創業融資では必ず公的融資を活用するべき、3つの理由とは?

吉田学
吉田学
更新日2021/12/9
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お金を得る

創業融資・資金調達の概論

こんにちは、マイベストサポートの吉田学と申します。今回はこれから創業される皆様に向けた、創業融資についての基礎知識をご案内します。まずは、資金調達の全体像を確認しましょう。一般的に創業融資を受けたとしても、その数年後には、一般の貸付や保証制度を活用するようになりますし、また、補助金・助成金を活用する機会も出てくると思われます。そういう意味において、簡潔に資金調達の全体像について説明させて頂きます。

 

資金調達の体系、全体像

これから起業して資金調達をされる方は、大雑把で結構ですので、資金調達の全体像についてまず頭に叩き込んで下さい。大前提として、創業者及び中小企業においては、原則として、徹底的に“公的な融資”を活用するべきです。
稀に、これから創業される方から「創業融資を補助金・助成金だけで応需したいのですが、どうすればいいですか?」というようなご相談を受けることがありますが、創業時においては、ほぼ、“融資”しかありません。
もちろん創業時の補助金・助成金がない、ということではありませんが、これに全て頼ろうとする起業はやはり正しくありません。まずは「自己資金+融資」によって、資金調達することがセオリーです。
補助金・助成金や出資による資金調達は、やはり、起業後ある程度の実績が出てからの活用になります。

中小企業における資金調達の全体像

種類 内容
融資による資金調達 ・親兄弟、親族、親類等からの借入
・日本政策金融公庫からの融資
・信用保証付きの融資(貸し手は金融機関)
(※自治体融資は“信用保証付き融資”)
・民間金融機関からのプロパー融資等
・ノンバンク等からの融資
補助金・助成金による
資金調達
・研究開発系の補助金・助成金
(⇒経済産業省系、総務省系、各自治体系など)
・労働系の補助金・助成金
(⇒厚生労働省系、各自治体系など)
直接金融(出資等)による
資金調達
・ベンチャーキャピタル(VC)からの資金調達
・中小企業投資育成株式会社からの資金調達
・個人投資家からの資金調達
・少人数私募債による資金調達
中小企業支援法の活用 ・中小企業新事業活動促進法による保証枠拡大等
(経営革新計画、新連携など)

 

創業融資では必ず公的融資を活用すべき、3つの理由

1.補助金・助成金だけで創業資金を賄う事は、現実的ではない
2.金融機関からのプロパー融資については、創業時に利用できる可能性は極めて低い
3.スモールビジネスの場合、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資を頼るのは、現実的には困難

やはり、創業時には公的融資を活用するのが一番の近道です。もちろん、それ以外の資金調達方法を否定するわけではありませんが、それらはあくまで補助的なものであったり、創業後数年たってから活用するべきものです。補助金・助成金だけでは資金を賄うという考え方はナンセンスですし、金融機関のプロパー融資については、創業時にではなく、まずは信用保証付き融資などで実績を重ねてから活用するのが一般的です。

それでは、公的融資とそれ以外の方法について詳しく見ていきましょう。

 

(1)日本政策金融公庫と自治体の創業融資制度

これから創業する方が利用するのは、主に、「日本政策金融公庫(国民生活事業)の融資制度」と「自治体の融資制度」になるでしょう。実際のところ、原則として、この2通りの資金調達方法しかありません。その他、プロパー融資やノンバンクからの資金調達という選択肢もなきにしもあらずですが、非現実的だと思います。
金融機関からのプロパー融資については、創業時に利用できる可能性は極めて低いです。創業時に可能性を探ろうとする方もいますが、やはり信用保証付き融資などで実績を重ねないと、銀行等からのプロパー融資の可能性は著しく低いと思われます。
ノンバンクの活用については、果たして高金利金融を活用してまで資金調達すべきなのか、甚だ疑問です。実務の立場から考えると、場合によっては起業を断念するべきなのではと感じることもあります。
つまり、繰り返しになりますが、これから創業する方にとっては、「日本政策金融公庫」および「自治体の融資制度」をいかに徹底的に活用するかが資金調達の最大のポイントなのです。創業者の中には、これらの窓口から融資を断られるとすぐに、「他の方法はないのか?」、「誰か出資してくれる方を紹介して欲しい」、「助成金をもらえないか?」と考える方もいます。
しかしながら、原則論として、創業融資の窓口は、「日本政策金融公庫(国民生活事業)の融資制度」と「自治体の融資制度」の2つしかなく、それらの可能性を改めて追及する事が優先です。これらの窓口から創業融資の調達が出来ない場合は、創業について再検討する必要があるのかもしれません。

 

(2)補助金、助成金の可能性も探る

補助金・助成金ですが、制度によっては、これから創業される方が利用できるものもありますので、可能性についてはぜひ探ってほしいと思っています。しかしながら、繰り返しになりますが、これだけで創業資金を賄おうとする考えはナンセンスです。
補助金・助成金は、以下の2つに大きく分類することが出来ます。

1.厚生労働省系の補助金・助成金
2.経済産業省・総務省系の補助金・助成金

この「厚生労働省系の補助金・助成金」は、さまざまな細かい条件さえ合致すれば受給できる可能性が非常に高い制度です。これから創業する方が対象になっている制度(受給資格者創業支援助成金など)もありますので、この分野については、社会保険労務士にご相談するようにしてください。税理士・会計事務所の中には、厚生労働省系の助成金制度に強い社会保険労務士との連携を行っている可能性もあります。

次に、「経済産業省・総務省系の補助金・助成金」は、技術開発や研究開発に対して助成・補助する制度です。制度にもよりますが、採択率は、平均して約5~20%程度だと考えて下さい。100社が申請しても5~20社しか採択されない狭き門なのです。地方自治体が実施する制度には、20%以上の採択率の制度もありますので、ぜひ、地元自治体の補助金・助成金制度について、WEBサイトなどから調べてみて下さい。

 

(3)出資、少人数私募債について

ITなどによる全国展開が可能な業種ならともかく、スモールビジネスによる起業の場合、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資を頼りにして起業するのは、現実的にはとても困難だと思われます。筆者の経験談でも10年の間で数件のみです。
ちなみに一般知識として、「中小企業投資育成株式会社(通称“投育社”)」について知っておきましょう。投育社は、東京、大阪、名古屋にあります。
※東京中小企業投資育成株式会社 http://www.sbic.co.jp/
この投育社は、もともと政府出資によって作られた機関であり、中小・ベンチャー企業の“育成”を1つの目的とし、必ずしも“株式公開”だけにこだわりません。
また、投資先は必ずしも高度な技術をもったベンチャー企業ばかりではありません。よって、中小・ベンチャー企業が出資を検討する場合、民間ベンチャーキャピタルばかりでなく、投育社も同時に検討すべきでしょう。
また少人数私募債も1つの手法ですが、自身で資金提供者を探さなくてはいけませんので、経営者の人脈や人望がとても重要であり、即効性のある資金調達のソリューションとは言い難いでしょう。
少人数私募債は、最後の“切り札”というようなことを言う専門家もいますが、特効薬のように考えるのは避けた方がよいでしょう。

 

(4)法律承認について

都道府県や国からの“承認”を得ることによって、公的施策を利用できる可能性が発生します。これから創業する方にとってはあまり関係のない制度ではありますが、創業後2~3年経過すれば対象になりますので、ぜひ知っておいてください。
よく「法律承認を受けると低利融資や信用保証などの公的施策を利用することができるようになる」というようなことを言う専門家がいますが、そんなことはありません。決して、「承認=活用の約束」ではありませんので十分に注意して下さい。
中小・零細企業が最も活用するのは、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」の「経営革新計画」です。詳細については中小企業庁(http://www.chusho.meti.go.jp/)や地元自治体のWEBサイトから確認して下さい。ぜひとも経営革新計画の概要についてだけは知ってほしいと思います。

 

(5)まずは、公庫の創業融資を徹底的に理解する!

これから創業する方が利用するのは、主に「日本政策金融公庫(国民生活事業)の創業融資制度」と「自治体の創業融資制度」になるという主旨の説明をしましたが、やはりこの2つの方法についてまずは調べる必要があると思います。
順番としては、まずは「日本政策金融公庫(国民生活事業)の創業融資制度」からあたってみるべきです。制度としては、シンプルですし、流れについても理解しやすいです。

もちろん、私の方でも「日本政策金融公庫(国民生活事業)の創業融資制度」と「自治体の創業融資制度」のサポートを行う事が可能です。これから創業される方で資金調達の方法がわからないという方は、是非お気軽にご相談いただけたらと思います。

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