輪転機最大手の東京機械株、香港の投資会社が買い集め 政府も注視、新聞社は懸念

藤田 勝久
藤田 勝久
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新聞

【この記事の要約】

☑ 新聞印刷の輪転機大手・東京機械製作所の株式が、香港資本の投資会社に買い集めされており、政府も動向を注視

☑ 東京機械の株価は一時、年初の13倍にまで急騰

☑ 投資会社の保有比率は40%に達する勢いで、これに対し東京機械はポイズンピルを検討して徹底抗戦の構え

☑ 輪転機を利用している新聞社は、自社の発行業務などに支障が出ることを懸念

 

印刷機械メーカー・東京機械製作所の株式が、投資会社・アジア開発キャピタルとそのグループ会社により買い集めされる状態となっています。

 

東京機械は東証一部上場企業で、新聞を印刷する輪転機のシェアで国内最大手。

1906年に国内メーカーとして初の輪転機を完成させたという、老舗中の老舗です。

 

一方、アジア社は倉庫業をルーツとする東証二部上場企業で、香港金融大手のサンフンカイグループが出資。

今年8月には、内部管理体制の不備などを理由に、東証から「特設注意市場銘柄」に指定されています。

 

9月14日、アジア社が出したプレスリリースによると、同社と関連会社による東京機械の株式保有割合は39.94%に達したとしています。

 

中国・香港系金融傘下の投資会社、アジア開発キャピタルが新聞印刷の輪転機大手、東京機械製作所の株式を買い増したことを受け、政府が状況把握に向けて情報収集を始めたことが10日、分かった。経営権を取得した場合の報道への影響などを含め、経済安全保障の観点からも取得状況を注視しているもようだ。
引用: 2021年09月11日|時事ドットコム

 

これに対し東京機械は、アジア社側を除いた既存の株主だけに新株予約権を与える「ポイズンピル(毒薬の意味)」で徹底抗戦する構えです。

 

この「対決」を政府も注目。

現状把握に向けて、情報収集を始めました。

 

政府がこの案件に注目するのは、東京機械の主な取引先に新聞社が名を連ねているからだと思われます。

もしアジア社側が東京機械の経営権を握った場合、新聞発行事業にどう影響するのか、政府も大きな関心を寄せているとみられます。

 

その取引先である新聞社は、一連の買い集めに対して懸念を示す旨の書簡を東京機械に送付。

輪転機の整備や更新計画に支障を及ぶことがないよう、最善の努力をするよう求めています。

 

株価は年初の13倍に

アジア社の子会社、アジアインベストメントファンドは、かねてより東京機械の株を買い増していたとされています。

 

7月下旬、大量保有報告書の変更報告書で、取得目的を「純投資」から「支配権の取得」に変更しました。

 

ただし「現時点で、発行者に取締役候補者を派遣することを予定していない」としています。

 

株式保有割合は、7月21日時点で32.72%だったのが、8月16日には38.64%に到達。

株主総会で合併など重要議案の特別決議を単独で拒否できる3分の1を超えました。

 

そして現在、40%に届きそうな勢いをみせています。

 

東京機械の株価は大きく上昇。

年初258円だったのが7月下旬から急騰し、9月9日には3,360円と、実に13倍にまで上がりました。

 

その後は下がりましたが、それでも15日の終値は1,635円で、年初の6倍以上となっています。

 

両社の主張対立で応酬合戦に

そんな中、双方の主張は大きく対立しています。

 

東京機械は、10月下旬に開く臨時株主総会でポイズンピルについて提案する予定。

これに対しアジア社は、ポイズンピルが発動されれば差し止め請求を裁判所に申し立てるとしています。

 

またアジア社は、東京機械が8月30日に子会社の土地売却と希望退職者の募集について発表したことを批判。

わざと企業価値を下げて買収を防衛する「焦土作戦」であり、買収前に多額の退職金を約束してコストを上げる「ティンパラシュート(ブリキの落下傘の意味)」だと指摘しています。

 

9月2日には東京機械に対し文書で「株主として、到底、これらを是認することはできません」と警告しています。

 

これに対し、東京機械は「経営合理化の一環として以前から検討していた」と反論。

9月3日のリリースでは「全くの事実誤認に基づく言いがかりとしかいいようのないもの」と激しい調子で非難しています。

 

新聞社が懸念表明

東京機械製の輪転機を利用している全国の新聞社など40社は9月10日、東京機械の都並清史社長に対し、一連の買い集めに対して懸念を示す旨の書簡を送付。

 

同社は自社ホームページで文面を発表しました。

この発表には、買い集めの不当性を広くアピールする意図があると思われます。

 

書簡は40社の連名で、読売、朝日、毎日、日経、産経の全国紙のほか、北は北海道から南は沖縄までの主要地方紙が名を連ねています。

 

書簡では、一連の買い集めにより、東京機械の日常業務や先行きに支障が生じると懸念。

輪転機について「重度の故障や大規模な整備となると輪転機メーカーの協力が不可欠」とし、「輪転機の開発・製造体制が変えられてしまうなどすれば、新聞各社の印刷・生産体制は致命的な打撃を受けることになりかねません」とつづっています。

 

戸別配達への影響が心配

具体的にどのような打撃が心配されるのでしょうか。

 

各新聞社の朝刊印刷は、前日の夜から当日未明にかけて行われています。

刷り上がった新聞は速やかにトラックなどで新聞販売店に輸送され、販売店が各家庭に配達しています。

 

機械だけに、インクが乗りすぎたり、紙が切れたりといったトラブルは、実はしばしば発生しています。

通常は自社で対応しますが、部品交換が必要な事態や原因不明のトラブルの場合はメーカーが対応せざるを得ません。

 

もし、十分なメンテナンスができなくなると、新聞印刷が大幅に遅れたり、最悪刷れなかったりすることが想定されます。

そうなると、家庭への配達も大幅に遅れたり、場合によっては配達できなかったりということも考えられます。

 

もっとも、経営体制が変わっても新聞社へのケアが変わらなければこの懸念は杞憂ということになります。

 

情勢の先行きが不透明なことが、今回の書簡送付につながったのでしょうか。

 

収益は先細り でも底堅い財務状況

輪転機の製造・販売は、新聞の発行部数減によって収益は先細っており、東京機械の2021年3月期決算短信でもこのことが繰り返し記述されています。

 

それでも、業界40%の高シェアは魅力的。

自己資本比率は46.7%(当期第1四半期)で、財務状況も底堅さをみせています。

 

アジア社側は、8月17日出した文書で、引き続き東京機械の現経営陣に経営を委ね、役員などを送り込まない方針を表明。

さらに中長期的に株を保有して、東京機械の企業価値、株式価値を向上させるとしています。

 

これに対して東京機械は「これまでさまざまな事業に進出しては撤退を繰り返している」と不信感を表明。

両者のせめぎ合いはやみそうにありません。

 

政府は、香港資本の入ったアジア社が東京機械の経営権を握った場合、新聞業界にどのような影響を及ぼすのかを注視しているとみられます。

 

東京機械は、外国投資家による出資時に事前の届け出が必要な指定業種とされています。

指定業種は外為法に基づき、外国資本が入ることで国の安全を損なったり、公の秩序の維持を妨げたりするおそれがある場合に指定されます。

 

 

しかし、国内上場の投資会社であるアジア社が外為法の規制対象にはならないとも考えられます。

アジア社は、外為法の規制対象である外国投資家ではないとはっきり主張しています。

 

政府、新聞社、それぞれのステークホルダーの思惑を背景に、両社の攻防は日ごとに激しさを増すばかり。

株価の動きを含め、今後の動向が注目されます。

 

参考:「本邦上場会社の外為法における対内直接投資等事前届出該当性リスト」の更新について|財務省ホームページ

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