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学生ビジネスプランコンテストの賞金100万円と創業補助金を資金の一部に、かつてないペット向けサービスを展開。株式会社PETWORK(ペットワーク)/代表取締役 平井達矢氏

株式会社PETWORKはペットの無料健康診断という画期的なサービスで今、注目を浴びつつありますね。青山学院大学大学院発のベンチャー企業とのことですが、学生のころからこの事業を立ち上げるにいたった経緯をお話しいただけますか。

平井達矢氏の写真私は今、こう見えても35歳でして(笑)。学生のころと言っても大学ではなく大学院で学んだことが起業のきっかけとなっています。大学から大学院へはストレートに行ったわけではなく、院の前に8年くらい社会人経験を積んでいます。
大学卒業後、初めは厨房機器メーカーに就職して営業職を2年間やりました。その後、父の経営する金属加工会社に入り、数年後からそこの取締役を務めるうちに、このままではちょっといかんな、という思いが生じて、30歳を過ぎてから日本のMBAとも言われる社会人大学院の青山ビジネススクールに入ったわけです。
このビジネスクールでは2年間のコースの後半1年で修士論文を書くか、それに相当するカリキュラムを受講するというシステムになっています。細かく申しますと、修士論文以外はファイナンス系、マネージメント系、そして新規事業の中から選ぶことになるのですが、私は新規事業の授業を1年間受講しました。この授業では、4、5人が1つのチームとなって世の中にまだないまったく新しい製品なりサービスなりをゼロから考え、最後は事業計画書を書いて提出するというところまでが1年間の課題となっています。今のPETWORKという会社は、その時の経験がもとになって生まれたもので、当時の仲間が今も株主として残っています。

取り組み始め、案出しの段階ではいろいろありましたが、まずは市場・業界を決めようということで、自分たちが興味のあることで、しかもそこそこの規模のある市場に絞ろうということになりました。たまたまメンバー全員がペットを飼っていて、自然とペット業界というところで話がまとまったわけです。
次にペット業界にはどんな問題点があって、どのように解決すれば商売になるか、と考えます。ペットブームであるとか殺処分であるとか色々な問題がありますが、私たちはペットの健康に関する関心がものすごく低いことに注目しました。そしてペットの健康をキーとしてこの問題を何とか解決する方法はないか、新しいサービスを模索するなかで、ペットの健康診断にフォーカスした、という流れです。

 

平井さんはビジネススクール時代にいくつもの起業コンテストで入賞されていますが、授業で作った事業計画書をもとに応募されたのですか?

いえ、そうではなくて、事業計画書を練り上げる前の段階で、自分たちのプランがどれくらいの評価を受けるものなのかを客観的に測るために、いろいろな学生ビジネスプランコンテストのようなものに応募してみるように、と先生にも言われていまして、いわば他流試合のようなつもりで参加しました。私たちは学生といっても年齢がけっこう上で、なかには40代の仲間もいましたので、20代の大学生に混じってコンテストに出るのはフェアなのかな、という思いもちょっとありましたが、まあ問題ないということでしたので、結局その年、2012年に開催されるコンテストにすべて応募しました。
今はもうなくなってしまったものもありますが、当時はこの種のコンテストが盛んでして、6つか7つあったと思います。最初が経産省主催のUniversity Venture Grand Prixで、大賞を頂きました。あと東京都学生起業家選手権とか大田区ビジネスプランコンテストなど、最終的に5つのコンテストで受賞することができました。ちなみに実際に他流試合をやってみて、20代の学生でも若いから未熟とかそういうことはまったくなくて、優秀な方たちがたくさんいることを実感しました。

 

そうやっていろいろ受賞されたことが、企業の直接のきっかけになったのでしょうか?

それもありますが、一番には「せっかく思いついて良いな、と思ったものが、誰か他の人の手によって違う形で世の中に出てくるのは悔しい」という思いがありまして。もちろんいろいろ悩みはしました。私は今、父が始めた会社の代表取締役ですが、もう1人のメンバーも別の会社を立ち上げていまして、2人とも二足のわらじになってしまうわけです。それがいかに大変なことかは、よくわかっていたつもりです。
ただ、先ほど申したように、自分が良いと思ったものが違う形で出てきたら悔しい、やってみた結果としてダメで、誰かが似たようなことをもっとすばらしいサービスとして出したとしたら、それはそれで仕方がないけれども、やらずに最初から諦めるのは口惜しいという思いが強く、起業を決意したわけです。

 

では、そこから実際に資金調達などはどうされたのでしょうか?

平井達矢氏の写真私たちの会社は資本金300万円で、そのうち100万は実は先にお話しした学生のビジネスプランコンテストの一つの賞金でした。あと200万は個人的に出しています。ほかに中小機構の創業促進補助金も申請して採択されました。これは実際に使った経費の3分の2を上限200万まで補助してもらえる制度ですが、経費計上のタイミングが難しくて、結局100万くらいの補助金を頂いた形になっています。
私はもともと父の会社経営に早くから関わってきたため、資金調達がどれほど大変か、というのを重々承知しています。またどれほどすばらしいビジネスであっても、時代の流れや景気動向などで状況は変わりますので、融資を受けるということは常にリスクを伴うとも考えています。ですから私は当初は資金調達をしないで、と考えていました。けれども最近になって、特にマネタイズのことを考えると、やはり資金調達して早いスピードでビジネス展開する必要性があるな、とも感じています。

私たちにとっての設備はシステムになりますが、たとえば顧客管理システム、健康診断キットの郵送のシステム化や検査結果の対応のシステム化、集客のためにネット上に「場」を作るなど、やりたいことはいろいろありまして、まとまったお金が必要なわけです。資金調達をどうするかはまさに今、直面している問題でもあります。ただPETWORKとしての資産は当然ありませんので、私たちのサービスのすばらしさや将来性を客観的に理解して下さる方が現れれば、ということになるでしょう。いろいろ情報収集した結果、銀行は諦めており、額の大きな調達はVCしかないでしょうが、これは良い出会いがあってこそという面もあります。資金調達に関しては、今後していきたいという気持ちはもちつつも、できなくても大丈夫な流れも考えていかなくてはいけないだろうというのが正直なところです。

 

ペットの無料診断サービスから始まったPETWORKが、今後めざずところをお話しいただけますか。

平井達矢氏の写真日本のペット市場は犬・猫合わせて2,000万頭と言われていますので、2,000万頭のペットのオーナーの5%として100万人のユーザーをめざしています。
ビジネスの規模としては、5億、10億で終わるのであればやる意味がないとも考えています。やるなら最低100億以上の売上げを、というのが目標です。というのもビジネススクールでは新しいサービスを新規事業として起こすなら5年で100億と言われていまして、5年で100億になる可能性がなければ、やる価値がないと。その5年というのは人生を賭けて死にものぐるいで働くわけで、逆に言えばそれだけのリターンが期待できないものに自分のリソースをつぎ込むべきなのか、という発想です。

肝心の内容ですが、ペットの無料診断サービスは入口で、最終的にはコミュニティービジネスにしたいと考えています。それは現在、リアル上もネット上もペットオーナーが集まる場がないに等しいからです。たとえば公園で散歩途中のペットオーナーが3人、4人と集まって「最近どう?元気?」などと言葉を交わす小さなコミュニティーは無数にありますが、そこから先、大きなコミュニティーにはつながりません。ドッグランのコミュニティーも地域で限定されます。
かたやウェブ上ではというと、リクルートさんなどペットオーナーのためのコミュニティーサイトを運営しているところもありますが、どれも5、6万人で頭打ち、なかなか大きくなっていかないのです。
日本では5~7人に一人はペットオーナーと言われているのに、膨大な総数の割にコミュニティーの場が少ないのは疑問ですよね。ということは、人を集めるだけのコンテンツがないのか、あるいは場そのものがないのか。ということで私たちとしてはコミュニティービジネスをめざし、無料健康診断というコンテンツをその柱として考えているわけです。
この無料健康診断というのは、今は犬に限定していますが、企業広告が同封されたキットを私たちが送り、オーナー自身が犬の尿を採取して尿検査紙の画像をメールで送信してもらうという仕組みで、ビジネススクール時代からのアイディアを具現化したものです。その先のコミュニティービジネスというスケールの大きいビジネスモデルも、当初から案として温めていたものの、最初のうちはどうすれば良いのかわからなかったのですが、実際にPETWORKを始めてみて具体的にやりたいことが見えてきました。目標とする事業規模に向けてビジネスモデルを変えてきたというより、ビジネスモデルが波及していったという感じです。
オーナー同士の交流ができる場を提供しながら、社会的な価値のあるものに育てていきたいということもそうですが、もう一つ、ペットオーナーとペット事業者をうまくつなぎたいという思いもあります。というのも、ペットオーナーとペット事業者が切り離されていると感じる場面が多々あるからです。たとえばペットフード一つとっても、なんであんなに種類があるのか、と。要は、欲しいものがダイレクトに届けられていないから、あれだけたくさんの種類を作って、不特定多数のお客様に選んでもらうしかないという状況になっているわけです。
このように、今はペットオーナーのニーズがかなえられているとはいえないので、そこにペットオーナーとペット事業者をつなぐキーの役割をする第三者がいて、あるいはそういう場があって、その3つがうまく回れば、ペットの飼育頭数はもう頭打ちといわれていますが市場規模としては大きくなる可能性があるのではないかと思っています。この、ペットオーナーとペット事業者と、そしてその間をつなぐ私たち三者の「三方良し」が、私たちの企業理念でもあります。
こうしたことも含め、今は2期目ですが、あと3年から5年のうちにはコミュニティービジネスへの展開を軌道に乗せたいと思っています。

 

アメリカなどにそういうビジネスモデルがあるのでしょうか?

平井達矢氏の写真実は経産省のビジネスコンテスト受賞の副賞として、シリコンバレーで何人ものVCさんにプレゼンをする機会をいただきまして、無料健康診断のプレゼンもしたのですが、そこでわかったのは私たちのサービスはアメリカでは全く必要とされないということでした(笑)。アメリカは大型犬が多く、犬を飼うにはそれなりの年収とか環境とか、審査が必要です。また診療報酬は日本よりはるかに高く、ペットを健康診断のために獣医に連れて行って日本の3倍くらい、つまり3万円くらい払うのは当然だという了解がありますので、私たちのサービスは成り立ちません。私たちのペットの無料健康診断は世界初のビジネスプラットフォームです。
ウェブ上のコミュニティーも、日本よりは規模の大きいものがありますが、私たちがモデルにするようなサイトは特にありません。私たちは欧米とはまったく違う土壌で、日本のペットオーナーに求められるコンテンツを一つ一つ増やしていくだけです。

 

最後に、起業を考えている方に向けてひと言お願いします。

やりたいなら早くやった方がいい、ということに尽きます。悩んでいる時間はもったいないし、始めなければ見えないことがたくさんあるので、まず始めるということです。
ただし、社会人で仕事をやめて起業するなら、お客さんを見つけてからの方が良いでしょう。ビジネスでとにかく大変なのは最初のお客さんをつかむことですから。

 

平井社長、本日はどうもありがとうございました。

PETWORK(ペットワーク) | ペットの健康を想い、そして行動する。
http://www.petwork.jp/

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proroom

proroom

建築系の大学を卒業後、住宅メーカーで注文住宅の営業として従事。その後、暮らし、不動産、ファイナンス、建築関係、ITスタートアップ関連のライターとして活動。資金調達プロには運営中期からライターとして携わり、資金調達ニュースのインタビューアーや1億円調達済み企業のまとめ記事を主に担当している。また、デッドファイナンス、エクイティファイナンス両方を経験していることで当事者目線で執筆活動を行えることが強み。

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