2015年総額1億5,000万円の資金調達。多数の提携先や個人投資家の出資を受け世界一のコンテンツプロデュース事業を目指す、株式会社ダブルエル/代表取締役 保手濱彰人氏
まずは、保手濱社長の自己紹介をお願い致します。
しかし、中高生の時は何で世界一になれるかが明確にはなっていなく、義務教育範囲外ではテニスを続けていました。
東京大学に入学して3年経った後に、たまたま起業やベンチャーという道を見つけて、この方法なら世界一になれると確信しました。そこから東京大学内に「東大起業サークルTNK」を創立し、実際に起業して学習塾を立ち上げるなど、色々なビジネスをやってきました。
TNKの創立も踏まえ、起業のキッカケやビジョンを教えて頂けますか?
まず世界一になりたいという思いが根底にある中で、2005年2月にたまたま本屋で起業に関する本を初めて読みました。
この起業という方法を実現するために、まず何から始めようかと考えた時に、東京大学というフィールドを使い優秀な人材を集めたり、コミュニティを作ったら効率が良いのではないかと思いました。
そこですぐにサークルを作ろうと思い立って、2005年4月に起業サークルTNKを立ち上げました。
当時、経済産業大臣が概要を発表した「ドリームゲート」の第3回コンテストで最優秀賞になりました。初めは全く人が集まりませんでしたが、そのコンテストを通して、ライブドア元社長の堀江さんのかばん持ちをしていたこともあり、サークルに人が集まるようになりました。
「世界一になりたい」という個人的なビジョンに対して、起業の道が一番早く確実だと思ったのでTNKの創立に至りました。
この時期にITに出会われたのでしょうか?
まだITというイメージは全くありませんでした。当時はプログラミングに触れたこともなかったので、その頃は「とにかく世界一になろう。その為には起業だ」と思っていたので、何をやっていくかは明確ではなかったです。
次の段階で、学習塾の事業を始めた理由を教えてください。
TNKを立ち上げ取材もされていたので、勢いもあり会社を作りました。しかし仕事経験が全くなかったので、会社を設立したものの何も進みませんでした。全く進まなかったこともあり、当時集まったメンバーも離れ苦労をしました。そこで何かしないと物事が進まないなと思い、2つの理由から学習塾「TESTEA」の事業を始めました。
1つ目が受験勉強はしていたので、勉強を人に教えることはできると思いました。
2つ目は私が起業という道に出会い変わったことで、義務教育では教えられない選択肢を早く教えて欲しかったというフラストレーションがあったことからです。
この動機から、塾として小中高生・予備校生に勉強を教えながら、より視野を広く持ってもらおうと思い事業を始めました。
その後、大きくピポット(路線変更)をされましたが、その経緯を教えて頂けますか?
事業をバイアウトしたのは、学習塾をして店舗を着々と増やしていましたが、成熟産業で特別な差別化があるわけではなかったので、この事業でスケールするのは難しいと実感していたからです。
これだけではダメだと思い、ITや別の分野を見ていきました。そこで副社長が学習塾事業をやりながら、私は新規事業に取り掛かりました。その中でスマホのゲームアプリが流行する波があり、そこに乗ろうと思い他社から出資を受けて拡大するキッカケがありました。
スマホやゲームに集中する必要があることから、学習塾事業は切り離すことが出資の条件でした。その時に、企業譲渡をして出資を受けることにしました。
御社の概要を教えてください。
私たちは日本のコンテンツを世界に広げる会社です。
日本には世界に持っていける良いコンテンツが沢山ありますが、コンテンツ業界も中途半端に大きかったため、世界に進出しきれていませんでした。特に1990年時代は雑誌やコミックスを出版すれば売れる時代でしたので、日本市場のみに向いてしまっていて、良いものが埋もれていました。
良いものを掘り起こす企業がなく、クールジャパンにも関わらず世界向けのコンテンツ市場が大きくないことで、世界の人は海賊版で日本のコンテンツを見ていました。
グローバル基準で韓国やディズニーが既にやっているように、ガラパゴスになっている日本のコンテンツを、グローバルを前提に進める会社が必要だと思い、事業展開を始めました。
現在は大きな資金を使い、クロスメディア展開を用いて収益を得る仕組みが有効なので、その大元になるマンガのファンドも我々は持っています。
御社の強みや特徴を教えて頂けますか?
日本のマンガ家さんを中心とした著作権者から信頼を得ている会社です。そこで、弊社であればコンテンツの使用許可や権利を貸して頂ける人が多いです。日本の優れた、世界で通用するコンテンツのライツマネジメント事業という意味では、日本一の規模を持っていると思います。
結果的に、海外で流行るクールジャパン系のコンテンツを見極めて許諾を貰い、海外に持っていくことが1つ目の強みです。
2つ目が、著作権者からの信頼があると海外の大きなメディアや配信業者が協力をしてくれます。そこで我々は数多くの会社とやり取りをしています。我々がコンテンツを持てば、世界各国に出せることが強みになっています。
当初、著作権者から理解を得るのに苦労されたと思いますが、どのように参入したのでしょうか?
私たちのチームは、もともと2005年に立ち上げたケータイまんがサイトがあり、一時期年商100億円まで大きくなった日本で初めてのケータイまんがサイトの立ち上げメンバーでした。その中で、権利獲得に非常に苦労しながらも10年間続けてきたメンバーがいて、そういったノウハウを持っているのが初めから会社の強みになりました。
今までの資金調達の内訳と資金使途を教えてください。
2015年に総額1億5,000万円の調達をしました。昨年の3月〜5月に掛けて5,000万を集め、8月〜10月に1億集めました。期間が空いていないので、全般でシードマネーになると思います。
私たちは「マンガを中心としたコンテンツをグローバルに出していく」ことがビジョンなので、各国に合わせた言語対応したメディアを作り、配信をしていきます。
そこで去年全般の資金使途は、コンテンツを湧出する海外向けメディアの開発、マーケティングに充てます。あとは、日本の価値あるコンテンツを世界に持っていくために、既存コンテンツをリメイクして復刻(リブート)する戦略をとっているので、そのリメイクの制作に使います。
名作漫画の作家さんに費用が掛かるのではなく、リメイク版を制作する受託会社などに対して、原稿料や編集料が必要になるので、そこに資金が必要になります。
今回調達先として、多数の提携先や個人投資家を集めた理由はありますか?
ある程度、大きな金額を入れて貰うには大手VCの力が必要ですが、調達を進めていく中で数多くの出資先から資金を入れて頂けることがわかってきました。
応援してくれる事業会社や、親身になって頂ける個人投資家から受けた方がプラスになると思いました。
スタートアップでは珍しく、株主が30(社・人)程います。このような調達の仕方に前例はありませんでしたが、やってみたら上手くいきました。企業版クラウド・ファンデングのような資金調達の仕方をする場合、私たちのような筋の良いサービスをやっていると、数多くの出資先を集めやすく協力を得られると実感したのでオススメします。
さらに今年度3月を目処に同じ資金調達方法で、昨年の10月と同等の金額を集めます。今回は、昨年の調達金を使いビジネスが伸びているので、資金を増やし事業のスピードアップを目的に行います。
例えばコンテンツラインナップを増やすことなどです。
ポップカルチャー以外にも、日本の著作権が関わる全てのものを含め、事業を広げていくことは考えていますか?
日本産業の課題として、しっかりと知的財産がマネジメントされていない状況があります。アメリカだと知的財産は価値として認められているので、PLに反映されて大きな収益になっています。その結果、可視化されてマネジメントされる状況になります。
そこで日本でも知的財産を可視化することが必要で、一番わかりやすい内容がコンテンツでした。我々がこのきっかけを作ることで、コンテンツをフックに技術などに広がっていくことは考えられます。
もう一つはコンテンツそのものでは収益を生み出さないので、コンテンツを中心として商品化やリメイクなど全体で稼ぐマネジメントが必要です。その仕組みさえ構築できれば、ポップカルチャーに限らず様々な知的財産のマネジメントをやっていくことも考えられます。
今後5年後・10年後の展望を教えてください。
ディズニーのような会社が日本から生まれないといけないと思っています。その為にはコンテンツをマネジメントして、お金が回る仕組みが必要です。そこでブロックバスター戦略ができればグローバルに展開できるので、日本のディズニーのような立ち位置になれると思っています。
次に既存事業の規模が大きくなれば、超大手コンテンツ会社も我々にマネジメントをお預けしてくれると思います。そうなれば例えばUSJのように、超大手コンテンツを使ったテーマパークができると思います。このような超大手コンテンツランドがあれば面白いと思うので、10年後以降に展開も望めるでしょう。
本日は貴重なお話を頂き、ありがとうございました。
株式会社ダブルエル|世界市場を前提としたコンテンツの総合プロデュース事業
http://doublel.co.jp/
昨日は0人が事業資金の調達に成功しました。
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