銀行から1,300万円の資金調達。フランスのアンティーク菓子をモチーフに、可愛らしく色彩豊かなスイーツを提供する(Louis d’orルイドール)/オーナーシェフ 都丸渥司氏

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まずは都丸オーナーの自己紹介をお願いします。

都丸渥司Patisserie francaise Louis d’or (ルイドール)の都丸渥司(とまるあつし)です。1976年生まれの次男坊です。私の実家は、1978年に創業したうなぎ屋で、物心ついた時から父も母も1日中働いていました。子供の頃から家族で遊びに行った記憶もなく、私自身も高校生の時からバイトに明け暮れ、友達と会うのはバイト先が当たり前のような生活をしてきました。
ですから、高校の進路を考える時も、友達のように「何処かに勤める」といった選択肢は全くなく「何の商売をしようか?」としか考えていませんでした。実家の影響でしょうね。カフェのような飲食店をやりたかったんです。

いざ専門学校を決める時に、フランス料理のシェフとフランス菓子のパティシエと悩んでいたんですが、そんなある日、何気なく見たテレビ番組で『日本のあめ細工』のことを知りました。繊細な中に巧みな技術が生み出す鮮やかな彩りと可愛らしいあめ細工の職人技に惹かれて「それなら、『フランスのアンティーク菓子』を作る職人になろう。」と・・

 

それでは、起業のきっかけを教えてもらえますか?

学校を卒業し、フランス菓子の専門店で9年働きました。その間3件の専門店で修行させてもらい、2件目の専門店で結婚式場のウェディングケーキの委託業務を受けていたため、その経験を活かして2005年に実家の敷地内に工房を建てさせてもらい、開業しました。

資金は銀行から建物・器材で1,000万円、運転資金として300万円を実家の親名義で借りてもらいました。両親も商売をやっていたので、協力的だったので助かりました。もちろん返済はきちんとしましたけど、商売の厳しさを知っている両親だからこそ違ったプレッシャーはありましたね。

 

開業にあたって大変だったことはありますか?

都丸渥司開業当時は、結婚式場と結婚式プロデュース会社の2件から委託業務を請負ながら、店舗で販売するフランス菓子の商品開発をし、工房の中に小さなショーケースを設置し口コミだけで販売していました。
大きな調理器材はともかく、必要な器材が足りなくて慌てて買い出しに行ってましたね。スタッフもいませんでしたから、全てを独りで段取りよく進める流れができるまで時間管理は大変でした。

でも流れができてからは、商品開発の時間を多く作れるようになりました。実家の父が糖尿病だったこともあり『食べたいのに食べれない人がいること』を実感し、『アレルギーでケーキが食べれない人』がおいしく食べられるケーキの商品開発を始めました。

特にアレルギーの子供達は、テレビでも出掛けても目にするバースデーケーキが、小さい時から食べられない訳です。同じ子供を持つ親としてせつない気持ちは痛いほどわかりますから、自然と商品開発にも力が入りました。

 

今の店舗に移転する時はどうでしたか?

私にとって、工房での5年間は商品開発や自己資金の準備、新店舗のデザイン、人材確保、調理器材の調達など、本格的な店舗を出すまでの準備期間だったと思っています。ですから、2010年に現在の店舗に移転するときはスムーズに進めることができました。

資金の方も自己資金の他に、移転費用などで政策金融公庫から600万円の融資を受けました。5年間の実績がありましたら、借入時もあまり苦労せずに事業計画などの提出をしないで融資を受けることができました。もちろん担当の会計士さんに相談はしましたが・・・笑。

 

店舗の強みや特徴は何だと思いますか?

都丸渥司開業した時にウェディングケーキの委託業務から始まりましたから、定額で入る売上が見込めることで商品開発や次の準備を進めることがし易いことだと思います。資金繰りも計画を立てやすくなりますし、気持ち的にも余裕が生まれますね。
店舗販売だけでは得られない違った業種とのコラボ商品の委託も併行して受けることで、新たな出会いのチャンスも得られます。

店舗で販売する商品は、フランスのアンティーク菓子にこだわり、見た目にも綺麗な彩りを添えたエクレアやマカロン、焼菓子にも色を添えたアイテムを揃えています。アレルギー対応のケーキもオーダーを受けています。
それから、店舗移転してから続けているキャラデコのバースデーケーキはお子様にご好評頂いてますね。

 

今後の展望を教えて下さい。

実家の敷地に建てた工房をアレルギー専用工房にして、『アレルギーでも食べられる美味しいケーキ』をもっと拡販したいと思っています。実は、ネットショップも立ち上げるつもりで準備を進めています。いずれ、アレルギーだけではなく、糖尿病などの『食事制限のある人』が食べられる美味しいケーキも商品化したいですね。
後は、他の業界の人とコラボ商品をもっと開発してみたいです。例えば、車屋さんならお客様に配る車の形をしたオリジナルサブレとかおもしろそうですね。

 

資金調達を行う予定の後輩起業家へのアドバイスをお願いします。

Louis d’orルイドールのショーケース自己資金を少額でも用意できると精神的に余裕ができると思います。ですが、固定観念にとらわれず、自分の業界に限らずたくさんの人との繋がりを持つことが、新たなチャンスに繋がると思います。
迷った時には、たくさんの人と出会える場所に出向いてみると、思いがけないアイデアが生まれたりすることがあると起業して10年を迎え実感しています。

私のように実家が商売をしていなくて、最初の資金調達から全て行う方もいらっしゃると思いますが、明確な目標設定と今後の展望はきちんと伝えられるようにした方がいいですね。融資を受ける際に、借りる本人を見られる基準になるようですから・・笑。

 

都丸オーナー、本日はありがとうございました。

Louis d’or(ルイドール) | ウェディングケーキ工房からスタートしたフランス菓子店
http://www.louisdor.net/

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