止まらぬ大企業の中小企業化、コロナ禍による業績悪化で加速
資本金が1億円を超える大企業や著名企業が1億円以下に減資して、中小企業に適用される税制優遇を受ける動きが昨年来、加速しています。
東京商工リサーチ(TSR)のまとめでは、2020年度に1億円以下に減資した企業は約1,000社・前年比で約4割増に達しましたが、21年度に入っても井筒屋、琉球新報社、ロイヤルホテル、藤田観光などが相次いで1億円への減資を発表。
中小企業税制の本来の趣旨を歪める動きに、制度そのものの見直しにつながるのではないかとの議論も強まっています。
減資した企業数と1億円超から1億円以下に減資した企業
グラフデータ参考:「減資企業」動向調査|東京商工リサーチ
昨年から急増した減資
TSRの「減資企業動向調査」は、同社の企業データベースにある国内約262万社を基に3月期末の資本金を比較して分析したもの。
それによると、2021年3月までに増資した企業は年間14,971社(前年度比1.5%増)とほぼ横ばいだった一方、減資した企業は3,321社で前年度比35.6%の増加、うち1億円超から1億円以下に減資したのは997社で前年度比39.4%もの大幅増加でした。
減資した企業を業種別に見ると、サービス業他がトップで1,009社(前年比63.8%増)。1億円以下への減資企業997社のうち最も多かったのはやはりサービス業他で272社(前年比70%増)にのぼりました。
大型の減資や著名企業の多いのが特徴
1億円以下への減資の目的は、無償減資による財務体質の改善ですが、中小企業が対象の優遇制度を利用した税負担の軽減も狙っており、長引く新型コロナ禍による業績の悪化が背景にあります。
このため、次の一覧のように数十億円から数百億円の規模で減資する企業が目立っています。
1億円以下に減資した企業(抜粋)
※資本金は減資前、億未満は切り捨て
※表が画面に収まらない場合は横にスライドできます
年月 | 社名 | 資本金 | 備考 |
2020年7月 | レオパレス21 | 812 | アパート建設大手 |
7 | あいテレビ | 40 | 松山市 |
8 | 元気寿司 | 11 | 回転寿司 |
8 | 大庄 | 86 | 居酒屋「庄や」 |
11 | グリー | 23 | スマホゲーム |
11 | フィスコ | 7 | 金融情報配信 |
12 | スカイマーク | 90 | 航空国内3位 |
2021年1月 | マキノ | 10 | プラントエンジニアリング |
1 | アルメックス | 23 | システム管理 |
2 | カッパクリエイト | 98 | 回転寿司 |
3 | 毎日新聞 | 41 | 日刊全国紙 |
3 | JTB | 23 | 旅行最大手 |
3 | JOLED | 877 | 有機EL事業 |
3 | チムニー | 57 | 居酒屋「はなの舞」 |
3 | サイバーダイン | 267 | 医療福祉機器 |
3 | ANAセールス | 10 | 現・ANAあきんど |
6 | マイネット | 30 | スマホゲーム |
6 | はとバス | 4 | 都内バスツアーなど |
7 | オンキヨーホームエンターテイメント | 117 | 音響機器の販売など |
7 | 井筒屋 | 105 | 北九州の百貨店 |
7 | 琉球新報社 | 1.9 | 沖縄日刊紙 |
7 | ロイヤルホテル | 132 | リーガロイヤルホテル(大阪市) |
8 | ジェイアール西日本ホテル開発 | 180 | 京都市 |
8 | 中国ジェイアールバス | 28 | 広島市 |
8 | NFKホールディングス | 24 | 工業炉燃焼装置 |
9 | フィードフォース | 4 | デジタルマーケティングツール |
9 | 藤田観光 | 195 | ホテル・結婚式・レジャー事業 |
過去には世論の反発を受けた減資も
過去にも、中小企業関連の優遇税制が新設されたり、中小企業にとって有利な改正が実施されたときには、1億円以下に減資する企業が増えることはありました。
しかし、ピークでも300社を超える程度で、規模も小さいものが多く、今回のような大型の減資や世間に名の知られた企業の減資ラッシュは初めてのことです。
2015年5月、業績不振に苦しんでいた家電大手のシャープが1200億円の資本金を1億円に減らし中小企業になるとのニュースが流れた時は、連結売上高3兆円・従業員数5万人の大企業がなぜ?との批判が噴出。株価はストップ安を演じて、結局減資後の資本金を5億円にとどめるという事件がありました。
同じ時期に125億円から1億円への減資を発表した吉本興業は、エンターテイメント業界では超有名企業であるにも関わらず、2010年にTOBにより上場を廃止していたせいか、シャープのような批判は少なく、資本金1億円の中小企業化を実現しています。
しかし、昨年初めから1年を超えて続く新型コロナ禍による企業業績の悪化は過去に例のない規模と広がりをみせ、「みんなで渡れば怖くない」状態の減資ラッシュとなり、減資に踏み切る企業にとっては追い風となった形です。
中小企業に対する税優遇策の内容
減資ラッシュの主因となった資本金1億円以下の中小企業が受けられる税優遇には、以下のようなものがあります。
(1)法人税
法人税は、大企業に対しては一律に23.2%の税率が課されますが、資本金1億円以下の中小企業の場合、所得額800万円までの部分は15%に軽減され、800万円を超える部分には大企業並みの23.2%の税率が適用されます。
(2)法人事業税
事業所の床面積、従業員数、資本金などが一定の規模の場合、赤字でも適用される法人事業税が中小企業には免除されます。
(3)欠損金の繰越控除
欠損金は10年間繰り越しができて、利益が出た年度に相殺できる制度ですが、大企業が欠損の50%しか繰り越せないのに対し、中小企業は全額を繰り越すことができまます。
このほか、交際費等の損金算入や、中小企業に対するさまざまな支援が目的の施策がありますが、今回の減資ラッシュに名を連ねる大企業にとっては縁の少ないものかもしれません。
減資のデメリット
減資による中小企業化にはメリットとは逆にデメリットもあります。最大のデメリットは社会的な信用の低下で、これまでは極力避けられてきた危機回避策です。上場企業の場合は一時的にしても株価が急落することがおおいのもこのせいです。
今回の減資企業には,ホテル、飲食、運輸など新型コロナによるダメージの大きかった企業が目立ち、コロナ後に備えて敢えて中小企業化という禁じ手による体質強化の道を選んだものとみられています。
一方、シャープの中小企業化を批判したメディアが自ら同じ手法を用いて減資企業一覧に名を連ねるという、過去にはない皮肉な現象も現れています。
減資ラッシュの理由となっている中小企業税制には見直し論が浮上しているものの、ワクチン接種の混乱やオリンピックによる感染拡大への警戒感からコロナ禍の収束が見通せない中では、まだ減資の動きにはブレーキはかかりにくいのでは?との見方が大勢を占めています。
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