エンジェル税制とは?要件や制度内容と気になる確定申告についてわかりやすく解説
こちらの記事では、上記のようなエンジェル税制に関する疑問を解決します。
エンジェル税制はベンチャー企業に対して個人投資家が出資をし、所得税などの優遇措置が受けられる制度です。
エンジェル税制という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれませんが、仕組みを知らない人は多いのでは?
今回はエンジェル税制をわかりやすく解説していきます。
エンジェル税制の要件や制度内容、申請方法から確定申告までの流れを紹介します。
ベンチャー企業と個人投資家の人に向けてそれぞれ説明していくので、ぜひ最後までご覧ください!
- ベンチャー企業に出資した個人投資家は税の優遇制度を利用できる
- ベンチャー企業と個人投資家それぞれに要件がある
- エンジェル税制を利用した個人投資家は確定申告が必要
目次
エンジェル税制とは?所得税や住民税の特例措置が受けられる制度のこと
エンジェル税制は、 ベンチャー企業に出資する個人投資家へ優遇措置を行い、創業促進による経済活性化を目的としています。
エンジェル投資は創業したばかりの企業に出資することを指し、資金を出資する投資家のことをエンジェル投資家と言います。
個人投資家が受けられる優遇措置は2つあるので解説していきます。
投資した年に受けれる所得税の優遇措置
エンジェル税制を利用すると、 投資した年に優遇措置(AとBのどちらか)を受けられます。
まず、優遇措置Aは設立5年未満の企業が対象であり、ベンチャー企業への投資額-2,000円をその年の総所得金額から控除されます。
ただし、控除対象となる投資額には上限があり、総所得金額×40%か800万円のいずれか低い方となります。
続いて、優遇措置Bは設立10年未満の企業が対象であり、ベンチャー企業への投資額全額を控除できます。
売却時に受けれる所得税と住民税の優遇措置
売却時にも所得税と住民税の優遇措置が用意されています。
投資家が未上場ベンチャー企業の株式を売却して損失した場合、 譲渡時に優遇措置を受けられます。
その年の他の株式譲渡益と相殺ができ、もしその年で相殺しきれない場合には翌年以降3年間繰り越しが可能です。
さらに、 ベンチャー企業が上場せずに解散・破産となる株式としての価値を失った場合、同じく3年間は繰り越しと相殺ができます。
エンジェル税制の優遇措置を受ける要件について
エンジェル税制の優遇措置を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。
ベンチャー企業と個人投資家のそれぞれの要件を紹介します。
エンジェル税制の要件① ベンチャー企業
エンジェル税制の対象となるベンチャー企業の要件として、 設立経過年数や研究者、新事業活動従事者の人数に要件があります。
中小企業庁で記載されている詳しい要件を、優遇措置A・Bにわけて解説します。
【優遇措置Aの対象となる企業】
設立経過年数(事業年度) | 要件 |
---|---|
1年未満かつ最初の事業年度を未経過 | 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ 常勤の役員・従業員の10%以上。 |
1年未満かつ最小の事業年度を経過 | 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上で、 直前期までの営業キャッシュ・フローが赤字。 |
1年~2年未満 | 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超で直前期までの営業キャッシュ・フローが赤字。 または新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上で、直前期までの営業キャッシュ・フローが赤字。 |
2年以上~3年未満 | 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超で直前期までのキャッシュ・フローが赤字。 または売上高成長率が25%超で営業キャッシュ・フローが赤字。 |
【優遇措置Bの対象となる企業】
設立経過年数(事業年度) | 要件 |
---|---|
1年未満 | 研究者あるいは新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上。 |
1年以上~2年未満 | 試験研究費など(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超。 または、新事業活動従事者が2人以上かつ常勤の役員・従業員の10%以上。 |
2年以上~5年未満 | 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超。 または売上高成長率が25%超。 |
5年以上~10年未満 | 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の5%超。 |
投資する前に、エンジェル税制の対象になるかどうかを中小企業庁の「事前確認制度を利用する場合の申請手続き」にて確認できます。
事前確認制度を利用することで、 ベンチャー企業は個人投資家に対してエンジェル税制を適用できることを証明できます。
エンジェル税制の要件② 個人投資家
個人投資家がエンジェル税制を利用するには、個人投資家がベンチャー企業の株式を取得していることが要件となります。
他者から譲り受けた株式、あるいは現物出資によって取得した株式は対象外です。
さらに、投資するベンチャー企業が同族会社である場合は注意が必要です。
エンジェル税制によるベンチャー企業と個人投資家の相互メリット
エンジェル税制によるベンチャー企業と個人投資家の相互メリットは以下の通りです。
- ベンチャー企業と個人投資家共に審査があるため、互いに安心安全な取引が可能
- ベンチャー企業と個人投資家共に有利な制度であるため、たくさんの投資機会を作れる
- 事前確認制度によりエンジェル税制適用企業であることを証明することで、効果的なPRが期待できる
エンジェル税制はベンチャー企業だけにかぎらず、投資家への審査も行われます。
企業乗っ取りなどの悪意のある投資や詐欺を避けるために、厳しい審査に通過した場合のみ利用できます。
また、 ベンチャー企業が事前確認制度を行うことでエンジェル税制適用企業の証となり、国に認められたことになります。
エンジェル税制申請方法と確定申告までの流れ
こちらの章では、エンジェル税制申請方法と確定申告までの手続きを紹介します。
ベンチャー企業と個人投資家のそれぞれの手続きの流れを見ていきます。
ベンチャー企業の必要手続き
ベンチャー企業の必要手続きは、事前確認制度の利用の有無によって異なります。
事前確認制度を利用する場合と、利用しない場合の手続きのステップを見ていきます。
【事前確認制度を利用する場合のベンチャー企業の手続き】
投資を受ける前に、 各都道府県にてエンジェル税制適用企業を満たす事前確認申請を行わなければなりません。
また、事前確認の有効期限内に投資を受けた後は、払込期日において企業要件と個人投資家要件を満たすために改めて確認申請をします。
続いて、事前確認制度を利用しない場合の手続きを説明します。
【事前確認制度を利用しない場合の手続き】
事前確認制度を利用せずに手続きを行うには、 資金の払込期日の段階で企業要件と個人投資家要件を満たす必要があります。
エンジェル税制適用要件を満たすことを申請し、確認書の取得後に投資家に書類提出する流れになります。
個人投資家の必要手続き
個人投資家においては「出資の手続き」と「確定申告の手続き」が必要です。
出資の手続きは 「ベンチャー企業から直接株式を取得する」「認定投資事業有限責任組合を経由する」の2種類があります。
【ベンチャー企業企業から直接株式を取得する手続き】
【認定投資事業責任組合経由の手続き】
個人投資家はベンチャー企業から書類を受け取った後に、必ず税務署へ確定申告を行います。
確定申告の必要書類や記載方法、注意点はこれから説明します。
エンジェル税制の確定申告で提出する必要書類
個人投資家が、エンジェル税制の確定申告に提出する必要書類は以下の通りです。
- 都道府県知事の確認書又は認定投資事業有限責任組合が発行した確認書及び認定証の写し、若しくは認定少額電子募集取扱業者が発行した確認書及び認定証の写し
- 発行会社が交付する一定の株主に該当しない旨の確認書
- 株式投資契約書の写し
- 株式異動状況明細書
- 株式の譲渡等に関する書類
- 清算結了の登記事項証明書、破産手続開始の決定の公告等
- 株式等に係る譲渡所得税等の金額計算明細書
- 株式等に係る譲渡所得税等の金額計算明細書(特定権利行使株式及び特定投資株式分がある場合)
- 特定(新規)中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除の明細書
- 令和_年分の所得所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(特定投資株式に係る譲渡損失の計算及び繰越控除用)
- 特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の計算明細書
引用:確定申告手続き-エンジェル税制申請から確定申告までの流れ-|中小企業庁
優遇措置別 | 番号 |
---|---|
所得控除制度(優遇措置A) | 1~4・9・11 |
課税繰延べ制度(優遇措置B) | 1~4・7・9 |
譲渡損失発生の場合 | 1~5・8・10 |
破産手続き開始の決定により損失が生じた場合 | 1~4・6・8・10 |
引用:確定申告手続き-エンジェル税制申請から確定申告までの流れ-|中小企業庁
民法組合および投資事業有限責任組合を経由して投資する場合は、さらに以下の書類を求められます。(優遇措置A以外)
- 民法組合等の決算書
- 個人投資家の持分に応じた計算書(貸借対照表がついたもの)
- 投資の明細(各銘柄の取得価額、組合としての取得株数等)
引用:確定申告手続き-エンジェル税制申請から確定申告までの流れ-|中小企業庁
【エンジェル税制の確定申告】寄附金控除の書き方と記載例
エンジェル税制の確定申告において、
優遇措置Aに必要な「特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額」の書き方を説明します。
書類はこちらでダウンロード可能です。
特定新規中小会社が発行した株式の取得に要した金額の寄附金控除額の記載例(1株5万円で100株投資した場合)
項目 | 金額 |
---|---|
①適用対象額 | 5,000,000円 |
②①以外の寄附金の額 | ー |
③①+② | 5,000,000円 |
④所得金額の合計額 | 10,000,000円 |
⑤④×40% | 4,000,000円 |
⑥③と⑤のいずれか少ない方の金額 | 4,000,000円 |
⑦寄付金控除額 (⑥-2千円) |
3,998,000円 |
⑧⑤-② | 4,000,000円 |
⑨①と⑧のいずれか少ない方の金額 | 4,000,000円 |
➉取得費の調整対象外 (⑨-2千円) |
3,998,000円 |
エンジェル税制の確定申告は注意が必要
エンジェル税制を利用すると優遇措置の対象となりますが、確定申告の手続きが複雑かつ手間がかかります。
必要書類が多く、その上優遇措置ごとに求められる書類が異なります。
最初は確定申告に時間がかかることが予想されるため、 税理士に相談するのがおすすめです。
わからないまま確定申告をしても不備が出てくる可能性も高いので、不安な人は税理士に任せてみてはいかがでしょうか。
エンジェル税制に関するよくある質問
エンジェル税制を利用するにあたって疑問がいくつか出てくると思います。
そんな人に向けて、 エンジェル税制に関するよくある質問についてお答えしていきます。
Q:エンジェル税制の対象企業を一覧で見たいです
Q:エンジェル税制とふるさと納税は併用できますか?
所得控除方式であれば所得税のみの制度のため、ふるさと納税には影響しないといえます。
Q:エンジェル税制の要件判定シートはどこでみれますか?
シートにある項目に沿って回答し、要件を全て満たす場合は必要書類も確認できます。
エンジェル税制のまとめ
- エンジェル税制は個人投資家が受けられる税の優遇措置のこと
- ベンチャー企業だけでなく、個人投資家にも要件がある
- エンジェル税制は企業と個人投資家のどちらもメリットがある
- 手続きが複雑で、確定申告には多くの必要書類を提出しなければならない
エンジェル税制の基本的な仕組みから要件、申請から確定申告までの流れについて紹介しました。
エンジェル税制優遇措置を受けるには、厳しい要件を満たす必要があります。
さらに申請や手続きが難しく、エンジェル税制の利用をためらう人もいるかもしれません。
エンジェル税制の仕組みを理解するまで大変な一方で、メリットが大きいのも事実です。
個人投資家の人で確定申告が面倒だと感じる場合は、税理士に相談するか依頼してみてはいかがでしょうか。
そして、ベンチャー企業側は事前確認制度を利用して、エンジェル税制適用企業であることを個人投資家にアピールをしていってくださいね。
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