若年層顧客への貸付方針と新法への取組状況~日本貸金業協会調査報告より
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【この記事の要約】
☑ 貸金業協会の若年層への貸付実態と新法施行後の対応
☑ 協会から若年層顧客へのアドバイスとは
☑ 今後の若年層顧客に対する貸付方針と取り組み
「民法の一部を改正する法律」が、令和4年4月から施行されます。
それに伴い、民法の成年年齢は現行の20歳から18 歳に引き下げられることになります。
令和4年度からは、18歳、19歳の「新成人」は、金融やクレジットという面からも、法的に大きな責任を負うことになります。
民法の成年年齢には,一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と,父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。
成年年齢の引下げによって,18歳,19歳の方は,親の同意を得ずに,様々な契約をすることができるようになります。例えば,携帯電話を購入する,一人暮らしのためのアパートを借りる,クレジットカードを作成する(支払能力の審査の結果,クレジットカードの作成ができないことがあります。),ローンを組んで自動車を購入する(返済能力を超えるローン契約と認められる場合,契約できないこともあります。),といったことができるようになります。
引用:民法(成年年齢関係)改正 Q&A|法務省ホームページ
この新法施行を前に、日本貸金業協会が消費者向け貸付けを行っている547者の協会員に対して行った調査結果(有効回答数420者)がリリースされました。
現状で貸金業界は若年層の顧客にどのように対応しているのでしょうか。また新法施行後はどうなのでしょうか。
若年層の顧客への貸付実態と令和4年4月以降の対応
2021年3月末時点で(以下、現時点とします)、10社が18歳未満の一般の顧客を、6社が学生の顧客を貸し付け対象としています。
この数は、令和4年4月からも変わりはありませんが、未定という回答が一般顧客への貸付(以下、一般顧客とします)67者、学生顧客への貸付(以下、学生顧客とします)59者あり、新法施行以降、大幅に増える可能性があります。
新しく成人になる18~19歳の一般顧客を貸付対象としているのは92者、学生顧客を貸付対象としていると回答しているのは47者です。
新法施行後は、一般顧客105者(13者増)、未定が108者、学生顧客52者(5者増)、未定が74者となり、やはり、成人年齢の引き下げにより、貸金業が新たな顧客へのサービス展開を視野に入れていることがよくわかります。
参考:若年層の顧客に対する貸付方針・取組状況等に関する調査結果|日本貸金業協会
新法取得後も親権者の同意を求める企業も
民法では、未成年者との契約に当たり、親(親権者)の同意を取得しないことは違法ではありませんが、未成年者側は契約を取り消すことができます。
現時点では親の同意については、18~19歳の一般顧客へ貸し付けを行う80者 (87.0%)、学生顧客への貸し付けを行う44者(93.6%)において、親の同意を得ています。
施行後新法施行後は、18~19歳は親の同意なしで有効な契約を結ぶことができるようになりますが、一般顧客への貸し付けを行う者の内31者(29.6%) 、学生顧客への貸し付けを行う者の内19者(36.5%)が、親の同意を取得すると回答しています。
利用限度額は低めに設定
個人向け貸付けでは、年収の3分の1を超える貸付契約の締結は原則として禁止されています(貸金業法13条の2)。
いわゆる総量規制ですが、若年層には、それよりもさらに利用限度額を低く設定している業者が多く、新法施行後もその傾向は続くようです。
現時点の利用限度額の設定状況は、 18~19歳の一般顧客への貸付を行う内の43者(46.7%) 、学生顧客への貸し付けを行う者の内35者(74.5%)が、利用限度額を通常より低く設定しています。
施行後に、 18~19歳の一般顧客への貸付をする者の39者(37.1%)において利用限度額を通常より低く設定すると回答し、20者(19.0%)は未定としています。
また、学生顧客を貸付対象とする者の24者(46.2%)が利用限度額を通常より低く設定し、未定は13者(25.0%)です。
使途・年収・在職状況の確認も強化の方向
使途の確認については、現時点で 18~19歳の一般顧客に貸付している者のうち56者(60.9%)、学生顧客を貸付対象としている者の27者(57.4%)が確認をしており、施行後に確認の方針である一般顧客を貸付対象とする者は65者(61.9%)、13者(12.4%)は未定と回答しています。
また学生顧客を貸付対象する者の33者(63.4%)が確認を行う予定であり、7者(13.5%)が未定になっています。
使途確認に対しての自主的な取り組みとして、現時点または新法施行後に一般顧客を貸付対象とする者の内85者(75.2%)、学生の顧客を貸付対象としている者の内43者(78.2%)では、「申込書に使途の記載欄を設ける」「自動契約機経由での申込の場合は、電話で使途をヒアリングする」「インターネット申込のフォーマットには使途質問欄を設ける」「使途の見積書、請求書等で事前に確認が可能な場合は実際に確認する」などの方策が採られています。
貸金業法第13条で、業者は顧客の資力(返済能力)を事前に把握する必要がありますが、貸付額が50万円を超える場合には、原則として年収証明書が必要になります。
この点について、現時点で 18~19歳の一般顧客を貸付対象としている者の28者(30.4%) 、 学生顧客を貸付対象としている者の8者(17.0%)においては、50万円以下であっても年収証明書を取得していると回答しており、新法施行後も、一般顧客を貸付対象とする者の38者(36.2%)、学生顧客を貸付対象とする者の13者(25.0%)に おいて、年収証明書を取得すると回答しています。
10者(19.2%)は未定と回答しています。
現時点、または新法施行後に一般顧客を貸付対象とする者の内57者(50.4%) 、学生顧客を貸付対象としている者の内28者(50.9%)が、顧客の年収把握のために、「申告された年収の事実確認のため、貸付金額が50万円以下の場合であっても、年収証明書を取得している」「業務規程等において、年収把握についての規定を設けている」としています。
在職状況の確認は、現時点では 18~19歳の一般顧客を貸付対象としている内の38者(41.3%)、 学生の顧客を貸付対象としている内の9者(19.1%)において、勤務先への在籍確認を行っており、新法施行後は、一般顧客を貸付対象とする者の内41者(39.0%)が在籍確認を行うとし、12者(11.4%)は未定と回答しています。
また、学生顧客を貸付対象する者の内9者(17.3%)が在籍確認を行い、10者(19.2%)は未定と回答しています。
そのために、「本人と直接会話をするために勤務先に電話をする」「審査により貸付できることになった際に、顧客の承認を得たうえで顧客の勤務先に在籍を確認する」「顧客が申告した勤務先と、個人信用情報照会結果の勤務先が一致することを確認する」「勤務先訪問により確認する」「社会保険証、源泉徴収票、給与明細書などの提出を求める」などの措置を、現時点または新法施行後に一般顧客を貸付対象とする者の内66者(58.4%)、学生顧客を貸付対象としている者の内32者(58.2%)が自主的に行っています。
その他、効果的な与信調査の取り組みとして、 「申告年収と利用目的、申込額、返済計画などに不自然な点があれば顧客へのヒアリングを行うなどして、慎重に審査する」「 申告年収が顧客の年齢等から想定される平均年収と大きく隔たりがある場合には顧客に再確認する」「 健康保険証の提示がない場合、勤務先と指定信用情報機関に登録された勤務先情報を照合する」「 若年層の顧客には審査システム上で注意喚起のメッセージを表示する」などが挙げられています。
若年層顧客の担当者配置も
現時点で、若年層顧客の専属の担当者を設けるなどの体制を整備している業者は、 18~19歳の一般顧客に貸付を行っている内の23者(25.0%) 、 学生顧客に貸付を行っている者の内10者(21.3%)あります。
新法施行後は、2022一般顧客を貸付対象とする者の内35者(33.3%)が対応を行い、26者(24.8%)は未定と回答しています。 学生の顧客を貸付対象する者では、内15者(28.8%)が体制整備を行うと回答しており、14者(26.9%)は未定としています。
アドバイスの体制も充実へ
18~19歳の一般顧客、学生顧客への貸付を行う業者では、これまでも様々なアドバイスを行ってきましたが、新法施行を機に、新たに参入する業者においても、アドバイス体制を充実させていくようです。
アドバイスの内容 |
一般顧客 | 学生顧客 | ||||
現時点 | ➡ | 新法施行後 | 現時点 | ➡ | 新法施行後 | |
借り過ぎについて 計画的な利用計画 |
39.1% (36者) |
➡ | 44.7% (47者) |
40.4% (19者) |
➡ | 50.0% (26者) |
名義貸し借りの危険性 | 28.3% (26者) |
➡ | 36.2% (38者) |
27.7% (13者) |
➡ | 38.5% (20者) |
マルチ商法や詐欺商法 | 21.7% (20者) |
➡ | 32.4% (34者) |
23.4% (11者) |
➡ | 34.8% (18者) |
返済時の充当順位 | 38.0% (35者) |
➡ | 44.7% (47者) |
38.3% (18者) |
➡ | 48.1% (25者) |
支払い遅れ 支払い困難の場合 |
48.7% (42者) |
➡ | 48.6% (51者) |
40.4% (19者) |
➡ | 48.1% (25者) |
指定信用情報機関登録の詳細説明 | 53.3% (49者) |
➡ | 57.2% (60者) |
53.2% (25者) |
➡ | 61.6% (32者) |
データ参考:若年層の顧客に対する 貸付方針・取組状況等に関する調査結果 (2021年度調査)
協会による今後の取組
これまで未成年であり、法的に保護されてきた18歳、19歳が、顧客として貸金業者を訪れた際、これまでの取組に加えて、新たな配慮が必要になってくるのは必然です。
日本貸金業協会は、それに対してどのように対応するのでしょうか。
まずは協会の監査を通じて貸金業法の遵守状況の確認を励行すると宣言しています。
具体的内容と法的根拠は以下の通りです。
・返済能力調査義務(貸金業法第13条第1項)
・年収の3分の1を超える貸付けの禁止(総量規制 同法第13条の2)
・貸付金額が50万円を超える場合、年収証明書の提出義務(同法第13条第3項)
そして、令和4年4月の成年年齢の引下げに向けて、若年層に対する「金融リテラシー」の向上に向けた効果的な取り組みを、業界全体として行っていくことを約束しています。
(1) 若年者の「金融リテラシー」向上への取り組み
- 学校や行政主催のセミナー等に講師を派遣する。
- 行政や企業の相談員向け研修会等に講師を派遣する。
(2) 若年層保護への取り組み取り組み
- 貸金業の社内研修に「カウンセリング的手法を取入れた顧客対応」の社内研修等に講師を派遣する。
(3) 若年層を含む消費者被害防止に向けた取組
- 自治体や関係団体等と連携し「ヤミ金融被害防止」、「ギャンブル等依存症問題啓発週間」などのキャンペーン、啓発活動を実施する。
- 貸金業に関するトラブルを未然に防ぐためのガイドブック『ローン・キャッシングQ&A BOOK』やヤミ金融被害防止リーフレット、ポスター等を教育委員会や消費者生活センター等に配布する。
以上です。
新法施行まであと半年を切りました。
いざというときには頼りになる貸金業者ですが、若年層を含め、借り方、使い方については、事前にしっかりと把握しておきたいものです。
昨日は0人が事業資金の調達に成功しました。
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