2社間契約によるファクタリング(1)【売掛金ファイナンスコラム】vol.5
皆様、こんにちは。
今回は、前回、お話した「ファクタリング」のお話の続きで、「2社間契約によるファクタリング」に関する概要をお伝えしたいと思います。
まず「2社間契約によるファクタリング」とはどういうものかをご説明しましょう。
通常の「ファクタリング」は、資金調達を希望する会社A、売掛債権買取会社B、Aの売掛先の会社Cの3社間で、Aが所有する対Cの売掛債権をBへ債権譲渡することについて、Cの承諾を得ることで契約が成立する「3社間契約によるファクタリング」が普通にファクタリング及ばれるファイナンスです。
A:資金調達を希望する会社
B:売掛債権買取会社
C:Aの売掛先の会社
ところが、Aは取引先であるCに対して、「ファクタリング」によって資金調達をすることが分かってしまうと、信用不安をCが感じてしまい、CがAとの今後の取引をしなくなるのではないかという懸念が先に立ち、それが原因で「ファクタリング」があまり積極的に利用されなかったという経緯がありました。
しかし、もしもCへの売掛債権を早期に現金化することができれば、Aの資金繰りは劇的に好転することが予想されます。
また、Aの立場にある多くの会社の経営者は、Cに知られないで売掛金をBに譲渡して早期に資金化できる方法さえあれば、自らも積極的にその方法を採用したいと思っています。
でも、Bからすれば、Cから債権譲渡承諾を得て、Cから直接入金があれば問題ないのですが、Cから債権譲渡承諾を受けていない場合は、当然、売掛金はAの口座に送金され、結果的に、Bにとっては、AがCから送金された資金を直ちにBに送金してくれないという「リスク」が生じるのです。
ここで今回ご案内する「ファクタリング」の一つ目のポイントです。
この部分は、最近2社間契約でファクタリングをする会社では、Bは、Aが、Cから送金された資金を直ちにBに送金してくれるよう、Aが送金しないことに対する抑止力としてAの株式を譲渡担保します。
(※譲渡担保:債務者がファイナンスの担保として債権者に財産権を移転するが、弁済後にはその財産権を返還するという形式をとる民法が定める担保制度に属さない担保形式の一つ)
そして2つ目のポイントとして、売掛債権買取会社Bにとっては、譲渡を受けた売掛債権の回収リスクが存在するため、そのリスク回避のために、通常の3社間契約の「ファクタリング」より買取手数料が高くなり、売掛債権買取額の20%の手数料を取るファクタリング会社も存在しています。
この場合、Aが持つCからの入金口座を、Bが指定する口座に変更可能であるならば、AがCから送金された資金を直ちにBに送金しないリスクは低くなるので、買取手数料を低く設定することが可能になります。
でも、口座変更も売掛先が大手であればあるほどすぐに応じてくれない可能性も高く、面倒な手続きが必要な場合もあって、理屈上はOKでも、日本の中小企業の多くは口座変更もNGというのが、現時点では実態となっています。
では、2社間契約のファクタリングを数多く手がける売掛債権買取会社の条件など概要をご覧いただきたいと思います。
2社間契約のファクタリングを数多く手がける売掛債権買取会社の「ファクタリング」の概要は下記の通りです。
買取可能額 | 100万円から1億円 (直近の売掛金残高の30%以内が目安) |
買取手数料 | 買取額の20%前後 |
買取対象売掛債権の入金までのサイト | ~40日まで |
申込みから実行までの日数 | 3日(Aのスムーズな対応が前提) |
手続 | まずは買取会社の面談か、 電話によるヒアリングからスタート |
必要資料 | 面談及びヒアリング後に必要になります。 必要資料はご連絡いただければ明細をご案内します。 |
地域 | 全国どちらの会社でもご利用になれます。 |
ここでは批判は避けたいと思うものの、1ヶ月の売掛債権の買取手数料が20%ともなると、利用するお客様にとっては、あまりにも負担が大きく、利益率が相当高いか、最低でもファクタリング相当額を上回る額の入金が確定しているのであればともかく、個人的にはお客様にはご利用いただけないと思っています。
そして、その対策として、例えば、弊社と懇意の関係にあるファクタリング専門会社Aは、ファクタリングの普及が中小企業の発展と資金繰りの改善につながるという絶対的な信念のもと、金融免許を返上してまで、「ファクタリング」(売掛債権買取)一本で発展してきた会社です。
A社は3社間契約が基本ですので、多くの利用客は利用を躊躇するため、売掛債権譲渡承諾を売掛先から取る段階から、売掛債権買取会社として、利用客と一緒に売掛先を訪問して顔を出し、ファクタリングの手続きがスムーズに行われるように協力する、非常に顧客サービスに優れた会社です。
ただ、まだ2社間契約のファクタリングサービスを通常のサービスとしてのサービス提供は行っていません。
しかし、ファクタリングの額が、年商と比較して小さければ、2社間契約によるファクタリングも検討するとのことです。もう少し具体的に書くと、年商が10億以上の会社でファクタリングの額が~3000万円なら検討が可能と言うイメージで、このようなケースは、A社のサービスを利用するようにしています。
でも、年商と比較してファクタリングの額が数パーセントという案件ばかりではありません。
そこで、私が理事を務めている社団法人では、別法人で、2社間契約のファクタリング事業に進出しサービスを開始しました。
すでに買取実績も出ていますので、次回は、この2社間契約のファクタリングの詳細についてご案内する予定です。それでは皆様、ごきげんよう。