2015年1月に1億円以上の資金調達を公表した国内ベンチャー企業7社
早いもので2015年も4分の1が経過しますが、昨年から引き続きベンチャー企業の資金調達はしやすい環境のようです。今年に入ってから1億円以上の資金調達に成功した国内のベンチャー企業をまとめました。まずは1月に公表した7社です。
株式会社JMC
家電メーカーやデザイン・イベント会社など法人向けの3Dプリンター出力事業、自動車・ロボットメーカーなどの製造業向けのアルミニウム・マグネシウムなどの鋳造品の製造事業、医療機器メーカー向けの医療モデル受託製作事業の3つが事業の柱です。
渡邊社長は元プロボクサーという異色の経歴の持ち主で、24歳で引退し翌年の1999年に父親が経営するJMCに入社、2004年に父親から全株を買い取り代表取締役に就任しました。2013年には日本アジア投資に対し第三者割当増資を実施し、1億円の資金調達を行っております。
今回の資金調達額は4億円で、大和企業投資、環境エネルギー投資、静岡キャピタル、横浜キャピタル、TNPオンザロードの5社がそれぞれ運営するファンドに対する第三者割当増資によるものです。資金使途としては、航空・宇宙分野参入のための鋳造設備増強および、3Dプリンターの導入を図り、さらなる経営基盤の強化を行なうため、とのことです。
3Dプリンターはものづくりに革命をもたらすと言われていますが、3Dプリンターという名称がまだなかった2000年から事業を行ってノウハウを蓄積してきたJMC社。今後のさらなる成長が楽しみです。
公表日 | 1月9日 |
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調達金額 | 4億円 |
資本金 | 2億6,300万円(準備金は2億5,000万円) |
設立 | 1992年12月 |
代表者 | 代表取締役CEO 渡邊大知 |
本社 | 神奈川県横浜市港北区新横浜2-5-5 住友不動産新横浜ビル1F |
事業内容 | 3Dプリンター出力事業、鋳造事業、医療モデル受託開発・製作事業 |
株式会社WEIC
https://www.weic.jp/
主な事業としては、2005年創業翌年に販売開始した中国語のeラーニング事業および、2014年に販売開始した成果報酬型法人営業ソリューションサービスです。
内山社長は早稲田大学で中国語を専攻し、卒業後にITを活用して効率的に中国語を学習できるeラーニング事業を創業しました。2010年12月にはブロードリーフに対し、2012年11月にはモバイル・インターネットキャピタルに対し第三者割当増資を実施しています。
今回の資金調達額は2億円で、米国セールスフォース・ドットコム、新生銀行、SBIインベストメントが運営するファンド他に対する第三者割当増資によるものです。資金使途としては、SFAと連動したダイレクトテレマーケティングおよびインサイドセールスサービス「APO-HUNTER」事業の拡大、コールセンターや営業分析チームを拡充するため、とのことです。
使い勝手がよくシェアも高いセールスフォース・ドットコムと「APO-HUNTER」が連携されるということで、両者にとってさらに使い勝手がよくなることが期待されます。
公表日 | 1月9日 |
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調達金額 | 2億円 |
資本金 | 3億3,520万円(資本準備金含む) |
設立 | 2004年11月 |
代表者 | 代表取締役社長 内山雄輝 |
本社 | 東京都中央区晴海3-12-1 KDX晴海ビル7階 |
事業内容 | 営業最適化クラウドサービス、ITソリューション、語学・人材 グローバル化サービス |
株式会社光コム
「光コム」とは、いろいろな波長の光が櫛の歯のように等間隔に並んでいるレーザ光のことで、英語の櫛(Comb:コム)を意味する言葉と組み合わせて「光コム」と呼ばれています(興梠会長の論文より)。株式会社光コムではこの特長を生かして、光コム発生器とその応用及び関連機器の開発・販売を事業としています。
「光コム」は興梠会長が東京工業大学の博士課程で研究をしていたときの成果でした。元々ものづくりが好きだったことと、自分は研究者というタイプではないということで、2002年4月に起業しました。2013年7月にニッセイキャピタルが運営するファンドより1億円の資金調達をしています。
今回の資金調達額は1億5,000万円で、前回同様ニッセイキャピタルが運営するファンドに対する第三者割当増資によるものです。資金調達の使途は、開発・生産体制および販売力の強化とのことです。
国内では1億円以上の資金調達をするベンチャー企業はIT系が多いですが、光コム社は大学での研究を元に事業を立ち上げた大学発ベンチャー企業です。技術立国の日本においてさらなる飛躍が期待されます。
公表日 | 1月16日 |
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調達金額 | 1億5,000万円 |
資本金 | 1億3,250万円(資本準備金含む) |
設立 | 2002年4月 |
代表者 | 代表取締役会長 興梠元伸、代表取締役社長 福沢博志 |
本社 | 東京都千代田区三崎町3-6-12 KDX神田三崎町ビル3F |
事業内容 | 光コム発生器とその応用及び関連機器の開発・販売 |
Rapyuta Robotics株式会社
http://www.rapyuta-robotics.com/
会社概要のページに「クラウド技術を利用したマルチロボットシステムを開発」とありますが、以下の動画を見ていただく方が一目瞭然です。この動画にあるような技術を生かして、現段階では警備市場で活躍できるロボットの開発、次のステップとしてはインフラ点検を行うロボットの開発を考えているとのことです。
CEOのGajamohan Mohanaraja氏はスリランカの出身で、文部科学省の奨学金を受賞して日本へ留学し、東京工業大学システム工学部を卒業、同大学修士課程を修了しています。その後チューリッヒ工科大学博士課程に進学し在学中にクラウド・プラットフォーム等のロボット開発プロジェクトを指揮、博士課程修了後にRapyuta Roboticsを設立しました。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79484430Q4A111C1X11000/
今回の資金調達額は3億5,100万円で、CYBERDYN、フジ・メディア・ホールディングス、ブイキューブおよびSBIインベストメント株式会社が運営するファンドに対する第三者割当増資によるものです。資金使途は、商品開発を加速化し、事業パートナーとの関係を強化して、事業基盤をより強固なものにしていくとのことです。
ブイキューブ社がRapyuta Robotics社の第三者割当増資を引き受けるとプレスリリースを行ったところ、株式市場が反応し同社の株価がストップ高となりました。Rapyuta Robotics社の技術力にはベンチャー投資家だけでなく株式市場も着目しているようです。
公表日 | 1月26日 |
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調達金額 | 3億5,100万円 |
資本金 | 2億6,165万円(資本準備金含む) |
設立 | 2014年7月 |
代表者 | 代表取締役CEO Gajamohan Mohanaraja、代表取締役COO Arudchelvan Krishnamoorthy |
本社 | 東京都新宿区四谷1-15 アーバンビルディングSAKAS.8 B棟-3F |
事業内容 | ロボット制御およびマルチロボットシステムの開発事業、クラウド・ロボティクス事業 |
株式会社wizpra
業績との相関関係が強いNPS(Net Promoter Score) という指標を利用した顧客体験マネジメントサービスを提供しています。NPSとはwizpra社のウェブサイトによると次の通りです。「来店顧客のロイヤリティ(忠誠心)を見える化する究極の経営指標です。売上と直結するロイヤルティ測定指標になります。」具体的には法人企業のお客様に対してアンケートを実施し、親しい人にその企業のサービスを紹介するか11段階で答えてもらい、そのデータを集計分析するというサービスです。
今西社長は大学卒業後、日立製作所、ファーストリテイリングを経て早稲田大学のMBAコースに通い、そこで創業メンバーと出会い2013年にwizpra社を設立しました。その後NTTドコモ・ベンチャーズとグリーベンチャーズから資金調達をしています。
今回の資金調達額は2億3,000万円で、グリーベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタルがそれぞれ運営するファンドに対する第三者割当増資によるものです。資金使途は、プロダクトの強化および組織の強化とのことです。
だいぶ前にNPSと同様の概念の記事をDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューで読んだことを思い出し調べてみたところ、「顧客ロイヤリティを測る究極の質問」というタイトルで2004年6月号に掲載されていました。米国ではNPSの認知度は高く、Apple社やfacebook社がこの指標を活用しているとのことですが、日本では10年以上たってもまだ認知度が低いようです。今後のwizpra社が成長していきサービスが拡販されていくと、日本でもNPSが浸透していくこととなるでしょう。
公表日 | 1月27日 |
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調達金額 | 2億3,000万円 |
資本金 | 2億8,570万円(資本準備金含む) |
設立 | 2013年3月 |
代表者 | 代表取締役 今西良光 |
本社 | 東京都新宿区高田馬場1-6-16 ユニオンビル3階 |
事業内容 | インターネットサービス事業、サービス業向け教育研修・コンサルティング事業 |
株式会社bitFlyer
インターネット上の仮想通貨であるビットコインの販売・買取のサービスを提供しています。買い注文と売り注文をマッチングさせる取引所ではなく、独自に算出した価格に基づいて顧客に直接売買する販売所を運営しています。
加納社長は東京大学を卒業後、ゴールドマン・サックス証券、BNPパリバ証券でシステム開発およびデリバティブトレードの業務に関わり、2014年1月にbitFlyer社を設立しました。その後、仮想通貨関連企業 へ投資を行っている最も著名なビットコイン・ファンドBitcoin Opportunity Corp. インキュベイトファンド、East Venturesから資金調達を行い、2014年10月にはGMOペイメントゲートウェイ社と資本業務提携を結んでいます。
今回の資金調達額は1億3,000万円で、リクルートホールディングスの100%子会社である合同会社 RSP ファンド 5 号、GMO VenturePartners、Bitcoin Opportunity Corp.の3社に対する第三者割当増資によるものです。資金使途は、ビットコイン関連事業を一層強化するため海外拠点の整備、人材採用、サービス開発の加速、および事業成長を促進するプロモーション等を実施するためとのことです。
会社設立の1か月後にビットコインの取引所であるマウントゴックスがハッキングの被害に遭ったことが発覚し、世間を騒がす大きな事件となりました。そのためセキュリティをそれまで以上に強化しサービス開始も遅らせたそうです。ビットコイン自体の知名度はかなり上がりましたが、同時にビットコイン自体が危険だという誤解も広まってしまいました。この事件のせいで日本でも普及が遅くなったように思われますが、今後のbitFlyerの頑張りを期待します。
公表日 | 1月27日 |
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調達金額 | 1億3,000万円 |
資本金 | 3億3,015万円(資本準備金含む) |
設立 | 2014年1月 |
代表者 | 代表取締役 加納裕三 |
本社 | 東京都港区赤坂3-5-5 ストロング赤坂ビル8階 |
事業内容 | ビットコインの販売・買取 |
株式会社キュー
婚約指輪、結婚指輪のECサイト「BRILLIANCE+(ブリリアンスプラス)」を運営しています。オンライン販売を中心に営業しており、在庫を持たずに流通経路を効率化することにより販売価格を通常小売相場価格の約半分の価格帯に抑えています。
今回の資金調達額は資本金の増加金額から推測するに約1億円で、グローバル・ブレインが運営するファンドに対する第三者割当増資によるものです。資金使途は、スマートフォンアプリの開発やオンラインでのフルオーダーによる注文に対応するシステムの展開のためとのことです。
2015年3月末の時点で最も高額な指輪は6,000万円以上のものでした。商品の配送はヤマト運輸に委託しているとのことですが、どのように届くのか気になりました。宅急便利用約款によると宝石などの貴重品は引き受けを拒絶することがあるとのことなので、別途契約を締結していると思われますが、現金輸送のときのように厳重警備で届くのでしょうか。さすがにオンライン完結でこのような超高額指輪を購入することはないかと思いますが、銀座と横浜にショールームがあり来店の予約をすることができますので、相談しながら商品を選べるようです。ちなみに1年以上前のキュー社のプレスリリースですが、スマートフォンでの購入返金単価は約17万7,000円とのことです。インターネットでも高額な商品が普通に販売される時代になりました。
公表日 | 1月27日 |
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調達金額 | 約1億円(資本金の増額分による推測値) |
資本金 | 2億1,267万6,000円 (資本準備金含む) |
設立 | 2006年6月 |
代表者 | 代表取締役CEO 新井俊成 |
本社 | 東京都中央区銀座2丁目5-8 GM-Gビル 7F |
事業内容 | ダイヤモンドジュエリー販売、ブライダル事業、ウェブコンテンツ開発 |
昨日は0人が事業資金の調達に成功しました。
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