最大500万円、事業承継やM&Aに使える補助金の公募 10月26日まで

運営事務局
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事業継承

この画像はイメージです。

【この記事の要約】

☑ 当初予算16.2億円、年間約500者の経営革新を政府が後押し

☑ 補助上限は最大500万円、補助金には珍しく人件費も対象に

☑ 採択率は年々高くなり、今回の補助金にも期待が持てる

☑ 締切は10/26、採択結果は11月中旬、交付は2022年3月を予定

 

中小企業・小規模事業者の事業承継やM&Aによる新たなチャレンジを後押しするための「事業承継・引継ぎ補助金」の申請受付が9月30日からスタートしています。

 

補助額の上限は最大500万円。事業承継やM&Aの際にかかった経費の一部が補助されます。

 

この補助金の目玉は人件費も対象となる点です。

 

本補助金の対象経費は、経営革新等にかかる費用(設備投資費用、人件費、店舗・事務所の改築工事費用等)および、引継ぎ時の専門家等活用に係る費用(M&A支援業者に支払う手数料、デューデリジェンスにかかる専門家費用等)や、経営革新・経営資源の引継ぎに伴う廃業費用です。
引用:2021年9月17日|PRTIMES

 

経営者にとって事業承継は大きな問題ですが、帝国データバンクの調査(※1)では2020年度時点での全国後継者不在率は65.1%と高くなっています。

 

なぜそこまで数字が高いのか?

その最大の理由が、役員や従業員への承継では「後継者が買い取る資金を用意できない」、親族内承継では「贈与税の負担が大きい」というお金の問題だということが、みずほ情報総研株式会社の調査(※2)で明らかになっています。

 

そこで、承継問題に悩む経営者の強い味方となってくれるのがこの補助金です。

 

事業承継・引継ぎ補助金は、2020年まで別々だった「事業承継補助金」と「経営資源引継ぎ補助金」を統合して新設された補助金で、当初予算として16.2億円が組まれています。

 

政府は、この補助金で年間約500者の中小企業の承継問題とその後の経営革新の後押しを目標(※3)としていますので、特に資金的な面から承継を断念している経営者の皆さんには是非、活用してほしい補助金と言えます。

 

※1:帝国データバンク|全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)

※2:みずほ情報総研株式会社│平成30年度中小企業・小規模事業者の次世代への承継及び経営者の引退に関する調査

※3:関東経済産業局│経済産業省関連予算案等の概要について

 

「経営革新」「専門家活用」の2種類から構成

事業承継・引継ぎ補助金は、「経営革新」と「専門家活用」の2種類で構成されています。

 

さらに、経営革新は「経営交代型」と「M&A型」、専門家活用は「買い手支援型」と「売り手支援型」に分かれ、それぞれに要件が決められていますので、どれに該当するか下記公式サイトより確認してください。

 

事業承継・引継ぎ補助金(令和3年度)

 

補助上限は最大500万円 人件費も対象

補助金には補助額の上限と補助率が決まられています。

 

この補助金の上限と補助率は以下のとおりです。

 

種類・類型

 

補助率

 

補助下限額

補助上限額
  上乗せ額(廃業費)
 

経営革新

経営者交代型(I型)  

補助対象経費の1/2以内

 

100万円

250万円以内  

+200万円以内

M&A型(Ⅱ型) 500万円以内
 

専門家活用

買い手支援型  

補助対象経費の1/2以内

 

50万円

 

250万円以内

売り手支援型 +200万円以内

 

補助金は対象となる経費が各々異なり、この補助金でも経営革新と専門家活用では対象経費は以下のように違ってきます。

種類・類型 補助金の対象となる経費
 

経営革新

経営者交代型(I型) 人件費、店舗等借入費、設備費、原材料費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、マーケティング調査費、広報費、会場借料費、外注費、委託費、廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費、移転・移設費用(Ⅱ型のみ)
M&A型(Ⅱ型)
 

専門家活用

買い手支援型 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料
売り手支援型 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料、廃業登記費、在庫処分費、原状回復費

 

この補助金で目玉となるのが、経営革新において人件費も対象になるという点です。

 

もちろん、事業承継のための補助対象事業に要する人件費に限定はされますが、人件費が対象になる補助金は珍しいことと交付決定前に支払った経費も対象になります。

 

通常、交付決定日以前に契約・発注した経費は対象外となりますし、この補助金でも基本は対象外です。

 

ただし、人件費をはじめ店舗等借入費、設備リース費・レンタル料及び広報費の展示会等の出典申し込みについては、交付決定日前の契約であっても、交付決定日以降に支払った経費であれば対象となります。

 

他にも、こんな場合は対象外というケースがありますので、詳しくは以下の公募要領でご確認ください。

 

経営革新の補助対象経費詳細(17P)はコチラから

専門家活用の補助対象経費詳細(15P)はコチラから

 

採択率が高い事業承継・引継ぎ補助金

事業承継問題が目の前に迫る経営者にとって気になるのは補助金の採択率。

2020年まで行われていた事業承継補助金の採択率は年々高くなり、2020年の後継者承継支援型が77.7%、事業再編・事業統合支援型が60.8%となっています。

 

今回は新設されて初めての補助金となるため、採択率はまだ分からないものの期待が持てるのではないでしょうか。

 

参考までに2020年度第3次補正予算1次公募で採択され交付が決定した経営革新などの取組課題の一部をご紹介しておきます。

 

  • 電子制御自動車の販売・整備・修理のワンストップサービス
  • 公共事業依存型経営脱却のための民間販路拡大事業
  • 「学ぶ」「知る」を楽しむ現代寺子屋としての書店の再生
  • オンラインシステム併用による花装飾の専門技術を活用した人材研修サービスの提供
  • 協業ロボット導入によるコスト競争力強化と海外部品の国内生産化
  • 24時間365日打ち放題インドアゴルフスタジオ事業
  • クルマ離れや少子化による自動車教習の市場縮小を回避するための新事業展開
  • 培ってきたウレタン加工技術を活かしたアウトドア製品の開発事業
  • M&Aを機とした草食系ペット市場への飼料商品開発と販路開拓
  • 売上向上を目的に新業態うなぎ点を開業するための事業承継
  • 学生服販売と化し医療業のシナジーによる顧客生涯価値向上への取組み

 

経営者交代型の交付決定一覧はコチラから

M&A型の交付決定一覧はコチラから

 

締切は10月26日・採択結果は11月中旬に発表予定

申請の締切は10月26日(火)の18時となっています。

採択が分かるのは11月中旬頃、実際に補助金が入金されるのは2022年3月下旬の予定です。

 

申請には、履歴事項全部証明書や決算書など必要となる書類関係も少なくありません。手続きは士業に頼まれる事業者がほとんどだと思いますが、できれば公式サイトと応募要領は一読してみてください。

 

尚、補助金申請は原則、gBizIDを使ったjGrants からの電子申請となります。

 

gBizIDの取得には、通常、1週間ほどで掛かりますが、申請が近くなると3週間ほど掛かる場合もありますので早めに手続きしておきましょう。

 

また、電子申請は慣れないと時間が掛かることもありますので、初めて申請される方は、時間に余裕を持って申請準備を進めることをおすすめします。

 

著者情報

ライター 川端真弓川端 真弓
フリーライターとして20年以上の活動実績あり。執筆ジャンルは美容・健康をはじめ法律・医療系など幅広く、雑誌やWebサイトを中心に、取材記事を得意としている。モットーは「難しいことを分かりやすく」。趣味はガーデニング。埼玉県狭山市在住。3匹のうさぎとの共同生活。

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