関西スーパー争奪戦が決着、H2Oとの統合案を可決 臨時株主総会は6時間超
【この記事の要約】
☑ 8月末の発表から続いた関西スーパー争奪戦が決着、H2Oとの統合案に軍配が上がる
☑ 10月29日の臨時株主総会は休憩を挟み6時間を超える異例の長丁場
☑ オーケー側は提案取り下げ、H2O・関西スーパーの統合は来年2月
☑ M&Aの会社提案が否決された例は稀
阪急阪神百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)との統合か、関東が拠点のスーパー・オーケー(横浜市)による買収かを問う、関西スーパーマーケットの臨時株主総会で、H2Oとの統合案に軍配が上がり、オーケーはTOBの提案取り下げを発表。
8月末の発表から続いた関西スーパー争奪戦は決着する運びとなりました。
関西スーパーマーケットは29日、臨時株主総会を開いた。エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)傘下の食品スーパー2社と統合する株式交換議案が承認された。3分の2以上の賛成が必要で、賛成票は66.68%と僅差の判断となった。2022年2月に経営統合する予定。
引用:2021年10月29日|日本経済新聞
賛成は66.68%、僅差で3分の2を確保
総会に諮られた関西スーパーとH2Oとの統合案は「関西スーパーとイズミヤ・阪急オアシスとの株式交換契約」などの承認を求める5議案。
承認には、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を必要とする「特別決議」が求められますが、結果は賛成が3分の2をわずかに上回る66.68%という僅差でした。
休憩を挟み6時間を超えた総会
臨時株主総会の会場となった伊丹シティホテルは関西スーパー本社のすぐ近く。阪急伊丹駅とJR伊丹駅からも便利な位置にあるシティホテル。
総会の受け付けが始まる午前9時前から、ホテル周辺は静かながら物々しい雰囲気に包まれ、出席する株主を取り囲む報道時の輪がいくつもできていて、関西スーパーの動向に対する関心の高さを示していました。
総会は午前10時に開会。会場に入り出席した株主は約150人。
数度の休憩を挟んで採決の結果が明らかになったのは午後4時を過ぎるという異例の長丁場となりました。
事前の予想でも賛否は拮抗
大株主(上位10名)
株主名 | 持株数(千株) | 持株比率(%) |
エイチ・ツー・オーリテイリング(株) | 3,200 | 10.65 |
関西スーパーマーケット取引先持株会 | 2,760 | 9.19 |
オーケー(株) | 2,310 | 7.69 |
伊藤忠食品(株) | 1,428 | 4.75 |
国分グループ本社(株) | 1,021 | 3.40 |
日本マスタートラスト信託銀行(株) | 923 | 3.07 |
(株)かね清 | 800 | 2.66 |
加藤産業(株) | 700 | 2.33 |
関西スーパーマーケット従業員持株会 | 683 | 2.27 |
北野裕昭 | 518 | 1.72 |
出典:関西スーパー 第62期定時株主総会招集通知|株式会社関西スーパーマーケット
関西スーパーに公開株式買い付け(TOB)による子会社化を提案している大株主のオーケーの反対は当然ですが、H2Oとの統合案については、米国の議決権行使助言会社であるインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシズ(ISS)とグラスルイスの2社が「反対を推奨する」レポートを発行。
また、大株主の伊藤忠食品が関西スーパーに公開質問状を送り、「H2Oの提案ありきで検討が進んでいたようにも見受けられる」と詳細な説明を求めたのをはじめ、大株主の取引先持ち株会も自主投票とするなど、票を読めないさまざまな動きがありました。
さらに、一般の個人株主にとっては、今回のH2Oとの統合案は複雑で、オーケー側の提案しているTOB価格2,250円との比較がむずかしく、総会の当日まで態度を決めかねている株主が多いのではともみられていました。
参考
関西スーパー様臨時株主総会の上程議案に対する議決権行使助言会社ISS及びグラスルイスからの反対推奨について|オーケー株式会社
「株式会社関西スーパーマーケット」様へのご質問書送付について|伊藤忠食品株式会社
オーケー側は提案取り下げ、H2O・関西スーパーの統合は来年2月
オーケーは同日、総会の結果を受けて「関西スーパー様の株主の皆様のご判断であると真摯に受けとめております」とコメントし、TOB(株式公開買い付け)の提案の取り下げを発表しました。
オーケーは、9月に「関西スーパーに対し2021年6月9日、上場来の最高値(1992年2月10日、2250円)で上限なしの公開買付の実施を提案していた」とTOBの意向を明らかにしていました。
出典:株式会社関西スーパーマーケットの臨時株主総会結果可決を踏まえた弊社方針について|オーケー株式会社
H2Oと関西スーパーの経営統合は2022年2月を目標に、H2Oが58%を出資する中間持株会社「関西フードマーケット」を発足させたうえで、その傘下に100%子会社として関西スーパー、イズミヤ、阪急オアシスの3社を置くというもの。
経営統合後は、関西フードマーケットが上場を維持。参加の3社を合わせた売上高(2021年3月期)は単純合計で約3,700億円。
上場する食品スーパーでは上位10社に食い込む規模となります。
株価の動き~総会当日は乱高下
参考データ:関西スーパー 株価|日本経済新聞
関西スーパーをめぐる争奪戦の動きが表面化した直後、同社の株価は1,300円台から一時は2,200円台にまで急騰。
その後は2,000円を挟んで小幅の動きが続いていました。
しかし、総会の開催当日は速報で伝えられる審議の紛糾を反映して、株価は乱高下。取引高も前日の5倍以上に膨れあがり、株主の動揺をうかがわせる動きを見せていました。
M&Aの会社提案が否決された例
M&Aをめぐって株主総会で会社側の提案が否決されることは珍しく、日本で初めてのケースと言われるのは、2007年に開かれた東京鋼鉄の臨時株主総会で、大阪製鉄による完全子会社化案が賛成55.8%、反対42.09%で否決されています。
大株主の「いちごアセットマネジメント」が株式交換比率に異議を唱え委任状を集めて反対したのが原因です。
その後、2016年に大阪製鉄はTOBにより東京鋼鉄を完全子会社にしています。
TOBに対抗して買収防衛策~新生銀行、東京機械製作所
関西スーパーと並んで、このところ注目されていた新生銀行は11月25日、東京で臨時株主総会を開き、SBIホールディングスからのTOBに対抗して、SBI以外の株主に1株あたり0.8株を無償で割り当てる買収防衛策を提案する予定です。
この買収防衛策は「毒薬(ポイズン・ピル)」とも呼ばれるもので、関西スーパーの場合はTOBを提案していたオーケーが即日、取り下げを表明したため、この可能性は回避されました。
参考:SBI 地銀ホールディングス株式会社からの当行株式を対象とする公開買付けに関する 臨時株主総会の開催に関するお知らせ |株式会社 新生銀行
また、新聞印刷用輪転機大手の東京機械製作所は10月22日の臨時株主総会で、投資会社・アジア開発キャピタルに対する買収防衛策を可決しています。
アジア開発は東京地裁に対し買収防衛策の差し止めを求める仮処分申し立てましたが、地裁は10月29日、却下。
アジア開発は東京高裁に即時抗告する意向を表明、両社の対立は激しくなっています。
資金調達ニュースに掲載された関連ニュース
・関西スーパーをめぐる争奪戦~株価が過熱、ストップ高(9月 7日 公開)
・関西スーパー「H2Oとの経営統合が最善の選択」との見解を発表(9月27日公開)
・東京機械製作所の臨時株主総会 防衛策を可決 司法判断出ず先行き不透明(10月28日公開)
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