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【経営者必見】信頼できる銀行の選び方!融資を断られない6つの心得

本記事では、信頼できる銀行の選び方と、融資を断られない6つの心得について紹介します。

【経営者必見】信頼できる銀行の選び方!融資を断られない6つの心得

 

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銀行との付き合い

 

一般に銀行との付き合いは、どこと付き合っても一緒と思い、特段の工夫無く融資や決済の手段として利用しているだけの会社が多い。キャッシュが回っており、銀行からお金を借りる予定も意志もない会社であれば尚更だろう。

 

単に決済手段として、あるいは従業員の給与の支払口座としてのみ、銀行と付き合うという認識の経営者が多いのが、おそらく世間一般の常識だ。これに加えて、売上や資産規模が大きくなり営業マンが足繁く通う会社である場合には、お付き合いの融資に応じるくらいではないだろうか。

 

しかし、せっかくの銀行との付き合いだ。

 

傍目にはどれほど頼りなく小さく見える街の信用金庫でも、その情報量やネットワークは中小零細企業など比べるべくもない。まして都銀ともなれば、うまくその力を借りて協力関係を得ることができれば、融資とは全く違うところで非常に大きな力となり、時に経営者を支えるほどの大きな存在になってくれる。

 

その銀行には大きく、信金・信組、地銀、都銀といった種類が存在し、それぞれで守備範囲も異なる。

 

そのそれぞれに、ターゲットとしている事業規模の会社があることから、どれほど小さな零細企業でも、うまく金融機関を活用するという発想が不必要ということは全く無い。

 

更に言うと、同じステージの地銀でも、あるいは都銀でも、会社によってそのカラーは千差万別だ。自社の経営方針を十分に考えた上で、付き合う先を考える必要がある。

 

そのような考え方の延長で初めて、「融資は銀行との付き合い方の一つに過ぎない」という事実に気がつくことができるだろう。そしてそこまでいけば、おそらく本当に必要な時の、本当に必要な融資であれば、借り入れにそれほど苦労することも無くなっているはずだ。

 

では、そのような安定的な経営と融資のために、銀行はどのように活用するべきなのか。

融資以外に普段からどのような付き合いを重ねていく必要があるのだろうか。

以下、拙い経験ではあるが、従業員1000名近くの会社のCFOから、起業し小さな会社の代表までも幅広くこなしてきた中で、お話できることをまとめ筆を進めていきたい。

 

1. 地銀や信金との上手な付き合い方3選

 

地銀や信金は、多くの中小企業経営者にとってもっとも身近な存在だ。町の零細企業から、売上高100億円程度の中堅企業であっても、地銀や信金と付き合いを深めることはメリットが多く、デメリットは見当たらない。

 

 

というよりも、日本企業の実に99.7%を占める中小企業にとっては、都銀よりも遥かに身近で頼りになる存在であり、メインバンクとして大いに頼るべきだ。そしてその際の選び方は、自社の営業地盤を広くカバーする銀行が望ましい。

 

地銀といえども越境営業も当たり前の時代だが、やはり長年に渡り地元に根ざした地銀の強さと歴史は、にわかで越境してきた他の地銀とでは比較にならない。

 

では中小企業経営者は、これらメインで付き合うべき銀行とどのように接するべきなのか。また銀行は、取引先の企業をどのように評価し、判断しているのか。

少し詳細に見ていきたい。

 

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1-1. 地銀や信金が中小企業を見るポイント

 

困った時に融資を実行してもらえるのか、ということについて。ほとんどの場合、というよりも100%と言ってよいだろう。普段から余り担当者と付き合いを深めていない銀行に駆け込んだところで、突然お金など貸してもらえるものではない。

 

当たり前の話だが、自分自身が突然見ず知らずの人から金策を申し込まれても貸すわけがないのと、本質的には同じだからだ。銀行はお金を貸す相手について、会社の業績から資産の状況、売掛金の回収に買掛金の積み上がりなどはもちろん、経営者個人の預金残高も考慮して融資の可否を判断する。

 

早い話が、普段からの付き合いとその積み上げが非常に大事だということだ。

 

例えばこんな話がある。

私はある上位地方銀行の中でも、大きな法人しか扱わない大店(おおだな)と取引を持っていた。

その支店長は準役員クラスであったが、1ヶ月と空けずに会社に直接、そして必ず抜き打ちで訪問してきた。

 

「近くまで来たので、少し立ち寄りました」

 

と白々しい理由を述べてはいるが、明らかに視察だ。なおかつその来社の際に、不在がちである私が不在であったことはなく、また忙しさのピークも完全に外して会社に来る。

 

つまり、お金の流れからこちらの行動パターンを全て判断していたということなのだろう。全てを見透かされているようであったが、ある日はこんな会話があった。

 

「ところで最近、社長さんの個人口座からまとまったお金が動いていましたね。」

「よくご存知ですね、僅かですが、知り合いの会社に出資をするための資金です。」

 

この場合、支店長がよく見ているというよりも、私の方も全てのお金の動きを積極的に見せる意図があって実行した、資金移動であった。

メインで付き合う地方銀行の支店口座では、法人口座のお金の動きは全て透明にわかりやすくし、売掛金や買掛金の動向と一致するキャッシュの動きを見せるのは基本だ。

 

普段から、決算書とキャッシュの動きを一致させておけば、緊急時にお金を借りようとする時、まったくもって審査にかかる時間と手間が変わってくる。

 

しかしそれだけでは足りない。

 

私の場合、個人口座をいくつかに分け、クレジットカードの引き落としなど生活パターンを全て丸見えにする口座や、預金専用の口座などを目的別に運用し、全ての個人情報を銀行にオープンにしていた。そのため出資などまとまったお金を引き出した際には必ず支店長が頃合いを見て来社し、探りを入れてくるのを知っていたのである。

 

もちろん、相手もこちらの意図を理解し、「素直な経営者だ」と思っている。だから、聞いて欲しいことを聞いてくるようなもので、非常に意思疎通がやりやすかった。

 

なおこのようなカラーは個人にもよるが、その銀行は概してそのように、非常に細かく数字を見るタイプの支店長が多かった。

ある時、余りにも細かく数字を見ている雰囲気がある支店長が着任した時など、しばらくして単刀直入に、

 

「支店長、ところで毎日いくら以上の現金の出納には目を通しているのですか?」と聞いたことがある。

 

それに対する支店長の答えは、

「50万円以上の入出金には全て、目を通しています。法人も個人もです。」と、予想以上の答えが返ってきた。

 

地銀とはいえ、非常に規模の大きな銀行であり、なおかつその中でも法人をメインに扱う町中1等地にある支店だ。50万円以上の入出金全てに目を通すなど、尋常ではない執念であり、また取引先に異常がないかを神経質に観察する想いには心底驚いたことがある。

 

このような支店長の対応を、うっとおしいと思い、個人情報だから隠したいとお思いになるだろうか。

 

はっきり言って、銀行の前には経営者にプライバシーなど存在しない。お金を借りる時には、資産状況など丸裸にされるのである。

 

経営者の資産も会社の資産と一体とみなされ、下手に情報を隠そうとしたら、「ではお引取り下さい」と言われるか、「検討しましたが今回はお力になれません」と形ばかりの謝罪をされるのがわかりきったオチだ。

 

であれば、ピンチでない普段から積極的に、法人口座も個人口座も、同じ銀行同じ支店でわかり易く、一括管理させてあげた方がスッキリするというものだ。そして銀行は、そんな経営者の姿勢を非常によく見ている。

 

もちろん一義的には、今どきの銀行は各種与信をスコア化し、半ば自動的に融資の可否を判断するような仕組みを持っている。

 

しかしながら、そもそも開示された情報に信用性があるのかどうかを判断するのは、やはり担当者であり責任者である支店長だ。

 

その際に、いちいち他銀行の口座にも資産や振込先を分散し、また個人口座もわかりにくく分散させていたとしたら、そもそも提出物の裏付けを取るところから必要になる。

 

お金の流れをわかりにくくする理由はいったい何であろうかと、必然的に余計な詮索を生むことになり、取引先の与信調査なども必要になることもあるだろう。

 

その点、長年に渡りわかりやすいお金の動きを1箇所で見せていれば、取引先の金払いも取引規模も、勝手に銀行が判断してくれるので非常にスムーズだ。余計なことの証明に、つまらない時間と手間を取られないことから、融資の実行判断も迅速になり、全くデメリットがない。

 

都銀ではさすがに、ここまで詳細な動きを普段から見てくれるような支店長はいない。

 

しかしながら、地銀クラスとメインで付き合う中小企業であれば、多くの銀行の多くの支店長がこのレベルで会社をウォッチしてくれていると考えてよいだろう。それはむしろ非常な利点であり、いざという時には力を借りやすい環境づくりでもある。

 

地銀・信金クラスとの付き合いの第一歩は、まずはわかりやすい情報開示を普段から心がけておくこと。そして経営者は、法人だけでなく個人口座もオープンにしておくことだ。もしこのようなお金の動きになっていないのであれば、信頼関係の構築のために、直ちに取り組むことをお勧めしたい。

 

1-2. 地銀・信金と普段から必ず付き合っておく大きな理由

 

さて、そのようにして銀行との密なコミュニケーションを重ねる理由の一つは、何と言ってもいざという時に融資を受けたいから、というのがわかりやすい理由だ。その他にも多くの理由はあるが、まずは融資についてお話をしていきたい。

 

おそらく、本稿を読んで頂いている経営者もしくは経理担当者のほとんどは、中小企業の経営に携わっている方であろうという前提で話を進めている。

 

その場合、事業規模にもよるが、売上規模で数十億円以下の会社であれば、都銀はもちろん地銀や信金でも、プロパーで融資を受けられることなどほとんどないだろう。

 

なおプロパー融資とは、銀行が信用保証協会の保証を付けずに直接お金を貸し出す行為だ。対義語は「保証協会付融資」などと呼ばれるが、要は公的機関である信用保証協会が自社の保証人となり、銀行に対しリスクをほぼ全て(100%ではない)負った上で実行される融資の事である。

 

仮に、お金を借りた貴方が返済不能に陥ったとしても、信用保証協会が銀行に対し残りの債務を弁済してくれるので、銀行側のリスクは相当、というよりもほとんど無くなる。

 

そのため銀行は、この保証協会付融資を与信スコアの高い企業に対し、できるだけ多く実行することが営業の一つの柱の考え方になる。

なおかつ、保証協会が1つの会社につける事ができる保証額は、会社の財務状況や過去に実行された融資の状況から限度額が総額で決定される。

 

そのため、借り入れの窓口である銀行を変えたところで無駄であり、保証協会付融資で借りられる融資額の総額は、大元で集計され決められているのがこの融資の仕組みだ。

 

これは言い換えれば、取引のある銀行であればできるだけ、自社を窓口に融資を実行して欲しいということだ。

 

多くの中小企業であれば、地銀だけでなく信金とも付き合いがあることが多いと思われるが、できれば自行から保証協会付融資を借りてほしいと、それぞれが考えている。

 

そのため、それぞれの担当者は自社の取引先の企業にいつ、どれだけの額を保証協会付融資で引っ張れるのかを、事細かに把握している。

 

そして融資可能な時期、融資可能な額が明確になればすぐに、融資のご用聞きに回るのが一つの行動パターンだ。そしてこの保証協会付融資。保証協会からOKが出れば100%、融資の実行を受けることができるのだが、その手続きは本来、非常に煩雑で面倒くさい。

 

銀行を通さずに直接、保証協会に出向いて「保証をつけて下さい」と申請することも一応不可能ではない。しかし都道府県市町村によっては、「保証を受けたい場合は、銀行を通して下さい」と門前払いを受けることもあり、素人が直接保証を取り付けようと思っても、その敷居は非常に高い。

 

話を聞いてくれる都道府県市町村の信用保証協会の場合でも、企業経営者が直接足を運び自ら与信を証明して融資が実行されるには、相当ハードルが高いのが一般的だ。

 

なぜなら、保証協会によっては独自の与信審査能力を十分に持ち合わせていないこともあり、その多くを地域の金融機関や専門家に頼っているからだ。逆に言うと、保証協会の審査は実質的に、金融機関が行っていると言ってよいだろう。

 

例外的に、地域で実施されている公的機関等が主催する勉強会で、中小企業診断士の指定の講座を一定時間受けた場合、保証協会融資の斡旋を受けられる場合がある。

 

この際には、まず信用保証協会から保証OKの審査がおり、その後に受け皿となる銀行を指定することもあるが、おそらく例外はこれくらいだろう。

 

自ら書類を作成し、信用保証協会から直接与信を取り付けるのは、企業側にも保証協会にも、非常な手間と時間がかかると考えて行動するべきだ。

 

早い話が、普段から地銀や信金と密接に付き合っておけば、営業の思惑もあり、「自社がいつ、どれだけの金額を借り入れることができるか」を正確に知らせて貰うことができ、また把握することができるということだ。

 

いざ困った時に、経営者自らがわざわざ保証協会に足を運び、これら情報も一切ない中で無駄な書類を書く必要はないということである。

 

先述のように、普段から全ての情報を開示しておけば必ず、目ざとい営業担当者が自社に降りる可能性のある保証協会からの枠の中で、融資の実行を打診してくれるようになる。

 

なおこのような細かい取引先の管理は、中小企業の場合まず、都銀には期待できない。都銀であれば逆に、1千万円程度の融資であれば手間が合わないので、地銀や信金から実行するように進められることもあるだろう。

 

守備範囲が異なるので、この辺りでも取引先銀行の使い分けは、十分に考えておく必要がある。自社が資金繰りに困ったときや突発的な事故で一時的な借入金が必要になった場合。それが本当に突発的なものであり、与信の大勢に影響を与えるもので無いのかどうか。

 

それを直接、全く付き合いのない保証協会の担当者に理解してもらうことは相当に至難の業だ。

 

しかしながら、普段から全てのキャッシュを開示している銀行担当者であり支店の場合には、状況を説明するだけで場合によってはすぐに理解し、さらに保証協会融資を手配してくれるだろう。

 

このような観点からも、自社のステージに応じた銀行との普段からの密接な付き合いにはメリットしか無い。必ず、心がけて欲しい。

 

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1-3. 第三者割当増資における地銀・信金の重要性

 

余りイメージがないかも知れないが、実は地銀や信金との付き合いでも、第三者割当増資などエクイティファイナンスを実施する際に力になってくれることがある。

 

意欲のある地銀の場合、自行で実質的にVC(ベンチャーキャピタル)を運営しているなど、わかりやすいグループ力を発揮するところも、決して珍しくない。

 

融資では金を出せないが、増資の方で直接投資し、様々な収益源として優良企業を確保しようという考え方だ。

 

ただこの場合、銀行名での直接投資ではなく運営しているファンドからの投資となることが大半だが、いずれにせよ株主名簿は、その運営主体が誰であるのかの実質で判断されるので大した問題ではない。

 

そして銀行系VCから投資を受けて増資をした場合、銀行は非常に粘り強く、自社の様々なシーンで経営支援を行ってくれることが一般的だ。それもそのはずであり、自行で運営しているファンドに組み込んでいる会社が倒れたら、当然その投資分が完全に紙切れになる。

 

倒れる会社が余りにも多ければ、ファンドの運営実績にも関わるので、必然的に銀行の姿勢は、投資先はなるべく生かしたいというものになるだろう。

 

実際に地銀から投資を受けると、先述のように保証協会融資の斡旋は非常に細やかになり、また設備投資の際にはグループ企業のリース会社を非常な低金利で連れてくるなど、非常に多様な資金調達手段を提供してくれるようになる。

 

よほど不誠実なことをしない限り、銀行の自社への扱いが大きく変わる、いわば裏技の一つといったところだ。

 

ただし、地銀とはいえこのような投資は、どのような会社でも受けられるわけではない。そしてそれは、業績の良し悪しではなく、将来的にIPO(株式の新規上場)を考えており、なおかつその可能性が高いと判断された場合か、もしくは地域経済にとって非常に意味のある事業を営んでいる会社に限定されるのが一般的だ。

 

例えばそれは、経済産業省などから特別な事業に認定され補助金が降りるなどのスケールでないと、やはり難しい。

 

では、ありふれた中小企業であれば融資以外の資金調達で、地銀や信金は頼りにならないのか。もちろん、そういうわけではない。

地銀や信金は、長年に渡り非常に大きな問題に直面している。

 

それは、団塊の世代の高齢化とその世代の引退による企業の廃業が非常に高いレベルで推移していることだ。どのような銀行であっても、優良な取引先を失うことは歓迎すべきことではない。

 

なおかつそれが、業績も好調でキャッシュにも余裕があるのに、ただ単に後継者がいないから、という理由だけで廃業するのであれば尚更だろう。

 

しかし現実に日本では、このような形での廃業が2000年代に入ってから急増している。そして地銀や信金も、地域の優良企業が廃業し数を減らすことは営業基盤の毀損にもつながることから、直ぐに対応に動き出した。

 

それはなにか。

 

取引先の企業を、それぞれの希望があればスモールM&Aで買収・売却させることで、企業の存続を図ろうという企みだ。実際に2000年代に入り、M&A、とりわけスモールM&Aの数は毎年右肩上がりに増加をし続けており、事業の拡大を考える企業にとって後継者のいない優良な会社を買収することは、非常に有力な選択肢となっている。

 

またその前段階として、資本・業務提携の段階から積極的に仲介し、将来の買収・売却を見越した企業同士の出会いを演出することも、地銀が果たすべき大きな役割の一つとなっている。

 

このような試みは、都銀よりも地銀の方がおそらく積極的だ。なぜなら、スモールM&Aの対象になるような会社はそのほとんどが、売上高で数千万円~数億円程度の中小企業ばかりであり、その領域を主戦場としているのは地銀だからである。

 

なおかつ、スモールM&Aで会社を買収・売却するようなニーズの場合、東京の会社が大阪の会社を買い、大阪の会社が福岡の会社を買うというケースはそれほど多いものではない。

 

多くは、自社と一体として経営が管理できる、いわば同じ地域内の会社であるケースを求めるためだが、そう言った意味でも地域に特化して強みを発揮する地銀のノウハウは別格となる。

 

つまり、例えば自社が第三者割当増資で資金を調達したいと考えた場合。あるいは最後の手段として、事業の一部を売却し資金繰りに充てたいという切羽詰まった状況に追い込まれた場合。そのような形での資本・業務提携のニーズにも、少なくとも中小企業の場合、地銀が非常に大きな力を発揮してくれるということだ。

 

あるいはこれが、事業規模で50億円を越えるような会社で、M&Aのディール(取引)額が10億円を越えるようなやや大型の案件になってきた場合。

 

この際には、明らかに地銀では力不足のことが多く、その仲介もスモールM&A専業の仲介会社ではなく、株式会社レコフや株式会社日本M&Aセンターのように、M&A仲介を専業とする大手の上場企業を頼らざるを得なくなるだろう。

 

そう言った規模であれば地銀を頼れという考え方は再考する必要があるが、多くの中小企業にとってはおそらく無縁の話だ。それぞれの成長のステージで、身の丈にあったパートナーを選んで欲しい。

 

いずれにせよ、地銀や信金は単にお金を借りるパートナーとしてだけではなく、非常に大きな可能性がある取引先として、再認識をして頂けたのではないだろうか。

 

要旨、普段から密接なコミュニケーションを重ね、自社をしっかりグリップしてくれるのは都銀に期待する役割ではないということだ。そのためにはぜひ、決済手段としてだけではなく、また給与の受け皿としての存在だけではない、これら地方銀行の役割にも注目して欲しい。

 

2. 都銀との上手な付き合い方3選

 

さて前章では、地銀との上手な付き合い方をお話してきたが、もちろんこれだけで十分というわけではない。特に、将来的により事業を大きくする意志があり、地域の枠を超えて広く販路を拡大したいと考えている企業であれば、やはり地域に強みを持つ地銀との付き合いだけでは限界がある。

 

 

金融商品の数でも規模でも、都銀との選択肢の数はやはり桁違いだ。

 

あるいは近い将来のIPO(株式の新規上場)までも視野に入れている会社ともなれば、その力の差は決定的になり、地銀がメインバンクとして機能することは相当難しい。

 

地方営業を本業とする地銀である以上、その系列に証券代行業者も持ち合わせておらず、もちろん大手の証券会社との繋がりも希薄であることが一般的だからだ。

 

なお証券代行業者とは、自社の株主名簿を管理し必要な事務作業を代行してくれる会社のことだが、2018年現在では三菱UFJ信託銀行が圧倒的シェアを持つ。この段階まで来ると、必然的に様々な金融に関する相談事は、もはや都銀がメインになってくるだろう。

 

そして、もはや銀行とはお金を借りるために、あるいは事業資金の決済のために存在するものではないという事実に明白に気がつくはずだ。

 

では、そのような事実を踏まえた上で、将来的な成長と安定的な資金繰りのために、都銀とはどのように付き合いを広げていけばよいのか。またそれぞれの段階でどのように有効活用を図っていけばよいのだろうか。少し詳細に、お話していきたい。

 

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2-1. 都銀との取引開始方法

 

さて、そもそもの前提として都銀との接点の作り方の話だ。いきなり脱線するようで恐縮だが、私は初めて起業をした時、赤がシンボルカラーの都銀から法人口座の開設すら、断られたことがある。

 

もちろん既に、法人登記は完了している。法人印も用意し、事務所も構えた上で、事務所から一番近い銀行ということで、意気揚々と口座開設に足を運んだ時のことだ。

 

当然のことながら、必要書類を全て提出すればその日のうちに手続きが完了すると思っていたのだが、銀行の窓口で全ての書類を突き返され、「Webサイトが完成してから改めて来て下さい」と言われた経験を持つ。

 

なおこの際、私は簡単に引き下がったわけではなく、「Webサイトくらいすぐに開設できますが、明日来ればよいのですか?」というように粘ったのだが、すると別の理由をつけて断られる。要するに、中小零細で出来上がったばかりの会社が、天下の都銀大手様に、そう簡単に口座など作ってもらえると思っているのか?ということであった。

 

なおこの時に訪問した都銀の支店は、大都市の中でも官公庁街のど真ん中にある支店で、はっきり言って大企業をメインの顧客として扱うロケーションにあった。

 

そのため実は、自分のほうがいろいろな意味で不勉強であったわけだが、それにしたところで大手都銀は、新しくできたばかりの会社とは、ここまで付き合う意志が0という事実を、まざまざと思い知らされる出来事になった。僅かでも自行の顧客として考える意志があるなら、別の中小企業を扱う支店を紹介してくれそうなものだが、それすら無い。

 

しかしそれも、仕方ないだろう。

 

新しく登記された株式会社の90%が、10年後には事業を停止しているのだから、大手の都銀様がいちいちそんな手間だけかかって儲けになる可能性が極めて低い経営者など相手にする訳がない。

 

やや極端な例を出したが、要するに都銀とまともに付き合うには、これほどまでに中小零細には最初のハードルが高いということだ。地銀と違い、「普段から密接なコミュニケーションを心がけましょう」などと言ったところで、現実的に相手にして貰えないのでそれすらもなかなか難しい。

 

信用保証協会付融資の窓口を務めてもらおうにも、小規模であればそれすら渋られることもあり得るだろう。

 

では、将来的な事業の拡大を考え、あるいは安定的な資金繰りを担保したい会社が、早い段階から都銀相手にも付き合いを深めるにはどうすればよいのか。与信を積んでおきたい場合には、どのような手段があるのであろうか。

 

一つには、政策融資の受け皿になってもらうという考え方だ。先の章で述べたように、経営者自らが信用保証協会に出向いて、保証を獲得するのは簡単なことではない。

 

しかし、起業を考えている経営者や起業から間もない会社、あるいは何らかの強みや特色がある会社には、政策融資の利用が可能である場合が多い。

 

話をわかりやすくするために、起業したての会社を例に取る。起業をして暫くの間であれば、日本政策金融公庫から起業資金の融資を借りられる事が多い。

 

いや本来は、この起業資金ですら本当はそう簡単に貸してもらえるわけではなくそれなりの手順を踏まないと非常に困難なものであるのだが、ここでは本題ではないので割愛する。

 

そしてこの日本政策金融公庫、通称で国金と呼ばれる銀行は通常の銀行や融資と違い、融資の審査がおりても国金〇〇支店などというところに口座を開設し、資金を受け取るという段取りではない。

 

あくまでも国金は政府系の金融機関であり、資金の出し手であって、受け皿となる金融機関は別に用意する必要がある。

 

つまり、融資が決まってからどこの銀行を指定の振込先にするか、ということを決める、通常の保証協会付融資とは逆の手順を踏むということだ。

 

保証協会付融資であれば先述のように、例外的な場合を除いてほとんどが、金融機関から審査の手続きを進めてもらい、そして融資の決裁がおりたらその金融機関を受け皿に融資を受けることになる。

 

逆に言えば、この例外的な手順を踏むことができる政策融資は、都銀との付き合いを作る最初の一歩として、非常に有効な手段となるということだ。

 

都銀からすれば、面倒な手間を掛けてまで営業担当者のリソースを中小零細企業に使うつもりなどサラサラ無いが、全ての手続きを終えて後は受け皿となるだけならば、それを断る理由は皆無だ。

 

さらに得体の知れないインチキ企業であるかも知れないという疑いも、すでに政策融資の審査の段階でフィルターを通過しているので、その心配も無用になる。

 

早い話が、面倒くさいことは全て終わらせておきましたので、受け皿としての口座開設だけ、お願いしますという姿勢である。さすがにこの段取りであれば、よほどおかしな会社でない限り、どの都銀でも取引を開始してくれるだろう。

 

そして都銀といえども、融資の受け皿になったのであれば、その熱意はともかくとして曲がりなりにも営業担当がつく。

 

もちろん、売上や利益の規模が僅かなうちは、会社に来て貰えることもなくこちらから足を運びコミュニケーションを図ることになるが、それでも自社の存在を銀行に認識させる最初の一歩としては十分だ。

 

ここから先、どのように都銀を活用し、また関係を広げてくかは自社の成長の度合い次第であり、また経営者の手腕に掛かっているということになる。

 

そして首尾よく会社も成長し、都銀担当者の視界に自社をチラチラと出すことができるようになれば、いよいよ次の段階だ。一体どのように、この巨大な金融機関を活用していけばよいのだろうか。

 

2-2. 都銀別、経営カラーの違い

 

いきなり元も子もないことを言うようであるが、会社の規模が一定以上になってくれば正直、付き合う相手が地銀から都銀メインになるというだけで、付き合い方の本質は余り変わらない。

 

普段から、月次を含む決算の動きとキャッシュの動きを一致させ、透明感のある取引を心掛け銀行を味方に取り込んでおくことが重要になる。

 

しかしその上でやはり、都銀との付き合いは地銀とは一回りも二回りも、取り扱う資金の額は異なってくる。

 

少し古い話だが、2008年頃でリーマンショック前までの話。当時は大手都銀も非常に前向きな投資姿勢で、自行で積極的にVC(ベンチャーキャピタル)を運用している銀行も多かった。

 

この際、やはり都銀系のVCから出てくる投資額のロットは2000万円~であり、業績と自社のステージによっては、1ロットで5000万円を出す銀行もあったほどだ。

 

それに対し、地銀系はどれだけアグレッシブなVCでもせいぜい1000万円までが上限であり、都銀系から数千万円の投資を受ける段階にあっては、お断りすることも珍しくなかった。

 

参考までに、関西を地盤とする地銀系VCからは、300万円を提示されたこともある。仮に起業資金であったとしても、わざわざお受けする意味が乏しい金額の提示であった。

 

そして2010年代に入り、やはり投資のノウハウを十分に持ち合わせていなかったこれら都銀系VCは、その投資規模を極端にシュリンクさせ今となっては当時の面影はないが、それでも今も、往時の面影を感じさせることがある。

 

出す時にはやはり数千万円単位からであり、それ以下のロットで出資を決めるような都銀の話は今も耳にしない。

 

そして同じ話は、融資についても同じことが言える。やはり一定以上の工場を新設するような、億も2桁を越える規模の融資になれば、地銀単体での融資の実行は非常に困難になる。

 

政府系金融機関や都銀との協調融資が前提になり、この段階に至ると、地銀をメインバンクとして活用する段階からは卒業することを考える段階だ。

 

特に、緑色をシンボルカラーにしている銀行であれば、ある程度の実績があるようであれば、その融資の決断は早く、リスクテイクも積極的に行ってくれる。

 

ところで、この都銀それぞれに見られる営業姿勢の違いについて、少し触れておきたい。あくまでも、個人的な経験値からの独断と偏見ということにはなるが、実際に全て、経営者として体験した上での話だ。

 

緑色の銀行は、リスクを金利に変えて積極的に儲けを拾いに行く姿勢で知られる。この姿勢は、都銀の中でも際立っており、正直客観的に見てもリスクが非常に大きな案件にでも大胆に融資を行う。

 

それは経営者個人に対する住宅ローン融資でも同様であり、他行で断られた規模の住宅ローンでも、相場の倍近い金利を条件に融資OKの内諾を得たこともあった。

 

ただし、この銀行はリスクを積極的に取る分、回収は非常に早い。僅かでも、恐れていたリスクが表面化した場合、全く躊躇なく僅かでも残っている分を回収にかかろうとするが、同じような経験は多くの経営者仲間から聞くことが多かった。

 

もちろんこれらは、契約と法律に基づくものであり、銀行の方針になんら問題はない。そして何よりも、多少金利が高くとも、積極的に融資をしてくれる銀行の姿勢は、一部の積極的な企業経営者には非常に大きな味方であり魅力だ。

 

赤色や青色の銀行が二の足を踏んでいる間に融資を実行してくれるのだから、金利コストなど気にもならない程に成長速度を重視する経営者であれば、これほどにありがたい銀行はないだろう。これもまた、一つの銀行のあり方の一つだ。

 

一方で赤色の銀行はとにかく、この姿勢とは逆であることが多い。不必要なリスクは取らない。禁止危うきに近寄らない。まともに付き合ってもらうまでの敷居は非常に高いが、一度付き合いが始まると面倒見が良い。

 

しかし、融資については保守的であり、成長速度を重視し、リスクテイクをいとわない経営者にとっては物足りないところがあるだろう。やはり、大企業を向いたサービスを展開しているというカラーが際立っている。

 

青色の銀行は、メインとなる合併前の銀行のカラーから、時に公家とも評されていたほどに上品な金融機関だ。基本的には緑と赤の中間のような立ち位置であり、一時期はVCもかなり活発に投資活動を行い、アーリーステージのベンチャー企業にも積極的な投資を行っていた。

 

それほどまでに、中小企業にも敷居が高くないところがあるが、それでもやはり緑ほどにはリスクテイクをしない。

 

その一方で、一度付き合いを始めたらいきなり口座を凍結するような荒業を出してくるような話もほとんど聞いたことがない。付き合いやすさと面倒見の良さでは、バランスの良い都銀と言ってよいだろう。

 

後は、自社の経営姿勢とどの都銀との相性が良いのか。それは銀行の良し悪しではなく、経営者の考え方次第ということになるのではないだろうか。

 

地銀との付き合いから卒業する時にはぜひ、このような都銀ごとに明確に異なる経営姿勢の違いも考慮して、パートナーを選んで欲しい。

 

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2-3. 都銀と取引する最大の特徴

 

さて、これがある意味において、地銀と都銀の決定的な違いと言ってもよいだろう。地銀でも、融資以外に投資部門をもち、あるいはリース会社を運営しているなど、融資とは別の形での資金調達に応じてくれることは珍しくない。

 

特にリースは、形を変えた現物担保の融資と同じものだ。そのため金利はそれほど高いものではなく、地銀がメインの付き合いである中小企業でも、お世話になったことがある会社は多いだろう。

 

一方で、一定以上の規模にステージを上げてきた会社であれば、そうはいかない。例えば、IPO(株式の新規上場)が具体的に視野に入ってきた会社を例に取りたい。IPOには、何が何でも監査法人、証券会社、証券代行などの専門家の協力が不可欠だ。

 

都市部にある地銀であれば、これら専門家とある程度のコミュニケーションを重ねていることも無いわけではない。しかし、3大都市圏以外にある地銀担当者では、もはやこれら上場に必要なプレイヤーにコネクションすら無いことが当たり前だ。

 

それもそのはずであり、そもそも地方企業はIPOが見え始めた段階で大阪や東京に実質的な本社を移すことも多く、上場に向けた金融サービスを提供する会社も、3大都市圏どころか東京に集中しているのが実情だからだ。

 

大阪にもチームを置いていることはあるが、IPOの件数なども考えるとそのチームの規模はやはり東京と比べるべくもなく、経験値も薄くなる。

 

こうなれば、地銀の担当者相手に株式の上場などで資金を調達する考えを相談したところで、大変失礼な言い方で恐縮ではあるが、相談相手にはならない。

 

それもそのはずで、地銀とは元々、そこまで突き抜けた資金調達に応じることを前提とした営業をしていないからだ。言うまでもなくこれは、どちらが優れているかということではなく、どの領域を営業の主戦場にしているのか、という営業戦略の違いである。

 

だからこそ、融資だけでなくエクイティも視野に入れた資金調達が通常の選択肢に入ってきたら、地銀ではなく都銀に、その付き合いのメインをシフトさせていく必要がある。

 

都銀系であれば、既に都銀そのものがいずれかの証券会社と資本を含む密接な関係にあり、1ストップでの資金調達ニーズに応えてくれることになるだろう。また取引先についても、やはり地銀と都銀の領域には明確な違いがある。

 

地銀の項目で列挙した地銀のメリットでは、やはり長年に渡り限られた領域で強みを発揮してきた人脈や繋がりは非常に大きなものであると言うことであったが、逆に言えばそれは、地域限定の強みだ。

 

しかし都銀にもなれば、新たな販路の拡大や仕入先の選択肢でも、文字通り桁違いで全国規模の情報提供を、受けることができる。

 

かつて、先進的なものづくり企業でCFOをしていた際には、緑色の銀行から系列の大手商社を紹介してもらい、さらにそこから、日本最大手の通信会社の紹介を受け、実際に口座開設に繋がった事もあった。

 

このような取引で大きいのは、なんといっても都銀の紹介というファーストインプレッションだ。何をどうしたところで、徹底的にリスクを洗っている都銀から優良な取引先として紹介を受けるのだから、最初から与信の下駄を思い切り履いていることになる。

 

本来であれば名刺交換すらできない企業の役員クラスと簡単に会うことができて、純粋に商品やサービスの説明から入ることができるのは、都銀の紹介ならではのメリットだ。このアドバンテージは非常に大きい。

 

また別の会社の例では、赤色の都銀の紹介から台湾の大手証券会社に繋がり、そこから自社で内製していた製品を格安で、なおかつ高いクオリティで量産して貰う企業の発掘に成功したこともある。

 

言うまでもないことだが、中小零細はもちろん、ある程度の企業規模がある会社でも、台湾のアッセンブリーメーカーに低いリスクで、製品を外注する手配をすることなど通常不可能だ。

 

もちろんこのような仲介は、地銀の守備範囲を越えているので、相談をすることもないだろう。

 

ちなみにこの商談も、何気ない銀行担当者との会話の中から「そろそろ量産体制に入らないと、自社のR&Dがメインの小規模工場ではきつい。良いアッセンブリーメーカーを知りませんか?」と持ちかけたところから始まったものだった。

 

相談した時には、せいぜいが東京や大阪の下町にある、ものづくりに強い町工場を紹介してもらうイメージでの着地点であったのだが、まさかの海外企業で大いに驚かされた。

 

そしてそれは、M&Aなどを活用した事業規模の拡大でももちろん、地銀とは全く違うステージと全国規模での案件を抱えているので、強みが発揮されるのは言うまでもないだろう。

 

なおこのような動きをなぜ、都銀が実施するのか、ということだ。それは、目先の顕在している資金調達というニーズだけでなく、銀行自身も「どうしたら金を借りてもらうことができるか」という観点から潜在ニーズに働きかけ、取引先企業を育てようと考えているからに他ならない。

 

もちろんこのような発想は地銀にも無いわけではないのだが、いかんせんポケットの数と提示できる選択肢の数・規模が違う。そう言った意味でも、一定以上の規模になり、安定的に資金調達をし続けたいのであれば積極的に都銀のリソースを使い、成長の手段として上手に活用することを意識して欲しい。

 

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3. 銀行を活用した融資以外の資金調達とは

 

さて最後に、融資だけじゃない銀行を有効に活用する方法について、エクイティファイナンスという観点からの話だ。

 

エクイティファイナンスとは、株式の新規発行や、広くは株式の移動などを伴う資金調達の手段のことだが、このような方法は決して、中小企業であっても非現実的な資金調達の手段ではない。むしろ、積極的な会社の成長を考えている経営者であれば、必ず知っておくべき選択肢の一つとして抑えておくべきであろう。

 

一見、銀行とは無縁の考え方に思われるかも知れないが、やはりエクイティファイナンスでも、銀行を有効に活用することで有利に進められることが非常に多くなる。以下、具体的に説明をしていきたい。

 

3-1. 銀行系VCの存在

 

これはやや、記述の内容と重なるので簡単に流すだけにしておきたい。都銀でも地銀でも、積極的な金融商品の開発を進めている銀行であれば、活発な投資を行うVC(ベンチャーキャピタル)を持っている。

 

2008年に発生したリーマンショック以降、実質的に活動している銀行系VCは相当数を減らし、また投資額もずいぶんと寂しくなったが、それでも時に、さすが都銀系であるという投資額を実行することも多い。

 

そしてこれら銀行の投資目的は、一義的にはもちろん、投資先が上場することで投資額の数倍~数十倍のキャピタルゲイン(上場差益)を得ることだ。

 

だが、それだけではない。多くの場合、VCが投資する際の元手になるのは、運用しているファンドが資金源となっている。

 

そしてそのファンドには、多くの企業や団体から運用を委託された資金が積み上がっている。低金利の時代、まともに資金を運用してもほとんど利息がつかないことから、VCが運用するファンドに資金を投じる会社や団体は少なくないからだ。

 

そして銀行は、預かった資金を少なくとも、市中金利よりも高い利率で回すことを最低限の目標として投資先を決める。

 

またこの場合、投資先に求める条件は必ずしもIPOを達成し、キャピタルゲインをもたらすことだけがゴールとはならない。

 

例えば、非常に優良な企業で事業が立ち行かなくなる心配がなく、なおかつ毎年一定以上の配当が受け取られるのであれば、ぜひ投資したいと考えるだろう。額面を毀損することなく、市中金利以上の配当を受けられるのであれば最高の投資先であるからだ。

 

そのため、もし自社が将来的なIPOを考えている場合には、一度メインバンクにVC部門があるのかどうかを営業担当者に聞いてみれば、より多彩な資金調達の手段を得られる可能性が高くなる。

 

もちろん、IPOを考えていないとしても自社の株主に、銀行系のファンドが名前を連ねる与信への影響は極めて大きい。逆の立場になって考えればわかることだが、新たに口座を開こうとする会社の株主に、銀行系のファンドが出資し大株主に名前を連ねていればどう思われるだろうか。

 

この会社は、よほどのことがない限り銀行が手を引くことがなく(本当はそんなことはないのだが)、多少ムリをして与信の額を設定しても、取引が焦げ付くことが無いと思えないだろうか。

 

あるいは単刀直入に、銀行が投資をするほどの会社なので、きっと極めて優良で無限定に信用しても大丈夫だと言う印象を持たないだろうか(もちろん、そんなことをしてはいけないのだが)。

 

そして実際に銀行も、やはり自社のグループ会社から投資を出していることは一定の判断材料になり、付き合いの性質も変わってくる。

客観的な与信を大きく積み増すという意味でも、安定的な資金調達を一定程度担保するという意味でも、可能であれば銀行系VCからの資金調達は、積極的に検討する価値があるだろう。

 

自ら投資を要請することもアリだが、もし担当者から投資の打診を受けることがあれば、このようなことも参考に受け入れの可否を検討して欲しい。

 

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3-2. スモールM&Aの活用

 

さて、銀行を上手に利用する上で、ある意味で変化球なようだが、しかし王道でもある方法が、このスモールM&Aという手段だ。例えば業績が好調で、新たに工場を建設したいと考えた場合。貴方が経営者や、工場新設のプロジェクトリーダーであった場合にはまず何を考えるだろうか。

 

もちろん、会社には新たに工場を作れるほどの潤沢なキャッシュなど無い。しかし、引き合いの多さからすぐにでも工場を新設し、新たな生産拠点を確保する必要がある。

 

新たに工場用地を取得し、一から工場を新設するとなると非常にリスクも大きい上に、そもそも銀行がお金を貸してくれるかも未知数だそして銀行担当者に、「新たに工場を造りたいんだけど、3億円ほど貸して欲しい」と打診するも、きっと時期尚早として断られるだろう。

 

しかしこのような時、銀行も自社も共にハッピーになれる資金繰り・資金調達の方法と、新たな工場を獲得できる手段があるといえば、驚くだろうか。それが、スモールM&Aという方法だ。

 

一部については先の章で述べたように、地銀などがスモールM&Aを斡旋するのは、取引先の優良企業をみすみす、例えば後継者がいないなどの理由で廃業していくのを見過ごせないからだ。

 

売り手もまた、せっかくある程度の売上と、場合によっては利益も出ている会社を廃業し、土地建物だけを二束三文で売りさばくのも相当躊躇するものである。可能であれば従業員の雇用を引き継ぎ、また有形固定資産に僅かでも上乗せした売却額で意欲ある経営者に譲りたいと考えている。

 

そして買い手の立場からすれば、既に稼働しており、ものづくりに長けた職人が多くいる町工場であれば、内容によってはすぐに欲しいと思えるだろう。

 

もし自社のものづくりの拠点としても応用し、また活用できるのであれば、一から土地を取得し上物を建て、その他無数に必要になる小物類なども調達する必要もない。リスクは極めて限定的であり、また事業内容によっては即日、ものづくりを移管することもできるのだから、最高の選択肢だ。

 

さらにその買収資金の資金調達の話だ。このような案件の場合、銀行がその買収資金を全額、面倒を見てくれることが多い。

 

なぜなら、買収側への融資には工場の土地建物という一定の現物担保を取ることができる上に、その買収資金は結局、自行の取引先である売却側経営者に支払われ、個人資産として銀行に預金の形で戻ってくるからだ。

 

銀行からすれば、融資で貸した買収資金のリスクは抑えられる上に、そこで一つまとまった商談を成立させることができる。さらにそのお金はそのまま戻ってきて、大口の預金を確保できるのだから、全くもってこのようなM&Aを斡旋しない理由はない。

 

売却側経営者にとっても、土地建物にプラスした売却代金を得られるのならこれ以上無いハッピーリタイアメントとなる。買収側のメリットは先述の通りで、このようなスムーズな資金調達と資金繰りで新たな工場が得られるのであれば、その恩恵は計り知れない。

 

もちろん、都合よくちょうどいい売り物件に巡り会えるかは正直、数年単位の粘り強い我慢が必要だ。

 

しかしその丁度よい案件に巡り会えた時は、全く躊躇するべきではない。私もかつて、今ご紹介したような方法で従業員10名ほどの町工場を買収したことがあるが、あらゆる意味でメリットしか無い「工場の新規建設」となった。

 

ぜひ、検討して欲しい。

 

また別の観点として、例えば中食や外食産業でも、地域の中食業者や小規模飲食店を買収したいというニーズが散見される。これは、どれだけ全国展開する大手の中食や給食事業者であっても、地域の好みや味付けといったものは、長年に渡り営業している地域の事業者には敵わないからだ。

 

どん兵衛が関東と関西で出汁の味を変えているなどという話のレベルではない。隣接する京都と大阪でも、味の違いや好みは顕著に異なり、やはり地元で売れる給食や中食の事業は、地元で長年に渡り営業している会社に一日の長がある。

 

なお、再び個人的な経験で恐縮だが、かつてCFOを務めていた会社で資金繰りに困った際に、このような中食や給食を営む事業部門を分社化し、売却した経験がある。

やはりこの際も、都市銀行からの紹介でM&A専門大手の仲介を受け、会社の一事業部門をキャッシュ化し、経営危機を乗り切った。

 

このように、スモールM&Aというのは投資を考える上でも非常に大きな資金繰り・資金調達の手段になる。また同様に、切羽詰った時の資金繰りや資金調達でも活用できる、非常に大きな手段ということだ。

 

M&Aといえば、ニュースを賑わすような大企業だけの選択肢という思い込みや認識は、もはや相当古い。2000年代に入ってから、毎年のように過去最高のM&A件数を記録し発表されているのは全てこのように、前向きな投資でも、切羽詰まった資金需要の際にも、スモールM&Aが非常に優れた資金調達の手段として機能しているからだ。

 

さすがに、自社だけの知見で取り組もうと思えばリスクも大きく、また関連する法律も多様で決してお勧めできるものではない。

 

しかし、銀行経由の案件であり、また身の丈にあったM&Aであれば、きっと面倒見よく必要な専門家の手配を含め、力になってくれるだろう。自社の経営の選択肢として、また資金調達の奥の手として抑えておいて欲しい。

 

銀行融資の理解に役立つオススメ記事一覧

 

最後に本記事と併せてオススメの記事をまとめておきます。

 

・ 事業資金の借り換えの注意点!銀行融資で借り換えるメリット・デメリットとは?

・ 銀行融資枠(コミットメントライン)とは?追加融資を受ける5つのコツ!

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・ 銀行融資を勝ち取る「格付け」を120%アップさせる5つのコツ

・ 【保存版】銀行融資を受ける為の12の秘訣。金融機関からの借入の審査対策!

・ 銀行融資の仕組み

・ 直接金融と間接金融(銀行融資について)

・ 銀行との付き合い方、銀行融資を活用するため良い関係を築こう!

・ 銀行融資(資金調達プロ)

 

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4. まとめ

 

いろいろなことをお話したが、やはり大本となる考え方は、銀行とは信頼関係を築き、その知見を大いに頼るということに尽きるだろう。銀行も商売である以上、透明感のある取引先であれば、資金ニーズにできる限り力になりたいと考えているものだ。

 

そしてその透明性とは、メインバンクに対し、自行で掌握できる範囲にキャッシュフローを置いてあげることを心掛けることに他ならない。月次(決算)を含む決算書と矛盾のない現金の動きを見せてあげることで、銀行と普段から無言のコミュニケーションを交わしておくことだ。

 

経営者が思っている以上に、銀行はキャッシュフローの動きを非常に細かく、リアルタイムで見ている。

 

見られたくないことも見せたいことも、何も言ってこないがモニター画面の前で時に毒づきながら、時にニヤニヤしながらあなたの事を上司とともに意見交換している。

 

更に付け加えると、個人的な資金の使い方もオープンにした上で、人間性が疑われるような浪費を控え堅実な経営者ぶりを個人キャッシュにも反映させると、更に印象が良くなるだろう。このような会社であれば、銀行もきっと最後まで、あらゆる手段で会社を応援してくれるはずだ。

 

そして大事なことだが、繰り返しになるが銀行とは決して融資と預金、それに事業資金の決済手段としてのみ存在しているわけでは無いということである。

 

様々な企業と付き合い、その資金繰りを把握しているということは、ある意味において経営者本人よりも冷静に、合理的に個別企業の経営状況を理解しているということだ。

 

今回紹介したスモールM&Aはほんの一つの事例に過ぎず、非常に多様な金融商品と取引先候補の情報を持っており、受けられる選択肢の数は非常に多い。

 

いずれにせよ、いよいよ困った時にだけ銀行を頼るという付き合いの姿勢は最悪であり、自社の調子が良いのであればぜひ、付き合いの融資を受け与信の積み上げなどを普段から実行しておいて欲しい。

 

そうすれば、場合によっては勝手に、引き出し自由の当貸(当座貸越)まで設定を提案してくれることもあるだろう。

 

当貸は、困った時に実質的に無審査で融資を受けられる引き出しであり、資金繰りや資金調達で思わぬことがあり得るものづくり企業には、非常に重宝する金融商品である。

 

他にも例示すればキリがないが、銀行とは融資だけじゃもったいないからこそ、普段の付き合いを大事にすることで、いざという時の資金繰り力になってくれる存在だ。

 

本稿が一人でも多くの経営者や財務担当者の参考になり、銀行との付き合い方を見直すきっかけとなれば幸いだ。

 

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