中国・電力不足で経済回復に暗雲 石炭不足と五輪の行方は?
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【この記事の要約】
☑ オーストリアとの対立が招いた石炭禁輸が発端?
☑ 「中国恒大集団」のデフォルト機器よりも深刻な電力不足
☑ 省エネは青空の下での北京五輪のための習近平の至上命令
9月下旬以降、中国では電力不足から各地で停電が起こっており、工場などの操業にも影響が出ているようです。
主な原因は、中国の発電に用いられるエネルギーの6~7割を占める石炭価格の高騰と不足で、そこに、政府による環境保全策の強化が加わり、ダブルパンチに見舞われました。
中国は、二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年までに減少に転じさせ、60年までに実質ゼロにする目標を掲げる。この目標達成に向け、2021年のエネルギー強度(一定の国内総生産を創出するのに必要なエネルギー量)を3%削減する目標を設定したが、今年前半に目標を達成したのは30の省・地域のうち10省・地域にとどまった。このため地方政府は最近、CO2排出削減措置を強化している。
引用:2021年9月27日|ロイター
事実上世界最大の「環境汚染国」である中国は、習近平国家主席の肝いりで、2030年までにCO2の排出量を減少に転じさせるという目標を掲げています。
習主席の顔に泥を塗るわけにはいかない中国共産党は、各自治体政府に対して化石燃料の使用を削減するよう求め、さらには、コロナがようやく下火になり、世界経済が回復トレンドに入ったことに伴い、「世界の工場」である中国に注文が急増し、それが電力不足、大規模な停電につながっている模様です。
元はといえばオーストラリアとの対立がきっかけか
中国とオーストラリアは「ビジネス・パートナー」として蜜月時代が続いていましたが、2016年ごろから関係に亀裂が入り始め、昨年はその対立が1972年の国交樹立以来、最悪の状態に陥ったと考えられています。
発端は、4⽉にオーストラリアが、新型コロナウイルスについての独⽴調査を主張したことで、これに反発した中国は、⼀部のオーストラリア産⾷⾁を禁輸、⼤⻨に80%以上の追加関税、6⽉には自国民のオーストラリアへの渡航自粛を呼びかけました。
オーストラリアは中国の香港での人権弾圧に抗議する意味もあり、7月に国内にいる⾹港市⺠が永住権を申請することを認め、国連に対しては、中国による南シナ海の領有権を否定する書簡を送付しています。
収まりがつかない中国は、9月にオーストラリア産小麦の権益を強化するとともに、同国産綿花の利⽤中⽌、木材の禁輸を決定します。
そして10月、ついに中国政府は、全体の25%を占めていたオーストラリア産石炭の輸入を事実上ストップさせたのでした。
11月には中国外交部(外務省)の趙立堅報道官が、アフガニスタンでオーストラリア軍兵⼠が⼦供にナイフを突きつけているかのように見える捏造画像をツイッターに投稿して、中国は国際社会から非難を浴びました。
エネルギーの3分の2が石炭だという中国は、世界最大の石炭産出国でもあります。
しかし、炭鉱での事故が続発したために、さすがに中国も安全基準を見直したようで、石炭の生産が鈍化しています。
また中国産石炭は質が悪いので、火力発電に使用される石炭は、オーストラリアなどからの輸入に頼っている状態でした。
電力不足は「中国恒大集団」問題より深刻?
今、中国経済で大きな問題になっているのは、大手不動産会社「中国恒大集団」の経営危機。
サッカーチームの「広州恒大」(現広州FC)や食品、テーマパークなど、様々な業種に手を出しているコングロマリットですが、中国政府による不動産融資への総量規制とバブル崩壊により、経営破綻が噂されています。
しかし、世界中のエコノミストは、この恒大のデフォルトよりも、電力不足の方が深刻ではないかと指摘しているのです。
電力不足で「世界の工場」である中国の生産活動には暗雲が立ち込めています。
例えば、鉄鋼、アルミニウム、セメントなど、電力を多く使う業種に対して、中国政府は生産抑制を命じており、すでにかなりの影響が出ている模様です。
このまま放置され、寒波が到来した場合、今後も電力不足は継続すると予想されています。
東三省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)では9月下旬に電力の供給が制限されて断続的に停電が発生しました。
アパートのエレベーターが停止し、給水もストップ。臨時休業に追い込まれる商店も出る中、市民は停電になるとロウソクや懐中電灯、そしてスマホのライトで明かりを取っています。
また、中小企業の中には、石油発動機を購入して急場をしのいでいるところも多いようです。
さらに、石炭の代替エネルギーとして中国は天然ガスを買いあさっており、世界的な価格高騰を招いています。
その影響で英国では肥料などに使われるアンモニアの製造が滞り、その副産物である工業用CO2が不足するという、何とも皮肉な事態が起こっているのです。
JETRO(日本貿易振興機構)によると、9月中旬以降、工業が盛んな江蘇省の地方政府などが、企業に対して電力消費の削減や操業制限などを要請しています。
中国・江蘇省各地の日商クラブなどによると、9月中旬以降、江蘇省内の地方政府と開発区などが、企業に対し、電力消費量の削減や操業制限などを要請している。中には、年間の電力消費量を前年比で30%減、電力供給これまでの40~70%程度に制限するなどの厳しい要求も含まれる。
引用:2021年09月27日|JETROビジネス短信
各地で外資系企業も混乱に巻き込まれている模様です。
青空の下での五輪開催は習政権によるCO2削減への第一歩
石炭不足に追い打ちをかけたのが「独裁者のメンツ」です。習近平国家主席自身が旗を振り、環境問題に積極的に取り組んでいる姿勢を国際社会に示すことで、批判の声が高まっている2022年の北京冬季オリンピックの開催とその成功に弾みをつけていという思惑があります。
日本ではほとんど報じられていませんが、北京五輪は開催に黄信号が灯りかけている状態なのです。
欧米の19カ国が参加する「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」は「(中国による)大規模な人権侵害を見て見ぬふりはできない」、「ウイグル人、チベット人、香港人、その他の迫害の犠牲者と連帯することによって、五輪の価値観に忠実でいられる」と主張し、各国で北京五輪ボイコットについて決議案が提出されるなど、中国に対する風当たりが強くなっています。
一方、中国のCO2排出量(2018年)は、米国の約15%を大きく引き離す約28%を占めており、日本の約3%とは比べ物になりません。
それでもなお日本政府は率先して削減に取り組み、更なる負担を国民の押し付けようとしていますが、世界第2位の経済大国となった中国も、もはや「中国は発展途上国だ」という二重基準で頬かむりをするわけにはいかなくなったようです。
習主席は2020年9月に行われた国連総会のオンライン演説で「2060年までにカーボンニュートラル(つまりCO2排出を実質ゼロにする)を達成する」と高らかに宣言しました。
そして、2030年にはCO2排出量の60~65%減少(2005年比)を実現するという中期目標を掲げています。それはまた、2015年に発表された「パリ協定」の国別削減公約でもあります。
それに伴い、エネルギー消費削減目標の達成状況を参考に、各省、自治区、直轄市政府に対して、エネルギー消費を抑制するように檄が飛んでおり、電力の供給制限に拍車がかかっているようです。
習主席のメッセージは、中国が本当の意味での「大国」の責任を果たす、現実的な公約であるということを国際社会に示す必要があります。
だから中国政府としては、北京冬季五輪では、コロナが流行っていなくてもマスクが手放せなかった北京名物の厚いスモッグを払拭して、文字通り青空の下に各国代表を迎えたいのです。
そしてこのビッグイベントを成功させて大いに国威を発揚し、習主席と中国のメンツを保ちつつ、国際社会に協調的な姿を示すことで、経済発展を今後も継続させ、一帯一路などの経済覇権構想をじっくりと進めていきたいという思惑があるのは間違いないでしょう。
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