会計事務所向けクラウド会計・税務システムの「ASaaSシステム」の開発、アカウンティング・サース・ジャパン株式会社が10億円の資金調達

■資金調達概要

11月25日　会計事務所向けクラウド会計・税務システムの「ASaaSシステム」の開発に取り組む、アカウンティング・サース・ジャパン株式会社（以下：ASaaS）が、Fidelity Growth Partners Japan（新株主）を始めとする4社から10億円の割当増資による資金調達を行いました。

今回のシリーズBラウンドの資金調達の割当先は、次の投資会社4社となっています。

Fidelity Growth Partners Japan
Arbor Ventures
アイ・マーキュリーキャピタル株式会社
モバイル・インターネットキャピタル株式会社

プレスリリース：http://www.a-saas.com/corporate/news/pr_20141125.html

■ライターの視点
設立より5年を超え、業界トップを目指すべく2014年はASaaSにとって大きな前進のため、大型資金調達から経営陣の刷新など大変な転換となった1年でした。

今回の10億円となる大型の割当増資では、新株主がFidelity Growth Partners Japanに代わるとともに、代表のデービッド・ミルスタイン氏を社外取締役に迎えるなど、大きな転換が行われました。

ASaaSでは、2014年5月に行われた3億円の第三者割当増資後の7月末に、当時の代表森崎利直氏の退任、そして、現在の代表である佐野 徹朗氏と共に経営体制を一新していましたので、その上で経営の基盤固めと見るのが適切なようです。

今回より、新株主となったFidelity Growth Partners Japanは、既存のベンチャーキャピタルなどの投資ファンドとは一線を画し、長期にわたってのパートナーシップと今後の追加ラウンドを考慮した安定した資金調達先として世界的に認められています。

特にFidelityでは、その豊富な自己資金力を用いて、アジアにおいて企業の成長を根気強く粘り強い姿勢で支援を続けています。
今回、社外取締役として代表のデービッド・ミルスタイン氏を迎えていることなどから、経営基盤の安定を図った上で、同業上位の3社とのシェア争いに対し本気でトップを取る構えであることが伺えます。

おそらく2015年より、会計事務所に向けたサービスを展開する上場企業も含めた競合3社に対して、今まで以上に積極的姿勢でシェアを奪うための営業展開を強化することが予想されます。

では、現実的な利用現場を見てみると、この会計ソフトウエアの分野において合理性だけを全面に押し出すだけでは、容易に乗り換えが進むわけではありません。
なぜならば、会計事務所と顧客が慣れ親しんだソフトウエアからの乗り換えに対して、腰が重くASaaSが考えるようには進まなかったというのが今までの現実です。

しかし、そうこうしているうちに競合他社が、価格的にも優位なASaaSのクラウド型会計サービスと同様のものを提供し始めてからでは遅すぎます。
既に、競合との顧客獲得競争は2009年の設立当初から始まっていることです。
つまり、新しい経営陣は、この2015年に勝負に挑まなければ、シェアを抑えきれていない自社の未来に光がささないことを敏感に感じ取ったのではないかと考えられます。

なお、2014年8月に新しく最高責任者となった、佐野徹朗氏は、「トーマツ」や世界的な経営コンサルティングの権威「ボストンコンサルティンググループ」での経歴を持ち合わせる優れたリーダーとして社内外から注目され期待を集めています。

あくまでも想像の域を超えることはありませんが、今回の資金調達とその調達先にともなう経営陣の変化などから、ASaaSの厳しい競争にかける意気込みを感じます。
2015年は、ASaaSを中心に会計ソフトウエアの業界にちょっとした動きがあるかもしれませんので、今後も注目してみましょう。

■会社概要
A-SaaSは、税理士向け、中小企業向けのクラウド会計・税務・給与システムの企画から開発、そして販売までをトータルで提供サポートする企業です。
会社設立の2009年以来、東京本社から全国に6つの拠点を構え、システムの開発と普及に努めています。

会社名／アカウンティング・サース・ジャパン株式会社
代表取締役社長CEO／佐野 徹朗氏
資本金／約14億8千万円（資本準備金含む）
本社所在地／東京都新宿区新宿1丁目