新設1号ファンド組成時点から50億円の資金調達に成功|ジャフコから独立したBeyond Next Venturesとは?
新卒時から11年間勤めた老舗VCの株式会社ジャフコを退職した代表取締役社長の伊藤毅氏は、2014年8月に大学発ベンチャー、技術系ベンチャーのシード期からのインキュベーション投資事業を行うことを目的にBNVを創業し、代表取締役に就任されました。
BNVは伊藤氏は同期入社の植波氏を加えたことで、体制の統一が上手くいき、機関投資家からも資金調達を行えたと伝えています。
同社は大学発の研究開発型ベンチャーを投資対象としているため、「少なくとも30億円ないと戦えない。だから意地でも金融機関に入って頂きたいと思っていました」と伊藤氏はTech Crunchの取材で語っています。
投資家が個人で独立系VCを立ち上げたのは珍しく、1号ファンドにも関わらず50億円もの資金を調達したことも例外的です。同社は今後、医療機器やハイテク素材、ロボットなどのベンチャー企業に投資していくとのことです。
BNVの事業モデルで研究開発型ビジネスを救う
すでにBNVでは3社に投資済みで、最終的には10〜15社のポートフォリオにしていく予定があります。
またシードマネーが必要な1社当たりに4、5億円程度の投資をする予定で、ジャフコ時代の経験から「大学のシーズには魅力的なものがある」と分かったことから、産学連携投資に力を注ぐそうです。
この4、5億円程度の投資規模にも意味があり、研究開発型ベンチャーでは黒字化するまで50〜100億円が必要となるようなケースがあるそうです。
一方ファンドサイズが10億円だと、シード期のベンチャー1社に投資できる金額は累計1億円程度になってしまうため、これでは追加投資ができなくなってしまうそうです。 苦労の末、可能性が出てきていても資金が続かず研究開発型ビジネスの「死の谷」に入ることが多々あるそうです。
「試行錯誤の時代でした。産学連携投資グループを引き継いだときに調べたのですが、初回投資で終わってしまっているケースが多くありました」と伊藤氏はTech Crunchで語っています。
このことから技術が面白いというだけで投資をしてしまう。そのような目利き時点での失敗も大学発ベンチャーには少なくなかったと振り返っています。
日本の技術系のエコシステムにある課題解決をVCの立場で行っていくそうです。
市場の流れと助成金プロジェクトで軌道に乗れるか?
ほかにも、リバーフィールド株式会社、株式会社キュア・アップの社外取締役を兼務するほか、超高速DNAシーケンサの「クオンタムバイオシステムズ」などへのリード投資にも関わってきたそうです。
ここ数年でユーグレナや伊藤氏が携わるサイバーダインなど大学発ベンチャーでも、ロールモデルとなる時価総額が1,000億円を超えるような企業が出てきたそうです。こうしたことから、大学発ベンチャーの領域にリスクマネーが流れつつあり、「これが自分の社会の中での役割」という思いに至ったのだとメディア取材に答えています。
BNVは、伊藤氏の経歴から研究開発型ベンチャーへの支援実績を評価されていて、JSTやNEDOからの認定を受けています。これは認定されたVCが支援するプロジェクトに対して、国が足りない部分を助成金として付ける仕組みです。
研究開発型ベンチャーの支援という意味で、そうでないVCに比べて競争力があり、投資を受けるベンチャーからも信頼に繋がっているのでしょう。
Beyond Next Venturesの力を借りて、大学発で世界に通用する日本の製品・技術が生まれてくるかどうか、今後に注目です。
Beyond Next Ventures株式会社 | 起業家と共に大学等の高度な技術シーズを実用化し新産業創出と人材輩出により社会に貢献します
http://beyondnextventures.com/
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