50人の経営者が実践する資金調達9つの心得とは?銀行付き合いが苦手な方も必見
「資金調達にいつも苦労してしまう・・・」
「他の経営者はどうやって融資に漕ぎつけているんだろう?」
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資金調達には、確実にコツが存在します。
今すぐに資金が必要でない場合も、このコラムを読み込むことで資金繰りを向上させることができるでしょう。多くの経営者が実践していることばかりなので、あなたの会社でも取り入れることはできるはずです。
ここから、著者は複数企業のCFOを歴任して起業・独立した経験豊富な人物にバトンタッチします。
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1. はじめに
資金調達と言えば、普通の会社経営者には銀行からカネを借りるという発想で止まっているのが正直なところだ。
しかし極端な話、買掛金の支払いサイトを1ヶ月から6ヶ月にして貰えるとなればどうだろう。
もちろんその間も、売上は入り続ける。入金だけが半年間先行し、買掛金の支払いは6ヶ月の猶予があるのであれば、5ヶ月分の買掛金相当額は自由に使っても何の問題もない。
毎月の買掛金が1000万円あるのであれば、5000万円が自由に使える新たなお金となり、これはとんでもない資金調達の方法ということになるだろう。
売上も利益率も変わらないのに、事業の拡大や運転資金などに新たに5000万円を捻出できるのだから、非常に魅力的な方法だ。
もちろん金利もかからないのだから、その実施には全くと言っていいほどデメリットがない。
実現の可否はともかくとして、まずは「自由になるお金を手元に残す」という発想が資金調達になるという、わかりやすい事例だ。
このように、経営者にとって資金調達とは、実は「自由な意志で使うことができる現金」をどれだけ手元に残しておくか、と言う考え方に尽きると言っても良い。
これをより身近にありえる事例に置き換えてみると、例えば、業績好調で手狭になった本社を移転し新社屋に移る場合。
現金で土地建物を購入し新社屋を新築したら、現金という資産が全く流動性のない固定資産に代わり、この資産は自由意志で全く使うことができないものとなる。
一方で、全額を銀行借り入れで賄えば、「利息」という対価を払うことで手元には、自由度の高い現金を残すことができる。
あるいは、土地のオーナーに上モノを建ててもらい、入居をした上で賃料を支払うというのも、銀行借り入れの変則的なパターンと言っても良いだろう。
土地のオーナーからすれば賃貸収入で土地からキャッシュを生み出すことができ、借り手から見れば、自社の与信ではとてもできない巨額の借り入れを肩代わりしてもらった上で、新社屋の物件を建ててもらうことができることになる。
周辺物件との家賃相場にもよるが、多くの場合双方にとって利益になる水準で話を進めることで、魅力のある取引になることが多い。
ここからさらに一歩踏み込むと、例えばコンビニのFCオーナーという存在。
コンビニ本部から見れば、自社は小売でお金を儲ければいいのだから、土地を取得し上モノを建て、店長をイチから育てるというのはいわば付随業務だ。
というよりも、そもそもそんな巨額の初期投資と手間暇が必要なビジネスモデルを展開していれば、FC網の構築には膨大な時間がかかるだろう。
そこで考え出されたのが、FCオーナーという制度に他ならない。
いろいろな契約形態があるのでここでは一番わかりやすい例を挙げると、FCオーナーに土地も建物も用意してもらい、FC本部は商材を流し人の教育と物流のみを支援するという形だ。
これであれば、FC本部の初期投資は非常に安くつく上に、新たな店舗を一つ、ほぼノーリスクで開設することができる。
これなどは、自社の事業の拡大のために、「他人の財布にまで手を突っ込む」非常に賢い制度だと言えるだろう。
かつてのゴルフ会員権もそうであったが、まだ開業前のゴルフ場の会員権を売りさばくことで初期投資分を調達してゴルフ場を開設し、自社の手元資金は全額、その自由度を確保する。
これとは別に、フローは月々の会費やプレイ料金で落ちるのだから、これもまた資金調達としては、「他人の財布にまで手を突っ込む」方法と言ってよいだろう。
このように「資金調達」とは、ただ単に銀行にお金を借りるというだけの方法では決して無いということだ。
自由度の高い現金を手元に残しながら、誰かにその分のリスクを負ってもらい、そしてその対価を支払うという考え方に尽きる。
そう考えれば、銀行借り入れこそ、もっとも工夫のない資金調達に思えてこないだろうか。
本コラムでは、以下そのような考え方に沿って、実際にはどのような「資金調達」の方法があるのか。
どのように実践していけばいいのか。
筆者の経験から得た知識の解説をしていきたい。
2. 資金調達の前に検討すべき3つのこと
資金調達とは、必ずしも融資を受けるという方法だけではないことは、まずは理解してもらえたと思う。
では、具体的に自由度の高い現金を手元に残すためには、どんな方法があるのか。
その具体例を、私自身の体験などを中心にして、以下お話していく。
2-1. 支払いサイト・入金サイトの工夫
最もわかりやすい方法の一つだろう。リード文でも挙げた、支払いサイトの先延ばしと入金サイトの短縮化だ。
「そんな事を言っても、相手があることなのでそう簡単にできるわけがない」
そう思われるかも知れない。
しかし、これがどれほど有効でなおかつ、経営者の裁量でそれなりに操作ができる方法であるのか。
例えば、格安旅行会社の破綻で世間を騒がせた、「てるみくらぶ」の事例だ。
あの事件では、破綻直前に経営者の女性は、旅行を申し込んできた客に、すぐに現金で入金することで一定の特典をつけることを約束した。
もしくは、すぐに入金しないと予約が埋まるというような販促をしたとも伝えられている。
会社目線で見れば、旅行代金の入金があってもすぐにその全額が、該当する買掛金の支払いに回されるわけではない。
つまり、足元で一気に売上の規模を拡大するとそれだけ入金が先行し、自由になるお金の規模が大きくなるということだ。
あのようなビジネスモデルでは、売上を拡大させ続けることができれば、確実にキャッシュが繋がる。
さらに、クレジットではなく現金で振り込んでもらえればその効果は絶大だ。
但し、一度でも売上がシュリンクすると一気に資金繰りが詰まり始め、自転車操業の脆さが露呈して会社は倒れることになる。
苦肉の策として、目先の資金に回せる現金での売上を立てようとしたが、てるみくらぶの場合では、さすがに限界であった。
この件そのものはもちろん成功例ではないが、自社のビジネスモデルの形態によっては、形だけでも売上を膨らますことができれば、資金繰りが楽になることをわかりやすく示した事例と言って良いだろう。
そして追い詰められた経営者は、間違った形でこの方法に走り、やがて時間の問題で破綻を迎えることになる。
では、このような方法を自社の努力でどのように使うのが、正しいことなのだろうか。
これからお話する例は、私自身が小売業で使った資金繰りを改善した方法なので、BtoBでは中々使うことができないかも知れない方法だ。
とはいえ、エッセンスはきっと何かの役に立つこともあるので参考にして欲しいと思う。
それは、簡単に言えば現金もしくはクレジットカードでの買い物の優遇だ。
当時、私が扱っている商材をECでも流していたのだが、ECサイトは当たった時の爆発力が凄まじい。
それこそ、売掛金と買掛金のサイト調整を間違えたら、黒字倒産にもなりかねない勢いで売上が伸びていくことになる。
その時の状況はこうだ。
買掛金の支払いは、月末締めの翌月末現金払い。
売掛金の入金は、現金はもちろん即日。クレジットカードは月末締めの翌月25日入金。各種電子マネーは月末締めの翌々月10日の支払いであった。
つまり電子マネーでの売上が急増すると、資金ショートする恐れがある、いわばリスキーな入出金サイトを設定していたことになる。
しかしながら、仕入先への支払いは一般に1ヶ月が限度だ。
それ以上の条件交渉はできなくもないが、やはり支払いサイトが長くなると気持ちよく取引をしてくれるというわけには中々行かない。
そのためこのような設定をしていたのだが、果たして危惧が現実となり、電子マネーなどクレジットと現金以外での売上が急増した。
この場合のまっとうな資金手当は、短期の銀行借り入れを起こすことだろう。
入金から支払いまでのタイムラグに相当する10日間を手当するだけの借り入れを立てるのが、一番わかり易いど真ん中の経営者の発想だ。
その次に思いつく方法といえば、売掛金の早期入金である。
一般にクレカや電子マネーなどの運営会社や決済代行会社は、支払いサイトを前倒しで支払うサービスを行っており、それを利用すれば多少の解決策にはなる。
ただ、1ヶ月入金サイトを早めてもらうために必要なコストは、売掛金の数%にもなる。
どう考えても銀行借り入れのほうがコストは安い上に、薄利多売のビジネスモデルであれば利益が吹っ飛びかねない大きなコストだ。
これは採用しづらい。
とは言え、当時の会社はまだ業歴が3年程度であり、つなぎ資金と言えどもまとまった金額を、銀行は貸してくれるような状況ではなかった。
この状況で打った手は、わかりやすく言えばクレカと銀行振込決済での買い物に特典を付けて、電子マネーでの支払いには少し使いにくさを演出したことだった。
もちろん、これら決済手段の常識や利用規定では、決済手段によって消費者から特別のコストを徴収したり、不利益を与えるようなことはしてはいけないルールになっている。
よく「クレジットカードを利用される場合は5%の特別料金を上乗せでいただきます」と堂々と掲示している飲食店などを見かけるが、あれは確実に、クレカの加盟規約に違反していると思われる。
なかなかバレないというだけで、おそらく決済代行元に誰かが電話一本すれば、確実にクレカの決済を止められることになるだろう。
そのため私のケースでも、そんな露骨な方法は使わない。
詳細はお話しづらいところもあるが、例えばそれは、電子マネーを使うためには特別なアンケートに答える。
もしくは利用のためにややこしい事前手続きを設置し、または銀行振込やクレカの決済に魅力的な特典を用意することなどだ。
この方法では、加盟規約に抵触するリスクを大きく下げられる上に、利用者のモティベーションを電子マネーからそらすことができる。
もちろん、電子マネーでの売上が非常に大きな比率を占めていたこともあり売上が逃げるというリスクと隣り合わせなので、そこは慎重に動向を見極めながら行ったが、結果としてほとんど売上への影響はなかった。
逆に、資金に余裕のある会社であれば、このような入金サイトの長い決済手段でも何でも導入してしまい、その利便性を売りにするという経営方針もあるだろう。
そのあたりは、自社の体力と身の丈に応じた施策で、取捨選択すればより効果的だ。
経営方針の切り替えだけでも、ある程度顧客からの入金サイトを調整しキャッシュを繋ぐことができる。
そんな一つの事例として、参考にしてほしい。
2-2. 土地・建物の売却
これもまた、資金繰りに追い詰められた会社がよく採用する手法だ。
これは私自身の事例でお話するよりも、あるいは2015年に勃発した親子でのプロキシファイト(委任状争奪戦)以来、世間を騒がせ続けている大塚家具の事例を挙げたほうがいいかも知れない。
大塚家具では、創業者である大塚勝久氏から経営権を奪取した娘の久美子氏が、2015年から実質的に経営を取り仕切ってきた格好だ。
しかしこの際、1年目こそ「お詫びセール」と銘打って売上を上げることに成功したものの、高級家具のマーケットでは単なる需要の先食いという結果に終わり、翌年以降の売上はもはや危機的となっている。
2015年に580億円であった数字は2018年12月期に370億円までシュリンクし、もはや存続しているのが不思議なほどに、これまでの内部留保の多くを出し尽くしている。
既に監査法人からは、GC(Going Concern:企業の存続)注記が付けられる事態となり、会社の存続そのものが危ぶまれると、広く世間に知れ渡った格好だ。
この事態を迎えた時の、大塚久美子社長の動きは早かった。
さすがにコンサル上がりだけあり、固定資産の流動化(現金化)への着手は非常に早く、この段落のお話である「土地建物を売却し操業を続ける」施策に着手。
なおかつその土地建物とは、大塚家具の創業の地である埼玉県の春日部にある不動産だった。
なおこの際、大塚久美子社長には、それでもまだ甘さがあったのだろう。
実は土地建物を売却したことが報じられたのは2018年12月になってからであり、それまでは同地から自社物件を撤退させた上で、総合スーパーのイトーヨーカドーに跡地を貸し出した上で、賃料収入を得ていた。
しかしそれでは、急激に落ち込む売上の減少に対応しきれなかったのか。
ついに2018年12月、この創業の地を、インターネット通販会社に売却し、完全に撤退したことを発表している。
最初は同地から撤退したものの、不動産を現金化することなく、自社の不動産からフローを生み出す施策に着手。
そして、それでは間に合わない程に経営が悪化したので、不動産を完全に現金化するという、いわば「戦力の逐次投入」を行ったわけだ。
しかし、何事も追い詰められてからの施策は足元を見られることになってしまう。
余裕のある時に余裕のある意識で土地建物の売却交渉に臨めば、数字としてももちろん、数字には表れない有利な条件を引き出せたかも知れない。
しかし、少しずつ戦力を小出しにするこのような撤退は、戦略のもっともタブーとするところとなる。
足元を見られた交渉は、必ずしも満足のいく条件ではない交渉になったのではないかと、コンサル上がりらしからぬ悪手には、やや残念な思いが残る。
ちなみに「戦力の逐次投入」とは、軍事用語でもあり、転じて経営政策でも広くその重要性を説く著作が多いので少し触れておきたい。
例えば10000人の敵に対し、100人ずつの自軍を100回に分けて派遣し、戦わせた場合。
結果はどうなるとお思いだろうか。
数字の上では10000対10000なのでいい勝負になるだろうか。もちろんそんなことはなく、10000人を相手に戦うことを余儀なくされた100人は相手にひっかき傷すら付けられずに全滅。
それを100回繰り返したところで、自軍は無駄に戦力をすり潰すだけの結果に終わる可能性が高い、戦略上の禁忌とされる考え方だ。
一度「必ずやる」と決めれば、その目的に対して可能な限りの経営資源を一気に、大量に投入しなければならない。
一番の悪手は、中途半端な経営資源のチョロチョロとした投入であることは、先の事例のとおりだ。
そしてそれでは火を消すことができなかったとして、いよいよ土地建物の売却を進めても、大きな効果は望めないだろう。
むしろ最初から、そこまで踏み込んでいればまだ経営に余裕があるときでもあり、また経営者の強い意志を示すことにも繋がり、非常に効果的であったはずだ。
そういった意味では、やはり非常に残念な悪手であったと言ってよいのではないだろうか。
話をもとに戻す。
同じような話で、私が経験した不動産の現金化では、まず創業の地、本社物件を潔く売りさばいて現金化した。
ある製造業で、CFOをしていた時の話だ。
しかしそれでも、一時金の入金はキャッシュフローの改善には役に立たない。
そのため経営状態が非常に悪い状況は続き、いよいよ残されたのは、今現在、操業をしている工場のみであった。
他に保有している工場は、土地建物ともに賃貸で運営をしていたものなので、もはや現金化できる不動産はここしか残されていない。
そしてその際に、私が着手し様々な取引先を通じてオファーしたのが、土地建物を売却し、そのまま操業を続けさせて貰うというものであった。
つまり、元々は自社物件ではあるが、後付で賃貸にしようという考え方だ。
こうすれば、毎月の家賃はもちろん発生するものの、少なくとも目先、まとまった現金が手に入り、しかも操業を続けることもできる。
B/S上に載っているだけに過ぎない資産を現金に変えて、会社の運営に貢献させる非常に有効な手段だ。
「そんな資産にお金を出すスポンサーが本当にいるのか?」
と疑問に思われるかも知れない。
もちろん、一義的にはそうだろうが、後は条件交渉次第だ。
例えば、こんな条件をつけてみたらどうだろう。
・賃貸契約や賃料は1年毎で更新。つまり1年後の賃料交渉が不調に終われば、賃貸契約を解除して土地建物を売却することも可能。
・その際、借り主である自社は一切の文句を言わない
・賃料は、周辺相場の1.5倍
・土地建物の売却額は市価の8割程度
これであれば、おそらく多くのスポンサー候補が名乗りを上げると思わないだろうか。
もちろん実際には、ここまで大盤振る舞いをする必要はない。
この例えの要諦は、操業を続けながらの土地建物であっても、条件次第では現金に変えることそのものは難しくないということだ。
長い目で見れば非常に厳しい条件であっても、1年後を生きていられるか定かではない製造業では、非常に有効な施策の一つと言ってよいだろう。
私自身はこの施策で、最終的には土地建物を現金化する交渉は不調に終わったが、しかし瓢箪から駒とはこういう事を言うのだろう。
交渉相手が別に保有していた、より立地や条件の良い物件に本社を移転し、その代りにその時の交渉物件をきれいに売却することができた。
結果として不動産をきれいに現金化し、目的を達成することができたが、何事も結果オーライだ。
資金繰りに困るような事態に陥ったときには、保有する不動産をなるべく早く、余裕のあるうちに現金化して自由度の高い資産に変えてしまうこと。
これもまた、銀行借り入れによらない有効な、資金繰りの方法の一つだ。
2-3. 債権の売却
オーソドックスではあるが、余りお勧めしない方法の一つには、債権の売却という方法もある。
わかりやすく言えば、自社が保有する売掛債権をファクタリングと呼ばれる事業を専業で行う会社に買い取ってもらうというという方法で、期日よりも早く債権を現金化する方法だ。
言うまでもなく、債権の種類と相手にもよるが、額面は相当目減りする。
特に、取引先企業の承諾を得ないで譲渡された債権の場合には、一般に10%から、最大で30%程度も額面から割り引かれることもある、非常に厳しい資金繰りの最終手段だ。
関連記事:【最新版】ファクタリングとは?ファクタリングの意味と売掛金買取で資金調達に成功する10の法則!
正直、ここまでの方法を採用するのであれば頭を下げて、値下げを申し出た上で、取引先に、入金サイトの前倒しをお願いした方が割がいいかも知れない。
ただ一応、ロジックだけをお話しておくと、自社が保有する売掛債権をどうしても期日前に回収し現金化し、運転資金に充てたい場合。
債権の存在を明確に証明できる書類を添えて査定を受け、債権の譲渡と引き換えに、額面からリスクに応じた割引分を差し引いた現金を受け取るものとなる。
とは言え、10%の場合で1000万円の債権は900万円に。
30%の場合には700万円まで目減りする極めて厳しい条件であることが多く、どう考えても利益を食い潰す。
ここまでしなければ資金が切れるような会社に、利益率が10~30%もあるわけがないことを考えると、ある意味で最後の最後の手段とも言えるだろう。
私はこの手法を、取引先病院のレセプト(診療報酬)を担保にとり、その上でこのレセプトをファクタリングして現金に換えたことがあるが、確かそれでも、数%では済まない額面の目減りがあったように記憶している。
古い話なのでやや記憶は曖昧だが、レセプトのような信頼性の高い債権でも、利益を食いつぶすような手数料と引き換えに、現金に換えるのが現実だった。
やや細かい話をすると、債務者である会社等法人の同意を得た上でのファクタリングであれば、一般に割引額は5%程度にはなるが、それでも年利換算すれば銀行借り入れはもちろん、商工ローンの金利ですら、その比ではないほどのコストになる。
ではなぜ、こんな高額のコストがかかる資金調達を、経営者は選ばざるを得ないのか。
あるいは好き好んで選ぶのか。
いくつかあるが、1つには、それだけ目先の資金に行き詰まっているからだ。
但し、ここまで追い詰められている会社であれば、もはやこのコラムを読んだところでなにかの解決にはならないだろう。
近い将来に資金ショートを迎えることは避けられず、お疲れ様でしたとしか言いようがない。
ここで筆者がお役に立てることは、なにもない。
別の要因としては、取引先の信用不安だ。
もはや時間の問題として取引先が飛ぶ可能性が高く、なんとかしてその何割かでも現金化しておきたいと考えている場合。
この場合にファクタリング会社をなるべく早く利用することは、ある意味で賢明だ。
結果としてその会社が生き長らえた場合、あるいは義理人情もない冷たい取引先としてその後の冷遇は避けられないかも知れない。
しかしながら、なるべく多くの回収額を担保するためのコストと考えれば、決して経営者として間違った判断ではない。
そもそも、一度経営危機に陥った会社がV字回復する可能性は、テレビドラマの世界ではない現実社会では、極めてレアなことは言うまでもないだろう。
リスクを折り込み、早期に現金化することは合理的な判断だ。
但しこの場合、割引率もハンパではない数字になることは間違いない。
さらにいうと、翌月以降の取引を直ちに切る必要があり、これもまたイレギュラーな債権の現金化の手段ではある。
使い方が難しい手法ではあるが、一応知っておいても良い資金繰りの手段だ。
この方法で唯一、健全な会社が健全な取引先の債権を対象に使うことがあるとすれば、それは支払いサイトの不均衡の是正を目的とした場合となる。
先の事例でも触れたが、例えば一般的な支払いサイトよりも長い受け取りサイトが設定されている債権の場合。
私の場合、ECサイトの運営で電子マネーの売上の受け取りが、月末締めの翌々月10日の支払いという長期であった経験を先にお話した。
この際に、支払いサイトは月末締めの翌月末支払いであったために、10日間のキャッシュ不足が体質として避けられなかったが、このような場合には、まだギリギリ、ファクタリングを利用する価値は合理的判断と言えるのではないだろうか。
但しこのような場合、多くの決済代行会社では一定の手数料と引き換えに、早期振込サービスを実施しているのでそちらを利用するのが一般的だ。
手数料も、自社の債務が対象なので当然のことながら、ファクタリングと違い桁違いに安い。
健全な状態で生じた健全な債権であれば、まずはなるべくコストを抑えることを考えた上で、利用を検討するべき最終手段と言っても良いだろう。
その上で、自社の経営状態が思わしくないということを原因として債権を現金化する可能性を考えざるを得ない場合。
このような方法を採用するのであれば、できればなるべく早くに手をうち、取引先に取引条件の変更を申し入れる方が、傷は浅くて済む可能性が高い。
例えばそれは、取引単価の切り下げを条件に、受け取り条件を早めてもらうなどの交渉だ。
もちろん相手は、そこまで追い詰められているのかと取引の縮小を含めて、警戒をするかも知れない。
しかし早い段階であれば、そこまで切羽詰った交渉をする必要もなく、余裕のある態度と交渉姿勢で条件の交換をできるはずだ。
「少し厳しいんですよ~」
と言いながら、僅かな値下げ条件と共に受け取りサイトの短縮を求めれば、相手はそこまで警戒しないかも知れない。
しかし、10%の割引を条件に受け取りサイトの短縮を申し出れば、間違いなく相手は警戒し、下手したら取引が打ち切られることも覚悟する必要があるだろう。
そしてその危機感は他の仕入先にも伝播し、最悪の場合、支払いサイトの短縮まで求められることになるかも知れない。
債権の売却という手段は、中々に有効な活用は難しい。
しかしながら、背に腹は代えられない局面での知識として覚えておく価値があると言って良い、自由度の高い資金を得るための手段だ。
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3. 銀行における資金調達の3つのテクニック
さて前段では、自社の努力だけで実施可能か、あるいは顧客や取引先から比較的協力を得やすい方法についてお話をした。
続いてこの段落では、主に銀行にも協力要請をしながら単純な融資ではない資金調達、すなわちキャッシュを流出させない、手元資金の自由度を維持する方法について、具体的に解説していきたい。
3-1. 土地と建物を狙ったM&A
今からお話する手法は、一見トリッキーだが、しかしとても有効な資金調達の手段であると言っていいだろう。
私自身、売上高3億円程度、経常利益では1千万円レベルの赤字を出しているベンチャー企業のCFOであった時に、3億円の新社屋用地の取得費用を、銀行から調達することに成功した。
この方法は、ぜひ意欲のある多くの会社経営者に活用してほしいロジックだ。
その方法とは、M&Aを絡ませた融資の取り付けだ。やや単調になるが、まずは詳細な解説をしていきたい。
あるベンチャー企業のCFOをしている時、私は経営トップから、
「製造の引き合いが急増しており、本社屋が手狭になってきた。できれば製造拠点の新社屋を調達したいのだが、銀行はそこまでまとまった金を貸してくれないだろう。何か方法はないか。」
という相談を受けた。
しかしながら、決算は大幅な赤字を計上した直後だ。
さらにベンチャー企業の常で、第三者割当増資で調達した資金は先行投資でどんどん出ていくばかり。
1億円程度の手元資金は残っているものの、それを流動性の無い不動産に置き換えることを望む株主などまずありえない。
つまり、手元流動性は維持したままで、新たな製造拠点を確保する必要があるということだ。
そのためには、銀行借り入れくらいしか、通常であれば思いつかないだろう。
しかし私には、幸い証券会社時代から、M&Aに関する多くのノウハウが蓄積されていた。
そして銀行は、どれだけ貸出しが厳しい状況にあっても、融資額に見合う土地と建物、すなわち担保があるのであれば、最初から話を聞かないということはない。
この状況で思いついた打開策は、
・そのままで製造拠点として援用可能な、手頃な売り物件(会社)はないだろうか
・その会社の買収価額と土地、建物の評価額がニアリーであれば、それを担保にお金を借りられるのではないか
・事業そのものは赤字でもいい。製造拠点になり得る、事業承継を希望している会社はきっとあるはずだ
というものだった。
余り意識していない人にはよくわからない話かも知れないが、実は2000年代に入ってから2018年12月の執筆時点でも、空前のスモールM&Aブームが続いている。
スモールM&Aとは、主にディール(取引)額が1億円以下の小規模なM&Aのことだ。
団塊の世代と呼ばれる、終戦から1950年頃までに生まれた経営者が60~70代以上になり、そろそろ引退を、と考え始めた頃から、町工場などを中心にした小規模な売り物件がマーケットに溢れ出した。
そして売り手というニーズがある以上、それを仲介する事業者も次々に誕生してくるのが世の常だ。
このようにして今も、売上高1億円にも満たない小規模事業者から、売上高10億円程度までのちょっとした町工場までもが、後継者不足から身売りを希望し、意欲ある経営者に後を継いで欲しいと希望している。
私が目を付けたのはこのマーケットであり、後継者不足で体調面などもあり、すぐにでも後継者が欲しいと思っている小規模事業経営者は、売却しようとする事業に余り法外な自己評価をつけることはない。
さらに、少しでも赤字が出ているような体質であれば、B/S(バランスシート:貸借対照表)上に記載のある名目資産見合いの対価でも、会社を引き取ってもらえればいいと思っている経営者も少なくないのが実情だ。
実際問題、工業用地にある土地は、よほどの条件がない限りは額面通りの売却は難しく、実勢価格とされる価額での売却すらも難しい。
上モノとなれば、古ければ古いほど、更地にする費用が負担になるために、評価減として扱われるのが一般的なルールだ。
つまり、手頃な製造業の会社を簿価か、交渉によっては簿価以下で買収することは十分に可能である、ということである。
簡単に言っているが、これは革命的に使えると言っても良い方法だ。
自社の業績が好調で、新たな製造拠点が欲しいと思った場合。
通常であれば、土地や建物を一から取得し、さらに備品や設備を整え、操業できる体制を整えなければならない。
更に言うと、新築の工場などは通常トラブル続きであり、新たな投資や想定外の事態が次々に発生するものだ。
しかし、既に長年に渡り稼働している工場であれば、今存在している分、取得してからのラインの組み換え、必要になる改修費用などは非常に想定しやすい。
更に今現在、既に現業で稼働している人材がいるので、新たな募集をかけてイチから育てる必要もない。
なおこの場合、自社とは完全に同じ製造業である必要など、全く無い。
極論すれば、油まみれになって工具を持ち、夏は熱く冬は寒い工場で働くことを「当たり前」と思ってくれている人材がいるだけでも、非常に大きな資産だ。
そしてこれら町工場を買収するに際しては、簿価かそれ以下の対価で会社ごと取得できる可能性がある上に、これら人材までついてくるのである。
自社の業績が好調で新たな新社屋を取得しようと考えた場合、このような事実を積極的に活用しない手はないだろう。
ぜひ、検討してほしい。
更に大きいのは、これら案件を買収するに際しては、銀行もいい顔をする可能性が高いということだ。
実はこれら事業承継絡みのM&Aでは、多くの地方銀行が積極的に、その引受先を探しているという事実をご存知だろうか。
銀行からすれば、せっかくの優良な取引先が、ただ単に経営者が年をとったという理由だけで、廃業になろうとしているのである。
できれば優秀な経営者に後を継いでもらい、これまで通り優良な顧客でいて欲しいと願うのが常だ。
そして一部では、スモールM&Aを積極的に推奨し、その資金援助も行っている地方銀行も存在している。
私がスモールM&Aで製造拠点を獲得したのも、実はメインバンクの地方銀行からの斡旋であった。
そしてこのような場合、地方銀行は買い手である自社、売り手である相手先双方の経営状態、経営者の能力、その資産価値も知り尽くしている。
そのため、M&Aを斡旋している時点で、実は必要な資金を貸し出す意志も非常に旺盛であると言うことだ。
なぜなら、銀行の立場からすれば、買い手に対して融資した金額はそのまま、売り手経営者の個人口座に入金されるのである。
そして銀行はそのお金を預かり、資産運用などで収益を上げることができる。
もちろん融資先である当社からも、収益を上げることができる。
さらに、このままでは消滅する運命だった優良な取引先も生き残るのだから、これ以上はない最高の施策だろう。
このようにして、新たな製造拠点を得ようと計画した工場の新規投資は、手元資金を一切使うことなく、全額を銀行借り入れで賄うことができた。
さらに、その買収額はほぼ、簿価とニアリーであり、土地建物の実勢価格を考えると、1億円近い含み益すら計上するオマケまでついてくる事になった。
そして、工場取得後の生産体制の移行は極めてスムーズに進み、正直に言うとその会社が元から営んでいた事業はあまり儲からないビジネスモデルであったために全て取引を打ち切り、完全に自社の製造拠点として衣替えした。
引き合いの増加などで、新たに生産拠点が必要になった場合。
特に考えもせずに、手元の大事な現金を不動産に代えてしまい、身動きが取りづらくなる経営判断をしているということはないだろうか。
ぜひ、手元資金の流動性を残したままで、より有効な資金調達と生産拠点の確保を得る方法はないか。
そんな発想で考えた上で、ここでご紹介したような考え方も、応用をしてもらえたらきっと役に立つはずだ。
関連記事:M&Aとは?企業合併・買収成功のために必要な10のポイント
3-2. リースの活用
これは、知っているか知らないか、ということだけの話なので、さっと流してしまいたい。
リースという方法を用いて現金を残し、手元の流動性を確保するという資金調達の考え方だ。
製造業や、固定資産を多く保有するビジネスモデルを営んでいる経営者の場合、無理に現金を投資し、あるいは銀行借り入ればかりを増やし続けているということはないだろうか。
一般に、換金性の高い資産を多く保有し、あるいは調達する場合は、銀行借り入れの利息よりもリースの利率のほうが、諸条件を考慮に入れると有利になる場合がある。
もちろん、手元の現金を一切使う必要はない。
なおリース契約とは、自社が必要な動産をリース会社に調達してもらい、その動産のリースを受けることで、毎月の賃料を支払おうとするものだ。
一般にはカーリースなどのように、需要の多い動産で商品化されている事が多い手法だが、メインバンクなどに相談すると、系列のリース会社の紹介を受けられることがある。
そして車だけに限らず、自社が調達しようとする動産を審査した上で、所定の利率で交渉の末に、リース契約を結ぶことになる。
このリース契約の便利なところは、銀行借り入れではまともに借りることができなくても、リースであれば調達が可能になるというケースも有るところだ。
なぜならリースの場合、リース会社は最初から、貸付の担保となる動産を自社で抑えていることになる。
万が一、貸付先の会社が飛んだとしても、流動性の高い資産であればはじめから、どの程度の回収金額が見込めるかの計算が立つ。
そのため、リスクを限定してお金の貸付ができるということだ。
借り手からしても、銀行からお金を借りて動産を調達し、銀行に借入金を返済するのも、リース会社が調達した動産に賃料を払い続けるのも、大した違いはない。
なおかつ、与信不足でもリースであれば通ることもあり、また動産の種類によっては、銀行借り入れよりも総合的にみて、有利なコスト負担になることもあるので、ぜひ知っておいて欲しい資金調達の方法だ。
私の場合、自社以外ではまず使うことはない、カスタマイズされた1台50万円ほどもする食事の運搬カートで、60台分、3000万円ほどのリースを受けたことがあるが、それでも確か、リースの利率は2%にもならなかったと記憶している。
但し、一般にリースで表記される利率と銀行借り入れの際に示される貸出金利は見方が異なるので、表向きの金利だけを見比べても調達コストの比較にはならない。
細かいことではあるが、この点は注意してほしい。
ここで覚えておいて欲しいことは、「自由度の高いお金を手元に残す」ことこそ資金調達である、という考え方に基づいて、できる限り現預金を手元に残し、そのためのコストを負担するという考え方の実践例だ。
そのため、リースによる動産の調達は、まとまった一時金の支出を避ける上で必要なコストと割り切り、ぜひ選択肢の中に入れて覚えておくと良いだろう。
そしてそれは、カーリースのような一般的な動産だけでなく、自社でしか使わないような特殊な動産でも、条件さえ揃えば利用できるという事実である。
もし手元資金が心細く、銀行借り入れもままならない状態で設備投資のニーズが有るのであれば、リース会社に連絡を取る価値があると考えて欲しい。
3-3. 当座貸越とコミットメントライン
この方法は正直、非常にハードルが高い。
与信の低い会社が簡単に得られるものではない資金調達の手段ではあるが、その一方で、これを得ることができれば非常に便利な、会社経営のツールになるという方法だ。
そのため、目先のテクニックとしてとして考えるのではなく、いずれ自社の与信が高まった時などに銀行に要求し、設定をしてもらうというポジションで意識しておいてほしい。
一応最初に、辞書的な説明からしておきたい。
コミットメントラインとは、銀行から予め設定された、「引き出し自由」の借入枠のことだ。
会社からすれば、突発的な事由でいつ何時、不測の現金が必要になるかわからない。
しかし突発的な事態が発生してから銀行にお金を貸してくれと申し込んだところで、銀行はそう簡単にお金の貸し出しに応じられないのが、当然だが運営の本当のところだ。
そもそも銀行は、プロパー融資(自行のリスクでお金を貸し出すこと)で与信の低い中小企業にお金を貸し出すことなど、ほとんどない。
大体の場合、信用保証協会の枠内で、いわば代行して貸し出しているに過ぎないのが融資の実態となる。
そのためお金が足りなくなったからと言って今すぐ貸せと言われても、銀行としても対応する手段がないのが本当のところだ。
そのような事態に備えて、予め与信枠を設定してもらい、「この額までであれば、いつでも貸しますよ」という与信枠を銀行に設定してもらうのが、コミットメントラインだ。
この与信枠を与えてもらうと、例えば2000万円の設定を受けられた場合。
いつでも2000万円のキャッシュが手元にあると想定して経営ができるにもかかわらず、2000万円分の金利を負担する必要がない。
何かがあった時に500万円を借りたら、その500万円分の金利負担をする必要があるだけだ。
特筆するようなコストもなく、非常に便利でぜひ設定してもらいたい与信枠である。
もちろんこれだけの、フリーハンドの与信枠なので、その設定にはそれなりの信用が必要になる。
関連記事:銀行融資枠(コミットメントライン)とは?追加融資を受ける5つのコツ!
一方でなぜ、銀行はそんな枠を設定することができるのか。
絶対に倒れないような会社にしか、そんな枠は設定されないのではないか、という懸念があるかも知れないが、案外そういうものでもない。
例えば身近な例でいうと、クレジットカード。
銀行などでクレジットカードを作ると、キャッシング枠を大きく取るように勧誘されることはないだろうか。
リボ払いという悪魔のような借金も、執拗に勧められた経験を持つ人も多いだろう。
これも、一種の突発的な事態に備えた「コミットメントライン」だ。
銀行やクレカの運営会社は、それほど与信がない消費者にでも結構大胆に、このような枠を設定してくる。
それは、自社なりの回収ノウハウを持ち合わせているからであり、この資産状況の顧客からは、どれだけ間違ってもこの程度は回収できるだろうという経験値を積み上げているために、引出自由な与信枠の設定が可能になるという理屈だ。
企業の場合でも、預貯金はもちろん、毎月の売掛金や保有する動産・不動産から考えて、一定の回収が可能である顧客にしか、この枠は設定されない。
「突発的な事態に備えた」与信枠と言うと、いかにも経営が下手な経営者向けのサービスにも思えるが、案外この枠は使える。
それは後述するとして、その設定自体はそれほど不思議なものではなく、世の中にありふれたサービスの延長にあるというお話であると理解して欲しい。
なお余談だが、このコミットメントライン。
経営不振に苦しむ大塚家具もかつて、複数の銀行から総額50億円にのぼるコミットメントラインを設定されていたようだが、2018年10月までにその全てが解約になったと報じられている。[1]
当然のことだが、この与信は一度得たからと言って永遠のものではない。
これほどまでに、資金の引き際というのは逃げ足が速いので併せて注意してほしい。
似たような制度で、当座貸越の話もしておきたい。
当座貸越も、基本的にはコミットメントラインと同じ構図だ。
当座預金の残高を上回る決済を、予め定められた枠内で銀行が自動的に実行してくれる。
この設定を実際に使う事があるのは、主に中小企業だろう。
私自身、売上高が3億円程度の製造業ベンチャーでCFOをしている時に、地方の信用金庫から2000万円の枠を受けた事がある。
但しその審査は一般に極めて厳格であり、なおかつある程度の信頼性の高い取引先に売掛金を持っている場合などに限られる。
本来の使用使徒が、一時的な売上の増加などに対応するための運転資金の手当なので、当然といえば当然だろう。
だがこの当座貸越も、実際に貸付を受けた分だけしか利息がかからないので、非常に便利な安心材料を得る一つの方法だ。
実際に手元にお金があるわけではないが、あるかのように使うことができる「当座貸越」「コミットメントライン」という制度。
手元流動性を向上させる上では、ギリギリまで現預金を使うことができる手段として、覚えておいて欲しい。
[1]引用:東京商工リサーチ
4. 他にも検討すべき資金調達の方法3点
ここまでの2つの章では、ややマイナーな、時によってはトリッキーな資金調達のお話を中心に進めてきた。
それでもやはり、まとまったお金を調達するには王道である資金調達、すなわち銀行借り入れの基本も抑えておく必要があるだろう。
また、株式を新規に発行し投資家や取引先などに引き取ってもらう第三者割当増資という方法も、知っておいて損はない。
そのためこの章では、銀行借り入れをスムーズに実現する心構えと普段からの備え、また第三者割当増資の現実と実施方法についてお話していきたい。
そしていよいよ万策尽きたら、リスケという逃げ方もありますよ、と言う逃げ方についても解説をしていきたい。
4-1. 銀行借り入れの成功率アップに有効なこと
資金調達の王道は、やはり銀行借り入れだ。
手元に自由度の高い資金を残しながら、投資や調達を実行したいのであれば、やはり銀行借り入れの実行が一番わかり易い。
とはいえお金を借りるための書類の書き方や、創業間もない会社からある程度の規模に至った会社における融資のコツや進め方を話していけば、さすがにキリがない。
そのため、想定としては主に年商数億円以下のスタートアップから、10億円程度までの規模の会社を想定した話をしておきたい。
関連記事:【経営者必見】信頼できる銀行の選び方!融資を断られない6つの心得
いきなりの余談で恐縮だが、私は会社を創業した頃に、近くの散髪屋のおっちゃんとこんな会話をしたことがある。
「会社起こしたんですけど、国金(日本政策金融公庫)の創業者融資、問答無用で落とされちゃいましたよ。」
「え?あんな融資で落とされる人がいるってホンマか?あんなもん適当に書いたら通るやろ。俺、この店出すのに300万円、ほぼ無審査で通ったで?」
そしてその散髪屋のおっちゃんは、経営とはどれだけ計画が大事か。
銀行は経営計画をしっかり見ているから、そこをちゃんと書かなかったのが敗因ではないのか。
そんなことを分析して熱っぽく語ってくれた。
しかし当時、私は事業規模で年商50億円程度の会社のCFOを、起業のために退任した直後だ。
事業計画の書き方も、各種財務諸表の作成も、予想ベースであっても完璧に作り込むことくらいわけはない知見を持ち合わせている。
さらに定量的、定性的な観点からその事業でどれだけ成功できる見込みが高いのか。ロジカルに説明する資料を作成し、公的機関のマーケット見通しなどといったエビデンスも添えて、融資を申し込んでいた。
そして実際に、紆余曲折はあったが結果として、予定通り事業を軌道に乗せることもできた。
しかしそれでも、もっともハードルが低いであろう国金の創業者融資ですら、当初は1000万円にも満たない与信を与えてもらうことはできなかった。
では何が本当の敗因だったのか。そして、散髪屋のおっちゃんの勝因は何だったのか。
おっちゃんの勝因から先にお話すると、これは後日知ったことだが、国金には散髪屋を始めとした一部の領域の業種には、その経験者であれば非常に融資が降りやすい別枠の予算があるという事実だ。
そのため、比較的先が読めない、世の中に一般にあるとは言えないサービスの立ち上げに際して借りる融資とは、また別の審査で融資が通っていた。
そして私の融資は、ベンチャー色の強い事業であったので、どれほどしっかり内容を詰めても、一発目はあっさりと却下されてしまったという事実がある。
つまり私の敗因は、簡単だと思い込み、実際は難しい融資を、何の与信すら積んでいない状態で、舐めた意識で申し込んだことそのものであったと言ってよいだろう。
非常に悔しい思いをし、創業からの計画が大きくズレる取り組みを余儀なくされたが、それから約1年。次に申し込んだ2回目の融資の申し入れは、驚くほど簡単に通った。
それこそ無審査とも言えるほどに、書類を出しただけで次の連絡は融資の決定を知らせるものであったほどだ。
ではなぜ、2回目の審査はそんなに簡単に通ったのだろうか。
順を追ってお話していきたい。
企業経営者として全く与信が無かった私は、公的機関の主催するセミナーでまず、信用保証協会の斡旋をもらえる借入枠を狙いに行った。
というのも保証協会融資も国金と同様に、いきなり足を運び融資枠を確保してもらえることなど、あるわけがないからだ。
そのためまずは市町村など、公的機関等が主催する経営者セミナーに参加し、保証協会融資の斡旋を受けられる認定を取ること。
これで最低限の与信を確保した上で、保証協会に融資を申し入れ、数百万円程度の少額の融資の実行を得ることができたこと。
そして保証協会の与信を得た実績を引っ下げて再び国金に足を運んだ結果、簡単に融資を受けることができたというものだ。
この方法は、自分に実行可能なことから少しずつ、小さな与信を雪だるま式に大きくしていく考え方だと言ってよいだろう。
このような経営者の心がけ、考え方というものは非常に大事であり、日々の経営の中でも必ず実践して欲しい。
またこの考え方は、日々の銀行取引でも非常に大きな効果を発揮する。
例えば、売掛金や買掛金の通過は全て、メインバンクのメイン口座を通過させることを心がける、などがその応用の一例だ。
実は銀行はこれだけでも、自社に対して大きな信頼を寄せるきっかけになる。
決算書や各種財務諸表と矛盾のない現金が日々動いているのだから、その数字の裏を取りに行く必要がないからだ。
もちろん、個人の口座やクレカの引き落としも、同じ銀行の同じ支店で口座を開き、全てを可視化しておけばさらに効果的だろう。
まずは銀行とその担当者に対して、自社と自分に対し定量的な判断材料をしっかりと見せてあげること。
それだけでも、いざという時の借り入れは非常にスムーズに進むことが多いという事実を理解すること。
ぜひ、「銀行借り入れに備える」という意味で、実践してほしい基本の、それでいて余り多くの経営者が実行しているとは言えない、知恵の一つだ。
4-2. 究極の資金調達、第三者割当増資
次に、究極の資金調達方法と言ってもよいのが、やはり新株を発行し、それを投資家に引き取ってもらうという方法、すなわち第三者割当増資だろうか。
これは自社のオーナーシップをいわば切り売りしてお金を得るものなので、儲かった時の配当等を出すという考え方は別として、出資してもらったお金を返還する義務は基本的にない。
未上場企業の場合、配当を出すことも稀であり、一般に出資を受けた全額を自社の成長資金や設備投資資金に回すことができる。
その対価として自社のオーナーシップの一部を譲渡する必要があるが、数%程度であれば特段、経営への実質的な影響は無いだろう。
では、そんないい事だらけの第三者割当増資はどのように実行することができるのか。どのようにスキームを組めばいいのか。
残念ながら、そのお話をしていけばそれだけで相当なスペースが必要になるのでここでは詳細は割愛したい。
ただ一つ言えることは、第三者割当増資による資金調達は決して上場企業だけに許されている制度ではなく、大企業だけが採用している手法ではないということだ。
私自身、売上高数億円程度のスタートアップの会社で、5億円ほどの第三者割当増資を実施し、設備投資等の非常に大きな成長資金を得たことがある。
その対価として渡した持株比率は、全部合わせても10%ほどであった。
つまり、時価総額で50億円の価値がある会社であると評価を受けた上で、資金調達を受けることに成功したということだ。
関連記事:【サンプル有】第三者割当増資が成功する!事業計画書の書き方とは?
その具体的な方法については、当サイトの別コラムでも詳細に解説しているので、できればそちらを参照して頂きたく、ここでは割愛する。
いずれにせよ、その手法は決して特別ではないという知識だけを、ここでは手に入れて貰えれば十分だろう。
但し、くれぐれも反社(反社会的勢力)と関わりのある会社や個人を相手にした第三者割当だけは、絶対にしてはならない。
最悪の場合、自社が反社であるとみなされて、銀行取引を始めとしたあらゆる取引が打ち切られ、実質的にビジネスの舞台から退場を命じられることに繋がる。
第三者割当増資は、とても魅力的でデメリットの少ない資金調達の手段ではあるが、一歩間違えたら会社を失うリスクのある手法でもある。
ぜひその実施には、ある程度経験のある公認会計士か、そもそも大手のVC(ベンチャーキャピタル)以外からは投資を受けないという姿勢で、実施に臨むのが無難だ。
4-3. 【最後の手段】リスケとは?
最後にこちらもまた、第三者割当増資とは別の意味での、究極の「資金調達」だ。
繰り返しになるが、このコラムでお話している資金調達とは、手元に自由度の高い現金をなるべく多く残すという考え方について説明している。
そのためには、非常に苦しい借入金の元利返済を止めてしまえ、ということも手段としてはあり得るというものである。
どういうことか。
そもそもリスケとは、リ・スケジュール、つまりスケジュールの巻き直しであり、もっとわかりやすく言うと、銀行借り入れの返済計画を見直して貰うことである。
具体的には、毎月の返済を一定期間、例えば6ヶ月間は利息だけで勘弁してもらい、元本の返済を待ってもらうというものだ。
銀行からすれば、利息の返済だけでもあれば、一応最悪の貸し出し区分は免れることができるので、ギリギリ呑めなくはない提案だ。
もちろん簡単に承諾が得られるものではないが、会社が潰れて元本が全額飛ぶよりは遥かにマシである。
そのため、背に腹は代えられないというギリギリの譲歩ではあるが、逆に言うと会社がいよいよ行き詰まったときには、案外銀行は、元利の返済計画見直しに、応じてくれることが少なくない。
関連記事:リスケジュールで銀行返済をストップさせる5つのコツとメリット・デメリット
もちろんこの方法を採用すると、自社の与信は地に落ちる。
銀行からの新たな借入れを起こすことは相当期間不可能になるが、とはいえリスケを考える段階であれば、もはや地銀や信金ですら、絶対に融資に応じてくれない状況になっているのが通常だ。
であれば、いまさら与信を気にしている場合でもないだろう。
率直に言って、仕入先への支払いを凍結し、あるいは支払いサイトの延期を要求するほうが、そのダメージは非常に大きい。
一瞬で全取引先に信用不安が広がり、仕入れ条件が悪くなるどころか、取引を打ち切られることすらあるからだ。
最後の最後に追い詰められたら、仕入先に協力を要請するよりも、状況によっては銀行に交渉をしたほうが、ダメージが少ないこともあるということだ。
ぜひ、その時に優先するべき与信の順番を冷静に見極めつつ、なるべく手元資金の流出を先送りにする手段の一つとして、リスケという究極の方法があることも知っておくと良いだろう。
なおこの場合、もちろん安易な気持ちで冗談で、銀行担当者にこのような打診は絶対にしてはならない。
「ちょっと聞いてみただけ」の話でも、担当者の顔は一気に青ざめ、支店長の耳に入り、無駄に与信を失うことになるからだ。
リスケの打診は、もうこれしかないと腹を決め、一発で通してもらう覚悟を持った時だけ口にしてほしい。
決して、「そんな便利な方法があったんか、使ってみよう」などと安直に、甘い考えで理解することだけはないように、くれぐれもお願いをしたい。
5. まとめ
いろいろとお話をしたが、結局のところ資金調達とは、大事な「現預金」という虎の子を手厚く手元に温存し、できる限りリスクをコストで買おうという考え方だ。
現金を不動産に変えて本社を取得してしまった場合、環境や顧客構造の変化があった時には全く、その変化についていくことすらできないこともあるだろう。
結局、変化の早い現代の経営環境において、なるべく早くその変化に対応していくためには、最も流動性が高い現預金を多く手元に残す「資金調達」を考えることが、何よりも大事だということだ。
銀行借り入れとは、手元資金を使わずに済むコストを利息という手段で支払っているに過ぎない。
そう考えれば他の局面でも、人の資金を使わせてもらい、その対価としてコストを支払えばお互いにWin-Winになる局面というのは、決して少なくないはずだ。
ぜひ参考にして、経営のお役に立てることがあれば嬉しく思う。
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