給与支給総額」が、年率平均1.5%以上増加すること
- 「事業場内最低賃金」を、地域別最低賃金の30円以上の水準にすること
なお、ものづくり補助金は、上記の3つの要件を満たしていたとしても、申請すれば必ずもらえる補助金ではありません。
たとえば、「申請が採択されるために必要な審査」、「採択決定後に補助金の交付を受けるために必要な審査」、「事業完了後に行われる検査」によって、補助金が支給されるか否か、そして、その金額が決定することになります。
また、 ものづくり補助金の要件などについては、毎年のように変更される のが普通です。
したがって、 ものづくり補助金への申請にあたっては、必ず「ものづくり補助金総合サイト」で最新の公募要領を確認する必要があります 。
令和4年度(2023年最新版)のものづくり補助金の概要は以下の表のとおりです。
申請枠 | 補助上限額(※従業員規模により異なる) | 補助率 |
---|---|---|
通常枠 | 750万円~1,250万円 | 1/2 2/3(小規模・再生事業者) |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 750万円~1,250万円 | 2/3 |
デジタル枠 | 750万円~1,250万円 | 2/3 |
グリーン枠 |
エントリー:750万円~1,250万円 スタンダード:1,000~2,000万円 アドバンス:2,000~4,000万円 |
2/3 |
グローバル市場開拓枠 | 3,000万円(補助下限額100万円) | 1/2 2/3(小規模事業者) |
2023年のものづくり補助金は通常枠と5つの枠に分かれている
ものづくり補助金は、
複数の枠が設定されており、枠ごとに対象事業者や要件が異なります
。
次のような5つの枠がものづくり補助金には設定されています。
- 通常枠
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠
- デジタル枠
- グリーン枠
- グローバル市場開拓枠
以下では、それぞれの枠ごとに、ものづくり補助金の概要や補助金額、要件などを詳細に紹介するので参考にしてください。
ものづくり補助金の枠① 通常枠
要件 | |
---|---|
概要 | 革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 |
従業員数5人以下:100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上:100万円~1,250万円 |
補助率 | 1/2、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者2/3 |
ものづくり補助金の通常枠は、 革新的な製品・サービス開発、もしくは、生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資などを支援することを目的とした補助金制度 です。
たとえば、以下のような投資に、通常枠は活用されています。
- 複数形状の餃子を製造可能な餃子全自動製造機を開発
- 「食べられるクッキー生地のコーヒーカップ」の製造機械を新たに導入
ものづくり補助金の枠② 回復型賃上げ・雇用拡大枠
要件 | |
---|---|
概要 |
業況が厳しいながら賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者(※)が行う、革新的な製品・サービス開発又は生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援 ※応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下であり、常時使用する従業員がいる事業者に限る。 |
補助金額 |
従業員数5人以下:100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上:100万円~1,250万円 |
補助率 | 2/3 |
基本要件に加えた追加要件 |
以下の全ての要件に該当するものであること。 (1)前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下であること (2)常時使用する従業員がいること (3)補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、その時点での給与支給総額の増加率が1.5%、事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準の増加目標を達成すること |
基本要件の返還要件に加えた追加の返還要件 |
上記2つの増加目標未達の場合に加え、同枠で補助金交付候補者として採択された事業者が補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点で、給与支給総額又は事業場内最低賃金の増加目標のいずれか一方でも達成できていない場合、補助金交付額の全額の返還が必要です。 ・ただし、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金返還を求められません。 ・給与支給総額を用いることが適切ではないと解される特別な事情がある場合、給与支給総額増加率に代えて、一人当たり賃金の増加率を用いることができます。 |
ものづくり補助金の回復型賃上げ・雇用拡大枠は、業況が厳しいなかでも、賃上げ・雇用拡大に向けた取り組みを行う事業者を支援することを目的とした補助金制度です。
条件として、応募前年度の課税所得がゼロであり、常時使用する従業員がいて、革新的な製品・サービス開発、または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システムへ投資を行う事業者に補助金が支給されます。
なお、回復型賃上げ・雇用拡大枠は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けつつも、生産性向上に取り組む事業者に向けた特別枠として、あとで説明する「デジタル枠」・「グリーン枠」とともに第10次公募から新設されました。
ものづくり補助金の枠③ デジタル枠
要件 | |
---|---|
概要 | DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品・サービス開発又はデジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 |
従業員数5人以下:100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上:100万円~1,250万円 |
補助率 | 2/3 |
基本要件に加えた追加要件 |
以下の全ての要件に該当するものであること。 (1)次の①又は②に該当する事業であること。 ①DXに資する革新的な製品・サービスの開発 (例:AI・IoT、センサー、デジタル技術等を活用した遠隔操作や自動制御、プロセスの可視化等の機能を有する製品・サービスの開発(部品、ソフトウェア開発を含む)等) ②デジタル技術を活用した生産プロセス・サービス提供方法の改善 (例:AIやロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設にサービスを提供するオペレーションセンターの構築等) ※単にデジタル製品の導入やアナログ・物理データの電子化にとどまり、既存の業務フローそのものの見直しを伴わないもの、及び導入先企業において前述の単なる電子化にとどまる製品・サービスの開発は該当しません。 (例:帳票の電子保存システム・デジタルスキャナ・電子契約書サービス・医療用画像診断機器の導入等、電子書籍・写真等のアルバム・動画編集サービスの開発等) (2)経済産業省が公開するDX推進指標を活用して、DX推進に向けた現状や課題に対する認識を共有する等の自己診断を実施するとともに、自己診断結果を応募締切日までに独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に対して提出していること。 (3)IPAが実施する「SECURITY ACTION」の「★一つ星」または「★★二つ星」いずれかの宣言を応募申請時点で行っていること。 ※(2)(3)について、自己診断結果をIPAに対して提出していること及び「SECURITY ACTION」の宣言をおこなっていることが必須の要件となります。 ものづくり補助金事務局がIPAに対して照会を行い、提出・宣言状況の確認を行います。診断結果・宣言が提出されていない場合には、デジタル枠では要件不備として不採択となりますので、ご注意ください。 |
ものづくり補助金のデジタル枠は、 2022年3月の第10回ものづくり補助金公募に際して新たに導入されました 。
デジタル技術を活用した新製品やサービスの開発、または生産プロセスやサービス提供方法の改良により生産性を向上させるための必要な設備やシステムへの投資を補助することを目的としています。
通常の補助金申請対象である設備やシステムへの投資のうち(通常枠とは別に)、特に デジタル変革(DX)を推進する投資に対して補助率が高く設定されているの特徴 です。
具体的には、以下のような取り組みに投資を行った場合に、ものづくり補助金・デジタル枠から補助を受けることができます。
- 属人的な作業を省力化するため、顧客・受注・作業員を一体的に管理するシステムを導入
- AIを導入した高精度な自律移動式無人搬送ロボットの試作開発
ものづくり補助金の枠④ グリーン枠
要件 | |
---|---|
概要 | 温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善による生産性向上に必要な設備・システム投資等を支援 |
補助金額 |
(エントリー類型) 従業員数5人以下:100万円~750万円 6人~20人:100万円~1,000万円 21人以上:100万円~1,250万円 (スタンダード類型) (アドバンス類型) |
補助率 | 2/3 |
基本要件に加えた追加要件 |
(1)次の①又は②に該当する事業であること。 ①温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービスの開発 (例:省エネ・環境性能に優れた製品・サービスの開発、非石油由来の部素材を用いた製品・サービスの開発、廃棄物削減に資する製品・サービスの開発等) ②炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供の方法の改善 (例:生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資、水素・アンモニアを活用する設備導入による燃焼工程と生産プロセスの最適化、複数ラインの作業工程を集約・高効率化等) ※②について、直接、設備投資に関係のない炭素生産性向上を伴う取組は、該当しません。(例:社内全体での節電対策、設備投資による間接的な炭素排出量の削減等) (2)3~5年の事業計画期間内に、事業場単位または会社全体での炭素生産性を年率平均1%以上増加する事業であること。 (3)エントリー類型について、以下のいずれかを満たすこと。 1.エネルギーの種類別に使用量を毎月整理している。また、補助対象の事業者あるいは事業所のCO2の年間排出量を把握している。 2.事業所の電気、燃料の使用量を用途別に把握している。 (4)スタンダード類型について、上記(3)を全て満たし、以下のいずれかを満たすこと。 3.本事業で開発に取り組む製品・サービスが、自社のみならず、業界・産業全体での温室効果ガス削減に貢献するものである。 4.電気事業者との契約で、一部でも再生可能エネルギーに係る電気メニューを選択している。 5.自社で太陽光やバイオマスなど再生可能エネルギーでの発電を導入している。 6.グリーン電力証書を購入している。 7.省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度(J-クレジット制度)があるがこの制度に参加し、自社での温室効果ガス排出量の削減取組についてクレジット認証を受けている。 (5)アドバンス類型について、上記(3)を全て満たし、上記(4)3.~7.のうち2つ以上を満たし、以下のいずれかを満たすこと。 8.通常版若しくは中小企業版SBT(Science Based Targets)の認証又は通常版若しくは中小企業版RE100に参加している。 9.エネルギーの使用の合理化等に関する法律(通称:省エネ法)における事業者クラス分け評価制度において、令和4年度定期報告書分評価が『Sクラス』評価であること(原則、公募締切時点で資源エネルギー庁ホームページにて、『Sクラス』として公表されていることが確認できること) 10.2020年度以降に以下のいずれかの事業における省エネルギー診断を受診している、または、地方公共団体で実施する省エネルギー診断を受診している。 ○一般財団法人省エネルギーセンター実施の「無料省エネ診断等事業及び診断結果等情報提供事業」又は「エネルギー利用最適化診断事業及び情報提供事業」 ○一般社団法人環境共創イニシアチブ実施の「省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業」、「地域プラットフォーム構築事業」又は「中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業」 |
ものづくり補助金のグリーン枠は、 カーボンニュートラルな取り組みを行う事業者を後押しするための制度として設立された補助金制度 です。
企業の環境保全活動の進展度に応じて3つの分類に分けられ、より先進的で総合的な環境保全活動を実施している事業者へより多くの支援を提供する ようになっています。
補助金の割合や総額が通常の申請枠(通常枠)よりも優れている一方で、補助対象となる取り組みはカーボンニュートラルに関連する投資に限定され、さらに要件も多いという欠点もあるので注意してください。
また、ものづくり補助金のグリーン枠は、グリーン枠で不採択となった場合でも、通常枠で審査が行われることはありません。
そのため、 このグリーン枠に特化した事業計画書の作成が要求されます 。
ものづくり補助金・グリーン枠は、以下のような取り組みを推進した事業者に対して補助金を交付しています。
- 炭素生産性向上が図れる製造装置を導入しつつ、従来から製造していた部品の高品質化
- 「エコマテリアル」素材を導入し、環境負荷が少ないクリーンな製品の試作開発
ものづくり補助金の枠⑤ グローバル市場開拓枠
要件 | |
---|---|
概要 |
海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援 (①海外直接投資類型、②海外市場開拓(JAPANブランド)類型、③インバウンド市場開拓類型、④海外事業者との共同事業類型のいずれかに合致するもの) |
補助金額 | 100万円~3,000万円 |
補助率 | 1/2、小規模企業者・小規模事業者2/3 |
基本要件に加えた追加要件 |
以下のいずれか一つの類型の各条件を満たす投資であること。 ①海外直接投資類型 ・国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること。 ・具体的には、国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、又は海外子会社の事業活動に対する外注費若しくは貸与する機械装置・システム構築費に充てられること。 ・国内事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置等を取得(設備投資)すること。 ・応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料、実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること。 ②海外市場開拓(JAPANブランド)類型 ・国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。 ・応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書、実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。 ③インバウンド市場開拓類型 ・国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。 ・応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書、実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を追加提出すること。 ④海外事業者との共同事業類型 |
ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠は、 海外のビジネス展開を強化・拡大する目的で、新製品やサービスの開発、または生産プロセスやサービス提供方法の改良に必要な設備やシステム投資を支援する枠組み を指します。
以下の4つの分類が存在します。
・海外市場展開(JAPANブランド)タイプ
・インバウンド市場開発タイプ
・海外企業との共同事業タイプ
13回目の公募まで存在していた「グローバル展開型」は、14回目の公募(令和5年度)から「グローバル市場開拓枠」に名称変更され、 それまで別々の補助金だった「JAPANブランド育成支援事業」が統合されました 。
具体的には、以下のような取り組みを行うと、ものづくり補助金・グローバル市場開拓枠の対象となります。
- 海外市場獲得を目的とした新製品開発のため、製造機械の導入や展示会への出展
- 日本に来日する外国人をターゲットとした予約システムの開発
【令和5年度】ものづくり補助金の注目したいポイント
2023年・令和5年度の第14次ものづくり補助金は、以下の点について、変更がありました。
- 大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例
- 温室効果ガス排出削減取組が3段階に!補助上限金額最大4000万円
- 海外展開支援強化
ここでは、注目すべき3つの変更ポイントについて解説していきます。
大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例
第14次の公募から、新たに「大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例」が設けられた ことで、大幅な賃上げに取り組む事業者は、従業員数に応じて、補助上限額が引き上げられます。
・従業員数6人〜20人:各申請枠の上限から最大250万円引き上げ
・従業員数21人以上:各申請枠の上限から最大1,000万円引き上げ
大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例を受けるためには、以下のすべての要件に該当する必要があるので注意してください。
(2)基本要件を満たした上で更に事業場内最低賃金を毎年年額+45円以上増額する。
(3)応募時に、上記(1)(2)の達成に向けた具体的かつ詳細な事業計画を提出する。
温室効果ガス排出削減取組が3段階に!補助上限金額最大4,000万円
第14次ものづくり補助金から、 グリーン枠が拡充され、補助上限金額が最大4,000万円へと増加 しました。
グリーン枠は、 温室効果ガスの排出削減に資する革新的なサービスや製品開発を行う事業者を対象として、温室効果ガス排出削減の取組段階に応じて「3段階の支援類型」に分類されています 。
3段階の支援類型は、「エントリー」「スタンダード」「アドバンス」の3種類です。
エントリー |
従業員数5人以下:750万円 従業員数6〜20人:1,000万円 従業員数21人以上:1,250万円 |
---|---|
スタンダード |
従業員数5人以下:1,000万円 従業員数6〜20人:1,500万円 従業員数21人以上:2,000万円 |
アドバンス |
従業員数5人以下:2,000万円 従業員数6〜20人:3,000万円 従業員数21人以上:4,000万円 |
これら3つの類型によって、、補助金額が大きくことなるので注意してください。
海外展開支援強化
海外展開支援を強化することを目的に行われていたJAPANブランド育成支援等事業費補助金が、第14次ものづくり補助金から「グローバル市場開拓枠」 に統合される ことになりました。
これによって、従来よりも、補助金を受けられる可能性がある投資が増えたことになります。
グローバル市場開拓枠は、細かく4つに類型されており、類型ごとに条件が異なるので注意してください。
海外直接投資類型 | 国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること。 |
---|---|
海外市場開拓(JAPANブランド)類型 | 国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。 |
インバウンド市場開拓類型 | 国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。 |
海外事業者との共同事業類型 | 国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること。(外国法人の経費は補助対象外) |
ものづくり補助金のスケジュール
画像引用:スケジュール|ものづくり補助金総合サイト
ものづくり補助金は、令和2年3月10日に公募が開始されて以降、通年で公募を行っています。
応募期間、審査期間、交付申請、補助事業実施期間がそれぞれ決まっているので、締切を守ることが大切 です。
採択された場合は、採択発表後、工具申請の準備を行い、交付申請後に事務局が交付決定を行います。
交付申請後、交付決定までには通常1カ月程度の期間が必要です。
交付決定後より、補助事業を開始することが可能となり、最大で10ヶ月間で事業を完結させる必要があります。
ものづくり補助金の申請方法は電子申請のみ!
ものづくり補助金を申請するためには、ものづくり補助金総合サイトからアクセスして、電子申請を行う必要があります。
電子申請は、次の4つのステップで実施します。
GビズIDサイトにて、GビズIDプライムの取得(申請)を行う。
・ものづくり補助金総合サイトの「電子申請システム」ページから、「電子申請システムログインページへ」を選択する。
・「ログイン」画面で「GビズIDプライムでログイン」を選択し、取得済みのGビズIDプライムを使用してログインします。
・ログイン後、「申請TOP」画面の「申請はこちら」から入力を開始します。
・応募者のプロフィールとして応募者の概要、事業内容、経費・資金調達内訳などを入力後、必要書類(電子ファイル)を添付します。
入力内容に形式不備やエラーがなくなり、全ての項目の「作成状況」が「作成済」となった後、「申請」ボタンをクリックし、申請内容を送信します。
GビズIDプライムアカウントとは
GビズIDプライムアカウントとは、 法人・個人事業主向け共通認証システムにログインするためのアカウントのこと を言います。
GビズIDプライムアカウントの他に、gBizIDメンバー、gBizIDエントリーという3種類のアカウントがありますが、ものづくり補助金で必要となるのは、GビズIDプライムアカウントです。
アカウントは 最初に1つ取得するだけで、 有効期限、年度更新の必要はないので、一度作ったアカウントを利用し続けることになります。
ものづくり補助金の申請で提出する必要書類
- 事業計画書
- 補助経費に関する誓約書【様式1】
- 賃金引上げ計画の誓約書【様式2】
- 決算書等
- 従業員数の確認資料
- 労働者名簿
- 応募申請時において再生事業者であることを証明する書類(再生事業者のみ)
- 課税所得の状況を示す確定申告書類(回復型賃上げ・雇用拡大枠のみ)
- 炭素生産性向上計画及び温室効果ガス排出削減の取組状況【様式3】(グリーン枠のみ)
- 大幅な賃上げ計画書【様式4】(大幅な賃上げを行う事業者のみ)
- 海外事業の準備状況を示す書類 (グローバル市場開拓枠のみ)
ものづくり補助金に申請する場合は、上記の書類の提出が必要となります 。
どの枠に申請するかによって、申請時に添付する書類は異なるので注意してください。
なお、上記のは提出が必須の書類となりますが、この他にも、任意で提出する必要がある書類もあります。
特に、審査における加点を希望する場合には、任意で提出しておいた方が良い書類が増えるので注意が必要です。
ものづくり補助金の採択結果!13次・一般型の採択率は58.3%
ものづくり補助金の13次締切については、令和4年10月24日~令和4年12月22日までの期間において公募を行ったところ、全国で3,322者から申請があった
ことが公表されています。
申請後、全国採択審査委員会において審査を行った結果、 このうち、1,927者が採択されました 。
詳細な結果については、以下の通りです。
申請者数 | 採択者数 | |
---|---|---|
総計 | 3,322者 | 1,927者 |
通常枠 | 2,256者 | 1,312者 |
回復型賃上げ・雇用拡大枠 | 157者 | 92者 |
デジタル枠 | 737者 | 434者 |
グリーン枠 | 111者 | 65者 |
グローバル市場開拓枠 | 61者 | 24者 |
ものづくり補助金で採択されるポイント
ものづくり補助金で採択されるためには、以下のポイントをしっかりと押さえておく必要があります。
- 事業計画書
- 公募要領の確認
- 加点項目・減点項目の確認
以下では、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
事業計画書
事業計画書は 申請時に提出が必須となる書類の一つ です。
事業計画書には、以下のポイントが盛り込まれているかどうかがチェックされます。
技術面 |
・製品やサービスの開発が革新的であるか? ・課題解決の方法が明確で具体的か? |
---|---|
事業化面 |
・事業化の方法・スケジュール等が具体的か? ・製品・サービスの市場性はあるか? ・企業の収益性・生産性は向上するか? |
政策面 | ・地域経済への貢献など、国の政策に合致しているか? |
事業計画書に審査ポイントをしっかりと盛り込むことが必要 です。
事業計画書は、ものづくり補助金の「指定事項」に従って詳細に記入してください。
これらの指定事項は、年度ごとに変わっている可能性があるので注意が必要です。
記入方法について制約はないものの、補助対象の事業内容や各年度の指定事項に応じて、適切な見出しを作成するよう心掛けるようにすると、審査を行う人が読みやすい事業計画書を作成できます 。
公募要領の確認
ものづくり補助金に申請を行う場合には、公募要領をよく確認してください。
公募要領には、審査のポイントやあとで説明する加点項目・減点項目について、詳細に記載されています 。
また、ものづくり補助金には、 審査要件が細かく定められていることから、自社がこの要件に合致しているかどうかを申請の前に十分に確認してください 。
ものづくり補助金に関する疑問点や不明な箇所がある場合、専門知識を持つ人々から助言を求めることが有益です。
その一例として、よろず支援拠点や商工会議所、商工会等への問い合わせ、または専門家派遣制度を利用する方法があります。
ただし、事業計画の作成は事業者自身の責任であり、専門家はその思考過程を導き、作成の補佐をする役割を果たす存在であることを忘れないでください。
加点項目・減点項目の確認
ものづくり補助金には、以下のような加点項目があります。
・政策加点
・災害等加点
・賃上げ加点等
・女性活躍等の推進の取り組み加点
加点項目に該当する取り組みがあれば、採択される可能性を高められます。
ものづくり補助金では、基本的に、最大6項目の加点項目を取得できるので、加点項目に該当するように、事業計画書を作成することが大切 です。
なお、政策加点には9種類の小項目が設けられており、賃上げ加点には2種類の小項目が設けられているので、実際には合計で12種類の加点項目があります。
一方、次のような場合には減点となる減点項目をあるので注意してください。
・回復型賃上げ・雇用拡大枠で、繰越欠損金により申請要件を満たしている場合
ものづくり補助金のまとめ
ものづくり補助金は、
通年で公募されている補助金なので、自社の状況に合わせて申請を行える補助金制度
です。
補助金制度であるため、資金について基本的に返済の必要はないものの、事業開始後に精算をして資金が支払われます。
まずは自社で投資を行い、その投資がものづくり補助金の申請書に合致した内容であれば補助金を受けられるという制度です。
申請したからと言って、必ず補助金が貰えるわけではありませんし、投資額(経費額)の全額が補助の対象となるわけではないので注意してください。
補助金を受けるためには、審査ポイントと押さえて申請書を作成するとともに、加点ポイントを積極的に取得できるよう、申請書の書き方を工夫する必要があります 。
申請書作成が自社で難しい場合には、専門家などへ相談することも大切 です。
- ものづくり補助金とは中小企業や個人事業主向けの政府補助金で、新規サービス・製品開発や生産プロセス改善のための設備投資を支援するもの
- ものづくり補助金の条件は「付加価値額・給与支給総額・事業場内最低賃金」の3つの基準をクリアし、採択さて、審査通過することで利用できるようになる
- 2023年のものづくり補助金には通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠の5つの枠があり、それぞれ要件が異なるので注意
- 2023年・令和5年度の第14次ものづくり補助金は大幅な賃上げに係る補助上限額引上の特例や温室効果ガス排出削減取組の拡充による補助上限金額最大4000万円、海外展開支援強化などが注目される
- 2023年ものづくり補助金のスケジュールは以下画像をチェック!
- ものづくり補助金の申請方法は電子申請のみ!必要書類は多く、枠によって異なるので事前に確認しておくのがおすすめ
- ものづくり補助金の採択結果は13次・一般型の採択率58.3%!ものづくり補助金で採択されるポイントは事業計画書・公募要領の確認・加点項目・減点項目の確認を意識すること
画像引用:スケジュール|ものづくり補助金総合サイト
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