個人事業主が法人化するメリット・デメリットやタイミングを徹底解説!必要な手続きやかかる費用、後悔するケースとは

個人事業主やフリーランスの方にとって、法人化をすることで節税や信用獲得、事業拡大ができるメリットがあります。
しかし、中には取締役になれない方や会社運営の知識や運営能力がないと法人化が難しいのも事実です。
今回は、 法人化を考える個人事業主・フリーランス向けに、法人化できない人の特徴 と、条件を整えれば法人化できるケースも合わせて解説します。
目次
法人化できない人の特徴
法人化は、節税面や事業の信用性を高めますが、下記のような方は法人化すると後悔する可能性があります。
- そもそも法人化の知識がない人
- 欠格事由により取締役になれない人
- 法人化しないメリットが大きいフリーランス
正しい法人化の知識を得てから行わないと、節税や信用獲得、事業拡大の機会を逃します。
ここでは、法人化できない人の特徴を詳しく解説しますので、後悔のない法人化をめざしてください。
そもそも法人化の知識がない人
そもそも「法人化が何を指すのか」や「法人化の手続きがどう進むのか」が理解できていないため、法人化へ踏み切れないケースがあります。
法人化の知識がないと、手続きや税制の違い、社会保険や労務管理の負担を正しく理解できず、適切な判断ができません。
この状態では、法人化に向けた具体的な動きを取ることは難しいです。
それでも法人化に関心があるなら、 まず自分で情報を集めるか、税理士などの専門家に相談してみること をおすすめします。
欠格事由により取締役になれない人
自分が欠格事由に該当していて、取締役になれないから法人化できない方もいます。
主な欠格事由に該当する方の事例
- 法人
- 成年被後見人・被保佐人:家庭裁判所の後見・保佐が付いていると原則として取締役になれないことが多く、場合によっては家庭裁判所の許可や復権が必要です。
- 破産者(復権していない者):破産手続を経て復権していない場合は欠格となることがあります。免責や復権手続きを行うことで解消されます。
- 会社法、証券取引法、破産法など会社に関連する法律違反の罪を犯し、刑の執行が終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 上記3以外の罪を犯して禁固以上の刑に処せられ、または刑を受けることがなくなるまでの者(執行猶予中の者は除く)
法人化したい場合は、 欠格に該当しない第三者を取締役に据えるか、欠格事由がなくなるまで待つ必要 があります。
法人化しないメリットが大きいフリーランス
法人化しても事業者自身にメリットがなく、あえて法人化していないフリーランスもいます。
法人化をするには、 メリットもありますが、デメリットも存在します。
法人化するメリット
- 税務面の節税機会が拡がる
- 信用力向上・契約・資金調達が有利になる場合がある
- 事業と個人財務を分離できる
- 従業員を雇う場合の社会保険・福利厚生の整備が進みやすい
- 将来的な事業拡大時の資金調達・運用の柔軟性が高まる
法人化するデメリット
- 設立費用・運営コストが増えて会計・決算の事務負担が大きくなる
- 手続きが複雑で専門家のサポートが必要になることが多い
- 社会保険料の負担が増えるケースがある
- 役員報酬・配当の設計など追加の財務運用が必要になる
- 小規模・安定性が低いうちは費用対効果が低い可能性がある
特に、一人で法人を運営する場合や財務上の手続きが多くなる場合は、運営コストの負担が大きくなるだけです。
そのため、 業種や運営方法によっては、あえて法人化しないで活動している方も少なくありません。
まずは、事業成長の目的と法人化するリスクを考えてから検討することをおすすめします。
条件を満たせば法人化できる人の特徴
法的に制約があり、取締役になれなさそうな方でも、
条件を満たせば法人化できる場合
もあります。
- 前科がある人
- 自己破産をしている人
- 成年被後見人、被保佐人
- 外国籍の人
- 15歳以下の未成年者
しかし、業種や第三者の許可が必要な場合もあるため、制約もかなり多いです。
ここでは、条件を満たせば法人化できる人の特徴について詳しく解説します。
前科がある人
前科があっても、 会社法で定められた欠格事由に該当しなければ取締役になることができます。
前科があっても取締役になれる人の事例
- 執行猶予期間が満了している方
- 禁固刑以上の方は刑の執行が終了してから2年が経過している方
- 業務関連の犯罪を起こしていない方
法務局での登記手続では、前科の有無を申告する必要はありません。
しかし、下記のケースでは開業が不利になる場合もあります。
- 許認可業種:建設業、金融業、人材派遣業など許認可が必要な業種では、別途審査がある
- 融資申請時:金融機関によっては代表者の経歴確認がある
具体的な状況によって判断が変わる場合もありますので、 詳細については司法書士や行政書士に相談すること をおすすめします。
自己破産をしている人
自己破産していても、法人を設立して取締役に就くことは可能です。
ただし、自己破産中およびその後にはいくつかの制約があります。
自己破産中の主な制約
- 財産の処分が自由にできない
- 一部の資格や職業に就けない場合がある
- 居住や通信に関して制限がかかることがある
- 場合によっては一時的に取締役を退く必要がある
自己破産後の主な制約
- 融資を受けにくくなる
- ローンやクレジットカードが利用できなくなる場合がある
- 信用情報に傷が残る
このような制約はあるものの、自己破産中・後であっても法人化して取締役になることはできます。
しかし、行政の許認可では破産歴を理由に不許可とされる場合もあるため、弁護士や行政書士に相談して判断書類や説明書を準備することをおすすめします。
成年被後見人、被保佐人
2021年3月まで成年被後見人や被保佐人は取締役に選任できない欠格事由とされていました。
しかし、 会社法改正でこの規定は削除され、取締役に就任できるようになりました。
就任には、以下のような手続き上の要件があります。
取締役に就任するための手続き条件
- 成年被後見人が取締役に就く場合:成年後見人が、成年被後見人の同意を得たうえで(後見監督人がいる場合は成年被後見人と後見監督人の同意を得る)、成年被後見人に代わって就任の承諾を行わなければなりません。
- 被保佐人が取締役に就く場合:その保佐人の同意が必要です。
成年被後見人・被保佐人が取締役になるには、単に選任されるだけでなく、関係者による承認・同意が求められる点に注意してください。
外国籍の人
外国籍の人でも法人化することができ、手続き上も日本人の方とほとんど変わりません。
ただし、 外国籍の方が法人化するには、下記の注意点があります。
外国籍の人が法人化する注意点
- 日本の印鑑登録証明書がない場合、サイン証明書が求められる
- 「経営・管理」の在留資格(ビザ)の取得
- 法務局に提出する書類には、日本語への翻訳が必要。
上記以外にも、予期せぬ事態が発生する可能性も考えられるため、税理士をはじめとする日本の専門家に相談することをおすすめします。
15歳以上の未成年者
法人の取締役に年齢制限は会社法上定められていないため、 15歳以上であれば未成年でも就任できます。
しかし、未成年が取締役になる場合には親権者など法定代理人の同意が必要です。
確認のために同意書や戸籍謄本など「親権者の存在や同意を示す書類」の提出を求められます。
これらの要件を満たせば、15歳以上の未成年でも取締役として法人に関与することが可能です。
お金がないので法人化できない時の対策
資金不足で法人化できない時の対策方法として、下記の対策を講じるのも得策です。
- 不要な出費を見直す
- 合同会社設立を検討する
- 融資の力を借りる
- 収支を把握する
- 税理士などの専門家に相談する
特に、不要な出費を防ぐ収支の把握することは、法人化した後でも習慣づけしないと資金繰りが厳しくなります。
ここでは、それぞれの対策方法について解説しますので、法人化の準備に役立ててください。
不要な出費を見直す
経費を増やせば節税になると考える人は多いですが、無駄な支出が増えると利益が目減りし、結果的に手元資金が残らなくなることがあります。
必要以上に経費をかけると税負担が軽くなっても資金繰りが悪化し、慢性的な資金不足に陥る恐れがあります。
無駄な経費の例としては、以下が挙げられます。
無駄な経費の例
- 備品や消耗品の過剰購入
- 事務所などの不必要に高い賃料
- 高級ラウンジでの過度な接待交際費
また、逆に経費として認められる支出を把握していないと、本来計上できる費用を見落とし、不要に税金を多く支払っている場合もあります。
手元資金を確保するには、無駄な出費を洗い出すと同時に、適切に経費計上できているかを確認することが大切です。
合同会社設立を検討する
法人化は株式会社ではなく、 合同会社で法人化する方法 もあります。
株式会社と似ている点もありますが、いくつか大きな違いがあります。
合同会社と株式会社の違い
- 所有者と経営者が同一である
- 設立にかかる費用が安い
- 株式を上場できない
株式会社では株主が所有者であり、日々の経営は代表取締役や取締役が行います。
一方、合同会社では出資者自身が経営に携わるため、所有と経営が一致します。
手続きが簡素で設立費用も抑えられるため、 資本金や準備資金に余裕がない場合は合同会社の選択を検討するのも得策 です。
融資の力を借りる
銀行や公的機関の融資を利用して法人化する方法もあります。
融資を受けることで、 法人化に必要な初期資金を確保できる点や企業信用の構築と将来の資金調達の足がかりになります。
さらに、所得の分散、法人税率や損金算入の幅、社会保険や退職金の活用など、所得や事業規模によっては法人化で税負担が軽くなる場合があります。
しかし、融資を使えばまとまった資金を確保できますが、一方で返済が経営を圧迫するリスクもあります。
融資を検討する際は、毎月の収支や必要な資金額を明確にして、無理のない借入額を見定めることが大切です。
審査では自己資金の有無が重要な判断材料となり、全く自己資金がない場合は通りにくくなりますが、事前に対策を講じれば承認の可能性を高めることはできます。
収支を把握する
毎月の収支を把握していないと、資金繰りが悪化するリスクが高まります。
資金繰りが滞ると入出金のバランス調整ができなくなり、最悪の場合は取引先への支払いや経費の支払いが滞って事業継続が難しくなることもあります。
できるだけ支出を細かく点検すれば固定費・変動費の見直しが進み、無駄なコストを削減しやすくなります。
法人化をして事業を安定させるためにも、 月に一度は収支を確認する習慣をつけてください。
税理士などの専門家に相談する
自己資金での調達が難しい場合は、 税理士などの専門家に相談するのも有効的です。
融資に関する知識や審査通過のノウハウを持つ専門家なら、有益なアドバイスや手厚いサポートで資金調達をスピーディーに進められます。
法人化は資金面以外にも事業計画の策定や経理体制の整備など準備すべき事項が多いです。
さらに、業務が忙しくなると事業運営や売上に悪影響が出ることも少なくありません。
そして、手続きや資金確保が長引くほど法人化後の経営に不利になります。
時間や手間で困っている場合は、早めに専門家に相談して手続きを迅速に進めるのも良いです。
法人化できない人の特徴のまとめ
法人化できない人の特徴について紹介しました。
法的な欠格事由に該当していないことも重要ですが、 法人化に関する知識を持って取り組まなければなりません。
税金の優遇や信用が上がるといったメリットもありますが、財務管理や労務管理といった会社を運営する能力も必要です。
また、資金的に法人化が難しい場合は、 合同会社の設立や融資を行うことなどといった対策もできます。
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