キャリアアップ助成金を100%受ける3つのコツ!あなたも500万円ゲットできる
目次
はじめに
世の中に幾多とある助成金の数々。あなたの会社では、十分に活用できているでしょうか?言うまでもないことかもしれませんが、助成金は「返済不要な資金調達」の方法として、かの藤田普氏が率いるサイバーエージェントをはじめ、多くの企業が導入しています。例えばサイバーエージェントの決算を見ると、営業外収益に「助成金収入」の項目がしっかり記載されており、27年度で5,500万円、28年度で4,900万円を計上しています。
繰り返しますが、これは返済不要なお金ですので、かかった人件費以外は全て営業利益です。そして助成金の多くは福利厚生の向上を目的として国が設置したものなので、正しく運用すれば社員のモチベーションアップにもつながります。もちろん受給金額は会社の規模にも応じますが、あなたの会社もサイバーエージェントと同じように「一石二鳥」のお金を受け取ることができるのです。
キャリアアップ助成金とは?
概要
まずキャリアアップ助成金とは、有期契約労働者、パート・アルバイト、派遣労働者など、いわゆる「非正規雇用」の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、これらの取組を実施した事業主に対して助成をするものです。厚生労働省が管轄しています。
有期労働者やアルバイトなどの”非正規雇用者を正社員にするための制度”を会社が設け、更に実際に対象者が発生したときに受給できるもので、キャリアアップ助成金は日本国内の”非正規労働者の減少”を目的に、厚生労働省が力を入れている助成金です。目的に応じて、下記の3つのコースが用意されています。
用意されているコース
・正社員化コース
派遣社員やアルバイトなど、有期契約労働者等を正規雇用、あるいは多様な正社員等に転換する際に助成されます
・人材育成コース
派遣社員やアルバイトなど、有期契約労働者等に対して業務上必要でかつ従業員のキャリアアップにつながる職業訓練を行った際に助成されます
・処遇改善コース
派遣社員やアルバイトなど、有期契約労働者等の賃金規定等の改定、健康診断制度の導入、賃金規定等の共通化、週所定労働時間を延長し、社会保険加入ができるようにした際に助成されます
支給対象事業主
○ 雇用保険適用事業所の事業主であること
○ 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
○ 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画(有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、対象者、目標、期間、⽬標などのおおまかな取り組みイメージを記載した資料)を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
○ キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
中小企業事業主について
中小企業事業主に対しては、大企業に比べてより多くの金額が助成されます。対象は以下範囲の事業主です。
・小売業(飲食店含む):資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者が50人以下
・サービス業 :資本金5,000万円以下または常時雇用する労働者が100人以下
・卸売業 :資本金1億円以下または常時雇用する労働者が100人以下
・その他の業種 :資本金3億円以下または常時雇用する労働者が300人以下
キャリアアップ助成金受給のコツ
後ほど詳解いたしますが、上記のようにいくつかのコースに分かれているキャリアアップ助成金。それでは、スムースな受給に向けて、どのような点に気を配るべきでしょうか?ここでは(1)1 キャリアアップ計画の策定は慎重に(2) 就業規則など、必要書類をきちんと揃える(3) スケジュールの管理を徹底する、の3つについてご説明します。
1 キャリアアップ計画の策定は慎重に
キャリアアップ助成金では、どのコースを利用する場合でも、「我が社ではこのような計画に基づいて、社員のキャリアアップを推し進める」ということを宣言するための「キャリアアップ計画書(様式第1号)」を、事前に提出しておかなければなりません。
計画書の作成にあたって重要なポイントは、「事前の計画」と「実際に行う訓練等」との客観的な整合性です。極端な例で言えば、「ITスキルの向上」を目標として設定しておきながら、ITに関する訓練を全く行わない計画だった場合、支給申請は却下されます。
そもそも、なぜ初めに「事前の計画」の提出が必要なのでしょうか?キャリアアップ助成金の対象となる会社は、従業員が中長期的に働くことのできる環境を整えて、雇用関係が継続する(さらに言えば社会保険の加入者が増える)よう計画的に努力している会社です。行き当たりばったりではなく、計画的かつ戦略的に従業員のスキルアップを目指す会社はそれほどまでに貴重であり、助成金を支給する価値がある、と国は判断しています。
提出済みの「計画書」に内容の変更があった場合は、その都度ハローワークに「計画変更届」の提出が必要なことからも、この「計画性」「戦略性」が重要視されているがお分かりになるかと思います。もちろん計画書を提出した後、計画書の内容と異なるアクションを行った場合、その後の支給申請で、不支給と判断される可能性が大いにあります。
このように、「キャリアアップ計画書」では後々の訓練内容や、その他の申請書類に記載することに沿った整合性が重要となりますが、それではどのようにすれば矛盾のない計画書を作成できるでしょうか。ここでは「利用予定のコースの支給申請書類を、最後まで一通り書いてみる」ことを強くお勧めします。例えば人材育成コースでは、「一般職業訓練(育児休業中訓練)計画届」や「有期実習型訓練に係る訓練計画予定表」などがそれにあたります。
もちろん目を通すだけではなく、必要な項目を全て適切に埋められるまで、説明などを読み込むことが必要です。危険なのは、全体像を理解しないまま計画書だけをとりあえず提出すること。せっかく計画書を出して訓練や正規雇用転換をしてみたものの、支給申請の時点で整合性が取れないので申請却下となれば、大きな労力の無駄です。
計画書の提出から支給申請まで、短くとも半年以上はかかる制度ですので、長期間に渡り整合性を取り続けるためには、この計画書の書き方はとても大切です。先々の会社の状況(キャッシュフロー、あるいは採用状況など)を考えながら、慎重に作成してください。
2 就業規則など、必要書類をきちんと揃える
キャリアアップ助成金の申請にあたっては、大変な量の申請書類の準備が必要です。例えば「キャリアアップ助成金支給申請(正社員化コース)チェックリスト」を見てみると、そこに掲載された必要書類は「キャリアアップ助成金支給申請書 (様式第7号)」「正社員化コース内訳 (様式第7号別添様式1-1)」などを筆頭として、実に19種類に上ります。申請するコースによっても必要書類は変わりますので、必ず下記のページをご参照ください。
キャリアアップ助成金 必要書類チェックリスト | 東京労働局
また、申請書類のテンプレートは以下のページからダウンロードすることが出来ます。
申請様式のダウンロード(キャリアアップ助成金) |厚生労働省
ところで、キャリアアップ助成金の各コースのうち、正社員化コース、処遇改善コースなどにおいては申請に先立って、就業規則内に関連する規定を設ける必要があります。就業規則とは、労働基準法に基づいて、被雇用者の労働時間・賃金・服務規程などの労働条件などを定めた規則を指し、従業員が10人以上の事業所においては作成ならびに労働基準監督署への届出が義務付けられています。会社の根幹に関わる書類ですので、特に注意して作成(あるいは既存内容の変更)してください。
例えば正社員化コースの場合、転換試験制度などについて実施をする前に就業規則に盛り込み、社内に周知する必要があります。その際は正社員用の就業規則ではなく、転換前の雇用形態の就業規則に転換試験制度を盛り込みます。これは従業員が10人以下の事業者の場合も同じです。
なお、就業規則は以下の条件を満たす必要があります。
●常時10人以上の労働者を使用する場合
管轄する労働基準監督署または地方運輸局(運輸監理部を含む)に届出されていること
●常時10人未満の労働者を使用する場合
管轄する労働基準監督署または地方運輸局(運輸監理部を含む)に届出された就業規則。なおキャリアアップ助成金の場合は、就業規則の実施について事業主と従業員全員の連署による申立書を添付していれば、管轄する労働基準監督署または地方運輸局(運輸監理部を含む)への届出は必要ありません。
就業規則は、しっかりした会社であっても意外とおろそかにされている規則でもあります。助成金申請の機会に、内容を一度見直してみるのもよいかも知れません。
3 スケジュールの管理を徹底する
キャリアアップ助成金の受給申請において、スケジュールの部分は間違いなく混乱を覚えるポイントの1つです。キャリアアップ計画書の作成から、各種施策を実施して、実際に支給申請を行うまで、長ければ1年。その間、厳密に定められた手順ならびに期限を守りつつ、各種手続きを行う必要があります。例として「正社員化コース」の手続きの流れを見てみましょう。
1ヶ月目|キャリアアップ計画の作成・提出(転換・直接雇用を実施する日までに提出)
雇⽤保険適⽤事業所ごとに「キャリアアップ管理者」を配置するとともに、労働組合等の意⾒を聴い て「キャリアアップ計画」を作成し、管轄労働局⻑の確認を受けます。 キャリアアップ計画の確認を受けないと、この先の作業が始められません。遅くとも正規転換(予定)日の1ヶ月前に間に合うように準備をします。
1~2ヶ月目|就業規則、労働協約またはこれに準じるものに転換制度を規定
就業規則に正規転換制度を規定します。条文には「転換の手続き」「要件」「実施時期」を必ず盛り込みます。従業員10人以上の事業所の場合、 労働基準監督署に改訂後の就業規則を届け出る必要があります。 10⼈未満の事業所は労働基準監督署への届け出の代わりに、事業主と労働者全員の連署による申⽴書 でも可とします。
2~3ヶ月目|転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施
上記の規定に従い、正規転換を希望する労働者に、試験等(面接・筆記・実技など)を実施して、選考を行います。
3~4ヶ月目|正規雇用等への転換・直接雇用の実施
転換後の雇用契約書や労働条件通知書を対象労働者に交付します。 その際、転換後に適用される就業規則等に規定している労働条件・待遇(他の正社員と同様の労働条件)にする必要があります。
4~9ヶ月目|6ヶ月間の賃金支給
正規転換後に6ヶ月間の賃金(正社員として)を支給します。途中で支給が停止されると、助成金の受給資格はもちろん失われます。賃金台帳、出勤簿が申請の際に必要になりますので、必ず作成しておきましょう。
10~11ヶ月目|⽀給申請
6ヶ月目の賃金を支給した日から、2ヶ月以内に支給を申請することになります。申請期限に遅れるとそれまでの苦労が全て水の泡になりかねません。所定の書類を取りそろえ、労働局での審査を経て支給決定となります。
以上がおおまかな流れになっています。準備から申請まで、ほぼ1年がかりの手続きとなります。作業の一覧表などを作成して、明確なスケジュール管理を行っていくことが成功のポイントです。
キャリアアップ助成金の6つのコース
上記でも触れた通り、キャリアアップ助成金は、目的に応じて正社員化コース、人材育成コース、処遇改善コースの3つに分かれており、処遇改善コースにはさらに賃⾦規定等改定、共通処遇推進制度(健康診断制度、賃金規定等共通化)、短時間労働者の労働時間延長などの項目があります。それぞれについて詳細を見てみましょう。
なお、こちらに記載のある事項以外にも様々な要件や必要書類等がありますので、申請を検討する前に下記資料を必ずご参照ください。
1 正社員化コース
■概要
就業規則または労働協約その他これに準ずるものに規定した制度に基づき、有期契約労働者等を正規雇用労働者・多様な正社員等に転換、または直接雇用した場合に支給されます。有期契約労働者等のより安定度の高い雇用形態への転換を通じ たキャリアアップを目的とされています。 下記の通り、転換内容によって受給額は異なりますが、中小企業事業主の場合、最大60万円が支給されます。
■支給額
(1)有期→正規:1人当たり60万円(45万円)
(2)有期→無期:1人当たり30万円(22.5万円)
(3)無期→正規:1人当たり30万円(22.5万円)
(4)有期→多様な正社員:1人当たり40万円(30万円)
(5)無期→多様な正社員:1人当たり10万円(7.5万円)
(6)多様な正社員→正規:1人当たり20万円(15万円)
※( )内は大企業の額
※〈(1)〜(6)合わせて1年度1事業所当たり15人まで〉
※ 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合、(1)(3)は1人当たり30万円(大企業も同額)、(4)(5)は15万円(大企業も同額)助成額が加算されます。
※ 母子家庭の母等を転換等した場合、(1)は1人当たり10万円、(2)〜(6)は5万円(大企業も同額)の助成額を加算(転換等した日において母子家庭の⺟等である必要があります)
若者雇⽤促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合に(1)は1人当たり10万円、(2)〜(6)は5万円(大企業も同額)の助成額を加算(転換等した日において35歳未満の者である必要があります)
※ 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合、(4)(5)1事業所当たり10万円(7.5万円)の助成額を加算
※ 上記のほか、有期実習型訓練を修了した者を正規雇⽤労働者等として転換または直接雇⽤した場合、 人材育成コースに規定する額を受給できます。
■主な支給要件
・有期契約労働者や派遣労働者等を正規雇用労働者、または無期雇用労働者に転換する制度が、労働協約または 就業規則などで規定されていること
・当該転換日の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間に、当該転換を行った 適用事業所において、雇用保険被保険者を解雇または等事業主の都合により離職させていないこと
・対象の労働者が、支給対象事業主に雇用される期間が通算して6か月以上雇用されていること
・対象の労働者が、支給対象事業主が実施した有期実習型訓練を受講し、修了していること
・対象の労働者が、転換後6か月以上の期間継続して雇用され、転換後6か月の賃金が支給されていること
・対象の労働者の基本給が、転換前あるいは直接雇用前よりも5%以上昇給されていること
・対象の労働者が、転換あるいは直接雇用後に雇用保険ならびに社会保険の被保険者として適用されていること
・対象の労働者が、訓練を実施する事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族及び姻 族をいう)以外の者であること
■申請の流れ
1 キャリアアップ計画の作成・提出(転換・直接雇用を実施する日までに提出)
2 就業規則、労働協約またはこれに準じるものに転換制度を規定
3 転換・直接雇用に際し、就業規則等の転換制度に規定した試験等を実施
4 正規雇用等への転換・直接雇用の実施
5 転換後6か⽉分の賃⾦を⽀給・助成金の⽀給申請(6ヶ月分の給与支払いを行った日の翌日から2ヶ月以内に事業所の所在地を管轄する労働局へ必要書類を提出する必要があります)
主な必要書類は以下の通りです。
・管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書
・転換制度または直接雇用制度が規定されている労働協約または就業規則など
・対象の労働者の雇用契約書、賃金台帳、タイムカードなど
・中小企業事業主であることを確認できる書類(登記事項証明書または所定の事業所確認表)
2 人材育成コース
■概要
有期契約労働者等に以下の訓練を行った場合に助成されます。
➀ 一般職業訓練(Off-JT)(育児休業中訓練を含む)
➁ 有期実習型訓練(「ジョブ・カード」を活用したOff-JTとOJTを組み合わせた3~6か月の職業訓練)
➂ 中長期的キャリア形成訓練(Off-JT)
Off-JTとは、⽣産ラインまたは就労の場における通常の⽣産活動と区別して業務の遂⾏の過程外で⾏われる(事業内または事業外の)職業訓練のこと。OJTとは、適格な指導者の指導の下、事業主が⾏う業務の遂⾏の過程内における実務を通じた実践的な技能およびこれに関する知識の習得に係る職業訓練のことを指します。
■支給額
※( )内は大企業の額
●Off-JT分の支給額
賃⾦助成・・・1人1時間当たり 800円(500円)
※1人当たりの助成時間数は1,200時間を限度
●OJT分の支給額
実施助成・・・1人1時間当たり 800円(700円)
※1人当たりの助成時間数は680時間を限度
経費助成は、1人当たり のOff-JTの訓練時間数に応じて以下の額になります。
【一般職業訓練(育児休業中訓練)、有期実習型訓練】
100時間未満 10万円( 7万円)
100時間以上200時間未満 20万円(15万円)
200時間以上 30万円(20万円)
【中⻑期的キャリア形成訓練】
100時間未満 15万円(10万円)
100時間以上200時間未満 30万円(20万円)
200時間以上 50万円(30万円)
(有期実習型訓練後に正規雇用等に転換された場合)
100時間未満 15万円(10万円)
100時間以上200時間未満 30万円(20万円)
200時間以上 50万円(30万円)
※事業主が負担した実費が上記を下回る場合は実費を限度
※育児休業中訓練は経費助成のみ
■主な支給要件
・事業主が訓練開始の日の前日から起算して1か月前までに、キャリアアップ計画に基づいた訓練計画届を作成し、管轄労働局長の確認を受けていること
・訓練期間中の対象労働者に対する賃金を適正に支払っていること
・ 職業訓練計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から、その職業訓練でのキャリアアップ助成金の支給申請書の提出日までの間に、職業訓練計画を実施した事業所で、雇用保険被保険者を解
雇等事業主の都合により離職させていないこと
・職業訓練計画を提出した日の前日から起算して6か月前の日から、その職業訓練でのキャリアアップ助成金の支給申請書の提出日までの間に、職業訓練計画を実施した事業所で、特定受給資格離職者とし
て雇用保険法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、この事業所での支給申請書提出日の雇用保険被保険者数で割った割合が6%を超えている 事業主以外の者であること
・対象の労働者が、事業主の事業所において、訓練の終了日または支給申請日に雇用保険被保険者であること
・対象の労働者が、訓練を実施する事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族及び姻族をいう)以外の者であること
■申請の流れ
1 キャリアアップ計画の作成・提出
2 訓練計画届の作成・提出
3 訓練受講者に対するキャリア・コンサルティングの実施
4 訓練の実施
5 訓練の終了・⽀給申請(職業訓練計画実施期間の終了した日の翌日から起算して2か月以内)
主な必要書類は以下の通りです。
・ 管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書
・人材育成コース内訳
・賃金助成および実施助成の内訳
・経費助成の内訳
・訓練実施状況報告書(訓練日誌)
・訓練期間中の出勤状況・出退勤時刻を確認するための書類(出勤簿など)
・対象労働者に対して訓練期間中の賃金が支払われていたことを確認するための書類(賃金台帳など)
・申請事業主が訓練にかかる経費を負担していること(対象労働者が立て替え払いしている場合は対象労働者本人に返金するなどにより事業主が負担したこと)を確認するための書類(領収書、振込通知書、請・求内訳書、総勘定元帳など)
・訓練対象者ごとのジョブ・カード
3 処遇改善コース―①賃金規定等改定
■概要
すべてまたは雇用形態別や職種別など一部の有期契約労働者等の基本給 の賃金規定等を、2%以上増額改定し、昇給させた場合に助成されます。
■支給額※( )内は大企業の額
(1)すべての有期契約労働者等の賃⾦規定等を2%以上増額改定した場合
対象労働者数が 1⼈〜3⼈:10万円(7.5万円)
4⼈〜6⼈:20万円(15万円)
7⼈〜10人:30万円(20万円)
11⼈〜100人:1人当たり3万円(2万円)
(2)一部の有期契約労働者等の賃⾦規定等を2%以上増額改定した場合
対象労働者数が 1⼈〜3⼈:5万円(3.5万円)
4⼈〜6⼈:10万円(7.5万円)
7⼈〜10人:15万円(10万円)
11⼈〜100人:1人当たり1.5万円(1万円)
<1年度1事業所当たり100人まで、申請回数は1年度1回のみ>
※ 中小企業において3%以上増額改定した場合に助成額を(1)は 1人当たり14,250円<18,000円>、(2)は 1人当たり7,600円<9,600円>加算。(<>内は生産性要件を満たした場合の加算額)
※ 上記において、職務評価の手法の活用により賃⾦規定等を増額改定した場合に1事業所当たり20万円(15万円)を加算
■主な支給要件
・有期契約労働者等に適用される賃金規定や賃金一覧表など、賃金額の定めを作成している事業主であること
・増額改定前の賃金規定等を、3か月以上運用していた事業主であること(新たに賃金規定等を整備す る場合は、整備前の3か月分の有期契約労働者等の賃金支払状況が確認できる事業主であること)
・増額改定後の賃金規定等を、6か月以上運用している事業主であること
・対象の労働者が、賃金規定等を増額改定した日以降の期間について、支給対象事業主の事業所において、雇用保険被保険者であること
・対象の労働者が、賃金規定等の増額改定を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外のものであること
■申請の流れ
1 キャリアアップ計画の作成・提出(賃⾦規定等を増額改定する⽇までに提出)
2 賃⾦規定等の増額改定の実施
3 増額改定後の賃⾦に基づき6か⽉分の賃⾦を⽀給・⽀給申請(増額改定後6か⽉分の賃⾦を⽀給した日の翌日から起算して2か月以内に支給申請)
主な必要書類は以下の通りです。
・管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書
・賃金規定等が規定されている労働協約または就業規則
・増額改定前および増額改定後の賃金規定等(新たに賃金規定等を整備する場合は、増額改定前の賃金規定等は除く。)
・対象労働者の増額改定前及び増額改定後の雇用契約書等
・対象労働者の賃金台帳等
・対象労働者の出勤簿等
3 処遇改善コース―②共通処遇推進制度(a)健康診断制度
■概要
有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、 延べ4人以上実施した場合に助成されます。
■支給額
1事業所当たり 40万円(30万円) <1事業所当たり1回のみ>
■主な支給要件
・キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ期間中に、事業主に実施が義務付けられていない有期契約労働者等を対象とする(1)雇入時健康診断制度もしくは(2)定期健康診断制度または有期契約労働者等を対象とする(3)人間ドック制度(以下「健康診断制度」という)を労働協約または就業規則に規定した事業主であること
・上記制度に基づき、雇用する有期契約労働者等延べ4人以上に実施した事業主であること
・支給申請日において当該健康診断制度を継続して運用している事業主であること
・当該雇入時健康診断制度または定期健康診断制度を規定した場合については、対象労働者に実施した当該雇入または定期健康診断の費用の全額を負担することを労働協約または就業規則に規定し、実際に費用の全額を負担した事業主であること
・当該人間ドック制度を規定した場合については、対象労働者に実施した当該人間ドック制度の費用の半額以上を負担することを労働協約または就業規則に規定し、実際に費用の半額以上を負担した事業主であること
・対象の労働者が、支給対象事業主に雇用されている有期契約労働者等であること
・対象の労働者が、雇入時健康診断もしくは定期健康診断または人間ドックを受診する日に、支給対象事業主の 事業所において、雇用保険被保険者であること
・対象の労働者が、健康診断制度を新たに設け実施した事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること
■申請の流れ
1 キャリアアップ計画の作成・提出(健康診断制度を規定する⽇までに提出)
2 就業規則または労働協約に健康診断制度を規定
3 健康診断等をのべ4人以上に実施
4 支給申請(4人以上に実施した日の翌日※から起算して2か月以内に支給申請)
主な必要書類は以下の通りです。
・管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書
・健康診断制度が規定されている労働協約または就業規則および健康診断制度が規定される前の労働協約または就業規則
・対象労働者が健康診断を実施したことおよび実施日が確認できる書類(実施機関の領収書や健康診断結果表等)
・対象労働者の雇用契約書等
・対象労働者の賃金台帳等(対象労働者の健康診断実施日を含む月分)
・対象労働者の出勤簿等(対象労働者の健康診断実施日を含む月分)
・中小企業事業主である場合、中小企業事業主であることを確認できる書類
3 処遇改善コース―②共通処遇推進制度(b)賃金規定等共通化
■概要
労働協約又は就業規則の定めるところにより、その雇用する有期契約労働者 等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作 成し、適用した場合に助成されます。
■支給額※( )内は大企業の額
1事業所当たり 60万円(45万円) <1事業所当たり1回のみ>
■主な支給要件
・キャリアアップ計画書に記載されたキャリアアップ期間中に、労働協約又は就業規則の定めるところにより、その雇用する有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに設け、賃金規定等の区分に対応した基本給等の賃金等の待遇を定めている事業主であること
・正規雇用労働者に係る賃金規定等を、新たに作成する有期契約労働者等の賃金規定等と同時又はそれ以前に導入している事業主であること
・当該賃金規定等の区分を有期契約労働者等と正規雇用労働者についてそれぞれ3区分以上設け、かつ、有期契約労働者等と正規雇用労働者の同一の区分を2区分以上設け適用している事業主であること
・上記の同一区分における、有期契約労働者等の基本給など職務の内容に密接に関連して支払われる賃金の時間当たりの額を、正規雇用労働者と同等とする事業主であること
・当該賃金規定等が適用されるための合理的な条件を労働協約又は就業規則に明示した事業主であること
・当該賃金規定等をすべての有期契約労働者等と正規雇用労働者に適用させた事業主であること
・当該賃金規定等を6か月以上運用している事業主であること
・当該賃金規定等の適用を受けるすべての有期契約労働者等と正規雇用労働者について、適用前と比べて基本給等を減額していない事業主であること
・労働協約または就業規則の定めるところにより、賃金に関する規定または賃金テーブル等を適 用した日の前日から起算して3か月以上前の日から適用後6か月以上の期間継続して、支給対 象事業主に雇用されている有期契約労働者等であること
・対象の労働者が、賃金規定等を適用した日以降の期間について、支給対象事業主の事業所において、雇用保険被保険者であること
・対象の労働者が、賃金規定等を新たに作成し、適用した事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること
■申請の流れ
1 キャリアアップ計画の作成・提出(賃⾦規定等を共通化する⽇までに提出)
2 賃⾦規定等の共通化の実施
3 賃⾦規定等共通化後の賃⾦に基づき6か⽉分の賃⾦を⽀給・⽀給申請(共通化後6か⽉分の賃⾦を⽀給した⽇の翌⽇から起算して2か月以内)
主な必要書類は以下の通りです。
・管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書
・賃金規定等が規定されている労働協約または就業規則および賃金規定等が規定される前の労働協 約または就業規則
・当該適用事業所の有期契約労働者等と正規雇用労働者が賃金規定等の適用を受けていることを 証明する労働者名簿(労働者ごとに賃金規定等の区分を示しているもの。以下「労働者名簿」とい う。)
・対象労働者及び当該賃金規定等の適用を受ける正規雇用労働者のうち各区分1人の適用前及び 適用後の雇用契約書等
・対象労働者及び当該賃金規定等の適用を受ける正規雇用労働者のうち各区分1人の賃金台帳等
・対象労働者及び当該賃金規定等の適用を受ける正規雇用労働者のうち各区分1人の出勤簿等
3 処遇改善コース―③短時間労働者の労働時間延長
■概要
雇用する有期契約労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長 または処遇改善コース(賃金規定等改定)と併せて労働者の手取り収入が減 少しないように週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長し、新たに社会 保険に適用した場合に助成されます。
■支給額
(1)短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延⻑し新たに社会保険に 適用した場合 1人当たり20万円(15万円)
(2)処遇改善コース(賃⾦規定等改定)と併せて労働者の⼿取り収⼊が減少 しないように週所定労働時間を延⻑し、新たに社会保険に適用した場合
1時間以上2時間未満:1人当たり4万円(3万円)
2時間以上3時間未満:1人当たり8万円(6万円)
3時間以上4時間未満:1人当たり12万円(9万円)
4時間以上5時間未満:1人当たり16万円(12万円)
<(1)と(2)合わせて1年度1事業所当たり15人まで>
※ 平成32年3⽉31日までの間、上限人数を緩和されています
※(1)については平成32年3⽉31日までの間、支給額が増額されています
■主な支給要件
・雇用する有期契約労働者等について、週所定労働時間を5時間以上延長※1または処遇改善(賃金規定等改定)と併せて労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を1時間以上5時間未満延長し、新たに社会保険に適用した事業主であること
・週所定労働時間を延長した労働者を延長後6か月以上の期間継続して雇用し、当該労働者に対して延長後の処遇適用後6か月分の賃金を支給した事業主であること
・週所定労働時間を延長した日以降の期間について、当該労働者を雇用保険および社会保険の被保険者として適用させている事業主であること
・週所定労働時間を延長した際に、週所定労働時間及び社会保険加入状況を明確にした雇用契約書等を作成および交付している事業主であること
・対象の労働者が、週所定労働時間を延長した日の前日から起算して過去6か月間、社会保険の適用要件を満たして いなかった者であること
・対象の労働者が、週所定労働時間の延長を行った事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者で あること
■申請の流れ
1 キャリアアップ計画の作成・提出
2 週所定労働時間延⻑を実施
3 延⻑後6か⽉分の賃金を支給・支給申請(延⻑後6か⽉分の賃⾦を⽀給した⽇の翌⽇から起算して2か月以内)
主な必要書類は以下の通りです。
(1) 管轄労働局長の確認を受けたキャリアアップ計画書
(2) 対象労働者の週所定労働時間の延長前および延長後の雇用契約書等
(3) 対象労働者の賃金台帳
(4) 対象労働者の出勤簿等(週所定労働時間の延長前6か月分及び延長後6か月分。)
まとめ
ここまで助成金について説明をしてきましたが、ご覧のとおり書類や要件などが多岐に渡るため、初回は大変かもしれません。ただ、必要に応じて社労士の助けなども借りながら一度やり遂げてしまえば、次回以降は同様の手続きでスムースに申請を行えるようになるはずです。ものは試しということで、まずはキャリアアップ計画の策定に、具体的に取り組んでみることをお勧めします。
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